PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

左折禁止のT字路交差点と、自転車の二段階右折の話。

blog
スポンサーリンク

以前こちらの記事で、「左折禁止のT字路交差点においては二段階右折義務がない」という話を判例を挙げて解説しました。

左折禁止のT字路、二段階右折義務が本当にあるかは疑問が残る話。
ちょっと前になりますが、左折禁止のT字路で二段階右折しなかった件がありますよね。 ちょっと気になって調べていたのですが、判例上は本当に二段階右折義務があるか、ビミョーになってきました。 その理由を説明します。 本当に二段階右折義務があるか?...

より正確にいえば「二段階右折義務がない可能性が高い」程度の話ですが。

 

これの件ですね。

質問を頂いたので解説します。

あくまでも「左折禁止」の「T字路」の話なので、右左折可能なT字路交差点には当てはまりません。
スポンサーリンク

「左折禁止」のT字路交差点の二段階右折

「二段階右折義務がない」とした根拠は、仙台簡裁判決の趣旨です。
この判例は「合図履行義務違反」(道路交通法53条1項)に問われた被告人の話ですが、右折できないT字路交差点において左折東進する際に左折合図を出さなかったことから検挙されたもの

 

つまり、被告人からすれば左折方向以外に進行できないのに、左折合図を出す義務を負っていたかが争点です。

前記曲角を左折東進する以外に、自動車の進行し得べき道路はないのであるから、その道路に沿い前進する場合、自動車運転者としては、上記の如き見とおしのきかない曲角においては、徐行又は警音器吹鳴等の方法により衝突の危険を回避すれば足り、特に左折の合図までする要はないものと思われる。何となれば、法の合図を命ずる趣旨は、例えば、一直線の道路でも、横断するとか、転回又は進路を変えるような場合は格別、そのまま前進する場合には、特に合図の要はなく、丁字路とか十字路又はY字路等の道路を進行する自動車がいずれの方向に進行するのか、後続の自動車又は前方から進行してくる自動車或いは通行人等に自車の進行方向を示し、衝突等の危険を未然に防止せんとする趣旨に外ならないのであるから、前記の如く、事実上丁字路の一方が通行止になっていて、自車がそのまま道路に従って前進するような場合、進行道路が屈曲していたからといって、殊更、左折の合図をする要はないものと解するのが相当である。

 

仙台簡裁 昭和38年2月13日

この判例では左折しかできないT字路について、事実上の曲がり角と捉えて左折合図をする必要はないと解釈している。

 

で。
冒頭の件について質問を頂いたのは、こちら。

読者様
読者様
仮に仙台簡裁判決の趣旨通りに「曲がり角」と判断され二段階右折義務がないとなっても、右折先の信号を無視したことになるのでは?

この信号を無視したことになるのでは?という質問ですが、

仮に信号無視になるとしたら、クルマやオートバイ含め全車両が信号無視扱いになってしまうので、信号無視扱いにはできません。
要は仙台簡裁判決の趣旨って、右折禁止のT字路交差点を左折東進したことを「直進」と捉えたわけです。
直進が曲がり角になっているから分かりにくいけど、「全車両が左方向にしか進行できないT字路」の左方向に進行することを直進と捉えたから、合図履行義務がないとしている。

 

だからこういう判断になる。

事実上丁字路の一方が通行止になっていて、自車がそのまま道路に従って前進するような場合進行道路が屈曲していたからといって、殊更、左折の合図をする要はないものと解するのが相当

仙台簡裁 昭和38年2月13日

つまり、左折禁止のT字路を右方向に行くことを「交差点を右折」ではなく「交差点を直進」と捉えることができます。

右方向にある信号は、あくまでも左方道路から交差点に進入する車両を規制するだけなので、信号無視にもなりません。

ただし

警察さんが判例を研究して熟知している…とは限らないので、いちゃもん避けのために二段階右折したほうがいいのかもしれませんね。
残念ながら、ワケわからん謎法律を創作して非難されることも十分予見可能なので…

 

あくまでも「左折禁止のT字路」の話なので、右左折可能なT字路や十字路では当てはまりません。
二段階右折したとして違反になるわけでもないし、二段階右折せずに進行したとして違反とも言えないと思うけど、

難しいなと思うのは、ほとんどの人が「二段階右折義務がある」と思い込んでいる以上、それに反するプレイをすれば叩かれる可能性があるということ。
たぶん、仙台簡裁判決なんて知らない人が大多数と思うけど、この判例は東京地方検察庁交通部「最新道路交通法事典」(東京法令出版、1974)や「実務道路交通法新版」(久保哲男、立花書房、1986)など著名な解説書に掲載されてますので気になる方はそちらをどうぞ。

 

違反だ!と騒ぐのもいいんだけど、左折禁止のT字路で本当に二段階右折義務があるの?と疑問が出るはず。
調べてみると、そもそも「右折」ではなく「右方向に直進」と捉えるほうが妥当なんだろうなと。
直進するのに「二段階直進」なんてないですし。


コメント

タイトルとURLをコピーしました