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「通行妨害目的」って、結局のところ統一見解はない。

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こちらの補足です。

 

なぜそうなる妨害運転。無処罰は妥当なのか?
ちょっと前に、自転車が危険な追い越しをされたと話題になっていましたが、 正直なところ、こうなると思ってました。 執拗性とは? 妨害運転罪(道路交通法117条の2の2第1項8号)はこのように規定しています。 第百十七条の二の二 八 他の車両等...

 

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通行妨害目的

まずは前回のおさらい。

……………
妨害運転罪(道路交通法117条の2の2第1項8号)はこのように規定しています。

第百十七条の二の二
八 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者

「他の車両等の通行を妨害する目的」とありますが、いわば目的犯。
自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪にも同様の表現がありますが、

(危険運転致死傷)
第二条
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

危険運転致死傷罪を創設した当時の説明で、「通行妨害目的には積極的意図が必要で未必的な認識では足りない」という説明がなされている。

…………

その上で「通行妨害目的」について確定的認識があれば足りるとした東京高裁判決を紹介しました。

これらの事実に照らすと,被告人が,車体の半分を反対車線に進出させた状態で走行し,C車両を追い抜こうとしたのは,パトカーの追跡をかわすことが主たる目的であったが,その際,被告人は,反対車線を走行してきている車両が間近に接近していることを認識していたのであるから,上記の状態で走行を続ければ,対向車両に自車との衝突を避けるため急な回避措置を取らせることになり,対向車両の通行を妨害するのが確実であることを認識していたものと認めることができる。
ところで,刑法208条の2第2項前段にいう「人又は車の通行を妨害する目的」とは,人や車に衝突等を避けるため急な回避措置をとらせるなど,人や車の自由かつ安全な通行の妨害を積極的に意図することをいうものと解される。しかし,運転の主たる目的が上記のような通行の妨害になくとも,本件のように,自分の運転行為によって上記のような通行の妨害を来すのが確実であることを認識して,当該運転行為に及んだ場合には,自己の運転行為の危険性に関する認識は,上記のような通行の妨害を主たる目的にした場合と異なるところがない。そうすると,自分の運転行為によって上記のような通行の妨害を来すのが確実であることを認識していた場合も,同条項にいう「人又は車の通行を妨害する目的」が肯定されるものと解するのが相当である。
3 以上からすると,被告人には,対向車両の通行を妨害する目的があったということができるから,その目的を肯定して,被告人に刑法208条の2第2項前段の危険運転致死罪の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りはない。

 

