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Uターンと違反。それは何の違反になるのか?

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事故の詳しい原因や位置取りはわかりませんが、Uターンする際にきちんと確認せずにプレイした可能性が高そうですね。

23日午後5時半ごろ、東海市名和町の国道247号でUターンをしようとしたパトカーと後ろを走ってきたバイクが衝突しました。

 

パトカーとぶつかりバイク転倒 52歳男性ケガ 愛知・東海市の国道247号で今月2件目 事故直前に不審車両見つけたパトカーがUターン(CBCテレビ) - Yahoo!ニュース
23日夕方、愛知県東海市の国道で、パトカーとバイクがぶつかり、バイクを運転する男性が軽いケガをしました。

これを道路交通法で見てみます。

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Uターンと違反

双方の位置取りは不明ですが、バイクが後ろなのは間違いない。

 

ところで。
Uターンとは「転回」になりますが、25条の2第1項でいうところの転回とは、どのタイミングからが転回なのでしょうか?

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

というのも転回って、進路変更、横断、右折の要素を含みますよね。

これについては考え方が確立されてまして、転回の意思をもって進路変更し出した地点からが転回です。

 なお、道路交通法25条の2の1項は、横断、転回および後退の如き、交通の流れに沿わない車両の運転操作を放任するときは、歩行者又は他の車両の正常な交通を妨げ事故を発生させる危険が多いので、これを防止するためそれらの行為を規制しようとする趣旨であることから考察すれば、同条項にいう「転回」とは、同一路上において車両の進行方向を逆に転ずる目的でおこなう運転操作の開始から終了までの一連の行為を指称し、かかる目的で運転行為を開始すれば、方向転換が完了するにいたらなくても、同条項にいう「転回」に該当するものと解すべきである。

 

最高裁判所第二小法廷 昭和46年7月2日

転回とは転回の意思をもって進路変更し出したところから最後までが転回。
なので「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは」一連の動作を始めることができません。

なお、スイッチバック式転回も転回になります。
古い判例になりますが、転回禁止規制がある道路でスイッチバック式転回をしたことが違反なのかが争われた事例があります。

しかしこのように、スイッチバックすれば転回ではないという主張です。

弁護人の主張は、スイッチバック式転回は後退と右折だから転回じゃないし、現場検証のときに官庁用自動車が平然とスイッチバック式転回をしたのだからいいじゅないか!としてます。
しまいには「テストケース」呼ばわりしてますが笑。

第一点本件は東京都特別区公安委員会が「転回禁止No. U Turn」と表示した場所で「一旦小路にスイッチバツクしてから転回」したことが道路交通取締法第12条第2項の転回運転に該当するか否かというテストケースなのである。而して現在東京都に於ては直接のUターンは右法条に該当するが右のような方向転換は該法条に触れず禁止ないものと多くの運転手から解釈せられ現に本件実地検証の際にも僅か10分間位の間に判検事弁護士の眼の前で官庁用自動車である二台が相次いで併し何の連絡もなくその通り実演してスマシタ顔で平然と過ぎ去つたことが示す通り行われている点にテストケースたる所以があるのである。
形式的に之を論ずるならばその禁止の表示が「No. Uターン」となつていてとはなつていないこと同法第12条が「併進し又は後退し若くは転回」となつているので、ここに所謂「転回」とは「一度でやる∩型転回行為」を意味するのであるから何等違反しないといつて差支ない更に実質的に之を論ずるならば一旦車が停車して後続の車のいないことを確めてからスイッチバックして車の尻を小路につき込み、交通の安全を確めてから方向転換をするのである。この場合停車することも後退することも「他の交通の妨害にはならぬ限り」(同法12条第1項)差支ないのである。然るにスイッチバックは右にいう後退ではないので傾後方に尻を突込ことであるから「交通を妨害する虞」なき限り固より差支ない、運転手はスイッチバックの時、後続車の無いのを確めてからやるから固より何の交通上の危険もない。ここで車がスイッチバックして尻を小路に入れた時の状態から「転回」する時の状態を見れば車がその小路の奥から出て来て新に右転回をしようと思つて車の先を小路の先にノゾカセタ状態と少しも違いはないのである。右のように小路の奥から進行して来た車がその小路を出て右転回することが禁止されていないのに本件のようなスイッチバックの後に転回することを禁するという理由は毫も存在しないのである。交通安全を実質的に何等妨害するものでない点に於て両者差異はない。警視庁が之を変型的転回と称して運転手の教養講習に用いることは良い併しながら断じて違反事件として処罰することはできないのである。

 

