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自転車の路肩走行は違反?勘違いしやすい道路交通法の罠。

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読者様から、このように路肩走行することは違反なのか?と質問を頂きました。

これについてですが、そもそも「車道」とはどこまでを指すのかを理解すれば簡単です。
そしてこの件、ネット上では間違っている説明が多い。

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車道とはどこまで?

いきなりですが質問です。

 

道路交通法上、車道とはどこまでを指すのでしょうか?(歩道があります)

①歩道の縁石まで
②コンクリートブロックまで
③車道外側線まで

 

これ正解は①になります。

道路交通法上の車道の定義を確認します。

三 車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。

つまり、車道とは以下のどちらまでになりますよね。
・縁石線若しくは柵その他これに類する工作物まで
・道路標示まで

 

勘違いしやすいポイントは車道外側線。
車道外側線って「道路標示」ですか?
違いますよね。

 

標識令によると、車道外側線とは「別表第三(第五条関係)」に規定されてますが、5条は道路標示ではなく区間線

(種類及び設置場所)
第五条 区画線の種類及び設置場所は、別表第三のとおりとする。

なので道路交通法上の車道は、歩道の縁石までになります。

 

勘違いしやすいポイントとしては、「道路交通法の車道」と「道路法(道路構造令)の車道」は範囲が違うところ。

あくまでも「車両の通行方法」について話をしているので、道路法(道路構造令)ではなく道路交通法の車道の話。
なので道路交通法上の車道とは、歩道の縁石までになります。

所論は、車道外側線から歩道までの幅約1.2mの部分は、総理府・建設省令第三号「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」第5条、第6条、別表第三、第四により、車道ではなく、単車の通行は許されないから、被害車の通行可能な部分は約0.5mしかないのに、原判決が、車体幅約0.58mの原動機付自転車の通行には支障のない状態であったと認定しているのは誤りである、と主張する。
しかし、車道外側線は、道路構造令(昭和45年政令第320号)でいう車道と路肩とを区分するために両者の境界に引かれた区画線であり、その線の外側、すなわち車道外側線と歩道との間の部分も道路交通法上は車道にほかならないから、車両がそこを通行することは何ら違法ではない。

 

大阪高裁 平成3年11月7日(最高裁判所 平成5年10月12日上告棄却)

道路交通法上と道路法(道路構造令)では車道の範囲が違うから間違いやすい。

そしてさらに勘違いしやすいポイント。
歩道がない場合」には、車道外側線は区間線ではなく道路標示とみなすことになっています(標識令7条)。

(道路標示とみなす区画線)
第七条 次の表の上欄に掲げる種類の区画線は、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「交通法」という。)の規定の適用については、それぞれ同表の下欄に掲げる種類の道路標示とみなす。

区間線 道路標示
車道外側線」を表示するもの(歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられ、かつ、実線で表示されるものに限る。 「路側帯」を表示するもの

歩道がない場合の車道外側線は「道路標示」になるため、車道の範囲は車道外側線まで。

 

結構厄介なのは、「車道外側線の外側から歩道までは車道ではない」と思い込んでいる人が、ここを自転車に乗って逆走すること。

 

本人なりに何ら悪気がなく逆走しているので、なおさらタチが悪い。
確かに左側通行の原則は「車道」「歩道等と車道の区別がない道路」に適用するルールなので(17条4項)、「車道ではない」と思い込んでいたら逆走しても問題ないことになってしまいます。
そして他人がこの部分を逆走しているのを見て「逆走OKの場所」だと勘違いして…と悪循環に陥りますが、割合的には勘違いしている人はまあまあ多い。

それを踏まえて

冒頭の動画については、コンクリートブロック上も道路交通法上は車道。
なので違反にはなりません。

 

ただまあ、「違反にならないこと」と「安全かどうか」は別問題。
ろくなことにならないので、コンクリートブロック上は無意味に走らないほうがいいですね。

 

よくある「すり抜け」にしても、基本的には合法です。
しかしそれが安全かどうかは別問題だし、下記のような判例(業務上過失傷害罪)もあります。

 

二輪車のすり抜けは「違法」になるか?
ちょっと前に書いたこちらですが、 この中で書いた札幌高裁判決の件。 「原付のすり抜けが違法という判断なのか?」と質問を頂きました。 「すり抜けが違法」ではなく、「減速せず前方不注視のまますり抜けしたことが安全運転義務違反」という意味合いにな...

