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特定小型原付とは何をしたいのか。

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こういう意見を見ていると、なぜ特定小型原付が条件付きで歩道通行を解禁したのか考えたことがないのかな?と疑問に思う。

https://twitter.com/SuperSixEvo2021/status/1670268970929385472

特定小型原付はなぜわざわざ新設したのでしょうか。

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特定小型原付を新設した理由

そもそもの前提。

管理人
管理人
電動キックボードは元々、原付一種もしくは二種として公道走行は許可されていたし、いわゆる野良電動キックボード(違反)は普通にいた。

今までも謎の中国製電動キックボードなんて普通に販売されていたのよね。

 

そもそもなぜ特定小型原付という区分を作ったのか?を考えたときに、主に二点の問題があると思われます。

 

①「違反するな!ちゃんとナンバー付けろ!」などと言っても好き勝手に公道を走る電動キックボードは増えるばかり。
誰もが聖人君子ではないし、守らない奴は守らない。
特定小型原付としてルールを緩和することで、特定小型原付選ぶほうがメリットが大きいと思わせることで、社会秩序をコントロールしたい。
②野良電動キックボードについては、技術的問題から取り締まりすることが困難だった。
特定小型原付として形式認定をしっかりすることで、野良電動キックボードの流通を抑え、取り締まりしやすくしたい。

 

先に②のほうから。
今までは野良電動キックボードがナンバー無しで走行していた場合、事実上取り締まりは困難でせいぜい注意指導のみでした。
理由はシンプルで、出力不明の電動キックボードが原付一種なのか二種なのか明らかにしないと、違反事実を確定できないから。

 

もちろん、現場の警察官が検査をできるわけもない。
某県警では、「事実上取り締まりは不可能」と諦めムードでしたし。

左側が違反として検挙、右側が指導警告とありますが、なぜ整備不良や無免許、ノーヘル(実証実験ではないものはヘルメットが義務)などが「指導警告」になるかというと、そういう理由です。
不明な何かを無免許で運転した、不明な何かを整備不良(保安装備等)で運転したけど、不明な何かが法律上なんなのかを確定させないと違反として取れない。

 

指導警告になっている767件については、主に実証実験ではない野良電動キックボードを指していると考えられますが、こんだけいるのよね。
正体不明の野良電動キックボードは。
実証実験の電動キックボードについては、法律上の区分として原付(実証実験1期)、小型特殊自動車(実証実験2期)が明確なので青切符で対処できますが、正体不明の電動キックボードについてはまず「それはいったいなんなのか?」を確定しない限りは違反切符すら切れなかったわけです。

 

特定小型原付として形式認定された車種であれば、ナンバー無しなら違反事実が確定して取り締まり可能になる。
特定小型原付として形式認定されたモノを流通させて、しかも特定小型原付のほうがユーザーにウケて売れるようにすることは、今までの野良電動キックボードを市場から排除する方向にもなるわけ。
ナンバーつけて条件満たせばノーヘルで走れる特定小型原付と、必然的にヘルメットが義務になる原付扱いの電動キックボードはどっちがユーザーに支持されるかは明白なので、正体不明の電動キックボードを販売しても売れなくなる。
通販で販売されていた野良電動キックボードを市場から追い出して取り締まりしやすくする効果があると言えます。

 

警視庁なんかは独自に、通販等で販売されている野良電動キックボードやフル電動自転車を検査して出力などを調べてデータベース化していたみたいだけど、それも最近の話だし、次々と新しい電動キックボードが販売されたらいたちごっこでしかない
特定小型原付のほうがユーザーに売れると分かれば、市場に出回る電動キックボードも必然的に特定小型原付として形式認定されたモノばかりになるわけで、取り締まりの観点からもしやすくなります。

 

次に①。
実証実験+野良電動キックボードの違反で最も多いのは通行区分違反(歩道通行)。

 

電動キックボードの違反件数と事故数、暫定値が発表されたそうな。
元ネタがどこにあるのか、警察庁のホームページをみてもわからん。 道交法違反容疑などでの電動キックボード利用者の摘発が、統計を取り始めた2021年9月から22年11月までに1639件あったことが19日、警察庁の集計(暫定値)で分かった。人身事...

