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「自転車は横断歩道を渡る権利がある」

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過去の記事にご意見を頂いたのですが。

読者様
読者様
自転車には横断歩道を渡る権利があるのだから、権利にフォーカスした記事を書いてほしい。
38条で横断歩道を渡る自転車に優先がないにしろ、権利はあるのだから。

では権利にフォーカスしましょうか。

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自転車には横断歩道を渡る権利がある

道路交通法上、自転車が横断歩道を渡ることを絶対的に禁じた条文はどこにもないし、逆に、横断する際に横断歩道を使う義務もありません。

 

禁止されていない以上「権利」があるという解釈は成り立ちます。
「権利」を持ち出すので法律に基づいて解釈しますが、そもそも自転車以外の車両(クルマ、オートバイ、原付、リアカーなど)が横断歩道を渡ることを禁じた条文はないので、「自転車の権利」としてフォーカスすることに意義を感じないのですが…

 

道路交通法上、横断歩道の定義はこちら。

四 横断歩道 道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。

歩道ではなく「道路の部分」なので、車両が横断することを禁じる効果はない(17条1項)。

「横断歩道」とは、歩行者が車両等から危害を受けないで安全に道路を横断できるように道路の一定部分を区間して設けた施設である。(中略)横断歩道は、歩車道の区別のある道路であると歩車道の区別がない道路であるとを問わない。もっとも、歩車道の区別がある道路における場合は、道路のうち車道の部分のみを指すことになる。

 

横井大三、木宮高彦、「註釈道路交通法」、有斐閣、1961

車両の横断については、25条の2に規定された内容を遵守する限りは禁止されていない。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない
2 車両は、道路標識等により横断、転回又は後退が禁止されている道路の部分においては、当該禁止された行為をしてはならない

横断歩道については、標識令で25条の2第2項の「車両横断禁止の標示」には指定されていないため、車両の横断が絶対的に禁止された場所とは解釈できない。
なので「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」以外には、自転車に限らず車両が横断歩道を渡ることを禁じたものではない。

 

施行令2条によると、「人の形をした信号機」が規制するのは歩行者と普通自転車のみなので、クルマやリアカー、非普通自転車などは従う信号機がなく、赤信号だろうと25条の2第1項に反しない限りは横断が禁止されていない。

※道路外への右左折には必ず「横断」を伴う。昭和35~46年の旧25条改正史参照。

 

「人の形をした信号機」と自転車。左折?右折?
人の形をした信号機について質問を頂きました。 これ以前も書いたような気がします。 人の形をした信号機と自転車 青点滅は割愛。 信号の種類 信号の意味 人の形の記号を有する青色の灯火 二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう...

 

クルマが横断歩道を渡ることは、単に「そのような場面が道路構造上ほとんどない」というだけで、自転車と同じく「権利」自体はあるので、自転車の権利としてフォーカスする理由がよくわからないのですが…

 

むしろ、車両の中では普通自転車のみが歩行者用信号機に規制され、他の車両については歩行者用信号機が赤だろうと横断自体は禁止されていないわけで(もちろん正常な交通を妨げる場合は禁止)、

法律上は他の車両よりも制限要素が強い「権利」とも取れますし。
もちろん実情としては、クルマが横断歩道を渡る場面自体がほとんどありません。
歩行者用信号機の青灯火は、普通自転車について「できる」と規定しているだけなので、当たり前ですが優先を意味するものではありません。

自転車に優先権はないし

いまだに横断歩道を渡る自転車も38条の優先対象だと語るような人がいてビックリしますが、これが現実ですよ?

道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず

 

平成30年1月18日 福岡高裁

歩行者用信号規制対象自転車であっても、横断歩道では歩行者が横断歩道により道路を横断する場合のような優先的地位(同法38条1項)は与えられておらず、また、他の車両との関係においてはなお安全配慮義務(同法70条)を負うと解されるから、安全確認や運転操作に過失がある場合は、自転車の運転者は、相当の責任を負わなければならない。

 

神戸地裁 令和元年9月12日

原告は、道交法38条1項が、横断歩道における歩行者及び自転車の優先を定めているから、自転車にとっても横断歩道上は聖域であると主張する。しかし、同条項は、横断歩道を横断する歩行者と自転車横断帯を横断する自転車を保護する規定であると解され、横断歩道上を横断する自転車について、歩行者同等の保護を与える趣旨とは解されない。

 

仙台地裁 平成29年5月19日

自転車に乗って本件横断歩道上を横断するに当たり、左右を確認し、南北道路を通行する車両の有無、動静に注意して横断すべきだった(同法25条の2第1項)にもかかわらず、これを怠り、左方への注意及び安全確認が不十分なまま本件横断歩道上を横断したものであり、過失が認められる。

 

平成21年12月15日 名古屋地裁

権利は確かにありますが、法律上の権利でいえばむしろ他の車両よりも制限されてますし、優先権すらない。
「車両横断禁止」かつ「正常な交通を妨げないなら」自転車が横断歩道を渡ることを禁じた条文がないだけの話でしかないし、それは他の車両でも同じこと。
いまさら「権利」だと言われてもあんまりピンと来ないのですが。

 

なお、現実的な力関係で言えば車道を通行する車両が譲歩するしかないことも付け加えておきます。

過失運転致死傷における過失とは、道路交通法違反を指すわけではなく、「予見可能な事故を回避しなかったこと全般」ですから。

 


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