シマノはグラベル用コンポとしてGRXを投入してきましたが、GRXの特徴としては、よりワイドなスプロケを使えることだったり、フロントシングルがあること、スタビライザーを搭載したRDでチェーン暴れが少ないことなど様々あります。
もちろん油圧ディスクブレーキなのですが、これらが従来のロードコンポと互換性があるのか?ミックスできる?というところについては、ある程度できることになっています。
なので今回は、GRXとロードコンポのミックスの互換性について見ていきます。
※記事に一部誤りがあったので訂正しました。
その前にGRXのおさらいを
GRXにはアルテグラグレードの800系、105グレードの600系、ティアグラグレードの400系がありますが、全てのグレードにディレーラーがあるわけではありません。
簡単にまとめてみました。
800系(11速) | 600系(11速) | 400系(10速) | |
STI | ST-RX810 | ST-RX600 | ST-RX400 |
電動用STI | ST-RX815 | × | × |
クランク | FC-RX810-2(ダブル)
FC-RX810-1(シングル) |
FC-RX600-11(ダブル)
FC-RX600-1(シングル) |
FC-RX600-10 |
FD | FD-RX815 | × | FD-RX400 |
電動FD | FD-RX810 | × | × |
RD | RD-RX810(~34T)
RD-RX812(~42T) |
× | RD-RX400 |
電動RD | RD-RX815(~34T)
RD-RX817(~42T) |
× | × |
ディスクブレーキ | BR-RX810 | × | BR-RX400 |
こんな感じになっています。
ややわかりづらいポイントとしては、
・11速(600系)と10速のクランクの品番がどちらもFC-RX600になっていて末尾の数字【-11】、【-10】で変速数を表して区別している。
・600系にはディレーラーと油圧ディスクブレーキの設定が無いので、GRX600系完成車になっている場合、だいたいはディレーラーと油圧ディスクブレーキは800系(ディレーラー)と400系(油圧ディスク)のミックスになっている。
・フロントシングル用の左レバーとして、ST-RX810-LAという、ブレーキレバーのみのものがある。
・サブレバーとして、BL-RX812というものがある。
こんなところです。
変速系統は800系と600系は同じ11速グループなので完全互換で、ブレーキ系統は800系、600系、400系どれを組み合わせても問題ありません。
あと、ロー42Tに対応するRD-RX817(電動)とRD-RX812(ワイヤー)については、フロントシングル専用になります。
これらのスペックですが、
ロー最大 | 42T |
ロー最小 | 40T |
トップ最大 | 11T |
トップ最小 | 11T |
トータルキャパシティ | 31T |
つまりは11-40Tか11-42Tのスプロケにしか対応していないのと、トータルキャパシティが31Tですので、42-11=31で終了なワケですね。
あと、クランクの歯数ですが以下のようになります。
クランク名 | 歯数 |
FC-RX810-2(11速ダブル) | 48-31T |
FC-RX600-11(11速ダブル) | 46-30T |
FC-RX810-1(11速シングル) | 42Tもしくは40T |
FC-RX600-1(11速シングル) | 40T |
FC-RX600-10(10速) | 46-30T |
同じ11速用クランクでも、RX800系とRX600系では歯数が異なるようです。
ロードコンポとGRXの互換性
まずはリアの変速から。
フロントダブルの場合。
フロントダブル | STI | RD |
機械式(2×11s) | R9100系
R8000系 R7000系 9000系 6800系 5800系 GRX800系 GRX600系 |
R9100系
R8000系 R7000系 9000系 6800系 5800系 GRX812(~34T) GRX810(~34T) |
電動(2×11s) | R9100系
R8000系 9000系 6800系
|
R9150
R8050 9070 6870 RX815(~34T) |
機械式(2×10s) | 4700系
GRX400系 |
4700
GRX400(~36T) |
フロントダブルの場合、リア変速については、11速同士であれば完全互換です。
STIがR8000で、リアディレーラーがRX812でも使えます。
ただし、ロー42Tのようなワイドスプロケは、フロントダブル時は使えません。
もちろんですが、電動用のSTIに、ワイヤー引きのGRXのリアディレーラーというのは互換性はありませんw
次にフロントシングルの場合です。
フロントシングル | STI | RD |
機械式(1×11速) | ST-RX815
ST-RX600 |
RD-RX812(~42T) |
電動(1×11速) | R9100系電動
9000系電動 R8000系電動 6800系電動 ST-RX815 |
RD-RX817(~42T) |
すみません、互換表を間違ってみていました。
フロントシングルでの運用の場合、機械式STIはなぜかR9000系やR8000系などのロード用は使えず、対応するSTIはGRX系だけになっています。
