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ちゃんと理解できない人が判例を語るとろくなことにならない。

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ちょっと前からこちらの方、やたらとうちの記事を引用しているのですが、ちゃんと読めないならワケわからないレスバトルに引用しないで欲しいのですよ。

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裁判のルール

以下のような話を書いていますが、

神戸地裁 令和元年9月12日判決で車が左折後に第3通行帯に入っている事について道交法第34条1項で違反の判断が出ています

『神戸地裁の令和元年9月12日判決』で『第2通行帯は合法』『第3通行帯に入る事は道交法第34条1項違反』の判決でした

そんな判断は1mmもされていません笑。
こういう人って裁判のルールから理解してないのかと思いますが。

 

まず、当該判例はこちら。

この判例は歩道から横断歩道を歩行者用信号機に従って、「横断歩道から外れた部分」を横断した判例です。
歩行者用信号機に従って横断歩道を横断する自転車についての判示があります。

道路交通法上、自転車は軽車両に該当し(同条2条1項11号)、車両として扱われており(同項8号)、交差点における他の車両等(同法36条)との関係においても、車両に関する規定の適用により、四輪車や単車と同様の規制に服する(自転車の交通方法の特例が定められているものは除く。)。交差点を左折する四輪車にもその進行にあたっては前方を確認すべき注意義務があることは当然であるが歩行者用信号規制対象自転車であっても、横断歩道では歩行者が横断歩道により道路を横断する場合のような優先的地位(同法38条1項)は与えられておらず、また、他の車両との関係においてはなお安全配慮義務(同法70条)を負うと解されるから、安全確認や運転操作に過失がある場合は、自転車の運転者は、相当の責任を負わなければならない。

 

前記認定のとおり、本件事故は、原告が、東西道路に本件横断歩道が存在するにもかかわらず、これを通らずに被告車の左方斜め前方から東西道路に進入して同道路を斜め横断しようとしたために、本件交差点を左折後に本件横断歩道を通過して第2車線に進入して直進しようとしていた被告車の直前を横切ろうとしたことから被告車と衝突したものである。
自転車が道路交通法上車両として取り扱われていることからすれば、本件衝突地点をもって、原告が横断歩道を横断する歩行者と同一の保護範囲内にあるということはできないし、本件衝突地点が横断歩道の直近であるということもできない。また、被告車に設置されていたドライブレコーダーの画像によれば、原告自転車が歩行者と同程度の速度で走行していたとは認められ難く、歩行者の一般的な歩行速度よりは相当速い速度で東西道路に進入したと認められ、一方で、被告車が原告自転車と比較して高速度で走行していたと認めることはできない。しかも、被告車は衝突直前にはすでに本件横断歩道を通過して第2車線に進入し、直線走行への態勢を取っている。本件事故は、その直後に原告自転車が飛行車の直前を横切ったことによって発生しているが、原告が原告自転車の右方方向から、走行してくる車両に注意していた様子は一切うかがわれない。

 

一方、ドライブレコーダーの画像によると、Bは、主として被告車の右方(本件横断歩道付近)に気を取られていた様子がうかがわれ、自車前方の確認が十分ではなかったことも認められる。
このような事故態様からすれば、本件事故は双方の過失が相まって生じたものというべきであり、その過失割合は、原告が本件事故当時70歳であったことを考慮しても、原告40%、被告60%とみるのが相当である。

 

神戸地裁 令和元年9月12日

左折して第二車線に進行したクルマと、横断歩道から6mちょっと離れた位置を横断した自転車の事故。
判決文をみても34条に関する判断なんて全くしてません。

 

なぜ34条に関する判断をしてないか?
理由はシンプルです。

当事者の主張がないから(弁論主義)
②第二車線に進行したことは、事故発生とは無関係だから
③民事責任においては「道路交通法違反」の程度を争うのではなく、不注意(過失、民法709条)を争うから

裁判の原則として、当事者が主張してないことは審理対象にはならない。
加えて、この事故態様においてクルマがどこに左折しようと関係ない。
関係ない主張をしたところでバカだと思われるだけで無意味。

 

というよりも、第二車線に左折した判例を第三車線にすり替えるのはなぜ?

 

以前この判例について、左折方法が過失扱いされているかと質問があり、されてないよと書いたけど、

 

左折後に第三車線に入るのは違反?
こちらの記事についてメールを頂いたのですが、 これ?正解には第二ではなく第三ですかね。 左折後に第3通行帯にゴール 判決文を読む限り、左折後に第2通行帯に入っていることは過失とはしていません。 そもそもなんですが、 (左折又は右折) 第三十...

 

A「過失ではないと裁判所が判断した」

 

B「そもそも争点になってない上、無関係だから過失扱いされてない(裁判所は何も判断していない)」

 

Bの意味合いで書いたけど、ここまで意味を取り違える人がいるとは正直なところ想定外。
下記は完全なるデマですので、こういうの本当にやめて欲しいのね。

神戸地裁 令和元年9月12日判決で車が左折後に第3通行帯に入っている事について道交法第34条1項で違反の判断が出ています。

そもそも第三車線に入ってないし、違反だなんて判断もされていない。

 

判例の読み方を知らない人なのか、そもそもちゃんと読んでない人なのかは知りませんが、明らかな間違いですのでやめてね。

判例を読めない人

例えば、こちらなんて「逆走自転車を過失扱いしてない判例」について裁判官を非難してますが、

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました。 古い記事のようですし、何か...

 

確かに逆走自転車と順走自転車が衝突して、順走自転車が過失100%とは不可解。
脊髄反射のごとく裁判官を非難してますが、なぜそうなったかちゃんと書籍に書いてあるわけね。

左側通行義務違反については当事者の主張がなされておらず

 

自転車事故過失相殺の分析、財団法人 日弁連交通事故相談センター著、株式会社ぎょうせい、p371

主張してないことは審理対象にはならないので、そりゃそうなるだろ…
裁判のルールを理解してない人が判例を語ると、ルールに則り判決を出した裁判官が批判されることになりヤバすぎて笑えない。
主張がないことを裁判官が勝手に判断したら、相手方は反論する機会を失い「不意打ち判決」になるので、そういうルールなわけだ。

 

裁判って、まず原告が訴状を出しますよね。
それに対し被告はまず「認否」をする(答弁書)。
原告の主張一つ一つに対して、「認める」「否認する」「知らない」などと書き、当事者間で争いがある箇所と争いがない箇所を明らかにしてから反論するわけで、主張がないことを勝手に裁判官が加えたら反論機会を失い違法になる。

 

根本的な理解を欠く人が判例を語るとろくなことにならないので、マジでやめてね。


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