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サイクリングロードでの並走は、道交法の違反行為なのか?

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読者様より質問頂きました。

 

読者様
読者様
サイクリングロードで並走しているロードバイクを見かけることがあります。
一般道では並走は違反だと思いますが、サイクリングロードの法的な位置付けがよく分かりません。
サイクリングロードでの併走は違反なのでしょうか?

 

これについてですが、いろいろと検討しないといけない点があり、調べた上で警察にも法的解釈のアドバイスを受けて記事を書きました。

サイクリングロードの法的な位置付け

一言でサイクリングロードといっても、実は法的な存在意義は様々です。

 

例えば一言で荒川サイクリングロードと呼ばれる場所も、下流域は緊急用河川敷道路となっています。
緊急用河川敷道路というのは、災害発生時などに物資の運搬に使う道路で、平時はそれを自転車や歩行者に開放しているだけという位置付けですね。

 

ところが荒川の上流域は、【埼玉県道155号さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線】という県道なんですね。

 

神奈川県にある境川サイクリングロードも、正式名称は【神奈川県道451号藤沢大和自転車道線】となっています。

県道についてはどちらも正式に自転車歩行者専用道として認定されているものです。
従って道路交通法の適用を受けます。

緊急用河川敷道路についてですが、ネット上で調べると道路交通法の適用を受けないなどと書かれているものもあるのですが(例えばこちら)、こちらは【みなし公道】という扱いになり、道路交通法の適用を受けます。
みなし公道というのは、道路として指定されてないけど、例えば不特定多数の人が自由に交通できる場所などを指します。
コンビニの駐車場もコンビニが所有する私有地ですが、判例では道路交通法の適用を受けるとなっています。

 

ずいぶん前に駅の駐輪場内で、私(歩行者)に対して後ろから自転車が突っ込んできたことがあります。
このときいろいろ揉めて警察呼びましたが、最初に来た警官は法律に詳しくないようで、【駐輪場内は道交法の適用外】と言ってました。
そのあと登場した上司の警察官に、【駐輪場内はみなし公道ですので道交法は適用されます】と言われたのを思い出しました。

 

みなし公道に該当するかどうかの判断は【不特定多数の人が自由に往来できるかどうか】となっています。
緊急用河川敷道路も、不特定多数の人間が自由に通行できますので、法的には道路交通法の適用を受けるわけです。
これが例えば農地とかなら、自由に人間が往来することはないでしょうから、道交法の適用を受けません。

 

で、道路交通法には、軽車両の並進禁止規定があります。

第十九条 軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない。

ただし、この規定は道路(車道)に限定されるわけです。
歩道での自転車の並進については、特に規定はありません(人としてどうかという道義的な問題はありますが)。
そうなると、緊急用河川敷道路だったり、県道として指定されている自転車道は車道なのか?歩道なのか?という問題が生じます。

 

多くのサイクリングロードと呼ばれる場所は、自転車道の整備等に関する法律に基づいて設置された、

第二条 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。

二 自転車及び歩行者の共通の通行の用に供することを目的とする道路又は道路の部分

となってます。

 

なので自転車歩行者専用道は、道路法による道路という扱いです。

 

道交法19条で軽車両の並進が禁止されていますが、この条文には、【車道】とか【歩道】の区分はありません。
それなのになぜ車道だけが対象になるかという話です。


道交法19条は道交法の第3章に記載されています。
第3章の通則として、16条があります。

(通則)
第十六条 道路における車両及び路面電車の交通方法については、この章の定めるところによる。
2 この章の規定の適用については、自動車又は原動機付自転車により他の車両を牽けん引する場合における当該牽けん引される車両は、その牽けん引する自動車又は原動機付自転車の一部とする。
3 この章の規定のうち交差点における交通に係る規定は、本線車道を通行している自動車については、適用しない。
4 この章の規定の適用については、自転車道が設けられている道路における自転車道と自転車道以外の車道の部分とは、それぞれ一の車道とする

この第3章は【道路】での車両の通行についてだとありますが、道交法2条で道路の定義があり、道路法による定義されている道路だとされます。
自転車歩行者専用道は道路法に基づく道路ですし、都道府県道は道路法に定義された道路なので、県道や都道に指定されているサイクリングロードは【道路】に該当します。
従って、道交法19条の軽車両並走禁止が適用されます。

 

また、【自転車道が設けられている道路における自転車道と自転車道以外の車道の部分とは、それぞれ一の車道とする】とあることからも、自転車道は車道だと見ることができます。

