今現在、フレーム素材の主流というと、間違いなくカーボンです。
次いでアルミ。
クロモリというと、今現在においてはむしろ少数派となっています。
ただ、クロモリが絶滅したということは一切ないわけで。
クロモリフレームが廃れていった理由
クロモリフレームが廃れていった理由としては、一番は【重いから】ということでしょう。
かつてはツールドフランスでも、フレーム素材の主流はクロモリでした。
時代の流れとしては、クロモリ⇒アルミ⇒カーボン、という流れです。
クロモリフレームがツールドフランスを制したのは、一番最後で1994年、インデュラインが乗っていたのが最後といわれます。
ロードバイクの重量は9キロ台だったとされているので、まあ、重いですよね。
1990年代は既にアルミの時代に突入していたわけですが、インデュラインは機材については保守的だったとされています。
ちなみにカーボンフレームがツールドフランスを制したのは1896年、LOOK(TVT)のフレームです。
LOOKはカーボンフレームの元祖のようなブランドです。
クロモリフレームというと、やはり重いというのが一番のネックだったわけで、フレーム単体の重量も2000g程度あったとされています。
クロモリでも軽量フレームは制作可能
ただ、クロモリ=重い、というのが常に当てはまるのかというと、必ずしもそうではないようです。
軽量のクロモリフレームだと、1100g程度になるそうで、軽量化自体はやろうと思えばできないことはない。
まあ、カーボンフレームで1100g程度というと、軽いというほどの重量でもないですが、このあたりがクロモリの限界なんでしょう。
アルミフレームでも、ジャイアントのTCR SLR(←既に廃盤)は未塗装重量が960gとなってましたし、トレックのエモンダALRもそれくらいです。
このあたりがアルミフレームの軽量化の限界かと。
また一番難しいのは、
持って軽い(重量)と、走って軽い(感想)は必ずしも一致しない
よく出来たクロモリフレームは、持つと重いのに走ってみると重量を感じさせないような軽快な走りだったりもします。
まあダメなクロモリフレームだと、持つと重いし、走るとより重いですが・・・
フレーム重量1100g程度であれば、最新の機材で組めば重量制限の6.8キロ程度では普通に組めますし、プロ選手が乗る軽量カーボンフレームの場合、重量制限に引っかかるので重しをつけて走っているくらいですから、重量自体はやろうと思えばクロモリでも軽量化は可能。
でもクロモリの軽量フレームが合っても、時代の流れとしてはクロモリに関心を持つ人はさほど多いとは言えません。
クロモリが廃れていく理由
こんなこと書くとクロモリファンに怒られるかもしれませんが、クロモリがダメという主張をしたいわけではないので、誤解ないよう。
クロモリが廃れていく理由ですが、まず一つは重いというイメージが強く、実態として重いフレームが多いことでしょう。
軽量なクロモリフレームもあるようですが、市場で流通しているクロモリフレームは、やはり重いのが事実。
例えばチネリのクロモリロード、VIGORELLI ROADを見ていくと、フレーム重量2000g、フォーク重量350g(フォークはカーボン)とあります。
フレーム重量2000gというと、カーボンフレームの倍くらいになってしまいます。
まあ、このチネリのVIGORELLI ROADはフレームセットで115,000円なので、クロモリフレームの中でもエントリーグレードだから重いということもありますが。
チューブはコロンブス Thron。
コルナゴの名車、マスターになると、フレーム重量は1550g。
お値段も30万超えます。
重量的なところでいうと、アルミのミドルグレードくらいの重量ですが、まあ、そんなレベルと比較すると怒られそうなくらいの綺麗な塗装だったり美しさはありますよね。
ほかにも例えばクロモリで有名なトマジーニとかもありますが、トマジーニのSINTESIはフレーム重量が1730gとなっています。
クロモリというとオーダーフレームFRCC02でフレーム重量が1920g、FRCC42でフレーム重量が2340gとなっているところを見ると、やはりかなり重いというのが実情です。
クロモリフレームでも1100g程度の軽量フレームが制作できる、という話もあるのですが、カーボンフレームにかなわない点を挙げるとすれば、クロモリは軽量化していくことでの剛性確保は難しいのではないでしょうか?
