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心房細動とロードバイク。

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先日の記事に関係してですが、

病気とロードバイク。ロードバイクに乗る上で生じる責任について考えてしまった話。
昨年末なんですが、友人(女性)に久々に会ったときに、衝撃的なことを知りました。 ある意味ではロードバイクにも関係しうる話なのかなと思ってまして。 突然死⇒いろんなものをなぎ倒す その友人には、もう10年以上前に離婚した元旦那がいるのですが、...

かなりの方に記事を読んでいただいたようで、ありがとうございます。
冒頭に書いた、運転中に病死という件、いろんな意味で怖いなと思った人は多いようです。

 

さて、今回は心房細動とは何なのか?についても説明したいと思います。

心房細動とは何か?

まずは心臓の構造から。
左心房、右心房、左心室、右心室の4パート。

なので血液の流れとしては、

 

全身⇒右心房⇒右心室⇒肺⇒左心房⇒左心室⇒全身

 

このような流れです。
あえて血液の流れを青とオレンジにしてますが、静脈血と動脈血です。
肺で酸素を受け取って酸素を全身に行き渡らせる流れと思っていただければ。

 

心臓はポンプですが、ポンプを働かせるのは、神経的な調節です。

右心房にある【洞結節】がペースメーカーの役割。
洞結節が興奮して心房が興奮し、その電気信号が【房室結節】を介して心室を興奮させてポンピングするという仕組みで心臓が動きます。

 

心房細動というのはどういう状態なのかというと、まずペースメーカーが正常な機能を喪失してしまい、1分間にそれこそ400~600回の不規則な興奮が起こります。(正常では1分間に60から100回程度)
これにより心房が痙攣したような状態になります。

 

で、その異常な興奮がそのまま心室に伝わると危険なので、房室結節がフィルター的に働きます。
洞結節で発生した心房の興奮が、仮に1分間に500回だったとします。
洞結節から送られた信号を、房室結節が間引いてくれるので、心室の動きが1分間に70回だったり(正常範囲内)、200回だったり(頻脈)だったりするわけです。
なので洞結節が発電所、房室結節が変電所みたいなもんですかね。

 

ちなみに、似ている言葉で心室細動というのがあります。
心室細動は、心室が機能喪失状態で、心室が痙攣している状態です。
もう一度見てもらえばわかるように、

心室は全身に血液を送り出すポンプなので、心室が痙攣すると全身へ血液が行き渡らない状態なので、かなり危険です。

心房細動の症状

心房細動は約半数くらいは無症状のまま経過すると言われています。
先ほども書いたように、右心房で発生した興奮が、房室結節で制御されていれば、心拍数としては正常範囲に収まる可能性もあるので、そういうときは無症状の場合もあり得ます。
性別差では男性が女性よりも1.5倍ほど多く、加齢とともに多くなります。

 

心房細動の症状は、以下の通り。
・頻脈
・動悸
・ふらつき
・失神
・疲れやすい
・胸の不快感
・胸痛
・息切れ

 

など。
最初に書いたように、無症状のままという方も結構多いのが特徴で、心房細動自体が死因となるようなことはマレと言われます。

 

心房細動により引き起こされる疾患は、脳梗塞です。
なんで??と思うかもしれませんが、

心房細動では、主に右心房の痙攣により、右心房のポンプ機能が低下します。
その結果、右心房内の血流が停滞するため、右心房に血液の塊が出来やすいんですね。
その血液の塊が心臓の壁から剥がれ落ちて、全身に行く血流に乗ってしまうと、脳の血管内で詰まって脳梗塞を起こしやすくなります。

 

心房細動を持つ人の脳梗塞リスクは、心房細動がない人の約5倍と言われます。

 

脳梗塞の前段階でもある、一過性脳虚血発作のリスクにもなります。
一過性脳虚血発作は、脳の血流が低下して起こる症状ですが、先ほどの血栓が脳の血流を悪くしたということです。
一過性なので24時間以内に症状が消えるものですが、脳梗塞の前段階とも言われます。

 

そういうこともあって、心房細動の方に、抗凝固剤が投薬されることがあります。
血液をさらさらにしておけば、血栓のリスクが減るということです。
抗凝固剤を服用していると、怪我したときなどに血が止まりづらくなります。

 

心房細動を持っている人が必ず脳梗塞になるというわけではなく、高血圧、糖尿病、心機能の低下、高齢者、脳梗塞の既往歴、僧房弁狭窄症などのリスク因子を持つ人の一部に起こるとされているようです。

 

心房細動は発作性、持続性、慢性があり、

・発作性⇒数時間~7日以内で収まる
・持続性⇒7日以上
・慢性

 

発作性が続けば持続性へ、さらに慢性へと移行していくとされています。

 