昭和27年6月13日 東京高裁

裁判所の認定はこちら。

道路交通取締法が禁じて居る転回行為とは車馬が従来の進行方向とは逆の方向に進行する目的を以て為す同一路上に於ける方向転換の行為を汎称するものであつて、型に為す所謂ユー・ターンを最も其の典型的なものとし、之を一回の操作により短時間内に完了するのを通常とするけれども、該方向転換の途上-主として前後左右の交通状況等を確認し其の安全を図る等のため-一旦停止、改めて進行を開始して方向転換行為を終るが如きものも之を其の目的から観察して一の転回行為と解するのを相当とするのみならず、更に、従来の進行方向の路上に於て一旦停止し附近の小路の出口等に後退の上改めて直進横断して右折し、其の進行方向を転換して逆方向に進行するが如きものも亦、其の目的の「転回」せんがためのみである以上之を転回行為と謂うに妨げなく、況んや其の路面の転回禁止区域内なることを知り乍ら敢て該地点に於て転回せんとし、右の後退、横断右折等合法的方法によつて右禁止を回避せんとするが如きは同法所定の転回禁止に触れる行為であると謂わねばならない。
而も同法第12条第2項による転回禁止区域内に於ては同法条第1項に於ける場合と異り、該区域内に於ける転回行為を絶対に禁止する趣意であり、該行為当時具体的に他の交通を妨害する虞れがあつたか否か、之に対応する措置が講ぜられたか否か等は毫も右違反罪の成立に影響を及ぼすものではないと解するのを妥当とする。

 

昭和27年6月13日 東京高裁

こんな争いを見ると、今も昔も法律の盲点を突きたい勢力がいたんだなあと思ってしまいます。
なので転回とは、

・転回する目的でプレイ開始したら転回。
・スイッチバック式転回も、25条の2でいう転回。

ところが

転回動作と道路外に右折する動作って初期段階ではほぼ同じ。
両者では決定的な差がありまして、道路外に右折する車両に対しては、後続車には「合図車妨害禁止」が掛かる。

(道路外に出る場合の方法)
第二十五条
3 道路外に出るため左折又は右折をしようとする車両が、前二項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。

先行車が道路外に右折する際には「合図車妨害禁止」、転回するときには義務なし??
これについても判例があります。

右の地点は道路交通法2条5号にいう交差点にあたるものとは解せられない。)。しかして、およそ右折しようとする車両の運転者は、その時の道路および交通の状態その他の具体的状況に応じた適切な右折準備態勢に入つたのちは、特段の事情がないかぎり、後続車があつても、その運転者において交通法規に従い追突等の事故を回避するよう正しい運転をするであろうことを信頼して運転すれば足り、それ以上に周到な後方の安全確認をつくして後続車の追突を避けるよう配慮すべき注意義務はないものと解するのが相当である(昭和44年(あ)第1833号同45年9月24日第一小法廷判決・刑集24巻10号1380頁参照)。

(中略)

なお本件事故の場所が交差点ではないとし、被告人の本件所為は正確には右折ではなく、道路交通法25条の2にいう転回にあたるとしても、右の結論に差異を来さない。何となれば右に転回するときの合図の方法およびその時期は右折の時と同じである(道路交通法施行令21条参照)からである。

 

最高裁判所第一小法廷  昭和46年10月14日

後続車からすれば、先行車が道路外に右折するか転回するつもりなのかはわからない。
なので適法に合図があった以上は、後続車が無謀なアタックをすることを予見する義務はないことになります。

 

ところで。
25条の2第1項には過失犯の処罰規定がありません。
25条の2第1項における故意とは、「歩行者または他の車両等の存在することを認識」していれば故意が成立する。

交通取締りの現場などで横断または転回を行った運転者が自分では大丈夫と思い、正常な交通を妨害するおそれがあるとは思わなかった旨弁解している場合、当該運転者において歩行者または他の車両の存在すら全く認識しない場合は、危険発生のおそれに対して認識があるとはいえないかもしれないが、歩行者または他の車両等の存在することを認識しており、しかもその内容が社会通念上客観的にみて危険発生のおそれがあると認められる程度であるならば故意に欠けるところはないといってよい。

 

「道路交通法25条の2の横断、転回の意義及び問題点」、大山貞雄(徳島地裁判事)、判例タイムズ284号

じゃあ後方確認不足で後続車を見逃した状態で転回し、後続車の正常な交通を妨害した場合には25条の2第1項が成立しないことになりますが、これについては安全運転義務違反(70条)の過失犯を適用します。

25条の2第1項の故意 70条の過失
三月以下の懲役又は五万円以下の罰金(119条1項6号) 十万円以下の罰金(119条3項)

なかなか不思議な気がしますが、民事責任では転回した車両の過失がはるかに大きいのが実情。
警察ですらちゃんと確認しないまま転回動作に入るのか…という落胆しかありませんが、転回は優先順位からすれば道路上で最下位に属する危険なプレイ。

 

「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、転回してはならない」ですから。

 

いろいろ危ないので、現実的には「道路外のコンビニなどを使った転回」をすることになると思いますが、道路外に出るときは歩道や路側帯の直前で一時停止義務があるので(17条2項)、道路交通法のルールを厳守した転回ってかなりの注意義務があることになります。

 

気軽にプレイしちゃダメなんですよね。
特に「道路外に右折」するときには歩道や路側帯手前の一時停止義務違反がセットで伴いやすい。
そういうところを雑にした結果、事故リスクが高まるので要注意です。


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