東京高裁 平成25年2月22日

けどこれ、大阪高裁判決では批判されていましてね。

ア 本件罪の立法経過等に鑑みると,本件罪が「走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し」たこと(以下「危険接近行為」という。)に加えて,主観的要素として,通行妨害目的を必要としたのは,従前,業務上過失致死傷罪等で処断されていた行為のうち,極めて危険かつ悪質で,過失犯の枠組みで処罰することが相当でないものについて,故意犯と構成することによって,その法定刑を大幅に引き上げる一方,後方からあおられるなどして自らに対する危険が生じ,これを避けるために,危険接近行為に及んだ場合など,悪質とまでいい難いものについては,本件罪の成立を認めないとすることにより,処罰範囲の適正化を図ったものと解される。
そうすると,本件罪にいう通行妨害目的の解釈は,上記のような立法趣旨に沿うものである必要があると考えられるところ,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図して行う危険接近行為が極めて危険かつ悪質な運転行為であることはいうまでもないが,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行うのもまた,同様に危険かつ悪質な運転行為といって妨げないと考えられる。したがって,そのような場合もまた,通行妨害目的をもって危険接近行為をしたに当たると解するのが合目的的である。
ところで,本件罪は目的犯とされているから,通行妨害目的の解釈も,目的犯における目的の解釈として合理的なものである必要があるところ,目的犯における目的の概念は多様であり,各種薬物犯罪における「営利の目的」のように積極的動因を必要とすると解されているものもあれば,爆発物取締罰則1条の「治安ヲ妨ゲ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスル目的」のように未必的認識で足りると解されているものもあり,さらに,背任罪における図利加害目的のように,本人の利益を図る目的がなかったことを裏から示すものという解釈が有力なものもある。これを本件罪についてみると,本件罪において通行妨害目的が必要とされたのは,外形的には同様の危険かつ悪質な行為でありながら,危険回避等のためやむなくされたものを除外するためなのであるから,目的犯の構造としては,背任罪における図利加害目的の場合に類似するところが多いように思われる。そうすると,本件罪にいう通行妨害目的は,目的犯の目的の解釈という観点からも,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図することのほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行う場合も含むと解することに,十分な理由があるものと考えられる。
以上のとおり,本件罪にいう通行妨害目的は,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図して行う場合のほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行う場合をも含むと解するのが,立法趣旨に沿うものであり,かつ,目的犯の目的の解釈としても,理由のあるものと考えられるから,結局,本件罪の通行妨害目的は,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図して行う場合のほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行う場合も含むと解するのが相当である。
イ 原判決は,本件罪にいう通行妨害目的は,運転の主たる目的が人や車の自由かつ安全な通行の妨害を積極的に意図することになくとも,自分の運転によって上記のような通行の妨害を来すことが確実であることを認識して当該運転行為に及んだ場合にも肯定されると解するとして,東京高等裁判所平成25年2月22日判決・高刑集66巻1号3頁を援用しているから,同判決同様,そのような認識で当該行為に及んだ場合,自己の運転行為の危険性に関する認識は通行の妨害を主たる目的とした場合と異なることがないことを,上記のような解釈を採る理由としているものと解されるが,認識の程度が同じであればなぜ目的があるといえるのか不明であるし,なにより,そのような解釈を採ると,自分の運転行為によって通行の妨害を来すことが確実であることを認識していれば,後方からあおられるなどして自らに対する危険が生じこれを避けるためやむなく危険接近行為に及んだ場合であっても本件罪が成立することになり,立法趣旨に沿わないものと考えられる。また,原判決がいう「確実であることを認識して」とは,結局のところ,確定的認識をいうものと解されるが,確定的認識と未必的認識は,認識という点では同一であり,ただその程度に違いがあるにとどまるに過ぎない上,その判定は,確定的認識について信用できる自白がある場合や,犯行の性質からこれを肯定できる場合はともかく,当時の状況等から認識自体を推認しなければならない場合には,甚だ微妙なものにならざるを得ないから,そのような認識の程度の違いによって犯罪の成否を区別することが相当とも思われない。
検察官は,目的犯における「目的」の意義は多様であり,外国国章損壊(刑法92条)等のように,その目的が,構成要件的行為自体,または,その付随現象から,おのずと実現されるため,客観的構成要件該当事実を認識していれば,同時に,目的を有しているとも見られる犯罪類型にあっては,未必的認識で目的が充足されるとすると,故意とは別に目的を要求した意味がなくなり,そのため,このような場合の目的としては,目的の実現に対する未必的認識では足りず,目的が実現することを確実なものと認識することが必要であると解すべきであるとした上で,通行妨害目的は,まさにこのような場合であるから,相手方の自由かつ安全な通行を妨げることが確実であることを認識することが必要であり,このような認識がありながら,あえて危険接近行為に及ぶような場合には積極的な意図がある場合と同視し得るとして,通行妨害目的についての原判決の解釈に誤りはないというが,認識があることを前提としながら,その認識の程度によって犯罪の成否を区別するのが相当でないことは前記のとおりである。なお,検察官のように,「通行妨害目的」を肯定するためには通行妨害について確定的認識が必要と言い切ってしまうと,嫌がらせ目的で危険接近行為をしたが,通行妨害についての認識は未必的であったという場合,本件罪は成立しないことになりそうであるが,それが妥当であるかも疑問である。
一方,弁護人は,本件罪の立法過程では,行為者の主観的事情として,人の死傷に対する認識認容を求めないものとしたために,処罰範囲の拡大が懸念され,暴行や傷害等に準じた重い刑罰に見合った「極めて危険かつ悪質なもの」に処罰範囲を限定し,かつ,その範囲を明確にするために目的犯とされ,この点について,立法担当者が,「妨害する目的で著しく接近し」とは,「相手方が自車との衝突を避けるために急な回避措置を余儀なくされる」ことを「積極的に意図して自車を相手方の直近に移動させること」をいう旨明らかにしているから,本件罪では,客観的行為態様に加えて,主観をも考慮に入れて行為の危険性を判断しなければならないのであり,通行妨害目的が認められるためには,確実な認識が必要であるとともに,積極的意図も必要である旨主張する。
しかし,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図して行う危険接近行為が極めて危険かつ悪質な運転行為であることはいうまでもないが,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行うのもまた,同様に極めて危険かつ悪質な運転行為といって妨げないと考えられることは,前記のとおりである。
ウ 以上の次第で,本件罪の通行妨害目的には,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行う場合も含むと解するのが相当である。

