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「立入り禁止部分」と「導流帯」は別物。

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運転レベル向上委員会の解説は毎度なところながら変ですが、

運転レベル向上委員会より引用

「立入り禁止部分」をゼブラゾーン等とし、イラストには導流帯が描かれている。
これは誤り。

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立入り禁止部分と導流帯

立入り禁止部分と導流帯は異なる。

種別 意味
導流帯 区画線107 車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所
導流帯 指示標示208の2 車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設けられた場所であること。
立入り禁止部分 規制標示106 交通法第十七条第六項の道路標示により、車両の通行の用に供しない部分であることを表示すること。

立入り禁止部分は交通法17条6項の標示で、フチを黄色にしている必要がある。
導流帯については道路交通法上、規制効力はないため導流帯を通行しても道路交通法違反にはならないけど、宮城県は道路交通法違反になる(71条6号、公安委員会遵守事項違反)。

(運転者の遵守事項)
第14条 法第71条第6号の規定により、車両の運転者は、車両を運転するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
ペイントによる道路標示の上にみだりに車輪をかけて、車両(牛馬を除く。)を運転しないこと。

その他、車両通行帯がある道路なら、導流帯上は通行帯ではないので通行帯違反になりうる。

 

ところで。

中央分離帯上は通行禁止か?

中央分離帯上は歩行者や車両の通行を禁止しているのか?という話になりますが、道路交通法上は中央分離帯がなんなのかについて規定がなく、現に中央分離帯上に遊歩道や広場を設けた場所もあることを考えても、「中央分離帯上だから」という理由で禁止するわけではないのかと。
とはいえ一般的な中央分離帯上は物理的に車両が通行することは不可能だし、歩行者が通行するにしても危険を伴う。
これらから考えると、法で規制するまでもなく歩行者や車両の通行を想定してない。

 

いわゆる「違反にはならないが、事故が起きたときに不注意(過失)にはなりうる」という状態です。
導流帯にしても車両が通行することは道路交通法違反にはなりませんが、事故が起きたときには不注意(過失)として評価されるのと似ている。

 

ちなみに運転レベル向上委員会が取り上げている事故、たぶん場所が違う。
大田区東海四丁目のドラフト走行多発エリアは、この幹線道路ではないので。

誤解を招く解説

運転レベル向上委員会は歩行者が中央分離帯から横断した事故について、クルマが無過失になった判例があると述べてますが、これは新潟地裁長岡支部 H29.12.27判決を指すのは明らかかと。

この人はやはり、判決文を読まずに解説している。
横断歩行者と車両が衝突した事故について、車両無過失を認定した新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日判決を取り上げてますが、この判例は何度も取り上げてますが、被告車両は法定速度以上だけど70キロよりは下という認定です。「法定速度内で走行して...

この判例について運転レベル向上委員会は「クルマは法定速度内だった」「車の直前5.8mで飛び出した」と解説してましたが、

運転レベル向上委員会

これはどちらもデマでして、クルマの速度は法定速度を超過した60~70キロと認定され、そもそも運転者(被告)も法定速度を超過していたことを争っていない。
そして「5.8m」は中央分離帯と衝突位置の距離でして、

被告の指示説明により、衝突位置は、中央分離帯から左に約5.8mの第一車線上であり(現場見取図のX、0.6+3.5+(3.5-1.8))、

新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日

歩行者が横断開始した際にクルマとどの程度離れていたかについては、事実認定されていない。

 

さらにいえば、歩行者がどのような速度で横断したかについても事実認定されていません。

 

ではなぜ、この判例はクルマの無過失を認めたか?

