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自転車に警音器を使うことの是非。

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こういうのって、トラブルネタとしては多いよね。

さて、二輪車を追い越しや追い抜きする際に警音器を使ってもいいのか?という問題がありますが、一応判例上は一定の要件があると解釈できます。
判例は業務上過失致死傷、今で言うところの過失運転致死傷のものですが、追い越しや追い抜き時に警音器吹鳴義務を怠った過失として有罪にしたもの、警音器吹鳴義務はなかったと判断されたものがある。

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警音器判例の注意点

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警音器についての判例で一つ注意しなければならないのは、道路交通取締法時代(昭和35年以前)は追い越しする際は警音器を鳴らすことが義務だったこと。

第24条(追越の方法)
2、前項の場合においては、後車は、警音器、掛声その他の合図をして前車に警戒させ、交通の安全を確認した上で追い越さなければならない

合図を受けた前車は左側端に寄る義務があった。

24条
3 前項の合図があったことを知った場合において、前車が後車よりも法第16条第1項および第2項の規定による順位が後順位のものであるときは、前車は、後車に進路を譲るために道路の左側によらなければならず、その他のときは、追越を妨げるだけの目的をもって後車の進路を妨げる行為をしてはならない。

イメージはこう。

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なので昭和35年以前の判例については、全く参考になりません。
あと、昭和39年までは軽車両も追いつかれた車両の義務の対象だったため、民事判例では「警音器を鳴らして自転車を左側端に避譲せしめる義務を怠った過失」などとしているものすらある。

追い越し時の警音器吹鳴義務 自転車の避譲義務
道路交通取締法
昭和35~39年
現在

こういう流れを知らないまま判例を読むと間違いを起こします。
特に道路交通取締法時代は追い越しする際に警音器を鳴らさないことが「違反」ですから。

追い越し、追い抜き時に警音器吹鳴義務を認めた判例

東京高裁 昭和55年6月12日(刑事)

自転車の動静 後続車の違反
50センチ幅で左右に動揺 減速、動静注視、警音器吹鳴義務違反

被告人は、所論のいう被害者の自転車が急に右方に曲つた地点までこれに近接するより以前に、これと約62メートルの距離をおいた時点において、すでに自転車に乗つた被害者を発見し、しかもその自転車が約50センチメートル幅で左右に動揺しながら走行する自転車を追尾する自動車運転者として、減速その他何らかの措置もとることなく進行を続けるときは、やがて同自転車に近接し、これを追い抜くまでの間に相手方がどのような不測の操作をとるかも知れず、そのために自車との衝突事故を招く結果も起こりうることは当然予見されるところであるから、予見可能性の存在は疑うべくもなく、また、右のような相手方における自転車の操法が不相当なものであり、時に交通法規に違反する場面を現出したとしても、すでに外形にあらわれているその現象を被告人において確認した以上は、その確認した現象を前提として、その後に発生すべき事態としての事故の結果を予見すべき義務ももとより存在したものといわなければならない。所論信頼の原則なるものは、相手方の法規違反の状態が発現するより以前の段階において、その違法状態の発現まで事前に予見すべき義務があるかどうかにかかわる問題であつて、本件のごとく、被害者の自転車による走行状態が違法なものであつたかどうかは暫くおくとして、その不安定で道路の交通に危険を生じ易い状態は、所論のいう地点まで近接するより前にすでに実現していて、しかもこれが被告人の認識するところとなつていたのであるから、それ以後の段階においては、もはや信頼の原則を論ずることによつて被告人の責任を否定する余地は全く存しないものというほかない。そして、被告人は、右のように、被害者の自転車を最初に発見し、その不安定な走行の状態を認識したさいには、これとの間に十分事故を回避するための措置をとりうるだけの距離的余裕を残していたのであるから、原判決判示にかかる減速、相手方の動静注視、警音器吹鳴等の措置をとることにより結果の回避が可能であつたことも明白であり、所論警音器吹鳴の点も、法規はむしろ本件のような場合にこそその効用を認めて許容している趣旨と解される。

