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池袋暴走事故と、民事訴訟の意味。

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先日、池袋暴走事故の民事一審判決がありましたが、あろうことか殺害予告だとか、カネ目当てだとか被害者遺族をバッシングするアホがいたりする。

 

家族を失い、金銭に変えられてしまうことがいかに無念なのかを理解してないのでは?
お金よりも、普通に何事もなく生きていたほうが幸せなのは普通の感覚なら理解できそうだけどな…

 

そもそも原告がなぜ提訴したのか?を理解してない人もいるような気がします。

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原告が提訴した意味

原告が提訴したのは刑事訴訟の公判中、まだ判決に至る前ですが、提訴した理由は「真実を明らかにするため」

賠償責任を大筋で認めているというが、慰謝料の金額については争う姿勢。また、刑事裁判で検察官が主張するブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えについては、認否を留保しているという。

この日の法廷で、原告のひとり松永拓也さんが意見陳述。「私は加害者本人に直接聞きたいことがたくさんあります。そして私の前で、自身の口から真実を述べてもらい、真実を明らかにしてほしいと思っています」と述べた。

 

池袋暴走事故、遺族が賠償を求める民事訴訟。「私の前で真実を述べてほしい」と意見陳述
遺族の代理人弁護士によると、元院長側は賠償責任を大筋で認めているというが、慰謝料の金額については争う姿勢。

民事訴訟の第1回口頭弁論が2月9日、東京地裁(鈴木秀雄裁判長)で開かれ、遺族側は民事に踏み切った理由を「真実を聞きたい」と説明。形式的に謝罪をしてはいるものの事故の原因を車のせいにする飯塚被告の態度を、不誠実に感じていることが窺われる。

 

【暴走事故はなぜ繰り返されるのか?】「人殺し」“池袋暴走”法廷で投げかけられた“上級国民”への怒り《民事訴訟で1億7千万円を請求》 | 文春オンライン
6月28日午後、千葉県八街市で下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人がはねられた。2人が死亡し、1人が意識不明の重体、2人が重傷。過失運転傷害の疑いで逮捕されたのはトラック運転手・梅澤洋容…

飯塚受刑者は刑事訴訟にて「クルマが不具合を起こした、私は悪くない」と主張してましたよね。
クルマに故障があったとする証拠がないにもかかわらず。

 

「真実を明らかにするために提訴」という意味ですが、民事訴訟の中で争点にして争う構図が必要です。
仮に相場通りの請求をした場合に、民事には「認諾」という仕組みがありますから、被告が「原告の請求を認諾する」と書いて裁判所に提出してしまえば裁判は終了してしまう。

 

認諾とはこういうのです。
真実を知りたいと提訴したのに、認諾されてしまえば裁判は終了してしまう。

 

【主張】森友訴訟終結 国民への説明責任生じる
「認諾」とは、民事訴訟で被告側が原告の請求を正当と認め、裁判を終わらせることをいう。

 

何ら「真実」が語られないまま、そして判決文として「真実」が書かれないまま終わってしまえば意味がないわけで、やや多めに請求して争う構図を作るのが通常。
原告の主張に対して被告が反論する…という構図があって初めて争点になるわけですが、争点にしないと真相究明できないのよ。
双方の主張を証拠をもって争わせて、裁判所が判断して初めて真相究明になる。

 

実際のところ、被告側も被害者に過失があるみたいな主張をしていたとは読み取れませんが、飯塚受刑者の不誠実な対応等が慰謝料増額理由になるかどうかを争点にしていたようです。
(そもそも、赤信号の車と青信号の自転車の関係なので、被害者に過失があったと主張したところで認められる可能性がない)

判決は、飯塚受刑者が「ひとまずの道義的な謝罪すらしないまま、刑事事件で相応の証拠が出そろった後も過失を認めず、不合理な弁解を続けた」と指摘。「刑事手続きで防御権が保障されていることを踏まえても、遺族の心情を逆なでする行為で、被害者側が受け入れるに足るだけの真摯(しんし)な謝罪がされていないことは、慰謝料算定の重要な事情だ」と述べた。

 