なお、心房細動の誘引になりうるのは、加齢やストレス・急激な運動・飲酒・睡眠不足・過労・喫煙・脱水などの生活習慣などが誘因となり発症すると言われています。

心房細動と運動

心房細動は運動することに問題があるのか?というと、現在の考え方では、きちんと管理してコントロールされているなら、また過負荷にならなければ特に制限はないとされます。

 

一般的には、運動負荷が高くなりすぎない範囲で、というのが定説ですが、運動負荷を上げれば上げるほど心房細動のリスクを抑えるという研究もあります。

 

2015年7月31日 運動は心房細動のリスクを上げる?下げる?
激しい運動は心房細動のリスクを上げるか下げるか

 

ただしこの研究、【既知の心房細動は除外】なので、既に心房細動を自覚している人以外での話です。

道路交通法66条

道路交通法66条では、このように規定されています。

(過労運転等の禁止)
第六十六条 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
(罰則 第百十七条の二第三号、第百十七条の二の二第七号)

正常な運転が出来ないときではなく、正常な運転が出来ない恐れがあるときの運転を禁止しています。
もちろん、自転車は軽車両ですので、この条文は該当します。

 

その上で、特定の疾患を列挙していない条文です。
あくまでも診断名や疾患名ベースではなく、正常な運転が出来ない恐れがあれば一律で禁止されているといえます。

 

どういう病気が当てはまるのかについては、なかなか難しいところですが、例えば風邪で39度の発熱があり、ふらついているなどの症状があれば、運転禁止に該当するといえそうです。
私自身、重度の花粉症持ちですが、年に数回、薬を飲んでもくしゃみが全くコントロールできないほど悪化する日があります。
ロードバイクで走行中にくしゃみすると、ホンキで落車しそうになります。
特に、下りでスピードが出ているときとか。
こういう状態も、広い意味では66条に反する可能性はありますが、自分自身が危険なことや、落車事故により誰かに迷惑をかける可能性が高いと思っているので、そういう日には自転車には乗りません(自主規制)。

その上で

前置きが長くなりました。
前に書いた記事の話に戻りますが、この話、健康上のリスクと道交法66条の違反は必ずしも一致しないと思うので、完全な同一線上で考えないほうがいいと思うんですね。
道交法66条はあくまでも【正常に運転できない恐れがある状態での禁止】ですので。
風邪で死ぬリスクはそれほど高くないですが、一定条件の下では運転禁止に該当しうるわけで。
その方はSNS上で

 

・心房細動は自転車に乗っているとよく起こると書いている
・高強度のトレーニング、ロング中の唾の飲み込み(振動も)、これらで心房細動が起こることを書いている
・ヘアピンカーブ後に心房細動で減速したとあり、寝転んで落ち着かせたと書いてある
・安静時の心房細動が持続し、救急車を呼ぶか迷ったような書き込みがある

 

こういう事実から見て、道交法66条の【正常な運転が出来ない恐れ】に該当しうるのでは?というところが最大の懸念ではないかと思います。
また、多くの人が心配しているのは、ここではないかと推測します。

で、適切にコントロールされている分には、心房細動は運動自体は構わないというのが現時点での定説です。
心房細動で自転車に乗っている最中に寝転ぶ必要性があるくらいなら、それは適切に心拍コントロールされているのだろうか?と疑問に思うのは、一般的感覚ではないでしょうか?

 

また、正常な運転が出来ないから休憩を取らざるを得なかったともいえますし。

 

判例なども調べましたが、自転車に関するものは見つかりませんでした。
また、道交法66条は病名の限定列挙ではなく非常に曖昧な文言なので、どこまでが適用範囲なのかについては特に基準があるわけではないようです。

 

このあたり考え方は難しいところです。

ロードバイクはスポーツなのか?

ロードバイクはスポーツなのか?と聞かれたら、間違いなくスポーツです。
そしてその上で、道路交通法に規定され、一定の制限を受ける車両でもあります。

 

この方については、あえて名指しせずに書いています。
これには理由があるのですが、そこは本筋ではないので省略します。

 

この方のブログを見る限り、ボクシングを引き合いにして自己決定権を引用されていますが、ほかのスポーツとロードバイクが大きく違う点は、公道を使っている車両であるということ。
そのため、ほかのスポーツとはまた違ったルール(道路交通法)に縛られますし、求められる能力も違います。

 

ロードバイクってどうしても車両感がないというか、自由に走れるスポーツなんだと思ってしまいがちですが、道路交通法で求められるルールを遵守し、他者の安全も守る必要性があります。
ブログにて、心配とは心を配るコミュニケーションと書いてありましたが、心を配るということは、対象者の意向に沿うものとは限りません。

 

2年くらい前にあった事例ですが、ある平日の夕方に電車に乗ったところ、私の後ろのほうから悲鳴とざわつきが。
は??と思って振り返ったら、なぜか若いサラリーマンが、顔面と頭から大量流血のまま、涼しい顔して立っているんですね。

 

このとき、私も含めて、多くの人が

管理人
管理人
大丈夫ですか?
次の駅で降りて駅員呼びましょう。

ところが本人は、

読者様
読者様
大丈夫です。
顔でも洗って帰ります。

 

で、オバサンが最後一喝したんですね。

いろんな人
いろんな人
あなた、本当に死ぬかもしれないんだよ!
次の駅ですぐに駅員呼ぶから、いいから私についてきなさい!!