 

東京高裁 昭和55年6月12日

高松高裁 昭和42年12月22日(刑事)

道路状況 見通しのよい昼間
自転車の動静 自転車後部荷台に荷物をつけ、片手に日傘をさし、片手でハンドルをもつて不安定な操縦をしていた
車の速度 大型貨物自動車、時速約50キロ
側方間隔 約1m
注意義務違反 前方注視、減速、警音器吹鳴義務違反

被告人は、車両運転の業務に従事する者であるが、昭和41年8月26日午後2時40分頃、西条市大町常心加茂川橋東詰交差点付近道路上を、時速約50キロメートルで西に向け大型貨物自動車を運転中、前方を同一方面に向け進行する被害者(当32才)の操縦する自転車の右側を追いぬくにあたり、同女は自転車後部荷台に荷物をつけ、片手に日傘をさし、片手でハンドルをもつて不安定な操縦をしていたから警音器を鳴らして警告を与えるは勿論、減速徐行して同女と接触しないように十分な間隔をとつて進行し、事故を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り

(中略)


被害者は、不安定な状態で自転車を片手運転しており、しかも、前記のような坂道を登つていたのであるから、よろけたり、蛇行したりして、他の近接して走行する車両の進行を妨げ、接触事故を起したりする危険性が充分推認でき、現に蛇行するなど不安定な走行状態がみられた
のであるうえ、被告人が本件事故現場に至る以前に前記(三)のように自車を道路中央部に寄せていても、(なお、被告人は、センターラインを越えた付近まで自車を寄せて走行し、道路南端と約2.8mの距離を保つていたことを考えると、被害者との間隔保持の点では被告人に注意義務違背があつたものとは解し得ない。)そのまま進行すると被害者を追い越す際の被害者との間隔は約1mしかないことになるのであるから、追い越す以前に警音器を吹鳴し、被害者に後続車のあることを知らしめ、道路左側にできるだけ避譲させるなどして、安全な状態で追い越しができるような態勢をとらしめると共に、自らも減速徐行し、被害者の走行状態に注意して臨機の措置をとり得るよう注意すべき業務上の義務があるものというべきところ、被告人は、前記のように警音器を吹鳴せず、減速徐行しなかったし、前記(三)のように同方向に進行する被害者を前方に発見しながら、前方道路を横断する警察官に気をとられ、再び被害者に目を向けた直後に、被害者が前記(四)のように急に右のハンドルを切つて道路中央に進出して来たためその衝突を避け得なかつたものである以上、被告人の右各業務上の注意義務違背にもとづく本件業務上過失致死の公訴事実は優に肯認できるといわなければならない。

 

昭和42年12月22日 高松高裁

東京高裁、高松高裁ともに昭和39年改正以降の判例ですが、両者に共通するのは「明らかに自転車に不安定性がみられた(もしくは不安定になる兆候が明らかだった)」という点。

東京高裁55.6.12 高松高裁42.12.22
50センチ幅で動揺 傘さし&登坂

追い越し、追い抜き時に警音器吹鳴義務を認めなかった判例

奈良地裁葛城支部 昭和46年8月10日(刑事)

自転車の動静 クルマの注意義務違反
高齢、安定、右折兆候なし なし

(1)  本件事故現場は、別紙図面記載のとおり直線且つ平坦な見通しの良いアスフアルト舗装の国道25号線上で、国道両側には人家はない。本件事故当時の自動車の交通量は比較的少なかつたが、通常時には多い個所である。なお本件事故当時は晴天であつた。

 

(2)  被告人は、本件公訴事実記載の日時、普通貨物自動車を運転して前記国道(最高制限速度50キロ)を約50キロで西進し、奈良県北葛城郡王寺町藤井一丁目八一番地附近にさしかかつた際、前方約43mの国道左側端(歩道南端から約50センチ)を前記被害者が足踏式自転車に乗り自車と同一方向に進行しているのを認めた。

