自転車レーンと自転車通行可の歩道が併設している神戸の道路の話。

先日の記事について。

法律を読めば分かりそうな話なんですけどね。 自転車レーンは車道にあるので、一方向性。 自転車道も車道の一部ですが...

ネタを一件頂きました。

初めてコメントさせていただきます。
自転車レーンと、自転車通行可の歩道の併設ですが、兵庫県神戸市に存在しています。
大開通という道で、大開通2丁目交差点(google map座標・34.67483459106111, 135.16719165447932)が自転車レーンの始点になっているのですが、始点の標識と自転車通行可の標識が、同じ支柱についているのがストリートビューで確認できます。
実際歩道を自転車で走行したら、どういう扱いになるかはわかりませんが、ネタにでもなればとコメントさせていただきました。

確認してみました。
こちらですね。

うーん、どうなんですかね。
こういうのって。

自転車専用通行帯

道交法って道路、車道、歩道を別に定義しています。

一 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
二 歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
三 車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。
三の二 本線車道 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。以下同じ。)又は自動車専用道路(道路法第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)の本線車線により構成する車道をいう。
三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
三の四 路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。

一般的な道路で言うと、こういうイメージ。

車両通行帯はまた別の定義になります。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

で、自転車レーンは自転車専用通行帯ですが、ここを通らないといけない根拠はこちら。

(車両通行帯)
第二十条 2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない

【車両通行帯の設けられた道路】なので、歩道も含めた道路全体に掛かってくる。
なので自転車レーンがある場合、道路上で自転車が通行できるのは自転車レーンだけとなります。
あくまでも車道上ではなく、道路上になることがポイント。

車両通行帯を通らなくてもいい要件(20条の3)は、追越しするとき、左折・右折のために寄せるとき、その他やむを得ない状況などに限られている。

3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。

なのでもし、歩道に【自転車通行可】と標識があったとしても、20条の3の【車両通行帯を通らなくてもいい例外規定】には含まれていないため矛盾してしまう。

20条の3に【第63条4項の1のとき】と記されていれば、自転車通行帯と歩道の自転車通行可が併存できる可能性がありますが、あいにくそんな表記もない。
20条の3は車両通行帯の例外規定。
ここに記載がない通行位置は不可になるため、第63条4項の1(歩道に標識がある場合)の記載が無い時点で終了です。

自転車が歩道を通行できる要件はこちら。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。

17条1項はこちら。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。

自転車の歩道通行の要件に、【20条2項の規定にかかわらず】とは書いていないので、自転車レーンがある道路では原則として自転車レーンしか通行できない。
17条1項は歩道と車道の区分の話ですが、20条2項は【道路】という括りになっていることからも、20条のほうが優先されているわけだし。
けど、自転車レーンがあるにも関わらず、歩道にも自転車通行可の標識がある・・・という意味不明な状態。

これですが、恐らく、現実的に自転車の通行区分違反なんて取り締まり対象とはしてないことが原因なんじゃないかと。
歩道の標識を撤去し忘れた可能性もあるし、あえてそのまま残した可能性もありますが、そもそも自転車に乗るヤツラなんてそこまで厳密に法を適用してないことが原因かと思います。

まあ、道路管理者が無知だという可能性もあるのですが・・・

この道路、行政の思惑がどっちなのかサッパリわかりませんw
自転車を車道に行かせたいのか、歩道に行かせたいのか意味が分からない。

管轄署に聞いてみた結果

一応管轄の警察署に聞いてみました。

まあ、予想通りですw

簡単にいうと、法を厳密に適用するならば、道路に自転車専用通行帯がある以上、歩道に【自転車通行可】の標識があるのは間違い。
だけど、高齢の方とか子供とか車道を走るのが危険な人もいるので、わかりやすく【残している】状況だそうで。

これはいろんな意味があると思うのですが、自転車の交通法規について、ママチャリ・スポーツサイクルともに道交法をちゃんとわかっている人は正直少ないと思います。
なのでいきなり自転車専用通行帯を作った場合に、混乱が生じる恐れがある。

高齢者が、自転車は車道だからとフラフラしながら車道を走られても危険だし、それこそ自転車レーンの意味を理解せずに逆走するようなバカも出てくる可能性はある。
なので法律上はおかしいけど、とりあえず歩道側の標識を残しているというのが現状のようです。

たぶん、そんなことだろうとは思ってましたw

たぶんこれ、既存の車道を1車線潰して自転車専用通行帯を作るケースと、道路構造を大々的に変えて自転車専用通行帯を作るケースでも話は変わるんじゃないかと思います。
元々歩道側に【自転車通行可】の標識があって、車道の1レーンだけ潰して自転車専用通行帯にするケースでは、あえて歩道側の標識を撤去しないままということもあるっぽいですね。

国道16号相模原付近の自転車道の場合、あそこは元々本線から隔離された側道を整備して自転車道にした経緯があるので、この神戸の道路と同じような整備は恐らく無理でしょう。

これ、結構問題の根が深いなと思ってます。
自転車の通行位置については、過去に歴史としてまとめてます。

法改正背景
S35道交法成立、自転車は車道のみ
S45自転車の歩道通行解禁車の交通量増加と事故の多発
自転車は歩道へという謎ムードが広がり定着。警察も【自転車は歩道のほうが安全だ!】などと謎の指導を始める
S53自転車横断帯の新設歩道通行が当たり前のような施策
H20改正道交法により自転車の歩道通行要件を改訂(13歳未満、70歳以上、標識の有無など)歩道での自転車事故の多発
歩道での事故が多いので、【やっぱ原則として自転車は車道なんだよ!】と警察庁が広報し出す
H23警察庁が【多くの普通自転車の歩道通行が念頭に置かれている普通自転車通行指定部分の指定がある場合を除き、自歩可の交通規制が実施されている歩道をつなぐ自転車横断帯は撤去すること。 】という指針を発表。
H24自転車ナビマークの出現(警視庁)
H25自転車の路側帯通行は左側に限定(路側帯の逆走禁止)
H28国土交通省が「自転車ネットワーク計画策定の早期進展」と「安全な自転車通行空間の早期確保」に向けた提言を発表

