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アルミ・チタン・スチール・ステンレス・・・ボルトの強度について。

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先日書いたボルトの規格の話。

ロードバイクに使うボルトの規格の話。
このような失敗談がありまして。 参考リンク 正直なところ、私もこの分野は全く詳しくないのですがw というよりも、ボルトだけ買う必要が生じることがレアケースとも言えます。 この方の失敗談は、アーレンキーのサイズでボルトを買ったら、全然合わなか...

 

ロードバイクでは【軽量化】というのが一つのポイントになりますが、その中で、ボルトをアルミ製やチタン製に変える人もいます。
ボルトの強度についても書いて欲しいという声がありましたので、今回は強度の話を。

強度

まず金属ボルトの場合、以下のキーワードが大切になります。

 

・引張強度
・耐力

 

まず、金属のボルトに力が掛かったときに、どのようになるのかという話です。

用語 状態
弾性変形 力を加えて変形するけど、力を加えるのをやめれば元に戻る状態
塑性変形 力を加えて変形したが、力を加えるのをやめても元には戻らず変形が残っている状態
破壊 物体が二つに分離してしまう状態

スプーン曲げをイメージしてもらうとわかりやすいかも。
最初はシナルけど、元に戻る状態ですよね。
これが弾性変形。
間違っても男性変形の話ではないのでご注意を。
オレも今夜はトランスフォームするぜ!という話ではないです。

 

次に一定の力を加えると、曲がったまま元に戻らないですよね。
これが塑性変形。

 

さらにこの先には、完全に真っ二つで壊れた状態が待っています。

 

先ほどの表に当てはめていくと、こうなります。

用語 状態 関係する数字
弾性変形 力を加えて変形するけど、力を加えるのをやめれば元に戻る状態 弾性率
塑性変形 力を加えて変形したが、力を加えるのをやめても元には戻らず変形が残っている状態 耐力
破壊 物体が二つに分離してしまう状態 引張強度

間違っても男性率ではないのでご注意を。
なんかキモイですね。
男性が溢れている図を想像すると。

 

で、弾性率については、結局は元に戻る数字なので比較的どうでもいいですし、金属の種類によって大きく変わるわけでもありません。
問題は耐力と引張強度です。
壊れるかどうかに関わるので。

素材によるボルトの強度

まず、JISでは強度区分があります。

 

スチールネジの強度区分の表記は10段階あるのですが、例えば【6.8】となっている場合。
前の数字が引張強度を表していて、60kgまで耐えられるという意味。
後の数字は降伏点、つまりは塑性変形が起こらないギリギリのところ(耐力)を表していて、引張強度の80%までですよという意味。

 

つまり強度区分【6.8】は、60キロまでは壊れない、48キロまでは変形しないという意味。

 

ステンレスネジの場合、A2-70などと表記されるようですが、これは引張強度700N/mm2まで保証という意味。

 

素材 品番や強度区分 耐力 N/mm2 引張強度 N/mm2 比重
アルミ合金 A7050(M5) 573 2.83
A5052(M5) 270 2.62
スチール 12.9 1080 1200 7.8
10.9 900 1000
9.8 720 900
8.8 640 800
6.8 480 600
5.8 400 500
5.6 300 500
4.8 320 400
4.6 240 400
3.6 180 300
ステンレス A2-70 450 700 7.7~7.9
チタン 純チタン(Ti2) 340 4.51
β153(Ti15-3-3-3) 830
64チタン(Ti6-4) 900

で、ほぼ間違いなくロードバイク完成車では、ステムやハンドル、サドルなど負荷が大きく掛かる場所はスチールボルトです。
海沿いとかばかり走っていると、普通に錆びてくることもあります。
そういう完成車に付属しているスチールボルトの強度区分がどれくらいのものを使用してるのかについて調べたのですが、それがサッパリわからない。

 

で、スチールボルトでも強度区分が低いものはありますが、いろいろ話を聞いたりする中で、まず間違いなく高強度区分のスチールボルトを使っているだろうということは間違い無さそうです。

 

比重については、数字が小さいほど軽いということ。
アルミはダントツ軽く、チタンはスチールとアルミの中間くらいの軽さながらも、アルミボルトよりも高強度だということです。

 

力が掛かる場所、ステムやハンドル、サドルなどにアルミボルトを使うのは、正直賛成できません。
やっぱダントツで強度が低いです。
ボトルケージとかに使うには問題ないと思いますが。

 

サクッと折れた日には、大落車で済むかどうかの話ですし・・・

 

チタンボルトについては、チタンボルトのメーカーさんからも注意が出ています。

安価なボルトの中には純チタン製や、ハーフチタンと呼ばれるTi3-2.5合金製のもの、64チタンでも原産国や素材メーカーが特定できないもの(偽チタン)などがあります。また、あってはいけないことですがサードパーティーから発売しているステムなどのパーツに付属するチタンボルトの中にも不適切なものが存在するのが実情です。

 

チタンボルトは危険なのか: かに通信WEB
サイクリストの間でもチタンボルトが話題に上がるようになってきた昨今、 当社の他にも自転車用チタンボルトに参入する業者さんが出てきた一方で、 安価なチタンボルトも出回っているようです。 中には不適切な製品もあるようで、ボルトが折れたという話も...

