年のせいか、筋肉痛が遅れてくるんだよね←基本的に年齢は関係ない。

読者様とメールしていて、

いろんな人
いろんな人
コロナで外走れないから筋トレとかしてみたんだけど、年齢のせいで筋肉痛が遅れてやってくる。

こんな話がありました。
よく言われますよね。
年を取ると、筋肉痛が遅れてくるって。

これ、遅発性筋肉痛(DOMS)と言われる症状ですが、今の常識では、年齢とは特に関係ないというのが学説かと。
一応、専門分野でもあるので、解説します。

遅発性筋肉痛

遅れてやってくる筋肉痛を遅発性筋肉痛(DOMS)と言います。
私は、【ドムった】とか【ドムってる】などと表現しますが、たぶんこの表現は一般的ではありません。
完全にマイ・オリジナル用語です。

さて、遅発性筋肉痛自体、そもそもなんで痛みを発するのか、実はそれほどわかっているわけでもありません。
遅発性筋肉痛の場合、痛みのピークは運動後12時間後~48時間後とする場合もあるし、2~3日後が痛みのピークだとすることもあります。

よく言われていることですが、

いろんな人
いろんな人
筋肉痛って、筋肉が壊れて炎症が起こっているから痛いんだよ。

などと言われます。
これについてですが、筋肉の炎症の程度を画像化・数値化する手段として、MRI(磁気共鳴画像診断)、超音波(いわゆるエコー)、血液検査でのクレアチンキナーゼ(CK)などがあります。

どうでもいい話ですが、MRIの【M】はマグネティックのMです。
マグネティック リゾナンス イメージ。
つまり磁気。
似たような画像診断でCTがありますが、CTは放射線(X線)を使うのに対し、MRIは磁気を使ってます。
MRIを撮影するときに金属製のものを身に着けていると、下手するとMRIの機械目掛けて飛んでいきますw
それくらい強い磁力です。

クレアチンキナーゼ(CK)は、筋肉が壊れたときに血中に出てくる酵素で、激しい運動後に上昇することが知られていますし、心筋梗塞などで心筋が障害されたときにも上昇します。
なので筋肉の損傷状態を見る指標として知られています。

で、MRI、エコーなどは画像により筋肉の炎症状態を見れますし、CKは血液中の酵素量を見ることで筋肉の破壊の程度を見れると言っていいのですが、筋肉痛のピークと、これら画像診断、血液検査のデータが、必ずしも一致していないことが知られています。

例えばこちらの論文。

ピーク消失
痛み2~3日後5~7日後
CK3~4日後
MRI7日後1ヵ月経っても運動前の状態に戻っていない

http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2007-j16-2/25_kawaoka.pdf

痛みのピークと、CK値のピーク、MRIでの炎症のピークは一致しません。

そのほか、屈曲時痛、伸展時痛で見る検査でも、筋肉痛のピークとは相関性がないともしています。

なので、筋肉の損傷・炎症の程度と、筋肉痛の程度はさほど関係ないと言えます。
このあたり、なんでこうなるのかについてはイマイチわかっていません。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspeconf/52/0/52_304/_pdf

1つ明らかなこととしては、遅発性筋肉痛が起こりやすい運動は、エキセントリックな収縮を繰り返すことです。
エキセントリックな収縮ってなによ?
エキセントリック=風変わりな、ではありません。
エキセントリック少年ボーイも無関係。

エキセントリック収縮は、筋肉を伸張させながら収縮させる状態です。
これ、わかりづらいのですが、例えば腹筋の動き。


上体を起こすように力を入れるときは、腹筋は短縮しながら収縮してます。
逆に上体を下ろしていくとき。
このとき、腹筋は引き延ばされながら力を入れているわけですが、このように、力を入れながらも筋肉が伸ばされていく状態がエキセントリック収縮。

これを繰り返すと、遅発性筋肉痛が起こりやすいとされています。
つまりエキセントリックしまくりでドムると言えます。

で、先ほどの論文にもあるように、自覚的な筋肉痛については、

筋肉痛は,24時間後に両者とも有意に増大したが,年齢による差はみられなかった.

http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2007-j16-2/25_kawaoka.pdf

年齢による差は見られていません。
なので年を取ったから筋肉痛が遅れてくるというのは、運動学の分野では俗説扱いされています。

強いて言うなら、運動を普段からしている鍛錬者と、非鍛錬者の差でも、

両者とも48時間後に痛みがピークとなったが ,その痛みは非鍛練者が鍛練者に比し有意に強かった.
CK活性値は両者とも24時間後,48時間後に上昇したが,それらの値は非鍛練者が鍛練者に比し有意に高値であった.