 

よく、

いろんな人
いろんな人
サイクリングロードは自転車の通行も許可された歩道みたいなもの

 

と言われます。
これについてですが、自転車の走行についてのマナー的な考えで言うとその通りです。
歩行者が優先という意味ですね。
法的には道路(車道)に該当しています。
マナー的な部分とか、法的な優先度で言うと歩行者優先になるわけですが、県道や都道として指定されている以上は法的な扱いについては車道に近いと思っていいでしょう。

で、いろいろ調べていった結果なんですが、警察(警察本部の交通担当)にも確認したのが以下の通り。

実態としては、いわゆるサイクリングロードは自転車通行も可能な歩道みたいな扱いになってますが、道路交通法19条の自転車の並進禁止規定は、先ほども書いたように道路(車道)に限定しています。
従って、並走禁止規定は以下のときに成立します。

(1)歩道等(歩道・路側帯)と車道の区別がない道路の場合
道路全体に並進禁止が適用されます。

(2)歩道等と車道の区別がある道路の場合
車道部分に並進禁止が適用されます(歩道は並進規定の除外)

このようになります。
そして県道として指定されているサイクリングロード(歩行者自転車専用道)は、道路として成立していることに加え、車道(自転車道)と歩道の区別がないわけで、【1】に該当します。
従って、県道として指定されているサイクリングロードにおいて、ロードバイクの並走は違反になります

次に、緊急用河川敷道路ですが、先ほども書いたように、みなし公道となります。
そのため、道路交通法の適用を受けるわけですが、こちらも車道と歩道の区分がない道路になるので、【1】に該当し、みなし公道となる緊急用河川敷道路においても、ロードバイクの並走は違反になります。

 

こちらで質疑応答がありました。
https://law.jablaw.org/Forum?no=609

 

遊歩道での扱いについての質問ですが、この質問の中で遊歩道が歩行者自転車専用道に指定されているとあることから、いわゆるサイクリングロードを指しているのと同じです。
なので、サイクリングロードと呼ばれる道は、ロードバイクが並走することはほぼ全てのケースにおいて違反行為だと思われます。

 

ほぼ全て、と書いた理由ですが、もしかしたら何かしらの例外がある可能性を否定できないからです。
警察の方ともお話したのですが、もしかしたら道路標識などで並走を許可しているサイクリングロードがあるかもしれないので、その場合には並走禁止ではありません。

(普通自転車の並進)
第六十三条の五 普通自転車は、道路標識等により並進することができることとされている道路においては、第十九条の規定にかかわらず、他の普通自転車と並進することができる。ただし、普通自転車が三台以上並進することとなる場合においては、この限りでない。

ただし並走許可の標識があっても、並走は2台まで。
3台以上はいかなる理由でも違反です。
また一部のサイクリングロードは、施設として扱われるようなケースもあるようですが、もし扱い上が施設であっても、自由に歩行者も自転車も通行できるならみなし公道なので、道交法の適用を受けて違反であることには変わりありません。

 

例えばつくばりんりんロードも正式名称は【茨城県道505号桜川土浦潮来自転車道線】なので、普通に道路、かつ車道と歩道の区別がない道路なので、道公法上は並走は違反です。
多摩川サイクリングロードについては、正式な名称がついてない?のかなんなのか、イマイチわかりませんでした。
左岸と右岸で都道府県が違うからなのか?などと考えましたが、そのあたりはどうでもいいかもしれません。
都道、もしくは県道などで指定されていると考えても、車道(自転車)と歩道の区別がない道路なので並走禁止と捉えることが出来ますし、もし都道や県道に指定されていなくても、【自由に歩行者も自転車も通行可能】なのでみなし公道と考えることが出来ますので、車道と歩道の区別がない道路として道交法の適用を受けて並走は違反になるかと。

 

で、みなし公道での扱いと県道として指定された自転車歩行者専用道路での並走禁止についてですが、後者、つまり県道として指定されているほうについては、やろうと思えば警察は積極的に並走している自転車に対して取締りできるだろうと思います(あくまでも理論的な面)。

 

みなし公道では、積極的に取り締まり可能なのかと言うと若干微妙な気がします。
現実的には、何かしらの事故が起こった際に、その道がみなし公道としての実態があるのか?というところから検討されて、みなし公道として不特定多数の歩行者などの往来があると認められた場合には、道交法の適用に踏みきって違反を取る、という流れになるかと。(現実問題として緊急用河川敷道路は、誰がみても不特定多数の往来がある道路なので、やろうと思えば違反は取れると思いますが)