 

(3)  被告人が同人を認めた地点から西方約70m余のところに、別紙図面記載のとおり国道から三郷町に通じる幅員3mの道路があつたが、右道路に通じる入口附近は草に覆われており、右地点から右道路の存在を認めることは困難であつた。

 

(4)  被告人は、同人が一見して年寄であると認めたが、ふらつくことなく安定した歩行状態で直進しており、同人の進路前方に進行を妨げる障害物もなく、同人が進路を変更して右折するなどの気配は全く認められなかつた被告人は、同人がこのまま直進するものと信じ、同人と接触および風圧による危険を与えることのないよう安全な間隔を保つて追抜くべく、自車を中央線寄りに寄せ、警音器を吹鳴することなく前記速度で進行した。しかるに前方約20mに迫つた地点において、予想に反して同人が何らの合図もなく後方の安全を確認することなく(前記三郷町に至る道路に進入すべく、但しこの点については被告人にわからなかった)突然右折を開始し、右斜めに国道を横断しはじめたのを認めた。そこで同人との衝突を避けるため急制動の措置を講じると共に、対向車もないことから突嗟に同人がそのまま横断を継続するものと判断し、同人の横断した後方を通過すべく急拠ハンドルを左に採つたが、至近距離に迫つて同人がハンドルを回転させ引き返したため、自車右前部を前記自転車後部左側に接触させ、同人を路上に転倒させた。

 

奈良地裁葛城支部 昭和46年8月10日

予兆もなく自転車が右折横断を開始し、急制動を掛けたものの間に合わなかったという判例です。
この判例では、先行する自転車の状況に合わせて、安全側方間隔を保って追越ししようとしています。

自動車運転者が、警音器の吹鳴義務を負う場合は、法54条1項及び2項但書の場合に限られ、右各場合以外に警音器を吹鳴することは禁止されているところ、本件事故現場付近は、同法54条1項によって警音器を吹鳴すべき場所でないことは明らかである。また同2項但書によって警音器を吹鳴すべき義務を負担する場合は、危険が現実具体的に認められる状況下で、その危険を防止するため、やむを得ないときに限られ、本件におけるように先行自転車を追い抜くにあたって、常に警音器を吹鳴すべきであるとは解されず、追い抜きにあたって具体的な危険が認められる場合にのみ警音器を吹鳴すべき義務があるものと解される

 

ところで、被告人は、司法警察員に対する供述調書第11項において、「あの様な場合警音器を有効に使用して相手に事前に警告を与えておけばよかつたのですがこれを怠り」と述べ、更に検察官に対する供述調書第3項において、「私もこの自転車を追抜く際、警音器を鳴して相手に私の車の近づくのを知らせる可きでした。そうしてそれからスピードを落して相手の様子を良くたしかめ大丈夫であると見極めてから追抜きをする可きでした。それを相手が真直ぐ進むものと考え相手の動きに余り注意しないでそのままの速度で進んだのがいけなかつたのです。」と述べ、自ら自己の注意義務懈怠を認めている如くであるが被告人に過失があつたか否かの認定は、事故当時の道路、交通状態、事故当事者双方の運転状況等により客観的に判断すべきものであるから、これらの被告人の単なる主観的意見によつて、直ちに被告人に過失ありと認定できないこと論を俟たない。

 

もちろん被告人が危険を感じなくとも被告人が右に供述している如く警音器を吹鳴していれば、同人も被告人の接近に気付き事故を防止することができたかもしれない。しかし、前記認定のとおり警音器吹鳴の義務が客観的に認められないから、同人の死亡の結果を被告人に帰せしめることはできない。

 

奈良地裁葛城支部 昭和46年8月10日

 

大阪地裁 昭和46年12月7日(刑事)