とあるのですが、ここでも筋肉痛の遅延自体は鍛錬者でも非鍛錬者でも変わらず、痛みの度合いが非鍛錬者で強いとしています。

これは経験的にも明らかというか、普段運動してない奴がいきなり運動して、筋肉痛がひどくて動けない状態ですね。

この手の研究はいろいろあるのですが、今のところ有力な説としては、普段から使ってない筋肉に対してエキセントリック収縮を繰り返すと、遅発性筋肉痛が起こりやすいということくらいでしょうか。
年齢や性別により、差があるというわけでもないのですが、強いて言うならば、運動量が多い若者と、普段運動してない年配者の差なんじゃないかと言われたりします。

MRIや血液検査での炎症反応と、痛みのピークが必ずしも一致してないことが遅発性筋肉痛(DOMS)の特徴なんですが、筋肉が壊れていない限りは痛みが発することもないので、なんで痛みが遅れるのか、なんで炎症のピークと痛みのピークが一致しないのかがわかってないと言えます。

筋肉痛を防ぐ方法はあるのか?

筋肉痛を防ぐ方法があるのかというと、あると言えばあるし、無いと言えば無いです。
ちょっと前までは、運動直後のアイシングが有効とか言われたりします。

よくピッチャーが、投げた後に肩や肘をアイシングしている光景がありますが、最近はアイシングしない選手が増えている現状があります。
アイシングしたほうが回復が遅れる感じがするとか、翌日ダルくなるなどが理由だそうです。

アイシングに関しては、強い熱を持つような損傷の時にはしたほうがいいと思ってます。
具体的には怪我ですね。
前に落車して指を骨折したことがありますが、アイシングした結果、実は折れているにもかかわらず翌日の痛みはほぼゼロでした。
もちろん動かすと痛かったですが、動かさない限りは無痛。
なので即手術と言われたときは、相当抵抗したもんですw

アイシングするときは、10分程度冷やして、10分程度休憩、10分程度冷やす、と繰り返して行います。
アイスノンなどをタオルで包んで行います。

筋肉が熱を持っているような状態の時はアイシングしたほうがいいですが、それ以外の時は温めて血行を促して、ストレッチしたほうが効果的です。

ちなみにBCAAは、運動後のCK値を下げる効果が認められているので、筋肉が壊れることを防ぐ作用があると考えられています。

起こってしまった筋肉痛への対処

いざ筋肉痛が起こってしまった場合には、熱を持っていないなら基本的にはお風呂などで温めて、ストレッチするのがいいです。
この画像はハムストリングスをストレッチしていますが、足をストレッチするときは、必ずこのように片足ずつストレッチすること。
また、反動をつけずにじんわりと30秒弱伸ばすような方法がいいです。

反動をつけるストレッチだと、筋肉の伸張反射が起こるので、より筋肉が硬くなることがありますのでご注意を。

で、筋肉が壊れたところには白血球が集まり活性酵素が生まれて、活性酵素が傷ついた部分をクリーニングします。
その活性酵素はオーバーリアクションして、ついつい正常な細胞まで攻撃することがあるのですが、それを防ぐのがビタミンCとかE、ポリフェノールなどの抗酸化作用を持つ物質と言われます。
なのでそういうのを取るのがいいかと。

世の中には俗説が多い

世の中には俗説って結構あるんですが、年とともに筋肉痛が遅れて出ると言うのも俗説。
ほかには、【女性のほうが方向音痴】とかも俗説と言われます。

今回のケースで言うと、ロードバイクの動きでは使われないような筋肉の使い方(筋トレ)をしたから、遅発性筋肉痛が出たというだけの話かと思いますが、体幹トレーニングなどはロードバイクの動きでも重要です。