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本当に「道路使用許可」が必要か?

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ちょっと前に起きた事故ですが、ブルベ参加者だったそうですね。
ご冥福をお祈りします。

 

ところで、ある記事に質問を頂いてちょっと思ったこと。

管理人
管理人
ブルベは道路使用許可(交通法77条1項4号)が必要か?

これについて判例を交えながら解説してみます。

先に書いておきますが、事故の発生と道路使用許可の問題は「別」なので、単なる道路使用許可にまつわる法解釈の話。
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道路使用許可(77条1項4号)


道路使用許可にはいくつか種類がありますが、ここでは4号許可と呼ばれる77条1項4号を挙げます。

(道路の使用の許可)
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

4号に当てはまる場合には、「警察署長の許可を得なければならない」とあります。
刑罰規定なので無許可開催をしたら犯罪です。

 

そしてこれについて、「公安委員会が…定めたもの」として東京都道路交通規則18条に定めがある。

(道路使用の許可)
第18条 法第77条第1項第4号の規定による警察署長の許可を受けなければならない行為は、次に掲げるとおりとする。
(1) 道路において、祭礼行事、記念行事、式典、競技会、仮装行列、パレード、街頭行進その他これらに類する催し物をすること。

ブルベは「競技会」というのも何か違う気がしますが、「その他これらに類する催し物」でしょうか。

 

そのほか規則18条にはこのような定めもあります。

(4) 道路において、ロケーション、撮影会その他これらに類する行為をすること。

ところで、YouTuberが公道上で撮影をすることは「ロケーション」に該当しますが、一般に道路使用許可が必要とはされていません。
なぜかというと、あくまでも規則18条各号は法77条1項4号によるものなので、以下を満たした場合のみが道路使用許可の対象だからです。

四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

祭礼行事やロケーションというのは、あくまでも「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」の例示。
つまり祭礼行事やロケーション「等」であっても、その行為が「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」ではなければ道路使用許可を得る必要はないというのが法律解釈です。

 

「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」の例としては、たとえば、仮装行列、舞踏行進、パレード、マラソンその他競技会のランニング等が、この範疇に入るだろう。しかし、それはあくまでも一般交通に著しく影響を及ぼす程度のものであることを必要とする。

木宮髙彦、岩井重一、「詳解道路交通法」、有斐閣ブックス、1977

YouTuberが公道でロケをするのに道路使用許可が必ずしも要らない理由は、ロケなら必ず道路使用許可を取れという規定ではなく、ロケのうち「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」である場合に許可を取れという規定だからです。

 

ブルベだから必ず道路使用許可が必要になるわけではなくて、そのブルベが「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」と呼べるなら道路使用許可が必要となります。

 

その判断基準が必ずしも確立されてないからややこしいという話でもあるのですが。
ここを勘違いする人が多いけど、あくまでもそのブルベがどのようなものかによって道路使用許可が必要なのか、不要なのかが変わります。
許可が必要か不要かについては、まずは警察が判断することになります。

 

