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「交通規制」の話。

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先日書いたこちらなのですが

 

ツールド北海道における「交通規制」と「自主規制」の意味。
先日、ツールド北海道事故の第三者委員会が開催されましたが、 そもそもの話として、道路左側が「警察による交通規制」、対向車線(KOM付近などを除く)が「自主規制」という意味をまだ理解してない人もいたりします。 警察によりますと、現場はカーブが...

 

そもそもの話として書きますと、読者様数名から「あるYouTuberの内容は間違いですよね?」と質問を頂いてまして。

 

チラっと見ましたが、YouTuberの方が勘違いしているようです。

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「交通規制」の意味

先日書いたおさらいをしておくと、ツールド北海道のこれ。

警察によりますと、現場はカーブが連続する片側1車線の山間路で、自転車の走行車線を警察が公式に規制、事故車両が走行の反対車線を大会を主催、運営する公益財団法人「ツール・ド・北海道協会」側が警備、規制していました。

 

「ツール・ド・北海道」死亡事故…協会は「警備員が規制前に事故車両に気づき、コースから出るよう要請」と新たに説明も、来年の開催困難の見通し(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース
国内最大規模の自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」の死亡事故は、発生から間もなく2か月…事故を検証、再発防止策などをまとめる第三者委員会の初会合で、大会を主催、運営する協会は「規制前、コースに

 

「自主規制」とは何なのか?というと、そもそもの話。
「交通規制」を行う権限は道路交通法上、以下にしか認められていない。

交通規制をできる人 根拠条文
都道府県公安委員会 4条
警察署長 5条
警察官又は第百十四条の四第一項に規定する交通巡視員 6条

いわゆる「道路使用許可」(77条)って、道路使用許可を得た者に対しては「交通規制をする権限」は付与してなくて、77条3項のこれは法令上、「交通規制」ではなく「誘導、整理など」なんですね。

3 第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、所轄警察署長は、当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き、当該許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる

「交通規制」という言葉の意味を理解してないと、何のことだかわからなくなる。
で、これの件みたいですが、

ずいぶん古い通達を出すんだなあと思いますが、これで紹介されている通達。

一部抜粋します。

(4)使用する道路及び交通の状況
ア 原則として、主要幹線道路、幹線道路、路線バス通行道路その他の交通量の多い道路又は地域住民の日常生活の基幹となる道路等を使用するものでないこと。
イ 競技実施に伴い、順行の交通の通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が交通の著しい妨害とならない時間内となるように計画されていること。
ウ 原則として、競技実施に伴い対向の交通の通行止め規制を実施する必要がないものであること。ただし、やむを得ず対向の交通について通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が長時間に及び交通の著しい妨害とならないように計画されていること。

要はこのYouTuberの方は、「通行止め規制」とは77条3項でいうところの「当該許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件」だと解釈したみたいなんですが、ここでいう「通行止め規制」とは法5条1項、令3条の2第1項の「交通規制」の話なのよ。

(警察署長等への委任)
第五条 公安委員会は、政令で定めるところにより、前条第一項に規定する歩行者等又は車両等の通行の禁止その他の交通の規制のうち、適用期間の短いものを警察署長に行わせることができる
(警察署長の交通規制等)
第三条の二 法第五条第一項の規定により公安委員会が警察署長に行わせることができる交通の規制は、次に掲げる道路標識等による交通の規制(法第四条第一項後段に規定する警察官の現場における指示によるこれらの交通の規制に相当する交通の規制を含む。)で、その適用期間が一月を超えないものとする。
一 法第八条第一項の道路標識等
二 法第九条の道路標識等
三 法第十三条第二項の道路標識等
四 法第二十二条の道路標識等
五 法第二十五条の二第二項の道路標識等
六 法第三十条の道路標識等
七 法第四十二条の道路標識等
八 法第四十三条の道路標識等
九 法第四十四条第一項の道路標識等
十 法第四十五条第一項又は第二項の道路標識等
十一 法第四十五条の二第一項の道路標識等
十二 法第四十六条の道路標識等
十三 法第四十八条の道路標識等
(通行の禁止等)
第八条 歩行者等又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない。

77条の「道路使用許可」では「交通規制」を行う権限を付与していない。
「交通規制」はあくまでも公安委員会、警察署長、警察官等にしかできないわけですが、通達にある「通行止め規制」とは法5条1項、令3条の2第1項1号、法8条の話なのね。