原付の動静 クルマの注意義務違反
安定、突如右に進路変更 なし

被告人は、昭和45年6月20日、大型貨物自動車(車長10.48m、車幅2.50m)を運転し、国道二号線をほぼ東から西に向け時速約65キロメートルで進行していたこと、同所道路は、幅員が約11mでコンクリートで舗装され、中央に白線でセンターラインが標示された平坦な直線の見とおしの良好なところであること、しかるところ、自車の進路上、道路左側部分の中央よりやや右側のセンターライン寄りを被害者(当時54年)運転の原動機付自転車が時速約35キロメートル位で同一方向に進行しているのを前方約34.5m先に認め、この際、同車をその右側から追い越そうと考え、反対方向からは対向進行する車両もなかつたので、自車の進路を道路右側部分に変え、車体をすつかり道路右側部分に乗り入れ、時速約70キロメートルに加速して同車の追越しを始めたこと、右追越しの際、被告人は方向指示器を表示したものの、前車に対しとくに警音器を吹鳴することはなかつたこと、そして、同車に接近して行つたわけだが、約11mに迫つた際、(前掲実況見分調書によつて検討すると、被告人車が原付自転車を認めた地点から追越しを始めてこの地点に到るまでの走行距離は約53.5mこの間に原付自転車の走行した距離は約30mと認められる)、左前方にある原付自転車がセンターライン上に寄つて来ているのを認め、危険を感じ、三、四回警音器を吹鳴したが、同車がなお道路右側部分の自車進路上に寄り、右に道路を横断しようとするので、急遽急制動の措置をとるとともにハンドルを右に切り、右斜めに走行して道路の外に出て、道路右側に並ぶコーエ薬品株式会社および周南三菱自動車販売株式会社の前の空地に車を乗り入れ、そこで停車するにいたつたが、その間において、被告人が急制動の措置をとつた地点から右斜め前方約15ないし20m進行した道路右側部分の中央より少し右側に当る地点の付近で、道路をやや右斜めに横断して行つた原付自転車がその前部右側あるいは後部荷台の右側を被告人車の右側面中央部辺の油タンクに接触させ

(中略)

検察官は、このような追越しの場合、被告人にあらかじめ警音器吹鳴の注意義務があると主張する。後車が前車を追い越そうとする場合は、後車は反対の方向からの交通及び前車の前方の交通にも十分注意し、かつ、前車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならないわけであるが(昭和46年法律98号による改正前の道路交通法28条2項、以下、引用する道路交通法はいずれも改正前の同法を指す)、一般に、追越しの場合に警音器吹鳴義務を課してはいないのである。かえつて、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないとされている場合を除いては、危険を防止するためやむをえないとき以外には警音器を鳴らしてはならないことになつている(同法54条)。したがつて、本件のように、被告人車が先行の原付自転車を追い越そうとする場合にあつては、先行の自転車が進路変更あるいは道路横断等の気配があり、具体的に危険が察知されるような状況にあつた場合は格別、そうでない限り、被告人としては、前車に追越しを覚知させ警告を与えるところの警音器吹鳴義務は負わないものと解すべきである。

 

大阪地裁 昭和46年12月7日

追い越し、追い抜き時に警音器を鳴らしたものの、継続して鳴らす義務はないとした判例

福岡高裁 昭和47年11月13日(刑事)

この判例は追い越しする前に数回警音器を鳴らしたものの先行オートバイが左側に避譲しなかったため、1mの間隔を置いて追い越ししたものの起きた事故。
検察官の主張としては「継続的に警音器を鳴らす注意義務があった」ですが、裁判所は否定。

