先日の遅発性筋肉痛の記事について、
”年のせいか、筋肉痛が遅れてくるんだよね←基本的に年齢は関係ない。”の記事内で
“筋肉が壊れたところには白血球が集まり活性酵素が生まれて~”とありましたが、これが結構厄介者です。
午前中に100km以上走って、午後に献血に行くと必ず白血球数が異常値(正常範囲内の2~3倍)になります。
理由を聞かれるので“午前中に自転車で100kmくらい走った”と伝えると献血可能なので問題ないですが…。
(献血すると血液検査をするので、その結果を翌日にネットから確認できます。)
また、筋肉痛軽減のために今まではBCAAを運動前中後、プロテインとビタミンB群を運動後に摂っていましたが抗酸化物質も摂るようにします。
ちなみに抗酸化物質をとるタイミングはいつがいいのでしょうか?
こちら(https://www.cochrane.org/ja/CD009789/MUSKINJ_yun-dong-hou-nojin-rou-tong-woyu-fang-oyobiqing-jian-surutamenokang-suan-hua-wu-zhi)を見ると
72時間以内であれば効果がありそうな記述があります。
ただ、効果が薄いともありますので自分の体で試してみて最終判断かなとも思っています。
ということです。
で、もしかしたら勘違いされているかもしれないので、先に論文の説明から。
この論文、過去に行われた数々の論文のまとめみたいなもんですが、
試験は、タイミング(運動前または運動後)、頻度、用量、期間、抗酸化サプリメントのタイプ、および先行する運動のタイプを含む、不均一でした。すべての研究で、推奨される毎日の量よりも多い抗酸化剤が使用されました。
※英文和訳
とあるように、抗酸化サプリメントを飲んだタイミングは、研究によりバラバラのようです。
その上で、
高用量の抗酸化物質補充により、6時間以内と24、48、72時間後のフォローアップで筋肉痛のわずかな軽減が認められたが、96時間後では認められなかった。しかし、この軽減は非常にわずかであるため、違いが認められる可能性は低い。
ここで書かれている【6時間後】とか【72時間後】というのは、主観的な筋肉痛の程度変化を追っただけで、このタイミングで抗酸化サプリメントを飲んだわけでもなさそうです。
抗酸化物質と遅発性筋肉痛
遅発性筋肉痛は、筋肉が壊れたところに白血球が集まり、活性酵素が生まれる。
活性酵素が傷ついた組織の修復に当たるけど、オーバーリアクションにより正常な細胞まで攻撃してしまうことがあり、
そのオーバーリアクションを防ぐために抗酸化物質が必要というのが理論です。
この方が出してきた論文は、たくさんある【筋肉痛と抗酸化物質の関係の論文】に対する考察のようです。
これによると、
抗酸化物質補充により、6時間以内と24、48、72時間後のフォローアップで筋肉痛のわずかな軽減が認められたが、96時間後では認められなかった。しかし、この軽減は非常にわずかであるため、違いが認められる可能性は低い。
このようにしています。
で、抗酸化物質の作用点は、あくまでも傷ついた筋肉組織の修復ではなく、活性酵素がオーバーリアクションして正常な細胞へ攻撃することを防ぐためなので、効果としてはわずかなんだろうなと推測できます。
あくまでも筋肉痛の本態は、運動により傷ついた筋肉組織のほうがメインだろうと思われるので。
オーバーリアクションして正常な筋肉組織を攻撃し出せば、その筋肉組織由来からの痛みが起こる可能性があって、それを防ぐという意味合いのようです。
そうすると、筋肉痛本体(運動により傷ついた組織)に作用しているわけではないので、さほど痛みとして緩和されないのだろうという推測が成り立ちます。
ロードバイクには?
前回の記事では、コロナで外を走るのを控えていて、思い立ってやってみた筋トレによる筋肉痛の話でした。
なので言い方を変えると、普段はやっていない、高負荷のトレーニングという見方が成り立ちます。
で、ロードバイクとは意味合いが違う運動になるわけですが、こちらによると、
運動は,酸化ストレスを増大させ,細胞や組織に酸化的損傷を与えることが知られており,それに対してビタミン E や C などの抗酸化サプリメントがこれらの酸化ストレスを軽減するということも知られている.しかしながら,そのほとんどが急性運動に対するものであり,レギュラーエクササイズに対する抗酸化剤の効果についてはまだ十分に解明されていない
酸化ストレスの軽減を目的とした抗酸化剤の投与は,一時的な大きな酸化ストレス負荷が予想される場合には有用であるかもしれないが,習慣的な摂取に関しては慎重であるべきと思われる.
