近年、カーボンフレームの完成車でも20万円以下のものもだいぶ増えてきました。
カーボンフレームに105搭載で18万とかもあります。
一方でカーボンフレームに105搭載で30万とかの完成車もあるわけです。
また、アルミフレームに105搭載で、25万などもあるわけです。
安いカーボンフレームの問題点について書いていきます。
安いカーボンフレームと高いカーボンフレームの違い
一口にカーボンと言っても、全く同じカーボンというわけではありません。
カーボンには硬さを表すヤング率というものがあります。
ヤング率は厳密には【引っ張り強度】を示す用語ですが、つまりは引っ張ったときにどれくらい変形するのかという目安になります。
高いカーボンフレームと安いカーボンフレームの大きな違いですが、一般的には高いカーボンフレームのほうが外力が加わったときにシナリが少なく、安いカーボンフレームは外力が加わったときにシナリが大きいのです。
これはロードバイクでよく言う【剛性が高い】とか【剛性が低い】という話になります。
これらが乗ったときにどのような違いとして感じるかというと、高いカーボンフレームだとペダルを踏み込んだ時にフレームのシナリが少ないため、踏み込んだパワーがそのまま推進力につながるようなイメージです。
逆に安いカーボンフレームの場合、ペダルを踏み込んだ時にフレームのシナリが大きく、踏み込んだパワーがいったんフレームに吸収されてから進むようなイメージです。
これらの違いは、路面から伝わる振動吸収性の違いとしても現れます。
高いカーボンフレームは路面からの振動に対してフレームのシナリが少ないため、振動が来やすい。
逆に安いカーボンフレームだと路面からの振動に対してフレームが大きくシナるため、振動吸収性がよく乗り心地がいいと言えます。
※高いカーボンフレームの場合、部分的にカーボンの厚みを変えたり複雑な形状を取ることで振動吸収を高めていることも多いので、必ずしも振動がゴツゴツ来るわけでもありません。
高いカーボン | 安いカーボン | |
メリット | 加速性が良い | 振動吸収性が良い |
デメリット | 振動吸収性が悪い | 加速性が悪い |
大体のイメージはこんな感じですが、ハイエンドのカーボンフレームは加速性と振動吸収性を高い次元で両立しているフレームが多いため、必ずしも表のとおりとはなりません。
安いカーボンフレームの問題
カーボンのメリットというのは、軽いということです。
これは金属系フレームに比べると軽量にできるという話です。
ですが安いカーボンフレーム完成車を見ていくと、8.5キロ程度あったりなど必ずしも軽いわけでもありません。
アルミ完成車でも7キロ台がありますから、必ずしもカーボン=軽いとも言えません。
安いカーボンフレームの場合、強度を確保するために肉厚なカーボンフレームになっていたりします。
そうなると軽量性を求める人には、特にメリットはありません。
カーボンフレームで軽いものを作るには、薄く作りながらも強度を確保しないと売り物にはなりません。
そうなるとグレードの高いカーボンを使うとか、いろいろとお金がかかってしまうため、製品価格は当然ながら上がります。
なのでカーボンだから常に軽いわけでもないことを理解しておきましょう。
低価格のカーボンフレームが向く人、向かない人
低価格カーボンフレームのメリットは、乗り心地の良さです。
なのでまったりツーリング派の人にはうってつけでしょう。
私が思う、低価格カーボンフレームが向かない人ですが、一番はレース志向の人です。
レースでガンガン踏みまくるのに、踏んでも踏んでも進まないんじゃ話になりません。
次に低価格カーボンフレームが向かない人ですが、アルミのクロスバイクからの乗り換えの人です。
クロスバイクってやたらと剛性が高いアルミフレームが多いのですが、クロスバイクから低価格のカーボン車に買い替えたとき、あまりに進まなくてビックリする人がいます。
これはペダリングの仕方にも問題があり、雑なペダリングをする人だとなおさら進まない感じがしてしまうでしょう。
アルミフレームのロードバイクから乗り換える人も要注意です。
低価格のカーボンフレームとアルミフレームを比べた場合、アルミフレームのほうが剛性が高いことがほとんどです。
そのため、同じく【踏んでも進みづらい】という感じになってしまいがちです。
なのでアルミフレームのクロスバイクやロードバイクからの乗り換えの場合、最低でも完成車で30万以上のカーボンバイクにしないと、【せっかくカーボンフレームにしたのに、なんかアルミバイクよりも進まない気がするぞ】となってしまうケースが多いのです。
ただし、乗り心地を最優先して加速性はさほど重視していない人にとっては、低価格のカーボンフレームというのもアリな選択肢です。
初めてスポーツバイクを買う人はどうしたらいいかというと、やはり加速性重視ならアルミフレームで20万以上を狙ったほうが、満足いくことが多い気がします。
低価格のカーボンフレームは、あくまでのまったりツーリング用と考えたほうがよさそうです。
※ここでいう低価格カーボンフレームは、完成車価格で20万以下を指していますが、20万以下のカーボンフレームでもそれなりの加速性を持っている車種もあります。
例えばビアンキのインテンソは低価格のカーボンフレームと言っていいと思いますが、この価格帯にしては剛性がしっかりしていて、加速性がいいように感じます。
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コメント
剛性と強度はまったく別のものです。
ヤング率は剛性の指標。
強度をあらわすものではありません。
最近の高剛性カーボン繊維は引っ張り強度はいくらか低かったりしますよ。
コメントいただきありがとうございます。
>剛性と強度はまったく別のものです。
ヤング率は剛性の指標。
強度をあらわすものではありません。
そのように本文で書いているつもりなのですが、何か疑義があるということでしょうか?
【ヤング率は厳密には【引っ張り強度】を示す用語ですが、つまりは引っ張ったときにどれくらい変形するのかという目安になります。】と書いているように、ヤング率=剛性の指標ですよね?
ほかにも剛性と強度の違いをまとめた記事もありますのでご確認ください。
http://roadbike-navi.xyz/archives/1245/
いつも参考になります。
最後の※印のところで、ますますビアンキ「インテンソ」か「インプルソ」かで購入を悩んでおります。。。(笑)
コメントありがとうございます。
インテンソ、結構悪くない選択肢ですよ。
インプルソと悩むなら、インテンソのほうがちょっとだけいいかもしれません。
いつも興味深く拝見しております。
剛性が高い=エネルギー効率が良い、ではない、という意見も見かけます。
トランポリンを高く跳ぶには、いちばん柔らかい真ん中を使うよね、とか。
実際どうなのでしょうね。
しなりをバネと考えると、減衰が無ければエネルギーは保存されますので、フレームの応答とペダリングのリズムとが打ち消し合わないタイミングかどうかの問題な気がします。
仮に自転車がしなりのない剛体だと、ライダーが疲れて不利だし、路面追従性も悪いでしょうし。
良い鉄バイクは走りに伸びがある、という人がいるのは、適度なしなりがその人のペダリングに合っているからなのかなと。
別に出来の悪いブヨブヨのカーボンが良いとは思いませんが、ゴツゴツは嫌ですねえ。結局、初心者の私には乗り味で良し悪しの判別は無理ですし、だからといって高ければいいとも思えないし。少なくとも、カーボンだからといって優れているわけではなく、素材ごとの特性を含めて出来不出来があるよね、ということでしょうか。
コメントありがとうございます。
結局のところ、人それぞれ必要な剛性は違うと思うのでなかなか一概には言えませんが、「剛性が高い」という表現についてもどの部分の剛性が高いのかによって話は違うと思うので、ややこしいです。