 

2021年9月から22年6月のデータは公表されてます。

これだけ歩道通行する電動キックボードがいて、取り締まりするにもマンパワー的な限界がある。
それなら一定の条件(自転車通行可の歩道&時速6キロモード)をつけて歩道通行を解禁したほうがルールが遵守され、しかも時速6キロなので歩行者への危害も減る。

 

野良電動キックボードで歩道を時速20とか30キロとかで爆走されるよりも、時速6キロで解禁したほうが歩行者も安全。
時速6キロ通行は電動車椅子と同じ。

 

社会秩序をコントロールする上では、取り締まりを強化するのも一つの方法。
けどマンパワー的な限界は見えてくる。

条件をつけて歩道通行を解禁したほうが歩行者の安全と社会秩序のコントロールになるわけですね。
シンガポールなんかは時速15キロで歩道通行させて失敗してますが、特定小型原付は時速6キロに抑え、しかも最高速度表示灯で外見上もモードがわかる(取り締まりもしやすい)。

 

○「歩道通行禁止」としても現実的にはたくさん違反者が出る

○歩行者の隙間をすり抜けるようにビュンビュン飛ばすから歩行者が危険に曝される

○好き勝手な速度で歩道を走られるよりも、低速通行を合法化したほうが歩行者への危害が減る

○時速6キロモードを作り、自転車通行可の歩道のみで解禁

 

誰しもが法律を守るなんてファンタジーがあるわけもないのだから、単に秩序のコントロールの仕方、安全形成のためのアプローチの仕方で解決したいのだろうと読み取れますが、

https://twitter.com/SuperSixEvo2021/status/1670268970929385472

こういう人はどこまで意味を考えているのか果てしなく謎。
そもそも、通販で販売されている正体不明の電動キックボードを取り締まりすることが困難だったこととか理解してないんじゃなかろうか?
もちろん、販売自体を規制することは事実上不可能。
「私有地で乗る目的だ」という言い訳を排除できないから。

 

自転車が歩道通行するには徐行義務がありますが(63条の4第2項)、徐行している自転車なんてほぼ見かけないレベル。
「自転車の歩道通行を解禁したことで法律を守らないバカが街に溢れたわ!」と言ったところで誰も守らないし、取り締まりを強化したところで減るわけでもないしマンパワー的な限界も見えている。
ちなみに昨日、歩道通行自転車にぶつけられそうになりました笑。

「自転車通行可」の標識なんてほとんど意味をなさなくなっていて、63条の4第1項3号の「やむを得ないと認められるとき」が拡大解釈されているのが現実。

 

じゃあどうすんの?となるわけですが、自転車の場合はややお手上げ感が出ちゃっている。
特定小型原付の場合はペダルによる人力ではなくモーター制御なわけで、スピードコントロールが機械的に容易。
歩道通行を解禁して徐行義務なんてしてもどうせ自転車と同じく誰も徐行しないのは目に見えているのだから、モードによる強制徐行にした点では自転車の失敗が活かされているとも言えるし、他国の失敗事例を考慮したとも取れます。

 

違反だ違反だ!と騒いだところで、現実的には減らないのはバカでもわかるし、秩序をコントロールして安全確保するために特定小型原付として緩和したとも言えるわけで、「違法走行の目撃ツイートガー」と言ったところで根本的な目的を理解してないのでは?

 

そもそも、今までも野良電動キックボードが違反しまくりだったのを取り締まりを容易にして社会秩序をコントロールしようとする意図や、歩道通行を条件付で解禁して安全形成したい意図が見えるわけでね。

電動キックボードがもたらす影響

実証実験については大別すると3期に分けることができます。

 

○ゼロ期

大学構内など私有地での実験

 

○実証実験1期

最高速度20キロに制限した電動キックボードを原付とみなし、特例で自転車レーンなどを通行可にした。

 

○実証実験2期

最高速度15キロに抑えた電動キックボードを小型特殊自動車とみなす特例にし、ヘルメット無しの実験をした。
クルマ扱いなので二段階右折禁止になってしまったが、「押して歩けば歩行者特例」も発動させて二段階右折風に横断歩道を通行することを可能にした。

 

「電動キックボードに公道走行を許可すると、法律を守らないバカが街に溢れる」って事がしっかり実証されたと思う

とのことですが、そもそも実証実験以前から野良電動キックボードで違法通行するバカはたくさんいたし、それこそクルマや自転車にしても、道路交通法上で公道走行が許されても法律を守らないバカは街に溢れている。
「法律を守らないバカが街に溢れている」のはクルマや自転車も同じなわけで、違反者が出ないなんてファンタジーの世界は最初から想定していない。
街中をみれば、歩道に駐車するクルマやら逆走する自転車は普通にみかけるわけで、バカが溢れているのは電動キックボードだけの話ではない。
それらを踏まえて社会秩序をコントロールするためにどうするかを考えるための目的も実証実験にはあったわけで、バカが溢れたら失敗みたいな単純な話なわけもないんだよね。

