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「停止線で停止できるような速度」。

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こういう質問は何をしたいのかさっぱりわからない。

読者様
読者様
38条の「停止線で停止することができるような速度」とは停止線で停止出来たならそこそこの速度から急ブレーキでも違反じゃないよね?

 

結論から言いますと、「停止出来た」のに「停止することができるような速度ではない」というのは日本語として矛盾しているので、結果論として停止出来たなら違反にはなりません。

 

けどさ。

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それは結果論

急ブレーキで止まろうとするから後続車に衝突されてみたり、「衝突されると怖いから止まらない!」などと言い訳が始まるだけなんじゃね?
あと、たまたま急制動掛けた地点で歩行者を発見出来たから停止出来ただけで、限界制動距離を越えてから歩行者を発見するようなケースでは対応できないですよ。

 

なので、菱形が見えた時点で減速を開始し、急ブレーキではなく穏やかに停止できるような走り方するのがよいかと。

 

判例ではこういうのがあります。

道路交通法38条1項に規定する「横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。」との注意義務は、急制動等の非常措置をとつてでも横断歩道の手前で停止することさえできる速度であればよいというようなものではなく、不測の事故を惹起するおそれのあるような急制動を講ずるまでもなく安全に停止し得るようあらかじめ十分に減速徐行することをも要するとする趣旨のものであり、したがつて、時速25キロメートルでは11m以上手前で制動すれば横断歩道上の歩行者との衝突が回避し得るからといつて右の速度で進行したことをもつて右の注意義務を尽したことにはならない、と主張する。

(中略)

横断歩道直前で直ちに停止できるような速度に減速する義務は、いわゆる急制動で停止できる限度までの減速でよいという趣旨ではなくもつと安全・確実に停止できるような速度にまで減速すべき義務をいつていることは所論のとおりである。

 

大阪高裁 昭和56年11月24日

まあ、当たり前かと。

 

「追突されるのが怖いから止まらない」という人は、予め十分な減速をしていれば後続車が突っ込むリスクなんてほぼ消せます。
かなり減速している先行車に突っ込むとか意味がわからない。

ところで

上の判例。
ちょっと特殊な事例について争われています。

 

概要から。

信号機がない交差点で2人乗りのオートバイが、一時停止を無視して交差点に進行。
時速40キロから25キロに減速していますが、最終的には交差点南側にある横断歩道を横断している歩行者に衝突します。

 

これ、一審は業務上過失傷害罪について無罪なんです。
なぜかわかります?

 

時速25キロの限界制動距離が11mなんですが、一時停止を無視して交差点に入ったあたりでオートバイが転倒。
そのままズルズル転がって歩行者に衝突したのですが、限界制動距離の11mに入る前に転倒していたのだから回避可能性がないとして無罪。

 

二審は一審判決を取消し有罪です。

 

さて、どのような注意義務違反を認定したのでしょう?

職権をもつて原審記録に基づき本件業務上過失傷害の点を審究するに、本件交差点北側入口には一時停止の標識があり、被告人はこれに従つて右交差点入口で一時停止すべき道路交通法上の義務があり、被告人がこれを怠つたまま南進するため交差点に進入したことは明らかである。そして、右交差点の手前付近で後部座席の同乗者は、交差点南側にある横断歩道を東から西へ渡りかけようとする被害者を発見していたくらいだから、被告人が右義務に従い適確に一時停止できるような措置をとつておれば、当然被害者の存在にも気づいて慎重に運転して転倒もせず本件結果は回避できたことも疑いない。そこで右一時停止義務違反を、本件事故に対する刑法上の過失責任として問えるかについて按ずるに、右一時停止義務違反と本件事故との間には条件的因果関係が存在すること、本件のように、南北約5.5mないし7.3m、東西約6mないし7.5mの道幅の道路が交差し、右一時停止の道路標示と南側出口までの距離が約15mで信号機の設置されていない交差点において、その南側出口に接して幅員約4mの東西に通ずる横断歩道が設置されている場合には、右一時停止義務は、横断歩道の通行に優先権をもつ右横断歩道上の歩行者に対する関係でも課せられているものと解すべきであること、被告人には一時停止義務が発生する時点における前方注視義務違反が認められること、一時停止をせず前方不注視のまま時速25キロメートルの速度で本件交差点に進入すれば、横断歩道上の歩行者の発見が遅れ、急制動をかけても間に合わず歩行者に衝突するであろうことは十分予見可能であること、本件の実際の経過は、右一時停止義務違反後に後述認定の事由によつて転倒しそのまま滑走して結果を発生させたものであるところ、その経過は著しく通常性を欠くものではなく、また予見可能性を否定するに至るようなものでもないこと、以上のような事情を総合すると、被告人の本件交差点手前における一時停止義務違反及び前方注視義務違反は本件事故結果と因果関係があり、かつ右判断基準時における結果発生の予見も可能であつたというべく、被告人はその意味での刑法上の過失責任を負わなければならない。

 

大阪高裁 昭和56年11月24日

一時停止規制は交差道路の車両に対する優先を決めるモノですが、このような状況では一時停止規制は横断歩行者の確認のためにも課されているのだとして注意義務違反を認定しています。

 

まあ、止まれと書いてあるのに突破すりゃトラブルが起きるのは当然。

 

ちなみにオートバイが転倒したのにも理由があるのですが、今回は控えたいと思います。
いったい何をしているのやら。

減速接近義務

前段の減速接近義務は昭和46年改正で作られた規定ですが、業務上過失致死傷判例では当たり前のように認められてきた減速接近義務違反を、現に事故が起きてなくても取締り可能にするために新設したとあります。

車両等が横断歩道に接近する場合の義務に違反した場合には、それだけで第38条第1項の違反となる。また、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行してきた車両等が、横断歩道の直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにする義務に違反した場合も同様である。

 

道路交通法の一部を改正する法律(警察庁交通企画課)、月間交通、道路交通法研究会、東京法令出版、昭和46年8月

昭和46年以前は見通しが悪い横断歩道を無減速通過しても、結果的に「横断しようとする歩行者」がいなければ何ら違反ではなかった上、無減速接近による事故が普通に起きていた。
しかも昭和46年以前は38条に過失犯の処罰規定がなく、「いやー、歩行者がいたことに気がつきませんでした」と言えば故意がないため違反にならず、事故が起きたときしか処罰されないという状態を解消するため、過失犯の規定を作り、前段のみでも違反が取れるようにしたもの。

 

「止まれない」「止まると追突される」という話は菱形を見た時点で十分な減速をしなかった結果でしかないので、道路上に菱形を見たら十分な減速を。

 

ロードバイクだって、十分な減速しないまま急制動したら下手な人は前転します笑。
前転するような停止になるなら、やはり減速が不十分だったとしか言えないかと。

 

それとは別に、急制動時の後方荷重は練習しとかないとまずいですが。


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