 

いわゆる私道の場合、その私道が自由に往来できる道路なのか、自由に往来していた実績・過去があるかなどを検討した上で道交法の違反を適用できるかが検討されます。
よく私有地だと無免許運転も可能と言われますが、これは厳密に言うと間違いで、私有地であっても自由に不特定多数が往来できる道路であれば、道交法違反で検挙できます。
単に個人宅への出入り口でそこの家の人しか通行しないような私道であれば、道交法の適用は難しいでしょう。

 

こちらはショッピングセンター内の駐車場を無免許運転したと言うことで逮捕されてます。

ショッピングセンターなどの駐車場はみなし公道だとする判例は普通にあるので、道交法が適用されます。

追い越しと並走は当然違います

追越するときに、一時的に並走状態になるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、道路交通法で規定されているのは、軽車両の並進、つまり並んで進むことが違反となっているので、追い越しは該当しません。

実態としては

ぶっちゃけていいますと、いわゆるサイクリングロードにはパトカーも入ってきませんし、サイクリングロードで並走していたからといって違反切符を切られる可能性はゼロです。
ただし、単純な話としてですが、サイクリングロードで並走されると、追い越し出来ないとか、対向車が危ないとか、歩行者にも危険だとかいろいろと害を及ぼすことは間違いありません。
まあ、ロードバイクに乗る人がサイクリングロードで並走して走るとは思いませんし、どちらかというと、ママチャリで並走されて、道路いっぱいに広がっていて邪魔というほうが問題になることが多いのではないでしょうか?

 

ロードバイクで並走しているのも、全く見かけないわけではありませんが・・・

 

ということで、いろいろ調べた結果では、いわゆるサイクリングロードと呼ばれる場所において、ロードバイクが並走して走ることは違反になります。
ただし道路標識で並走が可能になっているサイクリングロードもあるかもしれません。
違反かどうかもそうですが、普通に一般論として考えても邪魔なので、慎むべき行動ですね。

 

あと、一般道に設けられている自転車道についても、

道路標識で並走が可能に指定されていない限りは、並走は道交法19条に反します。

 

ちなみに、先日紹介した、箱根駅伝の最終ランナーの後方。
白バイかパトカーがいて、その後方は交通規制の解除なのですが、毎年多くのバイクやロードバイクがいます。
https://roadbike-navi.xyz/archives/12687/

 

この動画、並走違反ではないかと指摘されたのですが、

完全に並走違反です。
軽車両同士の並走が違反なので、オートバイと、一番左側にいるロードバイクと原付以外はほぼ違反です。
しかし、どうもパレードランみたいになってしまうのが毎年の恒例のようでして、これで取り締まりということはないでしょう。
そもそも、最後尾の白バイやパトカーは、ランナーの速度に合わせて20キロ程度でしか走ってないので、その後ろはどうやっても勝手に渋滞になります。
ロードバイクが左端に一列になるよりは、このように集団走行になってくれたほうが渋滞緩和になっているのかもしれませんが、実態としては単なる黙認かと・・・
白バイも、あくまでも自分たちよりも前に出る車両をブロックしているだけなので、イチイチ後ろのロードバイクや原付を止めることはしないかと。

 

一般道でサイクリングしている奴が並走しているとか、ママチャリが車道で並走していれば警察が見れば注意くらいするかもしれませんが、並走違反で切符という話はあまり聞かないのが現状です。

 

あと、最後に。
警察の方に相談の上と書きましたが、もちろんそのへんの交番にいる警察官ではなくて、警察本部の交通関係の部署の方に相談して回答を得ています。
私が調べた範囲の法的解釈が合っていることを確認したのですが、最後に言われた言葉。

まあ、違反かどうかもそうですが、普通に人の迷惑になるようなことはしないというのが一番ですよね。
人の迷惑になるような行為が、法的には違反になることが多いので。

ぶっちゃけて言いますが、サイクリングロードで並走して、警察の取り締まりにあう可能性はゼロです。
サイクリングロードで警官がいることを見たこともありません。
しかし、違反かどうかと言う法的な側面もそうですが、並走すれば迷惑がかかることはほぼ間違いないので、人としてそういうことしないほうがいいよね、という単純な理屈です。

 




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