昭和45年に道交法改正で、自転車の歩道走行が解禁されていますが、車の交通量が増大した結果とされています。
この頃から、警察や行政も【自転車は歩道】みたいな指導方針になっていた。
(法令上は原則は車道、歩道は例外でしたが・・・)

ところが歩道での自転車事故が増えてきたことから、警察も平成20年頃から、【やっぱ自転車は車道ね】みたいな指導方針になっていった。

長年、国民の間では【自転車は歩道】がスタンダードだと思い込ませてきたものに対する転換期として、法的にはおかしいものの、歩道にもそういう表示を残しておいたほうが現状ではいいと判断しただけの話のようです。

まあ、自転車の通行区分違反なんて逆走以外は取り締まりの対象ではないというメッセージとも受け取られかねないのですが・・・

といっても読者様情報では、国道16号の相模原付近で警察に注意されていたりもする。

車道と自転車道の通行について、質問をいただきました。 先日車道をロードで走っていたところ、交差点にいらした警察官に注意を受けました。 曰...

こっちは自転車道の話なので、また別なんですが。

まとめるとこうなります。

・法令上、自転車専用通行帯のある道路の歩道に、【自転車通行可】の標識があるのは間違い。
・歴史から検討すると、当面しょうがないとして歩道の標識を残す場合もある

まあ、日本で【自転車は車道】の文化が根付くのは相当先なんでしょうけど。

調べることの大切さ

いろいろとネット上では、道路交通法の解釈を書いてあるサイトもあります。

法律を検討する際には、条文を確認することと、言葉の定義をしっかり確認することがまず重要です。
一番ダメなのは、条文を確認することなくまとめサイト的なものに頼ること。
こちらでも少し触れていますが、

ずいぶん前に書いた記事についてメールを頂いたのですが。 関係ない部分もあるので、まとめて書きます。 進路を変える...

道交法の【進路変更】について、まず定義を確認しないといけないわけです。
進路変更と車線変更は、必ずしも同義ではありません。

こういうのもネット上の情報だけで調べると解釈がおかしくなることがあるので、図書館などで専門書から検討したほうがいい。
オススメは、【執務資料 道路交通法解説】です。
判例付きで詳細に書いてあります。

次に、法律上の矛盾がある標識に疑問を持ったら、管轄に聞いてみることも大切。
疑問を疑問のままとして、間違ったことをネット上で垂れ流すと、間違った知識を広めてしまう恐れがありますので。

管轄ですが、道路標識については原則としては公安委員会・警察署です。
道路構造については、道路事務所が管轄。

間違っても、国道なのに市町村に聞いてみるとか、そういう見当違いのところに質問するのもよろしくない。
道路構造について警察署に聞くのも、基本的に管轄違いです。

道交法の問題なら原則としては警察署で間違いないです。

きちんと調べたつもりでも間違うケースはあると思いますが、調べることを放棄して間違うのは悪だと考えています。

ずいぶん前に、きちんと取材した結果でも結果的に間違いだったということがありました。
それの理由もある程度は分かりましたが、そこは本筋ではないので控えます。
そのような件について第三者に、ひたすらブログ内をあら探しされて、デマを流したと非難されたのですが、調べもせずに間違いを流す人よりはまだマシだと思うのですが・・・
結果論でしか見れない人なのかなと思ったりもしますが、調べるという過程すらしてない人に言われる筋合いもなかったりする。
間違えても訂正では許されないと非難されましたが、そういう人が仮に、間違った場合はどうするんでしょうかね。
他人に厳しく自分に甘いタイプというわけではないんでしょうけど。
言い訳するよりも、間違いを認めて訂正したほうが社会的には好ましいことと思いますが・・・

まあ、私には理解不能な考え方をお持ちのようで、過去には意思をコロコロ変えていらっしゃったこともあったような。
【もう見ません】⇒【やっぱり見よう】とか、【聞いても無駄だから聞かない】⇒【聞いてみました】みたいな・・・
意見を変えるのはともかく、意思を変えるのはちょっと理解に苦しむ。

私自身は完璧な人間ではないですが、ルールについては間違いを広報するととんでもない結果に陥りかねないので、完璧を目指そうと思ってます。
100%とはお約束できませんが・・・

今回の件は予想通りでした。
法を読めば、自転車専用通行帯と自転車通行可の歩道が併存できるわけがありませんが、ある種の法定外表示みたいな扱いとして、例外的に残しているというのが実情のようでした。

まあ、自転車について行政側が強いメッセージを出せていないことや、自転車を車両と思っていない層が多いことが、このような法の矛盾を作り出しているのかなと思ったりします。

私なりの意見としては、このような標示は【好ましいとは思わないけど仕方がない】なのかなと思います。
自転車専用通行帯の幅も広いので、やろうと思えば多少歩道を改良して自転車道にすることも出来たでしょうけど、それをしない理由は恐らくは予算でしょうし・・・
自転車道は工作物で仕切る必要があるので、予算が一気に上がります。

まあ、法律を守るという人にとっては、大変許しがたい構造なのかもしれません。
ある種の超法規的措置ですから。