 

この判例は「道路外に右折」するために渋滞車列間を右折横断したところ、すり抜けてきた原付と衝突。
右折横断した運転者が業務上過失傷害罪に問われた判例です。

第2停止地点ですり抜けする2輪車がないか確認してから進行したものの、2輪車と衝突。

この判例は何度か取り上げていますが、渋滞車列の間から「頭を出して停止して確認」したところがポイント。

そして、被告人が右第二停車地点を発進し、本件車道部分を横断するに際して、被告人車が、すでに前述のようになかば以上対向車線の横断を終え、さらに本件車道部分の安全を確認するため一時第二停車地点にボンネツトが右車道部分に約70センチメートル出た状態で停車したことにかんがみれば、条理上すでに本件車道部分を直進して来る車両に優先して同所を横断することのできる立場にあつたものと解するのが相当である。

 

さらに前認定のように当時第二停車地点から左方(東方)にも西方交差点の青信号を待つて渋滞する車両が何台も続いており、被告人が一たん下車して左方を見通した時点から再び乗車して自車を発進させ横断を完了するまでにすくなくとも数秒を要するものと解されるところ、その間における左方車両の安全をあらかじめ見越すことは実際上極めて困難であるうえに対向車線上の車両の通行にも多大の支障をきたすおそれがあつたものと認められる。また関係証拠によれば、被告人は当時外出先から自宅に帰る途上であつて、格別自車に同乗する者もなく、したがつて車外で左方の安全を確認し被告人車を誘導する適当な第三者も見当たらなかつたことが認められ、被告人の下車ないしは他の者の誘導による左方の安全確認がいずれも期待しがたい状況にあつたことが明らかである。右のように被告人車に本件事故に直結する交通法規の違反を見出すことはできない。

 

札幌高裁 昭和51年8月17日

(二)  被害車の運転態度

他方前認定によれば、被告人は、第二停車地点において南側の渋滞車両の側端から本件車道部分に自車のボンネツトを約70センチメートル突き出して停車しており、右車道部分を直進してくる車両に対し、横断中の車両があることを示していわば警告を発していたのであるから、被害者は被告人車の動向、ことに被告人車が同所を横断しようとしているものであることを十分認識しえたはずである。しかも、当時本件事故現場は車両が二百数十mにわたつて二列に連続して渋滞しており、停止車両の陰から横断車両ないし歩行者が出現する可能性を予測しうるところであり、また、南側渋滞車両と歩道の間にはわずか1.7mの間隙が残されているにすぎなかつたのであるから、被害者としては、減速ないし徐行しかつ進路前方を十分注視して、安全な速度と方法で進行しなければならなかつたものといわねばならない。
また関係証拠によれば、被告人車が第二停車地点から衝突地点まで約4.2mを時速約5ないし10キロメートル(秒速1.389ないし2.778m)で進行するのに約1.5ないし3秒の時間を要することおよび被告人が左方車道部分を確認したうえ発進するのにすくなくとも1秒程度を要するので逆算すると、時速約28キロメートル(秒速7.778メートル)で進行して来た被害車は、被告人車が第二停車地点に立ち至つた段階では、同所から約19ないし31m東方(左方)にあつたものと認められ、しかも本件衝突は、被告人車が本件車道部分を横断し終る寸前にその後端からわずか約30センチメートルの左側面に被害車前輪が衝突したかなりきわどい事故であつたことに徴しても、被害車の側で、前方注視、徐行等の措置により被告人車との衝突を避けることはきわめて容易であつたといわねばならない。
しかるに、関係証拠によれば、被害者は、自車の速度を落さないで約時速28キロメートルのまま、しかも進路前方二百数十メートルの交差点にある対面信号に気を奪われ前方注視を怠つた状態で漫然と進行し、わずか5m位手前に至つてはじめて被告人車に気付いたが、すでに間に合わず被告人車の後尾に自車を衝突させたものと認められるから、被害者の運転態度に相当性を欠くものがあつたというほかなく、被告人において被害車の右運転態度を予想すべき特段の事情のなかつたことも明らかであり、同人の運転態度が本件事故の原因となつたことは否定しがたいところである。

すり抜けすること自体に違法性はなくても、横断歩行者や横断車両が予見可能な以上は減速&前方注視義務がある(安全運転義務)。

 

もちろん、札幌高裁判決のように「頭を出して一時停止して確認」することを怠って右折横断した場合は論外です。

話を戻しますが、道路交通法上は路肩という概念がなく、車道外側線から歩道までの間も車道になります。

なので車両が車道を通行しただけなので違反にはならないですが、コンクリートブロック上は危険だから走らないほうがいいし、すり抜けすること自体に違法性がなくても横断歩行者や横断車両に警戒する注意義務は免れません。

 

「違反にならないこと」と「安全かどうか」は別問題。
お互いに合意しているならゴムを被せなくても違反にはなりませんが、それが安全かどうかは別問題じゃんね。
全く同じことですよ。


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