車両通行帯と決定し忘れて原付二段階右折を取り締まり。というニュース。

長野県公安委員会のミスなんでしょうけど・・・

長野県警は29日、県公安委員会の決定を受けていない小諸市内の片側3車線の交差点2か所で取り締まりを実施し、「2段階右折」をしなかった原付きバイク4件を誤って摘発したと発表した。

県警交通規制課によると、道路交通法で原付きバイクは、県公安委の決定を受けた片側3車線以上の道路では、正面と右折先それぞれの信号に従って2段階右折することが定められている。小諸市内の2か所の交差点は片側3車線だったが、県公安委の決定を受けていなかった

https://news.yahoo.co.jp/articles/09c27c363bac8947be8715dafec3a1fa579afdb0

なぜこういうことが起こるのかというと

多くの人は、複数車線=車両通行帯だと思い込んでいると思うのですが、

管理人
管理人
違います・・・

車両通行帯は、道交法では道路標示により示した部分。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

標識令によると、車両通行帯は規制標示になっている。
道交法4条の規定により、規制標示は公安委員会が決定して初めて車両通行帯としての効力を得るので、片側3車線だろうと公安委員会が決定していない限りは車両通行帯ではないんですね。

(左折又は右折)
第三十四条
5 原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

で、一般道の場合、交差点付近の進行方向別通行区分がある場所とか、イエローラインで進路変更禁止されている部分、専用通行帯がある部分などしか車両通行帯ではない。
このあたりは警察庁の交通規制基準をみればわかること。
交通規制基準は道交法110条、施行令42条の規定によるものですが、実態としては交通規制基準で【必ず車両通行帯に指定すること】となっているところくらいしか車両通行帯ではない。

ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出...

このニュースでは、県公安委員会が指定し忘れていたというだけのことですが、県内の全ての3車線以上の交差点を指定したともある。

ちなみにですが

ちょっと調べていた途中なのですが、福井県はなぜか車両通行帯がどこなのかを公表しています。

https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukaihou/fukuikenpou/kenpour0308_d/fil/004.pdf

https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukaihou/fukuikenpou/kenpour0306_d/fil/008.pdf

厳密にいうと、新しく車両通行帯に指定した場所を県報として公表している。
なので一覧をみたいなら、過去の県報をみていくしかありませんが。

実はこれ、相当数の県報を見た結果として言いますと、やはりほとんどが交差点付近しか指定されていない。
上の例でもこうなっている。

別表第27(2)「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」 あわら警察署の表に次のように加える。

58 県道(金津丸岡線)瓜生第6号8番地先

瓜生交差点から

北方約30メートル までの南進車線終日

ほかの県報では、「車両通行帯(一定区間)を設ける区間」というのもあって、その場合は距離数も指定されているのですが、グーグルマップで確認する限りではだいたいはバスレーンの指定が上乗せされていました。
新しく指定された部分はグーグルマップが更新されていないのでわかりませんでしたが・・・
古い県報は、国会図書館のデジタルアーカイブで閲覧可能。

道交法や標識令をみていくと、複数車線だから車両通行帯とみなす・・・なんて規定もない上に、18条1項や20条1項のように車両通行帯があるかどうかで走り方のルールを変えている。
つまりは見抜いて走れという規定になっている。

車の場合、車両通行帯があろうとなかろうと走り方のルールはほぼ同じなのでいいんですが、

実態としてはほぼ確実に上乗せ規制が掛かっているので、見抜けないということもない。
まあ報道のケースは指定し忘れなので話がまた違うわけですが・・・

一応判例でも、分けてあるんですよね。
けど見抜けないと考えて意味不明な位置を通行する自転車もいるので、ホント勘弁。
判例でも明らかなのにね。

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

(中略)

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

昭和48年1月19日 福岡地裁小倉支部

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

岡山地裁 昭和45年4月22日

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

名古屋地裁 平成26年9月8日