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「横断歩道」で歩行者とオートバイが衝突し、「オートバイ運転者」が死亡…

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これをどう見るか。

神奈川県警によりますと23日午後8時頃、相模原市中央区淵野辺の片側1車線の市道で、信号機のない横断歩道を歩いていた46歳の男性と直進してきたバイクが衝突する事故がありました。
バイクは歩行者の男性と衝突後、約30メートル離れた街路樹に衝突し停止したということです。

この事故でバイクを運転していた31歳の男性が全身を強く打ち意識がない状態で病院に搬送されましたが、約3時間後に死亡が確認されました。

また、歩行者の男性も骨盤を折るなどの大ケガをしました。

バイクと歩行者が衝突 バイク運転の男性(31)が死亡 相模原市中央区(tvkニュース(テレビ神奈川)) - Yahoo!ニュース
23日夜、相模原市中央区の市道でバイクと歩行者が衝突する事故があり、バイクを運転していた31歳の男性が死亡しました。 神奈川県警によりますと23日午後8時頃、相模原市中央区淵野辺の片側1車線の市道

事故現場と思われる横断歩道がこちら。

 

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これって要は、オートバイ運転者が道路交通法38条1項を遵守せずに横断歩道を横断する歩行者に衝突した事故なので、道路交通法上はオートバイ運転者の一方的な問題になります。
必ずしも横断歩道左右の見通しがいいわけじゃないので、減速接近義務を怠り横断歩道に接近した結果、横断歩行者に気がつくのが遅れて…というのがありがちなパターン。

 

「衝突後、約30メートル離れた街路樹に衝突し停止」という点を考えても、減速接近義務違反が疑われる。

 

民事の過失割合め、「基本」過失割合は車両が100%になります。
ただし民事の場合、「夜間」は歩行者に過失を増やす修正要素になるため、5~10%程度歩行者に過失がつく可能性も。
仮に「5%」とすると、歩行者は自身が負った損害のうち95%分を受けとりますが、一方ではオートバイ運転者が負った損害の5%を歩行者が支払うことになりましてね…
もちろん、オートバイ運転者が自ら加入していた保険でカバーされる分を差し引くので、オートバイ運転者がどのような保険に入っていたかにもよりますが、歩行者が大怪我、オートバイが死亡という結果なわけで…

 

で。
結局のところこの事故は、お亡くなりになったオートバイ運転者がきちんと38条を守り、横断歩行者優先をしていれば起きなかった事故となる。
見通しが不良だったなら、それに応じて減速ないし徐行していれば、万が一最後の最後で歩行者を見落として衝突したとしても大きく吹っ飛ぶ事態にならなかったと思われるので、減速接近義務が大事としか言いようがないよね。

 

ところで民事判例では、このような説示があるものがあります。

本件事故当時降雨中であつたため、控訴人は右手で雨傘を差し左手で手提かばんを持つて(または抱えて)歩行し、信号機の設置されていない本件事故のあつた横断歩道の手前で、横断のため左右を見たところ、南方から被控訴人車が北進しているのに気づいたが、かなりの距離があつたので歩道(一段高い)端附近に横断歩道に向つて立ち止まり、右のように右手に傘を持ち左手にかばんをかかえながらライターを取り出して煙草に火をつけた後、左右の交通の安全を確認しなくても安全に横断できるものと考えその確認をしないまま、横断歩道上を横断し始め、約1.3m歩いたとき被控訴人車左前方フエンダー附近に控訴人の腰部を接触し、本件事故を起した

 

以上のとおり認められる。もつとも、乙第12号証(控訴人の供述調書)には、横断前に一度左右を見たことについて述べていないが、原審控訴人本人尋問の結果では事故のシヨツクで思い出せなかつたと述べており、これと対比すると右認定を妨げるものではなく、他に右認定を左右する証拠がない。

 

横断歩道であつても信号機の設備のない場合歩行者は左右の交通の安全を確認して横断すべき注意義務(事故を回避するための)があることは多言を要しない。右事実によると、控訴人は一旦横断歩道の手前で左右を見て被控訴人車がやや離れた南方から北進中であり直ちに横断すれば安全に横断できた状態であり、その時点では控訴人は右注意義務を果したといえないわけではない。しかし、控訴人はその直後に歩道端に横断歩道に向つて立ち止まり、右手に傘を持ち、左手でかばんをかかえながらライターを取り出して、煙草に火をつけたというのであるから、通常の場合よりも若干手間取つたことが考えられ、その時間的経過により、被控訴人車がさらに近づきもはや安全には横断できない状態になつていたことが十分に予測できたものといえるから、控訴人が横断し始めるときには、すでに、歩道に立ち止まる以前にした左右の交通の安全の確認では不十分で、さらにもう一度左右の交通の安全を確認した後に横断を始めるべき注意義務があつたものというべきである。しかるに、控訴人は歩道に立ち止まる前にした左右の交通の安全の確認だけで安全に横断できるものと軽信し、あらためて左右の交通の安全を確認しないまま横断し始めた過失があり、それが本件事故の一因となつているものといわざるをえない。本件事故についての控訴人、被控訴人双方の過失の態様、程度を比較し検討すると、控訴人の過失割合は10%とみるのが相当で、これを損害額算定につき考慮すべきものである。

 

広島高裁 昭和60年2月26日

この判例をどう見るかですが、「横断歩道上を横断し始め、約1.3m歩いたときに衝突」なので、歩行者が横断を開始した時点では既に車両が横断歩道の間近にいたわけ。
つまり歩行者の僅かな注意で事故を回避できたことになり、民事責任上は歩行者にも過失が付きます。
歩行者が高度に注意して回避せよ、という意味ではなく、あくまでも車両側の責任がほとんどである点を勘違いしないほうがいいかと。

 

二輪車の場合、歩行者と衝突してどっちが死ぬかわかりませんしね。
自己防衛としてもきっちり減速してないと、歩行者も二輪車も重大な結果になりますが…

 

コメント

  1. 元MTB乗り より:

    ブレーキかけるのを待ってるのを、譲ってると勘違いする車が多いのを、何とかして欲しいですね。直前横断はしませんが、路肩まで踏み出したのを見て、ようやく停止しますし(ブレーキがないと遅過ぎるので横断歩道の直前まで近付くことになる)。渡れるだろうと考えてるのかわかりませんが、減速せずに横断歩道に接近する車の前には出たくないのが普通の感覚ではと思いますね。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      個人的には、横断歩道は踏切と同様に強制一時停止にしてみてもいいのかなと思ってますが、その方が揉めないのかもしれません。

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