ではみんな大好き「判例」を。

道路使用許可についての判例

判例は東京高裁 昭和41年2月28日。
道路交通法違反(77条1項4号)事件です。

道路交通法(以下単に法という)第77条第1項第4号により公安委員会が定めることを委任されている行為の範囲は、法自体において明示するところの、一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為であることを前提とするものであることは、法文上疑をいれる余地がないばかりでなく、道路使用の許可に関し規定した旧道路交通取締法第26条が「左の各号の一に該当する者は命令の定めるところにより警察署長の許可を受けなければならない」としその第4号において「道路において公安委員会の定める行為をしようとする者」と規定して右法条に基づき公安委員会が定めることのできる行為の範囲を法自体で何ら限定していなかつたのに対しこれを現行法のように改正するにいたつた立法の沿革に徴しても明らかであるから、法第77条第1項第4号の規定により公安委員会が定めた行為であつても、一般にそれが法にいわゆる一般交通に著しい影響を及ぼすような行為に該当すると解することができなければ、法定の要許可行為とならないことはいうまでもない。そして、ここに一般交通に著しい影響を及ぼすような行為とは、検察官所論のとおり、必ずしも現に一般交通に著しい影響を及ぼす行為に限るものではなく、一般交通に著しい影響を及ぼすことが通常予測し得られる行為、換言すればその意味で一般交通に著しい影響を及ぼすおそれのある行為であれば足りると解すべきことは、法第77条第2項第1号第2号の規定の存することからしてもうかがわれるところであるけれども、その「一般交通に著しい影響を及ぼす」ということが意味する一般交通に与える支障の程度については、法が例示する「祭礼行事」や「ロケーシヨン」の概念から一般に連想されるところの内容にかんがみ、又法第76条において道路において禁止行為として掲げるものの多くが、道路においてそのようなことをする行為自体において不当視されるものか若しくは社会的に無用行為と見られるもの等であるのに反し、法第77条の定める道路の使用に関する要許可行為の中には、その道路における行為自体が公益上若しくは社会の慣習上有意義であると考えられるものあるいは個人の表現の自由、生活上の権利に関するもの等も含まれるので、これと道路における危険の防止ないし交通の安全と円滑を図る必要とを調和させその妥当な限界を画するため、とくに「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」でなければならないという条件が置かれたものと考えるときは、それ(前述の「一般交通に著しい影響を及ぼす」ということが意味する一般交通に与える支障の程度)は相当高度のものを指すと解さなければならないところで、法第77条第1項第4号の規定に基づき制定された東京都道路交通規則(以下単に規則という)第14条がその第8号に掲げるところの「交通のひんぱんな道路において、……物を……交付すること。」の場合について考えるに、検察官は「交通ひんぱんな道路において物を交付する行為は、抽象的に一般交通に著しい影響を及ぼす行為であるとともに、法が公安委員会に要許可事項として規制することを委任した範囲内の行為である」と主張するけれども、原判決のいうように、単なる「物を交付すること」という概念は甚だ広汎かつ包括的であつて、たとえそれが社会通念上いわゆる「交通のひんぱんな道路において」なされるという場合であつても、その交付の規模、態様等を度外視してそれ自体から一般的に一般交通に対する影響の程度を判然と考えることは困難であるから、祭礼行事やロケーシヨンの場合等と異り、規則に定めた前掲行為から一概に、それが前述の意味での一般交通に著しい影響を及ぼすことが通常予測し得られるもの、換言すれば法にいわゆる一般交通に著しい影響を及ぼすような行為であるとは即断し難いのであつて、原判示の通り、それが多数集団によつてなされる等の事例においてあるいは一般交通に著しい影響を及ぼすことがあるとみられる場合が考えられるとしても、当該交通状況のほかその規模、態様等方法のいかんを問うことなく、すべて一般交通に著しい影響を及ぼすおそれがあるということはできない。しかし、それだからといつて、規則の定めた前掲規定をもつて直ちに法の委任の範囲を超えた無効のものであると断じ去るのは必ずしも妥当ではなく、法の委任の趣旨に照らし法第77条第1項第4号の規定との関連において考えると、むしろ、原判決のいうように、公安委員会は「一般交通に著しい影響を及ぼすような方法により」物を交付する場合に限る趣旨において前掲規定を設けたものと解すべきであるとするのは決して不当ではない。

(中略)

同所における当時の交通状況に照らして考えると、被告人らの本件印刷物の交付が、一般交通にある程度の影響を及ぼしたことはこれを否定できないにしても、前述の意味での一般交通に著しい影響を及ぼすおそれがあつたとは認め難く

東京高裁 昭和41年2月28日

この判例は有楽町駅前でビラ配りをした行為が77条1項4号の違反として検挙され起訴されたものですが、一審、二審ともに無罪。

 

まず先ほど書いたように、法に列挙された祭礼行事やロケーション等であっても、「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」であることが条件なのは条文から明らかですよね。

第77条第1項第4号により公安委員会が定めることを委任されている行為の範囲は、法自体において明示するところの、一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為であることを前提とするものである