この事故の態様。
被害者(原告)はクルマの不具合により、仕方なく中央分離帯を通過して横断した。
横断事故については、加害者(被告)目線でまず「横断しようとして中央分離帯上に佇立する歩行者」が視認できるか?の問題になる。
横断待ちする歩行者を視認可能なら、クルマの運転者はその時点で「歩行者の動静を注視し、衝突を回避する注意義務」がある。

 

しかしこの事例では、中央分離帯上に被害者と同等の高さの木が一定間隔で並んでおり、しかも対向車線側にあったガソリンスタンドの光が逆光状態になる。

裁判所はこれについて、「中央分離帯上で横断待ちする歩行者は視認できない」と判断した。
従ってクルマの注意義務は、歩行者が実際に横断開始して「視認可能」になった時点で急ブレーキを掛けたときに回避可能かだけになる。

 

ところが、被害者が横断開始した際の距離や被害者の横断速度は不明。
これについて、クルマ側は歩行者の横断速度をいくつかのパターンに分けて回避不可能だったことを立証した。
それをみた裁判所は「無過失の証明(自賠法3条但し書き)」を認めた。

 

「中央分離帯から横断したから無過失」とか「中央分離帯から直前飛び出ししたから無過失」というのはこの判例を全く理解してない。
一番のポイントは「加害者が注意を払っても横断待ちする歩行者を視認できない」としたところであって、同様の状況なら中央分離帯からの横断に限定した概念ではない。
なお、東京高裁 平成27年8月6日判決参照。

 

片側二車線道路で何らかの事故が起き、たまたま加害者が無過失になる態様だったとして、「片側二車線道路でクルマが無過失になった判例がある」とは言わないのよね。
横断待ちする歩行者を視認不可能だったことが大要素で、中央分離帯から横断したことが大要素ではない。

 

しかし、こんなガセネタ解説をした動画をいまだ残しているのもどうかと思う。

賠償金もっと払え!【歩行者は交通弱者だ!と欲張った51歳女性の末路】無謀横断者が賠償金増額を要求したら?後遺傷害だけが残ってしまった結末・・・
『いってきます』と言った人は、『ただいま』と言う義務がある。Those who say, 'I'm off,' are obligated to say, 'I'm home.これはすべての人に言える事。被害者にも加害者にもならない事。帰り...

思うに

運転レベル向上委員会の人は「過失=道路交通法違反」という誤った思考だから、無理にでも道路交通法違反を創作しないと説明つかなくなるんじゃなかろうか。
立入り禁止部分(交通法17条6項)の道路標示は、運転レベル向上委員会が示したイラストとは異なる。

 

そもそも、導流帯通行は道路交通法違反にはならないことと、事故が起きたなら導流帯通行が過失になりうる話はわりとよく知られた話。
つまり「過失=道路交通法違反」という思考は否定されている。

 

正しく理解しないと、いずれ辻褄合わなくなるだけなのよね。
事故の解説をしようとすると、必ず「道路交通法違反にはならない注意義務違反」にぶち当たる。
そもそも、道路交通法違反と過失は別の概念なんだから当たり前ですが、

道路交通取締法が自動車を操縦する者に対し特定の義務を課しその違反に対して罰則を規定したのは行政的に道路交通の安全を確保せんとする趣旨に出たもので刑法211条に規定する業務上の注意義務とは別個の見地に立脚したものであるから道路交通取締法又は同法に基づく命令に違反した事実がないからといって被告人に過失がないとはいえない。

 

東京高裁 昭和32年3月26日

所論は、道路交通法上の義務と自動車運転過失致死罪における注意義務を同一のものと理解している点で相当でない。すなわち、信頼の原則が働くような場合はともかく、前者がないからといって、直ちに後者までないということにはならない。

東京高裁 平成22年5月25日

古くは昭和30年代に指摘されているのに、令和になっても理解しないのは嘆かわしい。

 

ところで仮に被害者が「ドリフト走行を見学する目的で」中央分離帯上にいた場合、保険会社は人身傷害保険について被害者の重過失として免責を主張する可能性もある。
ドリフト走行という危険な走行ならば、中央分離帯に激突しかねないことは容易に予見可能なのでして。

 

保険における重過失は「ほとんど故意に近い状態」と解した判例もあれば、「わずかな注意を払えば防げた状態」と解した判例もありますが、後者については該当しうる。

 

保険云々ではなく、事故リスクが高いところに近づかないのが大事なのよね。

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