大型貨物自動車を運転して時速約40キロメートルで右国道207号線を西進し、右土園川橋の右土園川橋の東方約90mの地点で、前方約26.5mの道路左側を時速約30キロメートルで同一方向に進行中の被害者A運転の自動二輪車を認め、同橋の約41m東方に達した際、右A車を追越すべく、自車の前方約7.9m、道路の中央線から約1.9m左側を進行していた右A車に対し、警笛を二回吹鳴して追越しの合図をし、右A車が進路をやや左寄りにとつた程度で避譲せず、なお前記速度で直進していたが、対向車等もなかつたところから自車の進路をやや右寄りにとつて追越しを開始し、同橋の東端から西方約6.25mの同橋上で右A車と並んだが、その際の自車と右A車との間隔は約1mであつて、自車は車体の三分の一位が中央線を越えており、一方A車は中央線の約2.6m左方に位置し、中央線の約2.6m左方に位置し、同車から道路左端までは約3mの余裕があつたこと、そして被告人は、そのまま進行しても安全に追越しうるものと思い、以後右A車の動静を注視せずにそのまま追越しを続けていたところ、右A車が被告人車に接近し始め、同所から約14m余進行した道路左端から約4m内側の地点で右被害者が被告人車の左側面に接触、転倒し、被告人車の左側後部車輪で轢かれ、即死するに至つたこと、およびこれより先、右被害者は終始うつ向きの姿勢で自動二輪車を運転しており、被告人が警笛を吹鳴した後も前述のとおり避譲せず、進路を道路の中心線からみてやや左寄りにとつたのみで直進を続けていたが(但し、土園川橋上は前述のとおり道路の幅員が広くなつているので、相対的には道路の中央寄りに進行したことになる。)、しかし時速約30キロメートルの比較的安定した速度で進行し、その運転自体には不安定な挙止はなく、進路を右に転ずるような素振りもなかつたことが認められ

(中略)

なお検察官は、予備的訴因の追加請求と題する書面において、本件事故現場の道路は、土園川橋付近において道路の幅員が広くなつており、また同橋の両端にはそれぞれ南北に道路が交差していたのであるから、幅員の狭い道路から広い道路に進出した右A車が道路の中央寄りに進出してくること、あるいは交差点で自車の前方を右折してくること、あるいは被告人車のような大型車が後方から進行してくる場合、A車のような自動二輪車は往々これに吸引されたり、ハンドルをふらつかせたりすることも予想されるので、被告人としては、継続して警笛を鳴らして自車の進行を知らしめて右被害者に注意を喚起し、同車を左方の安全な場所に避譲させる等の注意義務があつた旨主張し、本件事故現場付近の道路の状況が右主張のような状況であつたことは前叙のとおりであるが、しかし被告人車が右A車と並ぶまでの間に、右A車に不安定な運転状況あるいは右折するようなきざしがなかつたこと、当時対向車両等がなく、右A車を左側に避譲させなくても、その右方から同車を十分追越しうる状況にあつたこと、および被告人車は時速約40キロメートル程度の速度で、右A車との間に約1mの間隔を保ち、且つ同車の左側には約3mもの余地のある状態で追越しを始めていたことは前叙のとおりであるから、検察官主張のように、右A車が被告人車の進路に進出したり、あるいは被告人車に吸引されるような事態が予測されるような状況であつたとは認め難く、また大型車の接近によつて右A車のような自動二輪車の運転者が狼狽し、接近接触する虞は全くないとはいい難いが、しかしかかる程度の危険の回避は、むしろ被追越車において負担すべきものと解すべきことも前叙のとおりであつて、要するに本件においては、現場の状況、被告人車と右A車との位置関係、および右A車の動静からみて、同車を追越すのに特に危険の予測される状況にあつたとは認め難いのであるから、追越しの場合における警音器の吹鳴義務を規定せず、むしろ車両の運転者は法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き警音器を鳴らしてはならない、ただし危険を防止するためやむを得ないときはこの限りでない旨規定している現行道路交通法の規定の趣旨に徴しても、被告人において更に継続的に警音器を吹鳴すべき注意義務があつたとは認め難く、また前記の諸事情および本件道路の交通量に徴し、被告人に右A車を更に左方に避譲させた後追越しにかかるべき注意義務があつたものとも認められない。