表を見てもらえば分かると思いますが、純チタンボルトだと強度はむしろ低いです。
ちゃんとしたメーカーのチタンボルトならまだいいかと思うのですが、スチールボルトよりは強度が落ちる可能性があり、それでいて凄く軽量というほどでもない。
また、値段が高いということもあるので、さほどオススメしません。

 

最低でもチタンボルトを買うときには、【素材と強度を確認】、これが大前提です。
間違っても通販とかで、激安チタンボルトなんて買っちゃダメ。
チタンについては、まともなものを作ろうとすれば必然的に製品価格が高くなるので、安いチタンボルトという時点で敬遠して問題ないかもしれません。

何を求めるか次第なんですが

いろいろ検索しているときに、ステムのボルトをアルミボルトに変更して、10g軽量化!というのもありました。
軽量化マンセーの方々には10gのありがたみが大きいのかもしれませんが、強度が著しく下がるのにたった10gの軽量化という見方も成り立つわけで。

 

一般的に流通しているアルミボルトは、A7050ではないので、5000番台とかのアルミボルトだと思います。
そうなると著しく強度は低いので、力が掛かる場所には避けたほうがいいと思います。

 

チタンボルトですが、これについてはスチールボルトよりは強度が下がるので、軽量化と強度、どちらを優先するかという話。
強度不足で壊れてしまえば爆死するので、個人的にはこの手の軽量化には全く興味がありません。

 

しかし、チタンボルトもヒッソリと人気があるような気がします。

 

そういう意味では、最低でも強度などしっかり明示されているものを選ぶことや、定期的にボルトを外して点検するなど、スチールボルトよりも細かいメンテナンスは要求されると思いますし、落車して思いっきりハンドルを打ち付けたりすれば、破断するリスクも秘めているわけです。

 

ちなみに金属疲労という観点でみても、アルミボルトはあまり好ましくありません。
チタンはアルミよりも金属疲労しにくい。

 

こちらはボルトの破断ではなくて、フォークコラムの破断の事例です。

カーボンコラムではなくアルミコラムだそうで。
一般的にアルミコラムは頑丈だと言われますが、万が一走行中に折れると、こうなるリスクもある。

 

ボルトについても同じで、ハンドルーステム部のボルトが4本同時に折れることは想定しづらいですが、バキバキっと折れたときには、制御不能で大落車する危険性もあると思います。
そうなると、無駄にリスクを負ってまで軽量化に走る理由があるかというと、個人的にはナシです。

 

ちょっと話は変わりますが、数ヶ月前ですか。
某社が発表していた、カーボンリムにアルミリム用シューでも問題ない発言。

 

あれ、だいぶ前から、プロショップも含めて、リムは大丈夫だけどシューが溶けた事例はいくつか出ていました。

 

ああいうのも、安全性重視なら、ナシなんですよね。
俺は大丈夫だった、というのは、万人には通用しない。

 

ちょっと前にも、カーボンリムにラテックスチューブでも問題ないとショップで言われたそうなんですが。

 

カーボンクリンチャー(リムブレーキ)にラテックスチューブでも問題ないよ!というご意見を頂いたのですが。
リムブレーキのカーボンクリンチャーホイールに、ラテックスチューブを使うことは禁忌だということは、よく知られた事実です。 これはホイールメーカーやチューブメーカーも、注意書きとして書いていることが多いこと。 以前書いた、カーボンクリンチャーに...

 

メーカーがなぜ禁止にしているかと言うと、どんなレベルのライダーが使うかわかんないから。
上級者でほとんどブレーキングせずに下れるなら大丈夫かもしれませんが、初心者が当て効きさせながら下れば、まず間違いなく爆死するのは必須。

 

かといって、【初心者はNG】とメーカーがいうわけにもいかない。
初心者なのに調子こいて、中級者だと勘違いしている人が爆死する危険性もあるので。

 

安全マージンをどこまで取るかは人それぞれ考え方が違うかもしれませんが、こういうのと似たような話なのかもしれません。

 




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