 

クルマや自転車の走行を許可したら公道にバカが溢れたから、クルマも自転車も禁止にしまーす!なんてわけもないだろうに。

 

なお、例えば自転車やクルマと比べて、電動キックボードの「バカ」(違反者)がどれだけ出たのかについては、比較検討することが困難。
単純に検挙数で比較できないからね。
また、違反晒しのツイート数なんてものは全くあてにならないのは言うまでもない。

 

違反者のバカがどんだけ出たのかを指標にしたら、じゃあクルマはどうするの?自転車はどうするの?となるだけなので、根本的にはそこに目を向けても無意味なんだろうなと思うけど、守らないバカが出る前提で安全を構築するのも一つの方法なんだろうなと思う。

 

まさか、先に存在していたクルマや自転車は既得権益的に許されて、新しいモビリティを排除するわけでもないでしょうけど。

 

違反するバカが散見されて発狂するなら、クルマや自転車なんて禁止にしないと辻褄が合わないだろうに。

 

まあ、どんだけ特定小型原付の違反者が出るかは未知数ですが、ほぼ自転車と同じルール。
仮に特定小型原付の大半が歩道通行時に「時速6キロモード」を遵守した場合、相対的に自転車の徐行義務違反が目立つ結果になるから皮肉だよなあと思っています。

 

そして、自転車乗りでも解釈に困る変形交差点での二段階右折の問題や、「歩道の中にある自転車道」の扱いなど「違反する気がないのに違反になる」事態も発生するでしょう。
特定小型原付は自転車道を通行する義務はないけど、通行は禁止されていない。
自転車道に進行するまでの僅かな「歩道部分」でモード変更や押し歩きが期待できるかというとムリだし、悪いのは「歩道の中にある自転車道」なんてものを乱立させた点にもあるけど、このあたりは自転車にも関わる問題。

 

そういう意味では特定小型原付問題は自転車ルールの問題に直結するので、だからだいぶ記事にて取り上げてきたのですが、違反という目に付きやすいところに着目したところで、「それは既存の車両でも変わらないでしょ」としかならない。

 

バカが街に溢れているのは、クルマも自転車も同じでしょ?
単なる偏見的な視点としか見えないのよ。
そして特定小型原付が自転車に与える影響とかも見えてなさそう。

 

無秩序に販売される野良電動キックボードを市場から追い出す効果も期待できるし、取り締まりもしやすくなる。
無秩序に歩道通行して歩行者に危害が及ぶよりも、電動車椅子と同じ時速6キロで解禁して歩行者の安全を確保し、しかも歩道通行したい需要にも応えている。

 

仕組みとしては申し分ないように思いますが、既存の電動キックボードが抱えていた問題点をどこまで理解して語っているのだろうか?
自転車通行可の標識がない歩道を通行する特定小型原付も当然出るだろうけど、好き勝手な速度で爆走されるよりも時速6キロならまだ他害性としてはマシなわけで、ある程度違反が出る前提で考えたんだろうな。
むしろ歩道通行時速6キロモードがある以上、かえって自転車の徐行義務違反がクローズアップされるだけにすらなりそう。

 

電動キックボードが時速6キロで低速進行する中、電動アシスト自転車に乗ったオバハンがベルを連打しながら爆走するなんて光景すら想像に難くない。

 

誰しもが法律を守るなんてファンタジーの世界は来るわけもないのでそれを見越しての法設計なんだろうなと思うけど、法整備するにあたり実証実験の詳細データを広く公開することなく、やたら急いで決めた感がある点では多少の疑問は残ります。
歩道の時速6キロモードにしても守らずに通常モードで爆走されたら無意味ですが、外見上でモードがわかるようにした点は明らかに取り締まりのしやすさを考慮している。

 

ただまあ、野良電動キックボードが大量に普及しつつある現状や野良電動キックボードの取り締まりが困難だった事情を考えると、早く基準を確立したかったのかもしれません。

 


コメント

  1. はる より:

    自転車の徐行義務が際だつのは盲点でした。そう考えるとむしろ歓迎すべきかもとさえ思いますね。
    ただ自転車型の特定小型が販売されてるのが気になるところです。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      ただし、特定小型原付が歩道上でモード変更しないで爆走されまくりなら無意味です笑。
      逆に特定小型原付が歩道通行モードを厳守した場合には、どう頑張っても時速6キロしか出ないので、自転車の違反が際立ちます。

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