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自転車通行可の歩道にて、歩行者が持つ傘と自転車が衝突した場合の過失割合。

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歩道上で歩行者が持つ傘と自転車が接触・衝突した事故がどれだけあるのかは知りませんが、「自転車通行可」の歩道にて歩行者が右手に持っていた傘を左手に持ち替える際に、傘の先端を上げたため自転車の前カゴに突き刺さり自転車が転倒したという事故があります。

 

さて、過失割合を考える上でどのように考えるのでしょうか?

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歩行者が持つ傘が自転車の前カゴに突き刺さり転倒

判例は京都地裁 平成22年9月30日。
事故態様から。

・事故現場は「自転車通行可」の歩道上。
・歩行者が右手に持つ傘を左手に持ち替える際に、傘の先端が上がるような形になった。
・傘が自転車の前カゴに突き刺さり、自転車が転倒して負傷。

過失割合については以下のように判断されています。

歩行者 自転車
30 70

さて、どのように考えるのでしょうか?

被告は、車道側の右手で持っていた傘を反対側の左手に持ち替える際、傘の先端を左横又は左斜め後方に上げると、同先端付近が後方から接近してくる歩行者又は自転車若しくはその運転者に当たるおそれがあるから、傘の先端を上記のように上げないようにすべき注意義務があるのにこれを怠り、周囲の安全を確認することもなく、左手に持ち替えた長さ90センチメートルの傘の先端を不用意に左横又は左斜め後方に上げた過失により、本件事故を惹起した。

(中略)

原告は、被告の左横を通過しようとする際、十分減速し、かつできる限り被告から離れて通過すべきであったといえる。しかるに、被告の傘が原告自転車の前かごに当たるなとした後、転倒停止するまで塀に接触するなどしながら約6mも進行したことに照らすと、原告は、十分な減速をしていなかったことが明らかである。原告が十分減速していれば、被告の傘が上記前かごに当たるなどしても、原告は転倒に至らず負傷することもなく又は負傷しても実際より相当軽症で済んだ高度な蓋然性がある。したがって、原告の速度の出しすぎが本件事故による原告の損害の発生又は拡大に寄与していることは明らかであり、この点は、歩道を走行する自転車の運転者の基本的注意義務の懈怠として重視すべきである。

 

京都地裁 平成22年9月30日

責任

民事の過失割合は道路交通法の義務違反について争うわけじゃないので、歩行者についても歩道上では最大限保護されるのは当然ですが、傘を持ち替える際に傘の先端を上げた行為について不法行為性を認めています。

 

まあ、主な原因は自転車の速度や方法にあるわけですが。
もちろん歩道上なので、自転車は徐行義務と歩行者妨害禁止の義務があります。

 

若干似たような事案ですが、4歳の子供が振りだした傘に自転車の前輪が絡まった転倒事故について、歩行者側(親権者)に30%の過失とした判例もあるのですが、基本的には自転車のほうが過失が大きくなるのは当然。
歩行者にも不注意があれば過失を認めることがあります。

 

いまだにTwitter(現X)などに事故動画がアップされたときに、

 

「○✕には道路交通法違反はない!」

 

などと発狂する人がいますが、民事責任は「過失」を争うのだから関係ないのよね。

 

道路交通法違反がないことは、過失の有無と関係ないのだから。


コメント

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