なので77条1項4号から委任された公安委員会規則に例示された行為でも、その行為が「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為に該当」しなければ使用許可を要しない。

法第77条第1項第4号の規定により公安委員会が定めた行為であつても、一般にそれが法にいわゆる一般交通に著しい影響を及ぼすような行為に該当すると解することができなければ、法定の要許可行為とならないことはいうまでもない

そして解釈がこちら。

法第77条の定める道路の使用に関する要許可行為の中には、その道路における行為自体が公益上若しくは社会の慣習上有意義であると考えられるものあるいは個人の表現の自由、生活上の権利に関するもの等も含まれるので、これと道路における危険の防止ないし交通の安全と円滑を図る必要とを調和させその妥当な限界を画するため、とくに「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」でなければならないという条件が置かれたものと考えるときは、それ(前述の「一般交通に著しい影響を及ぼす」ということが意味する一般交通に与える支障の程度)は相当高度のものを指すと解さなければならない

一般交通に「著しい影響」を及ぼすということの意味は一般交通に与える支障の程度が「相当高度なもの」を指すのだとしている。

 

ブルベって数十人?とかの参加者がある程度バラけて、数人程度で固まって走るようなイメージなのですが、それを「一般交通に与える支障の程度が相当高度」と解釈するのはかなり疑問にしか思えないし、どの程度なら許可が必要・不要なのかは社会通念と実態から判断するしかないと思う。

 

ブルベが例えば50人くらい集団で走るというなら別ですが、実態としてはある程度バラけて走ることになるはずで、参加者総数がどうなのか?という問題だけでなく実態として一般交通に与える支障の程度が「相当高度なもの」に該当するかで判断されるものなんじゃないかと思うのですが、判例からするとほとんどのブルベは要許可行為に該当しないでしょう
規模と実態によるとは思いますが、判例からみると必ずしも要許可行為とは思えないので…

 

催し物であっでも、それが「一般交通に与える支障の程度が相当高度なもの」に該当する場合には警察署長の許可を必要とし、催し物であっでも「一般交通に与える支障の程度が相当高度なもの」に該当しない場合にはそもそも要許可行為に該当しないというのが法律解釈。

 

当たり前ですが、だからといって好き勝手に走っていいということではない
単に77条1項4号の解釈「だけ」の話。

 

もちろん、一般交通に与える支障の程度が「相当高度なもの」に該当しないようにする工夫は必要になるでしょう。
3人くらいの集団で走ることが該当しないのは言うまでもないけど、20人くらいの集団で走るとなるとビミョーになる。
バラけて走る分には4号許可の法的必要性はないと思いますが、道路の状況や交通量などにも左右されそう。

 

これを書いておこうと思ったのは、どうも道路使用許可の要許可行為の条件が誇大・拡大に捉えられているように感じたからです。
警察さんの立場も考える必要はあるけど。
あと、拡大解釈するとサークル15人程度で走りに行くことに道路使用許可が必要だとなりそうですが、オートバイでもサークルでそれなりの数を募って走りに行きますよね?
普通の感覚で、道路使用許可の対象とは考えません。

 

あと、「要許可行為か?」と「許可行為について許可された・許可されなかった」は別問題。

共同不法行為責任

ちなみにこちらの記事を見た読者様からご連絡を頂いたのですが、

サイクルイベント主催者も賠償責任を負う。
ずいぶん昔の話になりますが、サイクルイベント(ファンライド形式)で参加していた自転車と、イベント外の歩行者が衝突した死亡事故がありました。 ツールドしまなみ2003ですね。 これ、イベント主催者にも賠償責任が発生しています。 なぜイベント主...