(4)使用する道路及び交通の状況
ア 原則として、主要幹線道路、幹線道路、路線バス通行道路その他の交通量の多い道路又は地域住民の日常生活の基幹となる道路等を使用するものでないこと。
イ 競技実施に伴い、順行の交通の通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が交通の著しい妨害とならない時間内となるように計画されていること。
ウ 原則として、競技実施に伴い対向の交通の通行止め規制を実施する必要がないものであること。ただし、やむを得ず対向の交通について通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が長時間に及び交通の著しい妨害とならないように計画されていること。

ツールド北海道の事故現場について、道路左側が警察規制、対向車線が自主規制と言われる理由は、道路左側には警察署長規制(5条1項)がかかっているけど、道路右側にも「道路使用許可」(77条1項4号)を出している。
なので対向車線は「道路使用許可」に基づいて、「誘導や整理等」を行うようにと警察署長から条件を付与されているだけになり、「自主規制」と呼ばれる。

 

そして一般向けに告知する際に、例えば道端の看板に「自主規制」と書いても意味がわからないでしょ。
あくまでも主催者の意思としては、対向車線も一般車両に通行して欲しくないのだから、「交通規制のお知らせ」みたいに書かないと伝わらない。

 

なのでYouTuberの方が「交通規制」という法令上の意味を理解してなかったばかりに、警察庁の通達を読み間違いしただけなのよ。

道路左側 対向車線
報道されている呼び方 警察による交通規制 大会主催者による自主規制
一般向けに行う事前の告知 交通規制 交通規制
法令上の呼び方 交通規制 道路使用許可(4号許可)
根拠法 法5条1項、令3条の2第1項 法77条1項4号

ちなみに通達は、警察が警察に出したものなので、「通行止め規制は警察署長規制」だというのは警察内部の人なら当たり前に理解しているので詳細な説明をする理由がない。
一般向けではないので。

 

「交通規制」が意味するものがなんなのかを見逃したから、交通規制(警察署長規制、5条1項)と道路使用許可に関する条件(77条3項)がゴッチャになって取り違えているのだと思いますよ。
「自主規制」という言葉を使う意味は、法令上の「交通規制」ではないという意味だけでしょう。
法令上の「交通規制」に対して区別する意味合いで「自主規制」と呼んでいるだけなので。

 

なので「自主規制」といいながらも「通行はやめてくれ」と車両にいうわけなので、単に法令上の区別。
実務上はどちらにせよ「通行しないで」と止めることになりますが、法令上の概念として区別しているだけでしょう。
まあ、実態はスルーでしたが。

なので

個人的にはどうでもいい話ですが、このYouTuberの方ってちょいちょい法律解釈を間違っているイメージしかなくて、しかもやたら自信満々に言い切るから信じる人もいるみたいですが、何を見るときも鵜呑みにしないほうがいいですよ。

 

それは解説書やうちも含めて。

 

「交通規制」という言葉について法令上の意味と、一般向けの意味が必ずしも同じではないから意味を取り違えているのでしょうけど、「交通規制(警察署長規制)」と「道路使用許可」は全く別の話なのに、道路使用許可を得れば「通行止め規制」をできるとYouTuberの方が勘違いしただけの話。

 

ただし若干疑問なのは、間違った内容でおかしな方向にまで批判を向けようとしている点。
一年以上前から対向車線が自主規制である方式について「危険だから大幅な改善が必要」だと警告されていたのに、結局同じ方式で開催して事故が起きた。

 

それの原因を追及するべきなのに、「自主規制なんて主催者が勝手に言っていることで間違いだ」とかウソを流してまで批判するのはちょっと違うんじゃないかな。
論点がボヤけて逆効果としか思えませんが。

 

なぜ主催者やマスコミが「対向車線は自主規制」というのかというと、

道路交通法上、道路使用許可を得た者には「誘導、整理、お願い等」をする権限はあっても、「交通規制」をする権限まではないので、法令上は「自主規制」にしかならないから。
「通行止め規制」をするには警察署長規制(5条)が別に必要になるが、ツールド北海道の事故現場は「道路左側は警察署長規制」、「対向車線は道路使用許可」になっていた関係で、対向車線は主催者が自主規制という扱いだった。

主催者に対して批判する必要がないポイントまで間違った知識で批判することの必要性がよくわかりませんが、こちらにも書いたように、主催者に問題があったということは間違いないかと。

 

ツールド北海道における「交通規制」と「自主規制」の意味。
先日、ツールド北海道事故の第三者委員会が開催されましたが、 そもそもの話として、道路左側が「警察による交通規制」、対向車線(KOM付近などを除く)が「自主規制」という意味をまだ理解してない人もいたりします。 警察によりますと、現場はカーブが...

