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立証責任は誰にあるか?

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今回取り上げるのはこちら。

相手のセンターライン越えなのに「過失2割」を告げられ…自動車保険27年のプロが見た、想定外の落とし穴 | TRILL【トリル】
センターラインを越えてきた相手との事故なら、過失は相手が100%になる――そう考える人は少なくない。実際、対向車のはみ出し事故は相手側の責任が大きくなるケースが多い。しかし、実際の事故処理では相手に明らかな違反があっても過失がゼロになるとは...

対向車がセンターラインを越えてきた事故について、相手方保険会社は「回避義務があった可能性」として80:20の過失割合を提示してきたものの、ドラレコが決め手になり100:0で解決したと。

 

これについて相手方保険会社が理不尽・不合理な主張をしたのか?という問題がありますが、結論からいうと、センターラインを越えてきた「相手方」にケガがあったのならば真っ当な主張です。

 

なぜか?
センターラインを越えてきた相手方にケガがあったならば、理屈の上では左側通行していた順走車が逆走車のケガに関与したことになるのだから、順走車は無過失の立証をしない限り人身損害の賠償責任から逃れることはできません。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずるただし自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

自賠法は立証責任を逆転させて、ケガをした人ではなくケガをさせた人が無過失の立証をしない限り賠償しなければならない。

 

ところがもしケガがなく物損のみであれば、自賠法の適用はなく請求根拠は民法になる。
逆走車側が過失相殺を主張(つまり順走車にも過失があるという主張)をするなら、逆走車側が順走車の過失を立証しなければならないことになる。

 

「回避余地があった可能性」では過失の立証にはならない。
「回避余地があった可能性を否定できない」という状態は、無過失の立証には失敗しますが、過失の立証にもならないのよね(福井地裁判決参照)。

 

ところで現実の裁判では、物損事故なのに「自賠法3条により損害賠償請求する」という謎訴状が度々起きるらしい。
裁判所からダメ出しされ訂正するらしいけど、

 

まあ、ドラレコがあれば決め手になりやすいし、ドラレコがあったために自賠法3条の無過失の立証もしやすくなっているのよね。

 

そして事故になったときに過失割合の話になりますが、人損と物損で過失割合が違うこともあれば、立証責任がどちらにあるか曖昧なまま議論が進むリスクがある。
「自分が相手の過失を立証しなければならないのか?」「自分で自身の無過失を立証しなければならないのか?」「相手が自分の過失を立証しなければならないのか?」など全て意味合いが違うわけですが、まず確認すべきはそこなのかも。
特にセンターラインオーバーや信号無視など、無過失が想定される事故では立証責任がどちらにあるかで話は変わるのよね。

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