【続編3】ケイデンス90理論の崩壊。読者様よりご意見いただきました。

ケイデンス90理論の崩壊、というテーマで2つほど記事を書きました。

ケイデンス90理論の崩壊。ロードバイクで目指すべきケイデンスは一体どれくらい?

【続編2】ケイデンス90理論の崩壊。ケイデンスは低いほうが乳酸は溜まらない??

これについて、特に続編2のほうの動画についてコメントを頂きまして。



頂いたご意見

読者様
読者様
出力値が一定でないと無意味な比較だと思いますが、それについては何も触れられていませんね。

読者様
読者様
いつも有益な情報のキュレーションと発信を有難うございます。
本来はネタ元のGCN側へ問合せるべき内容ですが、該YouTube動画をご覧になったという事なので、宜しければ教えて下さい。
・結局、GCNとしては該YouTube動画では低ケイデンス(今回は60rpm)を訴求している、という理解で正しいでしょうか?
私も該YouTube動画を観ましたが、今回の記事で纏めて下さっている通り「高ケイデンス(100rpm)では発生する乳酸の量が多い」と結論付けているだけで、「だから、どうするのが望ましい」かが判らなかった次第です。
なお、先にozk様が仰っているように、私としてはGCNに対して、被験者のFTP値なども併せて開示して欲しい(そうでないと参考にすべきかが判断できない)と思っています。

まず、動画での実験ですが、以下のような拘束条件で成り立っています。

・時間   10分間
・斜度   6%
・速度   20キロ

速度が固定でケイデンスを変えているわけですので、それぞれにおいて選択しているギア比は当然違うわけです。
仮に50-15Tというギアを選択したとして、このギア比でケイデンスを変えたら速度が当然変わりますので。

で、速度と時間が条件として拘束されているわけですので、仕事量という観点で見ると、物理学的にはどのケイデンスであっても仕事量は同じです。
同じ速度、同じ時間で走ればどのケイデンスでも到達点は同じですので、トータルで見た場合の物理学的な仕事量は同じでしょう。

実は私、いわゆるパワーメーターについてはまったく興味がないこともあって詳しくないので間違っているかもしれませんが、この動画での実験というのは、あくまでも同じ速度を維持した場合において、心拍数(循環器系)と筋疲労(筋骨格系)のバランスを評価するという意味合いです。
到達点が同じであれば仕事量自体は同じですので、その中で循環器への負荷が大きいのか、筋への負荷が大きいのかを評価しているというだけだと思います。

で、一般論としてですが、ギアを軽くしてケイデンスを上げるという行為は、心拍系への負荷を強めることです。
一方、同じ速度で、ギアを重くしてケイデンスを下げるという行為は、筋肉自体への負荷を増すことだと考えられます。

つまり、同じ仕事量をこなす上で、心拍系と筋肉系の負荷のバランスが最も取れているケイデンスはどこなのか?を探っている実験ですので、パワーメーターでの出力というのは特に関係ない要素ではないでしょうか?

パワーメーターでの数値というのは、ペダルを踏む筋力を表しているものだと思います。
そこを一定にする必要性はなく、物理学的に同じ仕事量をこなす上で、心拍と筋肉の負荷のバランスを見ているという実験かと。
どっちかに偏っていればバランスが悪いでしょうから、同じ仕事量をこなす上で、どちらも低い数字が出ているのであれば、それが最も身体への負荷が少なく、それでいて同じ距離を同じ時間で進んだという証明ですよね。

ちょっと違う例で考えて見ましょう。
例えば、500段の階段があったとします。

A君は一段ずつ駆け上がっていき、

B君は1段飛ばしで駆け上がっていったとします。

両者の速度は全く同じだという条件の下で、どっちのほうが効率がいいのか?という話に近いのかなと。

到達点が同じで、速度が同じであれば、仕事量と仕事率は同じなわけです。
一段ずつ登るA君と、一段飛ばしで登るB君の速度が同じであれば、A君のほうが足を動かすのが速く、B君のほうがパワーに頼ってとも言えますよね。
これが自転車で言うところの、A君はケイデンスを上げて軽いギアを使い、B君はケイデンスを落として重いギアを使って、というのとニュアンスとしては同じかと。