池袋暴走事故、運転の受刑者側に1億4千万円の賠償命令 東京地裁:朝日新聞デジタル
東京・池袋で2019年に起きた乗用車の暴走事故で、妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族が、車を運転していた飯塚幸三受刑者(92)=禁錮5年の実刑判決が確定=と保険会社に計約1億7千万円の損害賠償…

飯塚受刑者側は賠償責任を争わず、事故の凄惨さや過失の重大さなどが、慰謝料の算定でどの程度考慮されるかが争点だった。平山馨裁判長は当時の運転について「アクセルを踏み続けており、注意義務違反の程度は重大。一方的で重大な過失があった」とした。

 

池袋暴走事故、飯塚幸三元院長側に1.4億円賠償命令 東京地裁 - 日本経済新聞
2019年の東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族9人が、車を運転していた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者(92)=禁錮5年の実刑確定=らに計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27...

「賠償責任は争わず」なので被害者に過失があるみたいな主張をしていたわけではないでしょう。
遺失利益の他に慰謝料があるわけですが、不誠実な対応や運転が重過失として慰謝料増額理由になるかどうかを争点にしていたと読み取れます。

 

他の報道では、飯塚受刑者が抱えていた持病が運転を控えるべき理由だったか?みたいなのも見ましたが、仮にですよ。
あくまでも仮定の話になりますが、原告側が「被告の持病は運転すべきではない状況だったと見るべきで、運転したことが重過失だ」と主張したら、被告はかかりつけ医師の見解などを提出して反論しようとするでしょう。
そこに「真相究明」の機会があるわけですが、被告側が「認諾します」とか「その通りだ」と反論を放棄したら真相究明にはならない。

 

金銭目的で提訴したわけがないじゃんね。
真実を明らかにするために提訴し、真実を明らかにするためには金銭を争うしかない。
目的が真相究明にあり、目的を達成するための手段が金銭になるしかないのよ。

 

提訴した理由を理解してないと、おかしな発想に至るのだろうか。

 

認諾させないような請求にして争う構図を作り、真相究明するのは珍しいことではないと思う。
真相究明したいのに相場通りの請求をしたら、「認諾します」で裁判が終了してしまい意味がない。
この事故については被害者に何ら過失がないのは明らかだし。

不思議です

保険屋が支払う賠償なのに謎の殺害予告をするアホとか、「カネ目当て」などと間違った見方をする人がいることに驚きますが、他にも「請求の8掛けが相場だ」とか意味不明な話をする人もいたりする。

 

それは刑事訴訟の求刑と判決の話であって、民事損害賠償請求の話ではない。

 

真実を明らかにするためには表面上は金銭を争うしかないわけですが、意味を理解してないと間違った見方になるのだろうか。

 

金額の大小ではなく、真実の解明をするには金額の大小を争うしかないというだけですが、逆にいえば飯塚受刑者が刑事訴訟にて被害者遺族が納得する対応をしていたら、民事訴訟ではなく示談で解決したのかもしれません。

 

金額の大小が報じられてそこに注目が集まるのはわからなくもないけど、金額の大小が目的ではないのよ。
そして国が「認諾」して終結させた例の事件…あれもいかがなものかと思う。
あの事件の原告にしても、目的は真相解明なはずなのに「認諾」という手段で機会を奪ったわけだから。


コメント

  1. ゆき より:

    通常、民事訴訟は金銭を目的とするが、手段(真相解明)が目的になってるケースって理解であってますかね。

    金銭を決めるために、色々調べて争うけど、調べることが目的なので、金銭は実はオマケで、極論どうでも良いと。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      そういうことですね。

      結局のところ、被害者遺族は真相究明したいし、仮に加害者の持病が「運転すべきではない状況だった」と判決文に書かれたら、社会的にも一定の意味を持ちます。
      判決文は一定の公共性がありますし。

      お金を求めて提訴したというのは単に表面上の問題で、実態は真相究明にある場合ってまあまああると思いますよ。
      森友事件の「認諾」にしても、原告は真相究明するために提訴して争点にしたかったのに、国が「認諾」という技を使い争点化させずに金で解決したわけです。
      今回の訴訟についても、報道等を見る限りは金銭が主の目的ではないでしょう。

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