ただ、電動用のSTIの場合、R9100系やR8000系のSTIでも、GRX系リアディレーラーが対応しているので、なんで機械式だとロード用STIが対応しないのかは謎。
次にフロント変速。
フロント変速の場合は、クランクとの互換性も含まれます。
STI | クランク | FD | |
機械式
(11s) |
R9100系
R8000系 R7000系 9000系 6800系 5800系 GRX800系 GRX600系 |
FC-RX810-2
FC-RX600-11 |
FD-RX810 |
電動
(11s) |
R9100系
R8000系 R7000系 9000系 6800系 GRX800系 |
FC-RX810-2
FC-RX600-11 |
FD-RX815 |
機械式
(10s) |
4700系
RX400系 |
FC-RX600-10 | FD-RX400 |
クランクとFDについては、ロードコンポの部分を省きました。
STIがロード用R8000アルテグラであっても、クランクとFDをGRX11速用にすれば対応しています。
10速も同様で、STIが4700でも、クランクとFDをGRXにすることは可能。
ただし、旧10速の7900デュラなどは対応していません。
油圧ディスクについては、レバーが油圧用ならあとは大丈夫です。
なので例えばのケーススタディです。
ケース1
R7000系105(リムブレーキ)を使っていて、フロントシングル化&リアをワイドスプロケ(42T)を使いたい場合
⇒GRXのSTIだと油圧ディスク用になってしまうので、
R7000のSTIを活かしたまま駆動系を交換。
シマノの互換表だと、フロントシングル時はR7000のSTIではGRXのリアディレーラーと互換性がないことになっているので、やりようがないです・・・
ケース2
R8000系電動ディスクブレーキ搭載のロードバイクを、GRXでフロントシングル化したい
⇒R8000系の電動用STIはそのまま使えるので、あとはクランク、スプロケ、リアディレーラー、チェーンを交換。
<フロント>
クランクとFDを外し、FC-RX810-1に交換。
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スプロケを11-42Tに交換。SHIMANO(シマノ) スプロケット CS-M7000 11S 11-42T ICSM7000142
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posted with amazlet at 19.10.16シマノ(SHIMANO)左レバーは、もしかしたらブレーキレバーだけのものにしないとまずいのかも。
ケース3
R8000アルテグラで11-28Tスプロケ(&ショートケージRD)を34T化したい
・R8000系のロングケージRD(RD-R8000-GS)を使う方法と、GRX800系RD(RD-RX810)を使う場合の両方の選択肢がある。
元々ディスクブレーキの車種だとGRXのSTIも使えますが、リムブレーキだとGRXのSTIが使えないので、ロードコンポのSTIとGRXのディレーラーなどを組み合わせて運用することは出来そうです。
フロントシングルがメリットか?
GRXですが、11速用のフロントシングルクランクが用意されているので、フロントシングル化したい人には入手性などでメリットはありますね。
なんだかんだシマノ製品は、どこでも手に入りやすいので。
10速用のフロントシングルクランクはシマノではありませんが、まあ、当サイトでは推奨はしませんが、使えるかどうかは誰か検証してくれるかもしれません。
ちなみに、互換表はこちらにあります。
2019-2020_Compatibility_v026_jp
理屈の上では、フロントシングル、リア11-42Tのロードバイクも組めますが、さすがにロードで11-42Tは使いづらいのかなという感じですので、それに挑戦する人は少ないかもしれません。
ちなみにですが、ロードコンポ、GRXでの最小ギア比を確認してみましょう。
コンポ | フロント | リア | ギア比 |
ロードコンポ | 34T | 34T | 1.00 |
GRX810ダブル(11S) | 31T | 34T | 0.91 |
GRX600ダブル(11s) | 30T | 34T | 0.88 |
GRXシングル(11s) | 40T | 42T | 0.95 |
GRXダブル(10s) | 30T | 34T | 0.88 |
このようになるので、ギア比を1よりも下げたいロードバイク乗りの方でも、有用性はあるかもしれません。
ヒルクライム用に、という選択肢もあるかもしれせんね。
GRXですが、グラベル用コンポという扱いで、STIの形状は大きく変わっています。
グラベル用なのでSTI自体は油圧ディスク専用になってしまいます。
リムブレーキの場合、STIとリアディレーラーの互換性で、フロントシングル&機械式の場合にはロード用STIとGRXのリアディレーラーの互換性がないことになっているので注意が必要かもしれません。
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2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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