このようにあることから、普段から日常的にやっている運動に対しては、抗酸化サプリメントの効果は不明だとしています。
普段やってない運動に対する研究はあるが、普段からやっている運動に対する抗酸化サプリメントの効果に対する検証は、ほとんどないと見ていいようです。
ということで、すみません。
いつ摂取すると効果的か?という前に、普段から行っている運動に対しては研究自体がほとんどなく、不明という感じのようです。
逆に、普段運動していない人とか、普段やらない運動をした場合には、【いつサプリを飲んだのかは不明だけど】、運動後6時間後~72時間後における筋肉痛の強さはわずかに軽減する、というところのようです。
そしてその軽減度合いは【非常にわずか】としています。
抗酸化物質が運動の有益効果を弱めるという記事も
これは遅発性筋肉痛とは関係ない話ですが、抗酸化物質を摂取することで、運動の有益効果を弱めるという報告もあるようです。
運動は血糖の組織への取り込みを促進させる効果があり、糖尿病予防・治療になるとされていますが、抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE)を摂取することにより、血糖の取り込み効果が薄れるという報告もあるようです。
ただし、これは運動によって生じた活性酵素が、ビタミンCとEにより減弱した結果と見なせるようなので、筋肉痛という観点からするともしかしたら有用なんじゃないかとも思われたりします(あくまで管理人の私見・想像として)。
また、この研究結果を否定する論文も出たりしているようです。
先の研究が25歳、26歳の健康な若者が対象で、否定する論文のほうはラットでの研究となっています。
ラットでの否定的な結果の論文では、人間換算だととんでもなく多すぎる量を投与しているようなので、これもまた微妙な結果かもしれません。
抗酸化物質の一日の必要量など
ということで、管理人の私見としてですが、日常的・習慣的にに行っているロードバイクでの運動に対して、抗酸化物質が効果を示すかはかなり微妙なのではないかと想像します。
というよりも、そういう習慣性運動に対して、抗酸化物質を投与している研究自体が少ないようで、ほとんどが運動習慣がない場合での話のようです。
どの栄養素でもそうですが、必要以上に摂取すると悪影響もあるので、標準的な一日の摂取量や、吸収されるまでの時間、過剰摂取での副作用などをまとめます。
一日の摂取推奨量 | 吸収 | 過剰に摂取された場合 | |
ビタミンC | 100mg(成人) | 水溶性ビタミンなので腸管から吸収される。摂取後、1.5~3時間で血中濃度がピークに。体内貯蔵量は1500mg程度。 | そのまま体外に排出される |
ビタミンE | 6.5mg(成人) | 脂溶性ビタミンなので、脂質が吸収を助ける。脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収される | 通常の食事では過剰摂取になりづらいが、サプリメントで過剰摂取した場合、出血性脳卒中の報告と、骨量減少の報告アリ。 |
ポリフェノール | なし | 水に溶けやすい性質があるので吸収が早く短時間で作用しやすいが(30分程度)、長時間の効果は望めない。 | ポリフェノール自体は抗酸化作用を示すが、ポリフェノールが高濃度で存在する場合、鉄の存在下などでは逆に活性酸素の供与体として働くため、過剰な摂取は禁物。過剰摂取により便秘や女性ホルモンの乱れを起こす可能性。 |
ちょっと意味合いが違う研究ですが、サプリメントなどの効果の研究ではなくて、自転車部に所属する選手の、運動による酸化ストレスの変化というものがありました。
自転車運動の鍛錬者が,予備心拍数70%に相当する強度で 3 時間の運動を行った際の酸化ストレス度,抗酸化力および抗酸化ビタミンの経時的な変化を検討した.その結果,酸化ストレス(d-ROM)の有意な増加は認められず,抗酸力(BAP)および血中VC濃度は,運動開始1時間後から運動終了 1 時間後まで有意な増加を示した.しかしながら,血中VE濃度は運動による影響は認められなかった.以上の結果から,長時間の有酸素トレーニングを行っている鍛錬者は, 3 時間の運動までは酸化ストレスが生じないことが明らかとなり,これは抗酸化力が増加したことによる可能性が示唆された.
本研究では 3 時間の自転車運動を行ったが,実際の自転車レースを想定した場合,ロードレースは4 – 5 時間程度であるため,レース時間内での酸化ストレスおよび抗酸化力の経時的な変化をみるためには, 3 時間以上の運動を実施して検討することが必要である.しかしながら,実験室内での固定自転車による運動は対象者の身体的・心理的負担を考慮すると 3 時間が限界であった
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/60/3/60_3_279/_pdf
これによると、血中のビタミンC濃度が運動開始1時間後から上昇し、運動終了1時間後まで増加していたけど、ビタミンEは変化がなかったとあります。
3時間までの運動であれば、活性酵素による酸化ストレスは、ビタミンC濃度が高まることで抗酸化力が上昇して、結果的に酸化ストレスが生じていないとしています。
長時間運動中における筋活動時に,生体防御のため骨格筋からVCが放出された可能性が考えられる.
このようにあることから、活性酵素の上昇に対抗するために、筋肉に貯蔵されていたビタミンCが使われた可能性があるとのことですね。
これはあくまでもサプリメントなどの効果ではないので、単なる鍛錬者の体の反応がどうなっているのか?というところを示しているだけですが、体内に貯蔵されているビタミンCなどが酸化リスクを抑えているということかと。
これが、普段からビタミンCを摂取しておくべきという結論になるというほど単純でもなく、ビタミンCについては必要量以上は勝手に排泄されてしまうので、過剰に摂取しても意味はないと思いますが、不足気味の人は意識して摂取しておいて損はないかもしれません。
どうでもいい話ですが、普段からビタミンCだけはこだわって摂るようにしています。
意味があるのかどうかは不明ですが、なんか風邪とか引かなくなったのは偶然なのか?効果ありなのか?
ちょっと話はズレますが、よくある【レモン〇個分のビタミンC!】みたいな宣伝文句って、逆にいえばレモン一個にそんなにビタミンCが多いわけではないということを意味していますw
ということでロードバイクなど習慣的な運動を行う上で、抗酸化物質が効果的だとするような研究は無さそうというのが今の状況でしょうか。
もう少しいろいろ調べてみますがあまり研究として進んでいるわけでもなさそうな印象です。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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