ちょっと前に一方通行(自転車を除く)の逆向き通行と、一時停止義務について質問を頂きました。
地面にある一時停止線は車用にしか引いていないことが多く、たまに見落としてしまいます
この道を北から南へ通る場合足元には停止線ありませんが、上には裏向きの一時停止標識があります
この場合でも一時停止義務はありますか?
一時停止の効力
簡単にいうと、道路交通法43条の一時停止義務については「道路標識」が必須要件。
標識がなく停止線のみの場合、一時停止義務はありません。
標識、標示 | 意味 | |
一時停止(330―A・B) |
交通法第四十三条の道路標識により、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、車両及び路面電車が一時停止すべきことを指定すること。 |
|
停止線 | 車両が停止する場合の位置であること。 |
標識令と道路交通法は対照関係にあるので、道路交通法の各条で「道路標識等により」とある場合、標識令では「交通法○条の道路標識」と書いてあります。
停止線については、それ単独では何の意味もありません。
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
そしてこの場合、一時停止標識がないので一時停止義務はありませんが、「左右の見通しがきかない交差点」になるため徐行義務があります(42条1号)。
「自転車を除く」の一方通行の場合、逆向き通行すると基本的には一時停止標識がありません。
標識がなく、路面標示のみでは一時停止義務はない。
ですが左右の見通しがきかない交差点なら徐行義務があるし、交差道路が優先道路なら進行妨害禁止など他の規定に従うことになります。
ただし
じゃあ一時停止標識がなく、路面に止まれと書いてある場合に一時停止する必要がないのか?というと別問題でして、単に道路交通法の規定の範囲で一時停止義務がないだけで、事故が起きた場合には民事では「一時停止すべき注意義務違反」として過失になり得ます。
特に自転車同士の事故は過失扱いされやすい。
日本の道路交通は道路交通法のみならず注意義務違反について争うことが多いので(刑事の過失致死傷罪、民事責任としての過失)、道路交通法が全てという形態をとっていない。
なので標識がなく路面標示のみの場合、
一時停止しなかったことを理由に検挙されることはありませんが、事故が起きた場合には過失責任を負う可能性があります。
つまりは最徐行していればだいたいの場合は大丈夫かなと思うけど…という感じ。
ちょっと前に「追いつかれた車両の義務ガー!」という点で、罪刑法定主義がどうのこうのと力説していた人もいましたが、道路交通法上は自転車に追いつかれた車両の義務がない以上、追い越し妨害として加速したところで道路交通法違反にはなりません。
しかしそれが理由で事故が起きた場合に、過失致死傷罪や民事責任として過失にはなりうるわけで、罪刑法定主義なんちゃらもちょっと視野が狭いかな…とは思う。
道路交通法の具体的義務のほかに、注意義務があるのだから。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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