 

大阪高裁  平成28年12月13日

「通行妨害目的」について説示していますが、この判例自体に否定的な見解も多いのですよ。
未必的な認識を含めてしまうと、結局は目的犯として限定した趣旨から外れてしまうので。

 

で。
小難しい話になりましたが、妨害運転罪における「他の車両等の通行を妨害する目的で」というのに警察が「執拗性」を要件と考えているのは、結局はこれ。

 

妨害運転罪の中には「28条4項」が含まれますが、

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

「できる限り安全な速度と方法で進行しなかった」=危険な追い越しとも言えますが、法は「危険な追い越し」(28条4項の違反)と「妨害する目的での危険な追い越し」(28条4項の違反による妨害運転罪)を分けている。

 

○「できる限り安全な速度と方法で追い越ししなかったこと」(119条1項6号)

 

○「妨害する目的でできる限り安全な速度と方法で追い越しせず、交通の危険を生じさせるおそれのある方法だったこと」(117条の2の2第1項8号)

 

これが道路交通法上で別に扱われている以上、そこを線引きするラインが必要になる。
目的犯として限定し刑罰を重くした趣旨からみても「執拗性」は「妨害目的」を立証する明らかなライン。

 

そういう意味で「執拗性」を持ち出したのたと思う。

結局のところ

心情的には妨害運転罪にして欲しいのは当然として。
「通行妨害目的」についてはハードルが高いのです。

 

妨害運転罪の条文だけ読んだら当てはまりそうな気がするけど、「通行妨害目的」については論争があるわけで。

 

妨害運転罪の検挙数が少なく、判例にしても探した限りではこれくらいしか見当たらないのですが、

・警音器を執拗に鳴らし接近を繰り返したクルマの事例(秋田地裁 令和3年5月26日、神戸地裁 令和3年1月7日等)
・自転車のひょっこりさん(さいたま地裁 令和3年5月17日)

 

危険運転致死傷罪と同様にザル法になるんだろうなと思ってました。
要は、市民感覚の「妨害運転」と法律上の「妨害運転」には差がある。

 

とはいえ、

「できる限り安全な速度と方法で追い越ししなかったこと」(28条4項の故意犯、119条1項6号)

すら適用しない点に問題があるのであって、妨害運転罪以前の問題。

 

あと、システム上若干の違和感があるのですが、妨害運転罪で起訴し、予備的訴因として通常の「追い越し違反」を加えることが事実上不可能。
通常の「追い越し違反」(28条4項の故意犯、119条1項6号)は反則告知の青切符なので、切符を切って反則金を支払わない限りは公訴提起できない。
(支払った場合には当然刑事訴追不可能)

 

そうすると、妨害運転罪で無罪のなると追い越し方法には何ら問題がないという判決になるわけで、それもどうなんだろ。
妨害運転罪にはならないけど追い越し方法違反で有罪という判決は事実上出せないことになる。

 

結局のところ「通行妨害目的」については明らかに認定できるのは「執拗性」(積極的意図)。
しかし執拗性がなくても妨害目的は普通にあり得るわけで、どのように立証していくかの問題になる。

 

ちなみにですが、これ。

他の報道によると、妨害運転罪(逆走)で略式命令で確定しているそうな。

 

[逮捕]自転車に乗り足蹴りする人は、逆走妨害運転罪の人だった!
ちょっと前に、幹線道路を逆走して妨害運転罪で逮捕された人がいましたが、 なんとビックリ! 自転車で道路左側のど真ん中を通行し、足蹴りするような動きをしていた人と同一人物だった模様。 道路交通法違反容疑 今回の容疑は道路交通法違反となっていま...

