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シェア事業者の規約変更で事故被害者が泣き寝入りに?

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いろいろ騒がしい某シェア事業者の電動キックボードですが、

確かに規約が変更されるようで、保険に関する記述が削除されてます。
ただし保険が「なくなった」とは書いてなくて、あくまでも保険の詳細に関する記述がなくなった扱い。

サービス利用規約 | Luup(ループ) | 電動キックボードシェア/シェアサイクルアプリ
LUUPは、スマホ一つで街じゅうのポートから電動マイクロモビリティへの乗り降りや移動を可能にするシェアリングサービスです。LUUPのポートを街じゅうに設置することで、人が集まる場所をつくり、街じゅうを駅前のように活性化していきます。そして、...

○4月19日までの規約

○4月20日からの規約

要は現規約では保険の詳細が書いてあり、新規約では「当社所定の条件にて」としてその詳細が伏せられたと。

 

実際に補償内容が変更されたのかは知りませんし、変わった可能性もあれば変わってない可能性もあるので、裏取りせずに騒ぐのもどうかと思うけど、こんな声もある。

いろんな人
いろんな人
保険がなくなったから某シェア事業者の電動キックボードにぶつけられた場合、被害者は満足な補償を受けられず泣き寝入りする!

たぶん、冷静に考えたほうがよい。

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自賠法による規定

特定小型原付は自賠責保険が必須なので自賠責保険がなくなった可能性はゼロです。
任意保険に該当する部分がなくなったのではないか?という疑いなわけですね。

 

そもそも、任意保険の内容が変更されたのか知りませんが、流れを確認します。
某シェア事業者の電動キックボードを借りたユーザーが、誰かをケガさせたとする。

通常であれば直接的な加害者に損害賠償請求し、損害賠償として認められた分は保険会社が支払います。
(現実的な示談交渉は保険会社とのやり取りになるが、形式上は加害者に請求している)

要はこの保険の上限が減った可能性があり、負った損害が保険の上限を越えたら、越えた分は支払われないで被害者が泣き寝入りするのでは?という話ですよね。

 

これ、人損については、損害賠償の請求先はシェア事業者にできるはずですよ。
運行供用者責任を免れないので。

自賠法は運行供用者に対し賠償するように規定してます。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者はその運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)にはシェア事業者が含まれるので、加害者に支払い能力がないなら事業者に請求するだけなのでは?
被害者がシェア事業者と契約しているわけじゃないし、シェア事業者とユーザー間の契約は被害者には関係ない。
自賠法3条による請求でシェア事業者に対する請求を確定させれば、シェア事業者は被害者に対する支払いから逃れられないし、少なくとも人損について被害者が泣き寝入りとはならないと思うのですが…

 

一般的にレンタカー会社やシェア事業者は自賠法でいう運行供用者に当たるはず。
要は直接的な加害者が何らかの理由で支払い能力がない場合、被害者が泣き寝入りすることになりかねないので、自賠法では「運行供用者」に賠償責任があると規定して被害者保護の範囲を広げているのよ。
加害者本人に請求することは当然できるし、レンタカー会社やシェア事業者も「運行供用者」になるのでどちらに請求してもよい。

 

レンタカー会社を運行供用者として認めた最高裁判例↓

原審が適法に確定した事実関係、ことに、上告会社は、自家用車の有料貸渡を業とするものであるが、その所有自動車についての利用申込を受けた場合、免許証により、申込者が小型四輪自動車以上の運転免許を有し、原則として免許取得後六月経過した者であることを確認し、さらに一時停止の励行、変速装置、方向指示器の操作その他交通法規全般について同乗審査をなし、かかる利用資格を有する申込者と自動車貸渡契約を締結したうえで自動車の利用を許すものであること、利用者は、借受けに際し届け出た予定利用時間、予定走行区域の遵守および走行中生じた不測の事故については大小を問わず上告会社に連絡するよう義務づけられていること、料金は、走行粁、使用時間、借受自動車の種類によつて定められ、本件自動車と同種のセドリツク六二年式の場合、使用時間二四時間・制限走行粁三〇〇粁で六〇〇〇円に上ること、燃料代、修理代等は利用者負担とされていること、使用時間は概ね短期で、料金表上は四八時間が限度とされていること、訴外(第一審被告)Dは、上告会社から以上の約旨のほか、同人が前記利用資格に達していなかつたため、特に、制限走行粁三〇〇粁、山道、坂道を走行しないことを条件に上告会社所有の本件自動車を借り受けたものであること、本件事故は訴外Dが本件自動車を運転中惹起したものであること等の事実関係のもとにおいては、本件事故当時、上告会社は、本件自動車に対する運行支配および運行利益を有していたということができ、自動車損害賠償保障法(以下、自賠法という。)三条所定の自己のために自動車を運行の用に供する者(以下、運行供用者という。)としての責任を免れない旨の原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の判断は、正当として是認することができる。

最高裁判所第三小法廷 昭和46年11月9日

原審が適法に確定したところによれば、上告人はレンタカーを賃貸するに当り、借主につき免許証の有無を確認し、使用時間、行先を指定させて走行粁、使用時間に応じて預り金の名目で賃料の前払をさせ、借主の使用中使用時間、行先を変更する場合には、上告人の指示を受けるため返還予定時刻の三時間前に上告人にその旨連絡させ、これを怠つた場合には倍額の追加賃料を徴収するものとし、車両の整備は常に上告人の手で責任をもつて行われ、賃貸中の故障の修理も原則として上告人の負担であつたというのであり、右事実関係のもとにおいては、上告人は本件事故当時本件自動車に対する運行支配及び運行利益を有していたものということができ自動車損害賠償保障法三条にいう自己のために自動車を運行の用に供する者としての責任を免れない旨の原判決の判断は、正当として是認することができる。

最高裁判所第一小法廷 昭和50年5月29日

レンタカー会社は自賠法3条でいう運行供用者として損害賠償責任を免れないので(特殊な場合は別)、仮に任意保険がなくなった(?)としてもシェア事業者に請求して確定させれば済むわけで。
まさかシェア事業者に支払い能力がないとは考えにくい。

 

そもそも、任意保険の中身に変更があったかなかったかを裏取りせずに騒ぐのもどうかと思うけど、保険内容にかかわらず少なくとも人損部分について被害者が泣き寝入りする…わけではないと思いますが。

詳しくは知りませんが

なぜ規約を変更したのか知りませんし、保険の中身が変更されたのかもわからないけど、自賠法の考え方は加害者本人に弁済能力がなくても被害者が泣き寝入りしないように「運行供用者」に対し賠償責任を規定して被害者を保護しているわけでして。

 

仮に任意保険がなくなったなら、被害者はシェア事業者に請求するだけなので人損部分について被害者が泣き寝入りするとは考えにくいけど(シェア事業者に支払い能力があれば)、そもそも保険が改悪されたのかどうかわからないので…

 

本当に任意保険がなくなったのか確認しないまま騒ぐのは、やはりインターネットらしさなんですかね。

仮に任意保険がなくなったとしても、被害者はシェア事業者に請求する権利があるので泣き寝入りは考えにくい。

なお、乗り手本人の自爆事故については別問題です。

以上、仮に任意保険がなくなったと仮定した場合にはシェア事業者に請求できる話を書きましたが、そもそも任意保険がなくなったのかわからないのに騒ぐのも…

そしてこのように発表されてます。

正直なところそうだろうなと思っていたし、仮に任意保険が削られたとしても被害者は運行供用者責任として事業者に請求する権利があるので影響はないように見てましたが、邪推しまくった人は反省されたほうがよろしいような。

コメント

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