 

ちなみにですが

ツールド北海道事故について、「はみ出した選手が悪い」とか「対向車が悪い」とかいう人もいますが、そこはそもそも論点になり得ないと思ってます。

 

というのも、故意だろうと過失だろうと、片側一車線の狭い道路にて道路右側にはみ出しただけで危険があるようなシステムでレースを開催した点が問題なのであって、右側にはみ出すことは集団落車や接触でも起きること。

 

対向車にしても、きちんと誘導や整理(いわゆる自主規制)をしない主催者が悪いのであって(ただし法律上は規制効力がない)、現にスルーさせている動画も出てますしね。

 

主催者に重大な問題があったことは間違いないので、それに対する批判が出るのは当然と考えますが、なんかおかしな方向に話が展開している気がします。
自主規制自体もお粗末に見えますが、そもそも一年以上前から「現行方式の危険性」を指摘されていたわけで、自主規制のお粗末さではなくて「両面警察署長規制じゃないとリスクが高いコース」だと思うのよ。

 

どうも自主規制のお粗末さ、先導車の不在、選手のはみ出しという点を「ヒューマンエラー」だと捉えている様子ですが、ヒューマンはエラーする前提で話を進めないとまたいつか同じことの繰り返し。

 

その事故は「ヒューマンエラー」なのか?
ツールド北海道事故の第三者委員会、初会合が開かれた件は先日も書きましたが、 やはり疑問。 その事故は「ヒューマンエラー」なのか? ちょっと気になる点はこれ。 座長に選ばれた北海道大大学院の萩原亨教授は終了後の記者会見で「事故はヒューマンエラ...

 

ただまあ、「交通規制」という言葉の意味を理解しないままおかしな解釈をするのは違うと思うので、書いておきます。
道路使用許可を得ても、民間人は「規制」する「権限」がないという点を見逃して混同しているのかなと思いますが、用語の意味を理解しないまま条文や通達を読めば間違うのはよくある話ですから。

 

法令解釈ってややこしいよね。
その条文だけを見てもわからないようになっていて、「交通規制をできる人」は別に規定されているのだから。


コメント

  1. 中村光貴 より:

    「路上競技に伴う道路使用許可の取扱いについて(平成17年警察庁丁規発第46号)」
    こちらの通達は、「期限切れ」ではなく現行のものです。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      期限切れか期限切れでないかは記事の結論に影響しませんのでどちらでもかまいませんが、平成27年までとなっていますね。

      • 中村光貴 より:

        平成27年であるのは、原議保存期間です。
        通達の有効期限ではありません。

        • roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          「通達廃止」の話ではなく、保存期間の期限切れの話を書いたものですが、「廃止」と「期限切れ」の話を混同されてませんか?

  2. shtakah より:

    道路交通法5条1項及び4条1項後段に基づく「公安委員会の『管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示』による『道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制』」(以下,「警察官現場指示による交通規制」といいます。)は,本件の道路使用許可が道路左側部分(順行側車線)についてだけ出されている場合であっても,公安委員会が道路左側部分及び道路右側部分(対向車線)の両方について警察官現場指示による交通規制を行うとしているときは,警察官が道路右側部分についても警察官現場指示による交通規制を行うことができるのではないでしょうか。また,公安委員会が警察官現場指示による交通規制を道路左側部分についてだけ行うとしている場合でも,レース現場に配備される警察官の人数,レースに参加している競技車の数等からして,コースの全域にわたり,競技自転車その他のレース関係車両の先頭から後尾までについて,警察官現場指示による交通規制だけで競技自転車その他のレース関係車両並びに対向車線の車両等の安全が十分に確保されるとは考えにくいですので,道路左側部分についても,法定外(法的な強制力のない)の民間人(警察官でない者)による「交通誘導」等の自主規制が必要になることがあるのではないかと思われます。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通り、それもあり得ると思っています。
      ただし、若干疑問が残るといいますか、「左側のみ使用許可だけど反対車線の警備もしなさい」というよりも、道路両側に使用許可(左側には警察署長規制でオーバーライド)と捉えたほうがすっきりする面もあり、正確なところは不明ですね。

  3. jukka より:

    その人路上講習しますと商売もしているので断定口調で言い切られると信じてしまうのですごい迷惑なんですよね

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      路上講習とは何の話でしょうか??
      断定的に間違った情報を言い切るのはやめて欲しいところですが、なんか偏った人なのかと思ってます。

      • jukka より:

        動画の概要欄をみるとペーパードライバー用の講習塾やってますって出ます
        一部で有名人です

        • roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          そういう人でしたか。
          そのわりに法律解釈をよく間違っているイメージしかないので、なかなか変わった人なんですかね。

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