そういう条件下で、どっちのほうが筋肉と心拍への負荷が少ないのか?ということではないでしょうか?
心拍と筋負荷の数値を見て、より優れているほうが身体への負担は少なかったという意味になります。
ここにパワーメーターとかが登場すると、パワーメーターは心拍の要素はわからないでしょうから、筋負荷を見ているだけの実験になってしまい、意味を成さないかと。

循環器と筋、どっちかに偏りすぎても快適とは言えないわけで。
ちなみにですが、記事の1も2も、レースでの話というよりも、ロングライドでの話になります。

これにFTPがどう関係するのかわからないのですが、なぜFTPが必要だとお考えなのでしょうか?

こういうデータをどう見るか?

まず、記事1のほうで取り上げた海外の論文ですが、

ケイデンス90理論の崩壊。ロードバイクで目指すべきケイデンスは一体どれくらい?

Pedalling at cadence greater than 90 rpm is advantageous for professional cyclists, but appears inefficient for recreational cyclists

翻訳

90以上のケイデンスはプロのサイクリストには有利ですが、レクリエーションのサイクリスト(アマチュアという意味)には効率が悪い

この実験ですが、実験の条件として、
・被験者数は9名
・ペダルを4分間回したときのデータ

となっています。

次に記事2のほうですが、

【続編2】ケイデンス90理論の崩壊。ケイデンスは低いほうが乳酸は溜まらない??

こちらは被験者数が恐らく一人なんだと思います。(もしかしたら間違っているかも)
で、実験の拘束条件は先ほども書いたように、

テスト1  ケイデンス 100rpm
テスト2  ケイデンス 90rpm(任意のケイデンス)
テスト3  ケイデンス 60rpm

これらを、以下の条件で固定して計測しているようです。
・時間   10分間
・斜度   6%
・速度   20キロ

この実験の結果がこちらです。

ケイデンス 心拍 酸素摂取量 乳酸
テスト1 100rpm 177bpm 49mkg 2.8mmol
テスト2 90rpm 172bpm 50mkg 1.6mmol
テスト3 60rpm 172bpm 50mkg 1.3mmol

有意な差として出ているのが、乳酸値ですね。
心拍や酸素摂取量については、ほとんど差が出ていません。

先ほども書いたように、同じ速度という条件であれば、ケイデンスを下げる=ギアが重くなっています。
なので筋肉への負荷が強くなり、心拍系への負荷が減ると予想しそうなものですが、実際としては乳酸値が最も低いのが、ギアが重い状態=ケイデンスが低い状態となっているわけです。

乳酸値が高い、低いというのをどう評価するかにもよると思いますが、一昔前の考え方では、

乳酸は燃えカスの老廃物

みたいなイメージでした。
最近の考え方では、

生きているエネルギー源は、主として糖と脂肪が分解されてもたらされています。そして安静時や強度の低い運動時には脂肪の方が糖よりも多く使われます。糖は使いやすいのですが、量は多くはないので、多くは使わないようになっています。それが運動強度が上がってくると、糖の利用が高まります。そして糖の利用が高まると、糖を利用する途中でできる乳酸が多くできることになります。ですから糖をたくさん利用するような強度の高い運動では、乳酸が多くでき、乳酸ができるということは糖を使っていることなのです。

https://biz.arkray.co.jp/lact/hatta/

乳酸がエネルギー源ということはミトコンドリアで使われるということです。特に運動中には遅筋線維や心筋で多く使われています。一方運動中には速筋線維から乳酸ができています。そこで速筋線維で乳酸ができて、それが遅筋線維や心筋で使われています。また同じ一つの筋細胞の中でもまず糖から乳酸ができて、それがその細胞にあるミトコンドリアに入って使われるということもいわれています。このように乳酸はエネルギー源であって老廃物ではありません。

