ちょっと前に書いた、ショートクランク理論の話なんですが、
この記事で、ほかのサイトに掲載されていた計算式を引用したのですが、ご意見を頂きました。
いつも拝見させて頂いております。
少し前の記事なのですがショートクランク理論で書かれているペダルを踏む力に関して、引用先の計算方法が気になっています。あの計算方法だと仮にクランク長101㎜の物を使用した場合170㎜に比べ70倍強く踏む必要があることになります(アウターの場合)。
てこの原理で計算するならチェーンリングの直径に関係なくクランクの長さだけで表せると思うのですが。
例)170㎜→165㎜に変更すると、足の移動距離は165/170に短くなる、踏む力は170/165に強くなる(出力が同じ場合)。
というお話です。
これはまさにその通りでして・・・本当にすみません・・・
Contents
引用した計算方法
まず、テコの原理から。
テコの原理には三つのテコがあります。
一番分かりやすいのが、第一種テコ。
いわゆるシーソーですね。
支点が力点と作用点の間に来ます。
次に第二種テコ。
これは例えば、空き缶つぶしとか、穴あけパンチなどで使われます。
支点が端っこにあって、力点が一番遠く、作用点が支点と力点の間に来ます。
そのため、力点で加えた力よりも、作用点で発揮される力は大きくなります。
最後に第三種テコ。
これは例えば、ピンセットとか、ホッチキスなど。
第二種テコと同じく支点は端っこで固定されますが、力点と作用点の関係が第二種とは逆になります。
力点で加えた力よりも、作用点で発揮される力は小さくなるのがポイント。
で、引用した計算式ですが、第二種テコに見立てているわけです。
力点がクランク先端(ペダル)、支点がクランク付け根、作用点はチェーンリングですね。
力点と作用点の関係は、このように表せます。
(力点距離) × (力点の力)
= (作用点距離) × (作用点の力)
で、クランクを3時の位置にあると想定して、チェーンが動く力(W)を固定。
クランク長を変えたときに、チェーンが動く力(W)は同じだとしたら、力点に必要な力(P)がどれくらいか?を計算しているわけですね。
で、クランク長を170mmと165mmで考えます。
チェーンが動く力(W)は両方とも同じWだとして、クランク長170mmで踏む力をYとします。
(チェーンリングの直径は100mmとします)
そうすると計算式は、
W × 100 = Y × 170
Y = 100/170 × W
次にクランク長165mmで踏む力をZとします。
W × 100 = Z × 165
Z = 100/165 × W
なのでクランク長170mmで必要な力Yと、クランク長165mmで必要な力Zですが、
Y : Z = 100/170W : 100/165W
こうなるので、純粋に1/170 : 1/165
なので165mmクランクを使った場合、170mmクランクよりも1.03倍(3%)強い力が必要と言うことになります。
(純粋に170/165から計算すると、1.03です)
と前の記事で引用したのは、(クランク長-チェーンリング半径)になっているので、意味不明な状態だったわけです。
というよりももっと簡単にいうと、チェーンリングで発生する力が同じ、かつチェーンリングが同じという前提なので、
170 × Y = 165 × Z
Z = 170/165 × Y
これで終了です。
ここまで書けばわかると思うのですが、同じチェーンリングで、チェーンリング上で同じ力が発生しているという前提ですので、インナーであっても、同じチェーンリングを使うなら同じ結果で、170mmクランクに比べて165mmクランクでは1.03倍の力が必要ということになります。
仮に101mmクランクで計算すると、
170/101=1.68
なので1.68倍強い力で踏まないといけないことになります。
ラ・クランクではクランク長130mmが合ったと思いますが、160mmクランクと130mmクランクで比べた場合、
160/130=1.23
160mmクランクよりも、1.23倍強い力が必要ということになります。
しばらく物理とは無縁の世界にいたので、いろいろ失念しておりました。
大変失礼いたしました。
センター試験で物理100点取った栄光など、いつの時代やら・・・w
<まとめ>
165mmと170mmクランクの比較で、チェーンリング上に同じパワーを発生させる場合。
ペダル移動距離 | パワー | |
165mmクランク(対170mm) | 3%程度減る | 3%程度強くする必要あり |
170mmクランク(対165mm) | 3%程度増える | 3%程度少なくて済む |
他人のサイトを鵜呑みにして間違ったこと書いて申し訳ありませんでした。
なんかおかしいなと思いつつ、自分でちゃんと考えなかった天罰です。
普通にテコの原理で見れば、すぐでした。
可能性として
これはあくまでも、【チェーンリング上に同じ力を発生させる場合】という条件なので、実態とは異なる可能性があります。
というのも、ショートクランク化することで、股関節の屈曲度は変わります。
理論上は、ペダルの動きは円の接戦方向に力を加えると効率がいいわけですが、クランクが長すぎて上死点で詰まったようになってしまい、円の接戦方向にうまく力をかけれていない場合。
クランクが短くなることで、上死点をスムーズに通過させることができる可能性があるので、先ほど出した理想値よりも大きな効果を生む可能性も秘めています。
ただ、ここまで考えると、実際にペダリングモニター使って解析しないと、たぶんわかりません。
ショートクランクの話では、シマノ以外のクランク(160mmよりも短いクランク)についても触れてます。
従来の定説だと、理想的なクランク長は
身長の10分の1
このようになるわけですが、そもそもシマノクランクでは、105にだけ160mmクランクがありますが、それ以外のグレードは165mmが最短です。
160 | 162.5 | 165 | 167.5 | 170 | 172.5 | 175 | 177.5 | 180 | |
デュラR9100 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アルテR8000 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
105R7000 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
ティアグラ4700 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ソラR3000 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
クラリスR2000 | 〇 | 〇 | 〇 |
そうすると、身長160センチの人は何とかなっても(ただし105のみ)、それより身長が低い人は、適正クランク長がないことになってしまいます。
ショートクランクでは、いろんな方の経験的に
身長の10分の1 -10mm
このあたりかなと思うのですが、仮にクランク長165mmを我慢して使っていた人が、クランク長150mmに変えたとすると、
165/150=1.066なので、165mmクランクに比べて1.066倍(6.6%)パワーが必要となります。
(チェーンリング上で同じパワーを出す場合)
まあ、その分、ペダルの移動距離(円周長)は減るわけですが。
円周長は
・165mmクランク = 518.1mm
・150mmクランク = 471mm
なので差は47.1mm、5センチ弱ですね。
どっちがいいのかについては、こればかりは試すしかありません。
あとクランク長を変えると、ポジショニングが大きく変わる可能性があります。
ショートクランク化でサドル高さは上がりますし、
サドル後退幅は、
ペダルが3時の位置で、膝のお皿を基準に決めるので、
クランク長が短くなると、サドルは少し後ろにいくイメージなんですが、
シートチューブが傾いているので、サドル高が上がれば勝手に後ろに行きます。
しかし、サドルーハンドル距離が変わってしまうので、ステム交換などが必要になる可能性もあります。
このあたりはやってみないと分からない点が多いので、結構難しいところです。
気軽に試せるサービスがあればいいのですが、こういうのも、ショップにあるフィッティングのデモ機とかで試せる可能性もありますし、ジオメトリから三角関数使って数字上は色々出せます。
やっぱ最後はフィーリング的な部分なので、クランク買って試すしかないのかもしれません。
ということで、ご指摘いただきありがとうございました。
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