自転車は二段階右折とルールで決まってますが、ルールの守り方をわからないケースが多々あることは自転車乗りならよく知っている事実。
二段階右折について質問をいただきました。

携帯の自転車ナビタイムで案内を受けながら走っていたのですが、下のURLの道路(国道1号線)を南から北に進行していて、小田原市民会館前のT字路のところで右折するよう(国道1号線沿いに進むよう)指示されたのですが、どうにもこうにも右折が難しく、いったん通り過ぎてUターンし、T字路に戻って左折する形で対応しました。
やろうと思えば2レーン目に侵入して無理やり右折することもできたのですが、危険であるのと、そもそも自転車は1レーン目でキープレフト。
上記ができないのであればT字路で一度止まって信号が変わったら進む…と思いきや、横断歩道もないし、2段階右折するための信号の用意もない…ので詰みました。
ここで右折する場合、正しい方法があるのでしょうか。
今考えても、自転車は右折できないと思うのですが…もし何かあれば教えて頂けると助かります(安全か危ないかは自分で考えますので、あくまで法律上どうなのかが知りたいです)。
そもそもT字路ではない…のでしょうか。
現場はこちら。
事件は現場で起きているのであって会議室で起きているわけじゃないのに、現実的には会議室で起きているのですよ。
Contents
「対面信号」がない!?
要はこういうイメージなのかと。
「対面信号がない」わけです。
ちなみにT字路で間違いありません。
この場合、「対面信号がない」(つまり二段階右折する自転車にとっては信号がない交差点とみなせる)という解釈も出来なくはないのですが、基本的には「その方向」を制御する信号に従います。
つまり、まずは対面信号が「青」のときにここまで行って停止。
横方向を制御する信号に従い右折。
道路交通法上はこれでも構いません。
ただまあ、あんまりここで待ちたくはないなあ…
たまにこれについて

という人がいますが、「法令による停止」なので道路交通法上は問題ありません。
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
ルール通りに出来ないことも
「自転車は二段階右折」というのはバカでも言えますが、じゃあルール通りに二段階右折が可能な交差点なのか?についてはまた別問題でして、そのあたりは自転車に乗る人ならよーく理解しているでしょう。
なので「現実的な正解」は、この交差点での右折を断念して先に進み、横断歩道を使って渡り、Uターン状態で戻ってきて左折になるでしょうね。
「自転車は二段階右折」というのは法34条3項、令2条1項から明らかですが、「二段階右折しろ」というのはバカでも言えます。
二段階右折が「現実的に」可能な交差点なのかは別問題です。
だからといってこういうプレイをするのもどうかと思いますが。
「二段階目の対面信号がない」なんて話はT字路ではよくあることですが、二段階右折対策でこれがある場合もあります。
「歩行者自転車専用」があると、歩道通行自転車も車道通行自転車もこの信号に従うルール(令2条4項、5項)。
まあ、今回は横断歩道もない交差点ですし、「自転車専用信号」もないという…
ちなみに以前も書きましたが「自転車専用信号」。
これ、やはり特定小型原付に対する効力がないので、こういう交差点を通行する特定小型原付は「対面信号がない」ことになってしまいます。

道路交通法は穴があるし、しかも二段階右折しようにも対面信号がないなんてザラ。
かといって上の動画のように小回り右折したらSNSで叩かれるのがオチ。
「自転車は二段階右折だろ!」というだけなら簡単なお仕事ですよね。
ルールを理解してもルールに従う方法がわからないなんてことは多々ありますが、仮に「自転車を免許制」にしても机上の空論を教わるだけなので意味がないと思う。
「二段階右折」の「方法」がわからない交差点なんてザラなので、あとはルールの範囲で安全な方法を選ぶしかないですよね。
あっ、とりあえずこの交差点を通過して横断歩道を使って渡ったとしても、次の「脳内道路交通法違反」が待ち構えているのですよ。

乗ったまま通行しても歩行者妨害するおそれがなければ違反ではありません(25条の2第1項)。




地獄ですよね。
同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せない
平成30年1月18日 福岡高裁
道路交通法上、車両の横断歩道通行を直接に禁止する規定はない
「小児用の車の意義について」(警察庁交通局交通企画課 中澤見山)、月間交通1979年7月(昭和54年)、東京法令出版
道路交通法においては、普通自転車が横断歩道を通行することを禁止する規定はありませんが、横断歩道は歩行者の横断のための場所であることから、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)において、横断歩道の通行について、歩行者の通行を妨げてはならない旨を周知し、歩行者の安全確保を図ることとしています。

二段階右折するための対面信号はなく、二段階右折するにしても交差点内に待機場所はなく、仕方なく一旦通過して横断歩道を使って渡れば「自転車は横断歩道を乗ったまま通行できないだろが!」と脳内道路交通法違反にされる。
ありがちなパターンです。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
お世話になります。
記事の中で
>「歩行者自転車専用」があると、
>歩道通行自転車も車道通行自転車
>もこの信号に従うルール(令2条4
>項、5項)。
と記載されていますが、ルールとしてではなく仕方なく右側の信号に従うということですよね。
右側の歩行者自転車専用信号が対面になるのであれば、普通の十字路で左側が歩行者用、右側が歩行者自転車専用の交差点の場合、右側が有効になってしまいます。(最近まで通勤経路にありました)
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
ルールとして交差点付近の「同時に表示される信号機」に制約が掛かりますが、おっしゃる状況は単に補助標識漏れもしくは不要な補助標識をつけてしまったなど特殊な事情があるのではないでしょうか。