道路使用許可の必要性と、事故が起きた場合の共同不法行為責任の問題は別です。
この記事で取り上げた判例はツールドしまなみの参加者が起こした事故について、参加者(加害者)と主催者が連帯して賠償せよとしたもの。

 

この判例では加害者のみならず主催者の共同不法行為責任が認められていますが、ポイントとしては二点。

 

①被害者は犬の散歩中に横断歩道以外の場所を横断したことにより事故に遭っている。
このサイクルイベントは前年まで護送船団方式だったがセンチュリーラン方式に変更されている。
レースではないものの自転車の速度が上がることは予見可能で、さらに生活道路をイベントで使う以上はイベント参加自転車と近隣住民の使用競合が起こることから、近隣住民に向けた周知広報活動を怠ったと判断された。

トラブル発生は予見可能な状態にも関わらず、近隣住民などへの周知活動を怠った。

 

②勾配8%の下り坂から徐々に平坦になる場所に横断歩道があり、一般歩行者とイベント参加自転車が交錯しやすい地点にも関わらずコース監視員を配置しなかったこと。
自転車は車と違って無音に近い状態であり、スポーツサイクルは前傾姿勢になりがちなことを考えると監視員を配置すべきポイントだと判断された。

前年まで100人越のスタッフだったにも関わらず、当該イベントではスタッフ数が26人だったとの記録も書いてあります。

この二点から、イベント主催者は共同不法行為責任を負うとの判断です。
なお、原告側は「警察による交通規制をすべきだった」とも主張していますが、上の①、②を果たせば事故は回避できたものとして、交通規制の必要性は認めませんでした。

 

これをそのままブルベにも適用…というのはちょっとイメージがラフ過ぎて個別に判断するしかない問題。

 

ちなみにこのような判例があります。
ボランティアでサイクリング会を開催していたときに、参加者が事故で死亡。
引率していたリーダーに過失責任が認められるか?という話です。

 控訴人らは、リーダーのBは前記のような状況のもとにおいて進行して来るバスとの接触の危険を回避するため自ら停止するとともに後続するCを含むサイクリング・グループを停止させる措置をとるべきであつたにもかかわらず、この措置をとらなかつた点にBの過失がある旨主張する。たしかにBがバスの方で停止してくれることを期待せず、自ら停止し後続の全員に停止の合図をしていたならば、Cは停止してバスを離合させ、本件事故は発生していなかつたであろうと推測される。しかし、Cは事故当時12歳の男子中学生であつて、被控訴人青年会のサイクリング活動に小学生時代から参加し、既にサイクリングツアー12回、総距離438キロの経験者であつたから、事故現場の道路幅4.2mないし4.3m、自分の乗つていた自転車の幅0.46m、水たまりとバス車体側端との距離0.8m、進行して来るバスの速度時速約10キロという条件下において、バスと離合しようとするに際して、内部がどのような状態になつているか不明の水たまりを避けて水たまりとバスとの間の舗装道路を通過するか、ハスの速度を勘案しながら自転車の速度を調節して水たまりのところでバスと離合しないように走行するか、それとも自転車を停止させてバスをやり過すかについて、自主的に判断したうえ自己の判断に従い適確に行動することができる能力を有していたものと通常考えられるから、右のような状況下においては、サイクリング・リーダーとしては全員に停車を命じ降車させてバスをやり過すという保護指導態勢までとる必要はなく、「前にバス」と大声で注意しあとは各人の判断に従つた自主的行動に委ねれば足りたものと解すべきであり、Bが控訴人ら主張の措置をとらなかつた点に過失を認めることはできない。

大阪高裁 昭和55年7月25日

不法行為責任が認められるかについては個別に検討するもの。
ちなみに「費用を受け取っているから責任が発生」みたいな論調も見かけますが、費用が発生しないイベントでも不法行為責任はあり得ます。
ただし、法は不可能を求めているわけでもない。

 

ブルベに道路使用許可が必要なのか?については、判例からするとほとんどの場合は不要なんじゃないかと思うし、それこそバラけて走るなら使用許可が必要になる「一般交通に与える支障の程度が相当高度なもの」とは言えないと思われるので、工夫すれば解決する。

 