https://biz.arkray.co.jp/lact/hatta/

血中乳酸濃度はあくまでも筋肉での代謝を間接的に推定する指標として考え、唯一絶対の疲労の原因のように考えないことです

https://biz.arkray.co.jp/lact/hatta/

乳酸値が高いということは、糖をたくさん使ったということで、糖をたくさん使うということは運動強度が上がったということと見ていいと思いますので、この実験ではケイデンス100時に最も高強度だったという意味で合っているかと。

これらの実験をどう見るかですが、そのまんま鵜呑みにするのは違うと思っています
ロードバイクって普通に数時間乗るものですが、1の記事では4分間のペダリングでのテスト、2の記事(動画)では10分間です。
これが長時間になった場合にどうなるかについては示されていません。

長時間になった場合に、この結果の延長上、つまりはこの結果がそのまんま反映されたようなデータになるかもしれないし、途中で乳酸の代謝の問題などから数値がどこかで逆転する可能性も秘めている。
それはやってみないとわからないけど、この拘束条件で実験した結果はこうでしたよ、という報告に過ぎません。

なので、データ自体は、いったん【ふーん】くらいに読んでもらったほうがいいと思ってます。
このデータだけ見ていきなり鵜呑みにするだけの根拠はありません。

で、いろいろ文献なども調べているのですが、逆に【ケイデンス90が理想】だとするようなデータがあるのかというと、まだ私は発見できてもいません。
ケイデンス90という理論に科学的な根拠があるのか、それとも経験的に言われてきたというだけなのか、その辺はまだ明確にはわかっていません。

ネット上で【ケイデンス 90】と検索すると、おびただしい数のサイトがヒットします。
いろいろ見ても、90という数字自体に根拠を伴っている記事は見つかりません。
ちょうど自分がやっている裁判関係で国会図書館に行く用事があるのですが、何か面白そうなものを発見できたら探して見ますが。
(ただし、裁判資料の発掘が本来の業務なので、そっちで手一杯になるかもしれませんw)

私は元々が理系出身なのですが、ある数字を見たときに、どちらかというとその数字自体よりも、どのような拘束条件で出された数字なのかをまず見ます。
そこがわかってないと、単に数字だけ見て無意味な驚きだったり、鵜呑みにしたりして間違うからです。

4分間、10分間という短時間でのテストでは、アマチュアライダーはケイデンス90よりも低いほうが効率がいいとか、ケイデンス低いほうが乳酸が溜まりにくいという結果は出ています。
問題なのはそこから先のほうでしょう。

この問題、元々は読者様より頂いたコメントが出発点になっていますが、読者様から教えてもらった書籍もすでに入手して読んでいます。
ただし、読者様が言っていた【ジュニアナショナルコーチが行った実験】ということには一切書籍では触れていないようで、もう少し読んでからじゃないと書けなそうです。
いろいろデータは載っている書籍なのですが、イマイチそのデータの出所が不明でして。

このケイデンス論、もし面白いデータや論文などお持ちの方がいましたら、是非ご紹介いただければと思っています。

【国内正規代理店商品】GARMIN ガーミン Vector 3
Garmin
売り上げランキング: 74,459




コメント

  1. タクり より:

    「自転車競技のためのフィロソフィー」の著者、柿木さんですが、彼は現在ジュニアナショナルコーチと女子エリートコーチを兼任されています。改めて読み直しましたがそこに関して書籍内では間接的にしか触れていなかったため補足します。

  2. roadbikenavi より:

    すみません。
    長文で頂いた方へ。

    内容からするにどこかからの転載だと思うのですが、引用元が不明だと著作権上の問題が生じるため、掲載できません。
    引用元を提示願います。