その点はやはりカーボンに軍配が上がります。
クロモリが廃れた理由、というよりカーボンフレームばかりになった理由は、一番の要素としては剛性と自由度だと思うんですね。
クロモリの場合、既存のクロモリチューブをつなぎ合わせて作るわけですが、カーボンフレームの場合はそれぞれ各部のパイプ設計を自由に出来る、そして剛性を上げたいところと下げたいところを意図的に作りやすいというのが一番のメリットかと。
フレーム設計の自由度が高いので、だからこそエアロ形状なども作れるわけですが、クロモリではエアロ形状というのはないですし。
アルミフレームもそういう意味では、クロモリよりも自由度が高い設計が可能ですが、それでもカーボンフレームの自由度には勝てず、カーボンフレームよりも重い。
クロモリチューブは、タンゲ、レイノルズ、カイセイ、コロンブスなどがチューブメーカーとして有名ですが、詳しくは知りませんが、もしかしたらエアロ形状のチューブ自体は制作可能かもしれません。
ただ重量面では、お話にならないほど重くなりそうです。
そういう意味では、最終的にネックになってくるのは重量でしょうし、それでいてフレーム設計の自由度が少ないというのが、カーボンに勝てない理由とも言えるわけです。
クロモリはオワコン?
重量とフレーム設計の自由度では、残念ながらクロモリがカーボンに勝てる要素はありません。
ただ、それでもクロモリというのは一定の人気がある素材です。
いろいろ理由はあるでしょうけど、多くの一般人は、ロードバイクの世界に入るとき、まずは見た目というのを重視するでしょう。
その見た目という点では、クロモリチューブの細身のシルエットというのはアルミやカーボンではありえないことなので、その見た目にほれてクロモリに行く人が多いです。
それと、よく出来たクロモリフレームの場合、持つと重いけど走ると軽いというのがよくあることなので、重量というモノサシだけでは測れない魅力もあるということになります。
こちらは前に読者様から投稿いただいた、LEVELのクロモリフレームですが、
https://roadbike-navi.xyz/archives/6793/
LEVELはクロモリオーダーフレームで人気が高いブランドです。
日本のブランドで、マツダ自転車が制作しているフレーム。
LEVELのSUPER PRESTIGEになるとフレームセットで24万、塗装代金は別、となっていますが、個人的にはLEVELのフレームというと、ツウな感じがします。
前に読者様から頂いた話ですが、
こういう意見も頂いたことがあります。
まあ、アルミやカーボンだから速く走らないといけない、というのはちょっと思い込み感もある気がしますが。
遅いのに高いカーボンフレームに乗っていると、陰口叩く奴もいるそうですが、個人的には自分の好きなスピードで走ればいいだけだし、
などと陰口叩く奴がいるなら、
と性格の悪さを発揮します。
クロモリフレームというと、シングルスピードの人にはむしろ当たり前ですし、ノーブレーキピストが流行ったころは、クロモリのシンプルな細身のフレーム自体にもカッコよさを感じていた若者も多かった気がしますが、クロモリフレームには一定の人気があり、廃れていくということはないでしょう。
ただし、ロードバイクのフレーム機材としてみた場合には、最新鋭のカーボンフレームに比べると、どうしてもインパクトは欠けるかと。
最新鋭のカーボンフレームは、空力がどうだとか、振動吸収のカウンターヴェイル(ビアンキ)やアイソスピード(トレック)、フューチャーショック(スペシャライズド)みたいな技術もないですし、ピナレロのような大胆なアシンメトリックなフレームもないわけで。
同じロードバイクというカテゴリでも、求めている方向性はやっぱ違うのかなと思いますが、クロモリにはカーボンやアルミにはない魅力もあるわけで、完全消滅ということはないでしょう。
ずいぶん前にショップに飾ってあった、ジオスのオールドフレーム復刻版、見た瞬間にほれ込んで買おうかと迷ったくらいです。
唯もう一つ問題があって、最近のパーツ類は、クロモリフレームに似合わないものが多い気がします。
クロモリフレームに似合おうパーツ類がドンドン減っているということは間違いないので、そういう方向性から見たら組みたい自転車が組めないともいえるのかもしれません。
クロモリフレームにカーボンリムというのもなんか味がない気がしますけど、まあ、自転車は自由です。
好きなものを組めばいいし、好きなものに乗ればいい。
先ほど挙げたチネリのVIGORELLI Roadですが、フレームの塗装の質感とか、すごくいいわーと思って某所で現物を見たのですが、ある意味では最近のトレンドを抑えていて、きっちりディスクブレーキモデルもあります。
なんともいえない不思議な時代・・・なのかもしれません。
オールドパーツで組んだクロモリもカッコいいけど、あえて現代風にアレンジされたクロモリもカッコいいわけで。
重量10gとかにこだわる人には、クロモリは向きません。
コメント