事故が起きた場合の共同不法行為責任については、個別に考えるしかありませんが、そもそもは加害者(参加者)が全額支払えるだけの保険に入っていれば共同不法行為責任を持ち出す必要もない。
共同不法行為責任は不真正連帯債務なので、加害者が全額払おうと、主催者が全額払おうと自由です。
以前「使用者責任」の判例を挙げたことがありますが、なぜ加害者のみならず雇用主(使用者)も巻き込んで提訴する必要があるかというと、

従業員が「通勤中」に起こした自転車事故で、会社は賠償責任を負うか?
「通勤中」に起こした自転車事故について、やや珍しい判例があります。 今回はそんな話。 会社に損害賠償? 事故加害者、被害者ともに自転車です。 加害者は通勤中。 見通しが良くない交差点での事故ですが、被害者は加害者本人と、加害者を雇用している...

ほとんどの場合、加害者本人が保険に入っていないなどの理由から加害者に請求しても回収の見込みが薄いからでしょう。
加害者本人が十分な賠償ができるならわざわざ使用者責任や共同不法行為責任を持ち出す必要もないわけで。

 

もちろん、事故を起こさないように努力することが大事なのは言うまでもなく。

 

結局、ブルベ参加者と主催者が工夫しながらやれば問題にはならないと思うのですが、逆にいえばやりたい放題の無法者が参加すればおかしな方向に向かうリスクはあるでしょうね。

 

道路は共有財産なので、他者に配慮しながら使うことは当然ですが、なんか不必要に範囲を狭めて制約しようとするのも違和感。

 

ちょっと前になりますが、ブルベ参加者が集団で「二段階右折しなかった」みたいに炎上していた事例がありましたよね。

これ、ちょっとややこしいけど判例からすると必ずしも二段階右折義務があるとも解釈し難い。
理由は下記に書いてますが、左折進行禁止のT字路を右折することを事実上の直進と捉えうるからです。

左折禁止のT字路、二段階右折義務が本当にあるかは疑問が残る話。
ちょっと前になりますが、左折禁止のT字路で二段階右折しなかった件がありますよね。 ちょっと気になって調べていたのですが、判例上は本当に二段階右折義務があるか、ビミョーになってきました。 その理由を説明します。 本当に二段階右折義務があるか?...

そのような観点から合図履行義務違反が成立しないとした判例があるので、少なくともこの交差点で二段階右折しなかったことを非難する気にもなれませんが、こういうのも調べてみるとなかなか興味深いですよね。
道路使用許可にしても、判例上はブルベに使用許可が必要なのかはかなり疑問だし、仮にグレーだとしても工夫すれば解決するはず。
なんか怪しい法律解釈が飛び交っているようなので、判例を元に解説しておきました。

 

けどそもそも、事故の発生がたまたまブルベであっただけで、ブルベだから起きた事故には思えないですけどね。
そしてブルベだろうとなかろうと、安全に走行することも変わらない。

 

なお、記事の中身と最近あった事故は全く関係ありません。
ご冥福をお祈りします。
事故の正確な原因がわからないのでコメントしようがないけど、様々な情報からすると車間距離を開けることや、体調管理はしっかりしようみたいな一般論にしかなりませんが、それってブルベだけに言える話じゃないのよね。

 

友達と走るときでも、ソロで走るときでも変わらない。
結局、安全に走るということを主眼にすべきでしかないよね。


コメント

  1. マイケル より:

    判例ありがとうございます。判例からするとブルベの場合に道路使用許可が必要とは言えないですね。この記事をxで引用してもよろしいですか?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      おそらく「ブルベに道路使用許可が必要」という人は、そもそも77条1項4号の解釈を間違っていて、催し物であれば許可が必要と考えているのではないかと思いますが、そのような解釈ではないんですよね。
      引用はお好きにどうぞ。

  2. 愛好家 より:

    コメント失礼します。

    サイクルショップマティーノが管理人さんを叩いてますが、ちゃんと読めば管理人さんの真意がわかりそうなものですけど…ブルベがグレーとかブラックと言われて叩かれてますけど、何ら問題ないことがわかりスッキリしました。

    https://twitter.com/asamako_1977/status/1770774117207200098

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