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裁判官に向かって「俺が出るまで待っておけよ」。東名あおり事件は控訴棄却。

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2017年に起きた東名あおり事件の控訴審判決があり、控訴棄却(危険運転致死罪、懲役18年)だそうな。

神奈川県大井町の東名高速で2017年、あおり運転で一家4人が乗った車を停車させて後続車を追突させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた石橋和歩(かずほ)被告(32)に対する差し戻し控訴審の判決で、東京高裁は26日、懲役18年とした差し戻し後の1審・横浜地裁判決(22年6月)を支持し、被告側の控訴を棄却した。

黒いスーツで入廷した石橋被告は、首を傾け、腕を組みながら、約1時間に及んだ判決の言い渡しを聞いた。最後に裁判官に向かって「俺が出るまで待っておけよ」と述べ、そのまま退廷した。

「俺が出るまで待っておけよ」 東名あおり事故の被告、裁判官に | 毎日新聞
神奈川県大井町の東名高速で2017年、あおり運転で一家4人が乗った車を停車させて後続車を追突させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた石橋和歩(かずほ)被告(32)に対する差し戻し控訴審の判決で、東京高裁は26日、懲役...

最後の捨て台詞からすると、反省の情は無さそう。

この事件はかなり複雑な経緯を経て二回目の控訴審です。
最初の一審(横浜地裁平成30年12月14日)が公判前手続きにおいて、裁判官が「危険運転致死は成立しない」という見解を述べたにもかかわらず危険運転致死罪を成立させたことが違法と判断され、東京高裁令和元年12月6日判決は一審に差戻し。

争点整理の過程における原裁判所による前記の見解表明は,訴訟当事者がその後の訴訟追行をするに当たって事実上の影響を及ぼす性質のものであったことは否定できず,原審検察官に対し予備的訴因の追加を促すにとどまらず,当事者双方が公判審理において主位的訴因及び予備的訴因の各争点に関する主張及び立証を行うに際しては,原裁判所の前記見解に沿って行われることが期待されていたというべきである。特に,原審弁護人は,判決においても主位的訴因の成立が否定されるとの見通しの下に,予備的訴因に力点を置いた主張及び反証活動を行ったと推測するに難くない。しかるに,原裁判所は,前記見解を裁判員との評議を経て変更したのであるから,所論が指摘するように,仮に追突車両の運転者の過失の程度等に関する新たな主張及び反証が行われていれば,被告人の行為に向けられる非難の程度等に影響を及ぼし,ひいては本件因果関係の有無や量刑の判断に影響を与えた可能性がなかったとはいえない。そうである以上,そのような主張や反証の機会を設けることは必要不可欠な措置であったというべきである。原裁判所が,見解の変更を前提とした主張及び反証の機会を被告人及び原審弁護人に改めて設ける訴訟手続上の手当てを講じることなく,先に表明していた本件因果関係に関する見解を変更して有罪判決を宣告したことは,被告人及び原審弁護人に対する不意打ちとなることが明らかである。

要は不意打ち判決になり被告人に反論の機会が十分与えられていないとしてやり直しの一審を経て、今回の控訴審です。
なお検察側は控訴してないため、この控訴審では一審が下した懲役18年より重い判決は出せません(不利益変更禁止の原則、刑訴法402条)。

そもそも被告人は危険運転致死は成立しないと主張していたようですが、事故は2017年、今は2024年。
裁判員裁判だから時間がかかってますが、裁判員制度って本当に必要なのでしょうか。

仮にこのまま判決が確定したとして、未決勾留日数がかなりあるんじゃないかと。

この事件、差戻し後の一審判決でも反省が見られないと指摘されてますが、「俺が出るまで待っておけよ」と裁判官に述べたように反省の情は無さそうです。
民事では示談が成立していると一審判決にはありますが、任意保険から支払われたモノ。

事故発生から6年経過し、いまだ反省の情があるようには見られない被告人が懲役に行くことでどう変わるのかはわかりませんが、何年もかけてこの捨て台詞では被害者遺族からすればやるせないのではないでしょうか。

最高裁に上告すればさらに判決確定までは時間が掛かりますが、確かに争う権利はあるとは言え、やるせないとしか言いようがない事件です。
ちなみに裁判長の安東章氏はこちらのサイトによると、定年退官発令予定日がR11.4.19となっているため、

安東章裁判官(43期)の経歴
生年月日 S39.4.19 出身大学 京大 定年退官発令予定日 R11.4.19 R3.11.13 ~ 東京高裁3刑部総括 R3.2.27 ~ R3.11.12 甲府地家裁所長 H30.1.5 ~ R3.2.26 最高裁刑事局長

未決勾留日数を考慮しても、被告人が出所したときには既に退官していると思われます。
待とうにも待てないし、そもそも事故発生から6年経過してもいまだ反省の情が見られないことは被害者遺族からすれば納得できないでしょう。

無意味で無慈悲な捨て台詞を吐くことで関係者を悲しませ、自らも損しかしないと思うのですが。

コメント

  1. マイクロシフト より:

    裁判官が退官したあとのお礼参りが心配ですね。
    尋常じゃなく執念深そうですし。

    出所後GPSなんかで位置情報くらいは把握出来ればいいのですが。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      6年経過しても反省がない人が懲役に行く意味、なんかやるせないです。
      最高裁に上告するんですかね。

  2. きゃばりーのらんぱんて より:

    いつも参考になるお話をありがとうございます。

    この件では被害者のお子さんが「二度と道路で運転が出来ないようにして欲しい」みたいな事が報道されていたと思いますが、仮に刑期を終えて出所した場合、運転免許の再取得は可能なのでしょうか?

    出来れば一生、塀の中にいて欲しいですし、免許の必要ない乗り物も運転してほしくないけど、それってムリなんでしょうね。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      差戻し前の一審では二度と運転しないと述べてますが、

      なるほど,被告人は,当公判廷で,第2・第3事件の事実は概ね認め,二度と運転しないなどと反省の弁を述べてはいるが,真摯に反省しているとまでは評価できない。

      横浜地裁  平成30年12月14日

      差戻し後の一審では一転して無罪の主張をしてましたし、理屈の上では免許の再取得は不可能ではないと思います。

      • きゃばりーのらんぱんて より:

        お応え下さりありがとうございます

        やはり、そうなりますよね。

        このような法律の想定外の人をきっかけに危険運転に関して法改正がなされた訳ですが、死なないと治らない彼の様な精神構造を免許取得の不可能条件に入れて欲しいし、できたらセニアカーを含むすべての乗り物の運転をしてほしくないものです。

        • roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          まあ、毎年大量に無免許運転者が検挙されているように、免許がなくても運転しちゃう人がいますから…

          • きゃばりーのらんぱんて より:

            確かに。。
            そもそも順法の概念が無い者には免許所持の有無なんて関係ないですよね。
            「二度と運転しない」発言も弁護士に減刑材料として言わされた可能性が高いですし。

            ありがとうございました。

          • roadbikenavi より:

            コメントありがとうございます。

            最高裁に上告したそうですが、99%は棄却です。
            そこまでがんばる理由もよくわかりませんし、冷静さを失っているのかもしれませんね。

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