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ひき逃げして「身代わり出頭」!?アホなのか?

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道路交通では①事故を起こさないための各種義務があり、②万が一事故を起こしてしまった場合には救護報告義務がありますが、どちらも怠りしまいには身代わり出頭…

沖縄署は15日、沖縄県沖縄市諸見里の県道85号で歩行者が軽傷を負うひき逃げ事件が発生し、実際にひき逃げしたとされる住所、職業いずれも不詳の男(38)と、その身代わりとなり現場に戻ってきたとされる知人で自称那覇市の自営業の男(30)を逮捕したと発表した。

(中略)

署によると5日午後8時40分ごろ、沖縄市諸見里の県道85号の交差点を左折する普通乗用車が、横断歩道を横断中の歩行者男性(55)に衝突する事故があった。運転手は車を停止させ、男性に示談交渉を持ち掛けたが、男性が「警察を通す」と話したため、現場から走り去った。

 事故からおよそ30分後に自称自営業の男が事故を起こした車で現場に現れ、事故の当事者と警察官に申告したという。

事故現場での調査に立ち会った際の男の説明にあいまいな点があったことに加え、事故当時、被害男性と運転手とのやり取りを見ていた目撃者の証言などから、実際の運転手と異なる可能性が浮上。周辺の防犯カメラ映像を精査するなどし、運転手が自称自営業の男ではないことが判明し、犯人隠避容疑で13日に逮捕した。

まずは横断歩行者妨害による事故が起き、事故後は逃走。
そして身代わり出頭…

 

どんどん罪を増やしていくスタイルは全く理解し難い。
バレないと思っているのだろうか?

 

ところで、「他人に救護報告をお願いした」として一部否認しているみたいなのですが、これは何か意味がある主張なのか果てしなく謎。

ひき逃げしたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(救護義務違反、事故不申告)の容疑で逮捕された職業不詳の男は「人身事故を起こしたのは間違いないが、救護や通報は知り合いを通じてお願いした」と容疑を一部否認している。

○タクシーの運転手に「病院に運んでもらった」ことは救護義務を果たしてないとされた事例

負傷者に対する救護措置義務が尽されたものといいうるためには、少なくとも、被害者を病院等に運び入れ、現実に医師の診療を受けさせるまでの措置を講ずることを要すると解せられるのである。しかるに被告人は、前示のように、たまたま通りかかつたタクシーの運転手から好意的に被害者を病院まで連れていつてやろうかとの申出を受けたのをよいことに、被害者を右タクシーに乗せる行為をしたのみで、タクシーの運転手から後から病院に来るようにいわれていたのに、自己の犯行の発覚をおそれるの余り、爾余の措置をなんら講ずることなく、事故現場からそのまま自宅に立ち帰つているのであり、被告人が本件被害者に対してなした救護措置としては、単に被害者を抱き起し、好意的に被害者の病院への搬入を申出ている第三者のタクシーに被害者を乗り込ませただけのことに止まるのであつて、被告人自身において本件被害者の救護につき適切十分なる措置を講じたものとは到底認め難いところである

大阪高裁 昭和44年8月8日

○報告義務を他人にお願いした事例

道路交通法72条1項後段の報告は、本来、当該車両等の運転者がみずから直接所定の警察官に対して行なうべきものであるが、運転者が右報告をみずから直接行なわず、他人に依頼してこれを行なうことが許されるとしても、その場合でも、みずから直接報告をしたときと同様の報告義務の履行に伴う同法上の負担を免れるものではないと解するのが条理上公平にかなうというべきである。したがつて、運転者がみずから直接警察官に所定の報告をした場合に、同条2項により、警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨の命令(以下、「現場滞留命令」という。)を受けることがある以上、他人を介して報告をしようとする運転者は、少くともその他人が警察官に対して報告をすませたことを確認すべきであることはもちろん、右報告を受けた警察官から、右の現場滞留命令をその他人を介して受けたか否かを確認するのでなければ、みずから警察官に所定の報告をした場合と同様に右報告義務を尽したことにはならないと解するのが相当である。

大阪高裁 昭和56年8月27日

「知人にお願いしたからOK」とは必ずしもならないのですが、この件は身代わりの人が救護報告するために「戻ってきた」のは事故から30分後。
どのみち救護報告義務が求める「直ちに」には当てはまらないし、ワケわからん否認をしても意味がない気がする。

 

事故を起こさなければ救護報告義務もないので、左折するときにきちんと横断歩道の左右を確認して事故を起こさないことがまず第一。
万が一事故を起こしてしまったならきちんと対応することが大事ですが、さらに身代わりを立てて罪をどんどん増やしていくスタイルはなかなか凄い。

 

逃げなければならない事情があったのかと勘ぐってしまいますが…

 

ちなみに、事故直後に示談交渉をとあるので、おそらくは軽症なんじゃないかと思われます。
過失運転致傷って「軽症の場合は刑を免除」という規定があり、仮に起訴しても「有罪だけど刑を免除する」という判決になるため、軽症事案は不起訴がほとんどです。

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる

たまに検察官が起訴したけど「有罪だけど刑を免除する」という判決が出ているのを見かけますが、

有罪だけど刑が免除とは?
自動車運転処罰法5条には但し書きがあります。 (過失運転致死傷) 第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免...

おそらく、きちんと対応していれば行政処分と民事責任で済んでいた案件。
ひき逃げで罪を増やし、他人まで巻き込んで犯人隠避を作っていくスタイルはなかなか理解し難いけど、根本的には横断歩道の左右をきちんと確認していれば何もなかったとしか言えません。

 

事件を複雑化して、違う罪になり、他人まで罪に問われる。
凄まじい。

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