 

福岡高裁 昭和47年11月13日

以上から検討すると

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先行自転車を追い越しや追い抜きする際に明らかな不安定性がみられる場合には、追い越しや追い抜きを警音器で知らせてから実行する義務があると言えます。
逆に何ら動揺性や不安定性がない場合には警音器吹鳴義務を負わない(危険を防止するためにやむを得ない場合とは言えない)。

 

さてこのようなケースですが、

まさか「自転車の通行を妨害する目的の警音器使用だから妨害運転罪」なんて解釈する人はいないかと。
並走自体が通行妨害みたいなもんだから、そんなアホな解釈をする人はさすがにいないとして。

 

イエローラインであることを無視すると、

 

並走しておしゃべり=後続車の接近に気がついてない=危険

 

という解釈も成り立ちうるので、必ずしも警音器使用が違反とは言えないことになります。
たぶん、警音器使用制限違反(54条2項)を取る警察官はいない。

 

けど違反か否かは別としてトラブルにはなりうるので、警察的には「使わないで」となる。

 

イエローライン越えについては、警察的には黙認、起訴されたら勝てないと思われます(実際に越えているのかは知りません)。

 

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自転車を追い越すために、イエローのセンターラインは越えてもいいのか?
これってよく問題になるよね。 道路交通法では、イエローラインを越えてはみ出し通行すると違反。 先行車が自転車だろうとアウト。 自転車を追い越すためにイエローのセンターラインを越えてはダメな理由 ...

 

まあ、並走という違反が先行していることからすると違反とは取りにくい案件ですが、例えば上の奈良地裁葛城支部 昭和46年8月10日判決。
何ら動揺性がない自転車を追い越しするにあたり警音器吹鳴義務はないとしつつも、

もちろん被告人が危険を感じなくとも被告人が右に供述している如く警音器を吹鳴していれば、同人も被告人の接近に気付き事故を防止することができたかもしれない。しかし、前記認定のとおり警音器吹鳴の義務が客観的に認められないから、同人の死亡の結果を被告人に帰せしめることはできない。

「鳴らすな」というスタンスではなかったりするので、ビミョーなんだよね。
結局のところ、執拗に鳴らすようなプレイ以外は違反とはしにくいのだろうと。

 

何ら動揺性も不安定性もなく、違反も見受けられない自転車に鳴らすのはダメとして、先行自転車に動揺性、不安定性、違反のどれかがある場合には単発ホーン程度で違反とするのは困難かと。

 

けど違反か否かは別として、トラブルにはなりうることには注意。
まあ、並走によって進路を塞いでいるにもかかわらず、クラクション鳴らされて「通行妨害目的の妨害運転罪」とかいう人がいたら、法律センスがねーなと呆れますが。
塞いでいる自転車の通行妨害笑。

 

自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。
先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。 これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はありません。 (追越しの方法) 第二十八条 4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両...

 

車が自転車を追い越すときに、クラクション(警音器)を鳴らすのは違反なのか?
先日書いた記事で紹介した判例。 自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の...

 

違反かどうかはすこぶる疑問ですが、違反か否かは別としてトラブルにはなりうる。
自転車も並走するなという話。

どうでもいい話ですが、窓を開けて大声で奇声を挙げると「ヤベー奴」と思われて、二輪車は避譲するというテクニックを聞いたことがあります。
オススメはしませんが。

 

よく「自転車は歩道で歩行者にベルを鳴らしてはいけない」と言われますが、「先に行ってもいいですか?」とお願いすることは何ら問題ない。
トラブルにも違反にもならない方法は「お願い」なんじゃないの?と思うけど。
サイクリングロードで歩行者が広がっているみたいな状況についても、「通ります!」と口に出せば済む話なのに、ベルを鳴らすからトラブルになる。

 

お口に出せばいいんですよ。
了解得られたら発車すればよい。


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