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「自転車は信号を守れ!」という前に、まずはルールの間違った解説を無くさないか?

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以前読者様から指摘された動画になりますが、

「自転車は信号を守れ!」というのは当たり前ですが、そもそもマスメディアが自転車のルールを理解してないのよ。

①1:05あたりからの自転車は並進違反になりますか?
②1:18あたりからの「路側帯だから信号無視にならない」は正解ですか?

結論から言うと、①は並進違反にはならないし、②は信号無視になります。
マスメディアが平然と間違ったことを主張している現状は、かなり危うい。

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並進違反にならない理由

自転車の並走禁止は19条にありますが、

(軽車両の並進の禁止)
第十九条 軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない。

この規定はちょっと分かりにくいけど17条4項に

道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)

とある以上、読み替えて解釈すると警察庁が説明しているのよ。
読み替えたバージョンはこちら。

(軽車両の並進の禁止)
第十九条 軽車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。)において軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない。

映像の自転車は路側帯の中で並走しているため、並進禁止規定に抵触しません。
歩道又は路側帯がある道路では「車道における並進を禁止」なので。

 

これ、まあまあややこしい。

路側帯通行自転車が信号無視になる理由

これは以前、理由を書きましたが

 

路側帯通行自転車は信号規制の対象です。
先日の記事についてご意見を頂いたのですが、 2:30あたりから。 これは信号無視なんですよね。 路側帯通行自転車は信号規制の対象 交差点の範囲には路側帯が含まれますが(2条1項5号)、 路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道...

 

路側帯は「交差点」に含まれる。

路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点という

 

東京高裁 昭和60年3月18日

なぜこうなるかというと、交差点の定義が「歩道と車道の区別のある道路においては車道」であり「歩道等と車道の区別のある道路においては車道」になっていないから。

五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。

信号の意味は交差点に進入することを禁止している以上、路側帯通行自転車は赤信号で交差点に進入できない。

信号の種類 信号の意味
赤色の灯火 一 歩行者等は、道路を横断してはならないこと。
二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。
備考 この表において「停止位置」とは、次に掲げる位置(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)をいう。
一 交差点(交差点の直近に横断歩道等がある場合においては、その横断歩道等の外側までの道路の部分を含む。以下この表において同じ。)の手前の場所にあつては、交差点の直前

歩行者は赤信号で「横断」のみを禁止されているため進行できますが、路側帯通行自転車は赤信号で交差点に進入できない。

 

そして「交差点の範囲」には隅切りを含みますので、路側帯通行自転車は隅切りを考えて「交差点の直前」で停止することになる。

なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。

最高裁判所第三小法廷  昭和43年12月24日

なのでマスメディアの説明は普通に間違いになりますが、マスメディアが大々的に「OK」という中、「信号を守れ」というむなしさ。

 

たまらないですよ。

路側帯を交差点に含めた理由

路側帯は昭和46年改正道路交通法で新設されましたが、それ以前は歩道がない場合の車道外側線の外側については不明解でした。
昭和46年に路側帯を新設した際に路側帯も交差点に含めた理由を考えると、結局は単なる線に過ぎないから事実上車両が通行するリスクからなんじゃないかと。

 

実際、このような判例もありまして、

路側帯通行禁止のオートバイが時速50キロですり抜けしたことに対して、交差点での直進優先が適用になるか?という問題です。

路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点ということ、道路交通法37条は路側帯を含む交差点通行車両全体についてその進行上の優先関係を規定していること、同法37条にいう車両等には軽車両を含むこと及び路側帯を通行する車両についても直進車優先が適用されることは原判決の判示するところである。従って、右折車は、路側帯を適法に通行する自転車等の軽車両の直進車の通行を妨げてはならないことは明らかである。

 

しかし、路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているもの(ただし、歩行者の通行が禁止されている自動車専用道路の場合を除く。)であって、軽車両だけが、著しく歩行者の通行を妨げることになる場合を除いて、通行を許されているにすぎず、この場合においても軽車両は歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行しなければならないもの(同法17条の2第2項)とされているのである。ところで、路側帯の通行を許された軽車両とは、人又は動物の力により運転する車両に限られる(同法2条1項11号、16条2項)のであって、これらの車両は自動車や原動機付自転車と異なりその性質上低速のものであり、かかる軽車両だけが歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することを許されているにすぎない路側帯は、本来高速の車両の通行を全く想定していないものと考えられる。もっとも、現実には法律上路側帯の通行を禁止されている原動機付自転車や自動二輪車が路側帯内を通行する事態が時にみられるのであり、このような現実を全く無視することはできないが、このような場合であっても原動機付自転車や自動二輪車の側では適宜速度を調節して進行するのが一般的であり、これらの車両が時速50キロメートルもの高速度で路側帯内を通行することは通常予想されないところといわなければならない。そうすると、このような異常な走行をする直進車については、交差点における直進車優先の規定の適用はなく、右折車はかかる直進車に対してまでその通行を妨げてはならない義務があるものとは解されない。

 

(中略)

 

右通行余地を自転車、自動二輪車等が進行してくるに備えブレーキペダルに右足をのせ左方を注視しながら時速5、6キロメートルで進行したところ、左斜め前方約12mの地点を対向して進行してくる自動二輪車(以下、被害車両という)を認めて急制動し、被告人車の先端がわずかに路側帯内に入った地点で停止したことが認められるのであって、被告人としては右通行余地を対向して進行してくる車両に対して相当の注意を払っていたものと認められる。そして右の程度の注意を払っていれば、路側帯内を適法に進行してくる歩行者や軽車両は勿論、原動機付自転車や自動二輪車が進行してくる場合であってもそれらが適宜速度を調節して進行してくる限り、それらとの衝突を回避することが十分可能であったと認められる。もっとも、右の程度の注意では被害車両の如く路側帯内を時速50キロメートルもの速度で進行してくる車両との衝突を回避できないけれども、これを以て被告人の過失とみることは相当ではない。すなわち、前説示どおり路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているのであり、例外的に自転車等の軽車両が歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することが許されているにすぎないのであって、本来高速の車両の通行を全く予定していないのである(以下略)

 

東京高裁 昭和60年3月18日

路側帯を高速度ですり抜けて直進優先にはならないとした判例になりますが、仮にこれが信号交差点だったとしたら、路側帯からすり抜ければ信号無視にはならないという不合理な事態になるから、路側帯も交差点に含めたのではないかと。

 

マスメディアも豪快に間違っている中、知らずに信号無視した自転車を「悪質な違反」とは思えないですが、自転車のルールが地獄なのは、きちんと理解している人がほとんどいない程度に「分かりにくい」点にあると思う。

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