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横断歩道の無い交差点での歩行者事故、注意すべき点とは?

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横断歩道の無い交差点での歩行者横断事故のようですが、

警察によりますと、22日午後8時17分頃、宮城県仙台市太白区西中田3丁目の県道交差点で、道路を歩いて渡っていた近くに住む50歳の男性会社員が、左からきた軽乗用車にはねられました。

 

横断歩道の無い交差点 50歳の会社員男性が軽乗用車にはねられ頭に大けが 仙台 | TBS NEWS DIG (1ページ)
22日夜、宮城県仙台市内の県道交差点で、歩いて道路を渡っていた会社員の男性が、軽乗用車にはねられ、頭に大けがをしました。警察によりますと、22日午後8時17分頃、宮城県仙台市太白区西中田3丁目の県道交差点で… (1ページ)

片側二車線の道路で、左からきたクルマにはねられたそうなのでイメージはこうですよね。

※具体的な位置はわかりません。

 

このような事故の場合、クルマの運転手からみて歩行者を視認可能になったのはどの地点なのか?によって回避可能性が変わります。

 

おそらく事故現場はこのあたり(確証なし)。

 

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もしここが事故現場であれば、「付近」に横断歩道はなく最短の横断歩道でも100m程度離れています。

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どの地点で歩行者を視認可能だったか?

クルマが通行していたのが第1車線なのか第2車線なのか、歩行者の歩行速度がどうなのかなどによって変わるのであまりにも不確定な要素ばかりですが、ちょっと前に子供が乗った自転車が道路を横断中に左からきたクルマにはねられた事故の判決がありました(札幌地裁 令和5年4月18日)。

 

事故の態様としては似ている(どちらも夜間、左からきたクルマに衝突)のでこの判例をベースに検討してみます。
札幌地裁判決の事故概要。

被告人は、被告人車両を運転し、本件道路の第2車線(以下「本件第2車線」という。)をf方面からg方面に向かって進行していた。被告人車両の後方で第1車線を走行していたB運転車両(以下「B車両」とい
う。)のドライブレコーダー映像(甲5〔211110162401_0033.mp4のファイル〕)によれば、再生開始から24秒頃、被告人車両がB車両を追い越した。その前から32秒頃にかけて、対向車線は第1車線を中心に断続的に車が走行しており、被告人車両は、24秒頃から32秒頃まで約15m間隔で進行する10台の対向車両とすれ違い、その後衝突するまでは対向車両とすれ違っていない。
他方、32秒頃、被害者自転車が対向車線側歩道から対向車線に進入を開始した。
その後、被害者自転車はさらに被告人進行車線に進入し、34から35秒頃、公訴事実記載の場所である本件第2車線上(以下「本件衝突場所」という。)において、被告人車両と衝突した。38秒頃、被告人車両は停止した。

3 本件衝突場所付近の道路状況についてみると、本件道路は、本件衝突場所の9.8m手前で市道(以下「本件市道」という。)と交差しており、本件道路が優先道路であった。

 

札幌地裁 令和5年4月18日

要は「対向車がいたか?」次第な面が大きく、対向車が何台も来ていたなら加害者からすると視認可能になる位置が遅れる。
札幌地裁判決では、被告人が被害者を視認可能になった位置がどこなのか検討されています。

 

検討された点はこちら。

①被害者自転車が歩道上にいた時点(㋐付近)
②被害者自転車が歩道から車道に乗り入れ始めた時点(Ⓟ’1付近)
③被害者自転車全体が対向車線の第1車線上に進入した時点(Ⓟ’2付近)
④被害者自転車が対向車線の第2車線に進入し(Ⓟ’3)、又は、中央線に到達した(㋑)時点

札幌地裁判決では、これらのポイントについて、

・視認可能だったか?
・視認可能だったのに被告人が見逃したか?
・視認可能だった時点で急ブレーキを掛けた場合に事故を回避可能だったか?

などを争点にしています。

 

夜間ということもあり、結局は対向車がどの程度来ていたかに左右されてしまうわけです。
また、もう一つ重要なのは、加害者が道路右側を注視すべき状況にあったかどうか。

 

この場合、加害者が進行していたのは優先道路になるので徐行義務がなく、前方左右を注視して制限速度内で進行する義務を負っていたと考えられますが、加害者の進路前方に駐停車車両があればそちらを気にしながら進行することが自然だし、仮に第一車線を進行していたなら右側歩道よりも左側歩道をより注視して進行することが自然。

警戒すべきは左側歩道からの横断歩行者ですから、それは仕方がない話になります。

 

結局、
・対向車の動静
・横断歩行者を視認可能になった地点
・加害者車両の進路前方の状況(駐停車車両など)
・加害者車両の通行位置
・速度超過の有無

 

こういうことに左右されてしまうので、報道をみてどっちが悪いとか語ることは無理なんですよね。
民事の過失割合にしても、このようなタイプだと加害者過失は90%とかになることもあれば、0%になった判例もあるので基本過失割合で考えても意味がなく、具体的な状況に左右されてしまいます。

ということで

具体的な状況がわからないと誰がどうとか言えるわけもありませんが、例えば上で挙げた札幌地裁判決の場合。

 

被害者を視認可能になった地点はどこなのか?になりますが、

①被害者自転車が歩道上にいた時点(㋐付近)
②被害者自転車が歩道から車道に乗り入れ始めた時点(Ⓟ’1付近)
③被害者自転車全体が対向車線の第1車線上に進入した時点(Ⓟ’2付近)
④被害者自転車が対向車線の第2車線に進入し(Ⓟ’3)、又は、中央線に到達した(㋑)時点

①、②、③が否定されて④の時点で被告人が被害者を視認可能になったと判断されています。
なので被告人からすれば直前横断にみえるし、対向車と被害者の関係なら直後横断とも言える。

 

具体的内容がわからないものについてどっちが悪いだの語り出したりするほうが危険な思考だと思うけど、仮にこの場所で横断需要が多いなら、横断歩道等を検討すべきなんじゃないかと。

 

直前直後横断って、様々な要素に左右されるので具体的な状況がわからないと判断しようがないけど、安易に直前横断と決めつけるのもどうかと思うし、直前横断ではないと決めつけるのもどうかと思うし。
結局、「わからない」としか言えないけど、横断需要が多いなら横断歩道の設置など考えないとダメですよね。

 

100m先まで迂回して!と指導したところで効果はないでしょうし。
なお、事故については警察が詳細を発表することは通常ありません。
なお道路交通法の問題でみるなら38条の2(横断歩行者の優先)、もしくは36条4項(交差点安全進行義務)になりますが、歩行者側の直前直後横断があれば38条の2は関係しません。
ただまあ、実態として対向車が全くいない「見通し良好」だったならば、

車両の前方不注視でしかない。
状況がわからないものはわからないので、車両を運転する立場では制限速度遵守と前方左右の注視を心掛けるしかありません。

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