PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

仕方ないので罪には問われない。

blog
スポンサーリンク

こちらの内容。

 

自転車乗りが実刑になるケース。
自転車乗りが何らかの事故を起こしたときに、例えば歩行者が死亡したとしても執行猶予付き判決になるのが多いです。 これは車の事故でもそうですが。 ただまあ、実刑判決になった判例もあります。 自転車乗りが実刑判決 判例は大阪地裁 平成23年11月...

 

実質的に歩行者を死亡させたのはクルマなのに、なぜクルマが罪に問われないのか?と質問を頂きました。

スポンサーリンク

なぜ?クルマが罪に問われない?

この事故はこんな感じ。
自転車横断帯(信号あり)が近くにあるにも関わらず、自転車が死角から横断。

対向車が事故回避のため緊急停止&やや左にハンドルを切った。

さらに対向車がそれを避けるために緊急停止&やや左にハンドルを切り、歩道に乗り上げた際に歩行者と衝突した事故です。

なぜクルマが罪に問われないかについては、刑法上の緊急避難だからじゃないですかね。
このような判例があります。

 

概要。
対向車がセンターラインを越えて時速70~75キロで迫ってきた。
びっくりしてやや左に進路を変えて衝突を回避しようとしたところ、後ろにいたオートバイと衝突した事故です。

 

不用意に左に進路を変えた点から業務上過失傷害に問われています。

被告人が本件現場において左にハンドルを切り約1m左に寄つて進行したのは、道路中央線を超えて対向する自動車を認めてこれとの衝突をさけるためにやむを得ざるに出た行為と認むべきである。なるほど被告人車は中央線から約1.6m離れて進行していたものであり、対向車(普通乗用車)の車体の半分乃至8割が中央線を超えていたとしても、計数上はそのまま直進してすれ違い得る如くであるが、本件の場合の如く双方の車が高速である場合(被告人車は時速約55キロであるから秒速約15.3mとなり、対向車は時速約70ないし75キロであるから秒速約19.4mとなつて、両車が1秒間に接近する距離は約34.7mとなる)前記の如き間隔のまますれ違うことは危険であるし、車を運転する者としては、このような状況の下では、自車を左に寄せて接触を避けんとすることは当然の措置と考えられる。ただ本件の場合、被告人が左に進路を変えるにあたり、法定の進路変更の合図をし、又左バックミラーで後方の安全を確認しているか否かは、原判決の説示のとおり疑問であるから、(少くとも道路交通法第53条、同法施行令第21条の要求する安全措置は満たしていない本件が通常の状況の下に発生したものならば、後続車被害者の車の操作に遺憾の点があつたとしても、被告人は進路変更につき安全措置をとらず且後方の安全確認を怠つたため本件事故を惹起したものとして過失責任を問われることは免れないところであろう。しかしながら本件にあつては、前記説明のとおり、被告人は3、40メートル前方に中央線を超えて高速度で対向して来る車を発見し(前記計算の如く、両車がこの距離を走行するに要する時間は1秒前後であり、又対向車は被告人の車との距離約15.6mに接近した際自車線に復帰したことは原判決の認定するところであるが、この際の両車の距離は約0.5秒の走行時間に過ぎない)これと衝突の危険を感ずる状態になつたのであるから、正に自己の生命身体に対する現在の危険な状態にあつたものという外はなく(このような状態に達するまでの間に被告人側に過失と認むべきものはない。)、この衝突の危険を避けんとして把手を左に切り、約1mに寄つた被告人の行動は、現在の危難を避けるため已むことを得ない行為といわざるを得ない。

その際多少減速した点は対向車との衝突を避けるためには不必要な処置かも知れないが、高速で進行したまま把手を操作すること自体危険な措置であるから、その際被告人が咄嗟に原判決の認める程度の減速をしたこともまたやむを得ぬ処置と解すべきである。しかも被告人のとつた右行為により。後続する被害者運転の自動二輪車と衝突したことによつて同人に被らしめた損害が、前記対向車との正面衝突により発生すべき損害を超えるものとは考えられないから、本件は刑法第37条第1項前段に所謂緊急避難行為であるといわなければならない。本件公訴事実中、本件の場合の注意義務として、対向車を認めて進路を左に変更しようとする際は左後方を追進してくる車両が危険な距離にある場合は直ちにブレーキをかける等して後車との衝突を防止しなければならない業務上の注意義務があるというのであるが、本件の場合にかかる注意義務を科することが不当であることは原判決の説明するとおりであり、更に原判決は、かかる場合、進路を変えることなく直進するか、あるいは進路をかえるにしても、その速度、守る距離等を考えて進路を変えるなりして後続車の進路を妨げることのないよう適切な運転をする業務上の注意義務があるというのであるけれども、進路を変えずそのままの速度で直進すること自体、道路中央線を突破して対向してくる車両との衝突の危険があるから無謀というの外はなく、しかも対向車両は70ないし75キロメートルの時速であつたのであるから危険の切迫している際に、その速度、寄る距離を考えて進路を変えることを要求することは不可能を強いるものといわなければならないから、左後方の確認をすることなく、且法定の時間進路変更の指示をすることなく、約1m(この点に関する原判決の誤は前記のとおりである)左に寄つた行為を、たやすく被告人の過失と認定した原判決には、本件行為当時の緊急状態の認定を誤つた点において判決に影響すること明らかな事実の誤認があるといわなければならない。

 

大阪高裁 昭和45年5月1日

民事責任は免れないでしょうけど、刑事責任はちょっと無理があるのでは?

そもそも

死角から横断するに当たっては、自転車側に強い注意義務があるのは当然。
しかも近くに信号&自転車横断帯があるならなおさらとしか言いようがない。

 

ちなみにこの自転車については重過失致死でしかも実刑判決です。
自転車が巻き起こした事故なのは明らかだし、クルマに刑事責任を問うのはちょっと無理があると思うけど、民事責任は免れないのかなと思う。

 

最近さ、「自転車は基本的に道路上どこでも横断可能」などというマヌケな説を唱える人を見かけました。
絶対禁止と相対禁止があるわけで、

絶対禁止 相対禁止
・車両横断禁止標識

・自転車横断帯の付近

・横断歩道付近で赤信号又は青点滅

歩行者や他の車両の正常な交通を妨げるおそれがあるとき

この場合は「自転車横断帯の付近」という絶対禁止と、他の車両の正常な交通を妨げるおそれがあるとき(相対禁止)の両方ですが、自転車との衝突を回避しようとしたドライバーに刑事責任を問うのは無理でしょう。

 

自転車が気軽に横断したら、幹線道路では「正常な交通を妨げる」になる可能性が高いのはいうまでもなく、「自転車は基本的に道路上どこでも横断可能」なんてファンタジーを語る人がいるほうが衝撃です。
ファンタジスタなんですかね笑。
クルマだろうと自転車だろうと、横断しちゃダメなケースはあるのだから。


コメント

タイトルとURLをコピーしました