見通しが悪い交差点は双方ともに要注意なのですが…
事故があったのは高知市春野町弘岡下の市道の交差点です。高知南警察署によりますと、23日午後4時ごろ、交差点を東に進んでいた自転車と北に進んでいた乗用車が出合い頭に衝突しました。
(リポート 京面龍太郎)
「下校の時間帯に発生した事故、当時は、同じように雨が降っていたとみられています。自転車の高校生は、道路をこの方向(東)に進んでいて、建物が影になった右側からきた車とぶつかったということです」この事故で、自転車を運転していた高知市の男子高校生が頭を強く打ち、意識不明の重体となっています。ヘルメットは着用していなかったということです。
通報したのは、乗用車を運転していた香南市の30代の女性で、けがはないということです。現場は、県立高知若草特別支援学校近くの信号機のない交差点で、カーブミラーはあるものの車の一時停止の標識はなく、見通しが悪くなっています。
見通しの悪い交差点で…自転車の高校生 車にはねられ意識不明の重体(高知市)(テレビ高知) - Yahoo!ニュース23日夕方、高知市春野町で自転車に乗っていた高校生が車にはねられ、意識不明の重体となっています。事故があったのは高知市春野町弘岡下の市道の交差点です。高知南警察署によりますと、23日午後4時ごろ
事故現場と思わしき場所はここ。
自転車の進行道路。
クルマの進行道路。
この場合、「左右の見とおしがきかない交差点」になるので双方ともに徐行義務があります(42条1号)。
「左右の見とおしがきかない交差点」は、左右どちらかだけの見通しが悪いだけでも徐行義務があります。
同幅員、優先道路無しなので最終的には東進自転車と北進車の関係で左方優先(自転車が優先権あり)になりますが、左方優先は双方ともに徐行義務を果たした上での話なので、注意すべきは徐行。
これたまに「クルマが注意していれば防げただろ!」みたいな意見も聞くのですが、それこそクルマが時速5キロまで落として最徐行していたのに原付が突っ込んできた事故(大阪高裁 昭和59年7月27日)もあるので、双方ともに注意しないといけない場面。
ところで「ヘルメット」は大事なんですが、要はこの手の事故は双方ともに徐行して交差点に進入していたなら起こらないタイプ。
事故を防ぎたいのか、事故が起きる前提でのヘルメットの話なのかはわかりませんが、まずは事故を防ぐ観点で考えたほうがいいと思うのですが…
なお、徐行はおおむね10キロ以下を意味します。
判例 | 実際の速度 | 徐行義務を果たしたか? |
名古屋高裁S41.12.20 | 20キロ | ✕ |
最高裁判所第二小法廷S44.7.11 | 10キロ | ○ |
大阪高裁S59.7.27 | 5キロ | ○ |
東京高裁S33.4.22 | 12、3キロ | ✕ |
どうでもいい話をしますが、メディアの記事で「時速15キロでも徐行と認めた判例がある」と紹介しているものがありますが、
これって「最高裁判所第二小法廷 平成15年1月24日(業務上過失致死傷罪)」だと思うけど、時速15キロを徐行だと認めたわけじゃないのですけどね…
業務上過失致死傷なので具体的な速度を挙げて回避可能性を検討するわけですが、検察官は①時速20キロ、②時速15キロ、③時速10キロに減速した場合の回避可能性を提示し、一審・二審は「時速10キロなら回避可能、時速15キロでも回避可能」としただけで、時速15キロを徐行と認めたわけではありません。
(ただし最高裁は時速10キロでも回避可能性に疑いが残るとして無罪)
このあたりは判例解説論文にも書いてありますが、徐行はおおむね時速10キロ以下が定説。
まあ、冒頭のような事故って双方ともに徐行していれば防げた可能性が高いわけで、とりあえず法律通りにプレイするのが大事なのよ。
どっちがどうだったのかは報道からは読み取れませんが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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