 

ぶっちゃけて言えば、この人の行動は確かに「危険」だけどどちらかと言えば「迷惑」なだけであって、むしろ危険性でいえば追い越し事案のほうがはるかに高い。
真に取り締まるべきものについては「通行妨害目的」の立証が困難になる一方、まあまあどうでもいい「迷惑おじさん」は容易に通行妨害目的が立証される。

 

「桶川のひょっこりさん」についても、警察が動いたのは「多数の目撃情報」がきっかけだったと思いますが、

この人の判決文は裁判所ホームページにあります。

 

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 

公訴事実が5件ありますが、「第1」は別件として、第2~第5は安全運転義務違反。
ただし安全運転義務違反による妨害運転罪については第3~5のみ。
第2については妨害運転罪として起訴していない。

 

これを見ても、やはり「執拗性」を「通行妨害目的」の立証としていることが伺えます。
同じことを繰り返した=妨害目的は明らか、という単純な図式ですが。

 

結局のところ、当該追い越し事案について妨害運転罪で立件するには、あの大型車が他にも同様の追い越しを繰り返した証拠がないと警察的には動かない可能性が高い。
結局、妨害運転罪ってザル法止まりなのかなと思いますが、

①そもそも妨害運転罪ではない「追い越し違反」すら取らないことへの疑問
②「執拗性」から抜け出せない警察の姿勢

自分ならどうするかと言うと、まあ、都合がいい部分だけ切り取って、「通行妨害目的」として以下判例を提示。
クラクション鳴らしたくらいなので自転車の存在自体を認識していたことは明らかですし。

通行妨害目的には,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて危険接近行為を行う場合も含むと解するのが相当

 

大阪高裁  平成28年12月13日

「人又は車の通行を妨害する目的」とは,人や車に衝突等を避けるため急な回避措置をとらせるなど,人や車の自由かつ安全な通行の妨害を積極的に意図することをいうものと解される。しかし,運転の主たる目的が上記のような通行の妨害になくとも,本件のように,自分の運転行為によって上記のような通行の妨害を来すのが確実であることを認識して,当該運転行為に及んだ場合には,自己の運転行為の危険性に関する認識は,上記のような通行の妨害を主たる目的にした場合と異なるところがない。そうすると,自分の運転行為によって上記のような通行の妨害を来すのが確実であることを認識していた場合も,同条項にいう「人又は車の通行を妨害する目的」が肯定されるものと解するのが相当

 

東京高裁 平成25年2月22日

追い越し時の側方間隔については、いくつか判例を提示。

被告人に注意義務懈怠の事実があるか否かについて考えるに、一般に先行する自転車等を追い抜く場合(追越を含む。以下同じ。)、自転車の構造上の不安定をも考慮に入れ、これと接触のないよう安全な速度と方法によって追い抜くべき注意義務のあることはもとよりであるが、右の安全な速度と方法の内容は、道路の巾員、先行車及び追抜車の速度、先行車の避譲の有無及び程度、対向車及び駐停車両の存否等具体的状況によって決すべく、一義的に確定すべきでないところ、前記認定の被告人車の場合のように左側端から1mないし1.2m程度右側のところを進行中、道路左側端から0.8m程度右側を進行中の先行自転車を発見し、これを時速45キロ程度で追い抜くに際しては、先行車の右側方をあまりに至近距離で追い抜けば、自転車の僅かな動揺により或いは追抜車両の接近や風圧等が先行自転車の運転者に与える心理的動揺により、先行自転車が追抜車両の進路を侵す結果に至る危険が予見されるから、右結果を回避するため、先行車と充分な間隔を保持して追い抜くべき注意義務が課せられることが当然であって、本件においても右の注意義務を遵守し、被害車両と充分な間隔(その内容は当審の差戻判決に表示されたように約1m以上の側方間隔を指称すると解すべきである。)を保持して追い抜くかぎり本件衝突の結果は回避しえたと認められる以上、被告人が右注意義務を負うことになんら疑問はない。

 

仙台高裁秋田支部 昭和46年6月1日

※この手の判例はいくつもあります。

 

とりあえず警察が一旦受理する形まで持ち込まないと話にならない。
警察が仮に受理しても不起訴になるのがオチですが、判例をいくつか提示するだけでも対応が変わるとしか言えないですね。
結局のところ、「通行妨害目的」に「執拗性ガー!」という警察の見解自体はある程度妥当なので、「通行妨害目的にはこういう判例も出ているし、執拗性にこだわらなくてもいいんじゃね?ユーも前に進みなYo」とくすぐってあげるしかない。
ちなみにあんまり警察官を否定しすぎると、むしろ頑なになるのでややこしい。

 

けど、明確性が乏しい「できる限り」なんてルールにするからおかしくなるわけで、法改正も必要なのかと。

 

秘密の恋は認められても、未必の故意では認められない。
いや、逆であるべきか。


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