 

かなり強い口調で叱るように言っていたのですが、誰がどう見ても大丈夫じゃない状況の大量出血。
本人の意向とはそぐわなくても、心配なんです。
ちなみにオバサンが一喝したあと、電車に乗る寸前で殴られたと言ってました。
死ぬ寸前みたいな顔色してましたが・・・

 

それを余計なお節介と思う人もいるかもしれません。
しかしそれが社会的に見て、どう見てもダメだろ、というときには、本人の意向よりも社会的な意味のほうが優先しても何らおかしくはないですし。

 

最近特に思うのですが、自分の意見に賛同してくれるとか、褒められることって、誰でも嬉しいですよね。
でももっと大切なのは、苦言を呈してくれる人が身近にいること。
本当に嫌いなら、誰も気にもしません。
苦言を呈してくれる人や、説教してくれる人って大切。
単にそれを【アンチ】と切り捨てていると、自己成長の機会を失ってます。

で、この件ですが、該当する自治体の警察本部にも確認を取っています。
道交法66条の車両等には、自転車も該当することも確認しています。
その上で現時点で、この状態だけでは道交法66条による取り締まりは難しいと。

 

実際に事故が起きた際に、そういう病気が背景にあると立証されるなら道交法66条の違反を取る可能性も十分あるということと、もしふらついて運転しているところを目撃した場合や、不自然に寝転んでいる人を見かけたら、職質かけてこれ以上運転しないように注意するのがせいぜいではないかと。
(注:ふらついてというのは、病気だけでなく疲労も含む)
また事故の背景に病気が関係していることが立証されるなら、過失割合にも不利に出るだろうということくらいでしょうか。

 

ここで勘違いされたくないんですが、取り締まりが難しいだけで、合法とも違法とも言えないこと。
そのへんで自転車乗っている人をいきなり捕まえて、

管理人
管理人
お前、病気じゃないのか!確認させろ!

なんてありえないですよね。
おかしな運転しているのを警察が現認すれば、職質して事情を聴く可能性もあるし、その結果として66条の違反を取る可能性もある。
しかし、警察も全てを監視できるわけではないので、現実的には、事故が起こったときに病気が事故の一因であるとされれば66条の違反を取る程度になるだろうとのことでした。
免許制度もないので、現時点で運転禁止の命令などは出せないでしょう。

 

自己決定権という言葉を出されていたので相当な違和感を感じましたが、そこには責任が伴います。
きちんとコントロールされている範囲で道交法に触れない程度でロードバイクに乗るなら、何ら問題はありません。
しかしコントロールされているとは思えないような書き込みが目立っていましたので、そこには疑問があります。

 

で、最初からずっと書いていることですが、心配無用というスタンスなら、最初から心臓がどうとか書くべきではないです。
SNSってそういう場所です。
不用意な発言から炎上しうる場所。

 

この方が当サイトを見ているとは思えませんが、この方がヒルクライムなどで追い込んでもいいと思える根拠は何も示されませんでした。
今後事故が起こらないことを祈るだけです。

 

多くのサイクリストの心配って、この方自身に対する心配よりも、この方に万が一が起こったときに、非サイクリストがどう思うのか?というところではないでしょうか?
ロードバイク叩きにつながるかもしれないし、何かしらの法的規制が生まれる可能性もある。

 

これは全てのサイクリストに当てはまりますが、自分の行動次第では日本中を巻き込んで騒動になりうる。
そこまで責任を背負っていることも忘れて欲しくないなと思ってます。

 

この件で、【ロードバイを免許制に】と言っていた方もいましたが、下手するとそういう方向性に行きかねないということです。
免許制にすれば、一定の疾患を持つ人が免許取得に制限を掛けられる。
ですがそれをすると、ロードバイクを新たに始めようと考える人も激減しかねない話で、それこそ業界をぶっ潰す可能性もある。

 

そこまでの覚悟を持つことです。

 

全て自分で責任を取れると断言するなら、余計信用ならない。
本当に責任について考えている人なら、【全て】とか【絶対】とかいえないことが分かっているもんです。

 

最後に。
この記事も過去の記事もそうですが、この方を非難したいわけでもありません。
多くのサイクリストは理解していると思いますが、ロードバイクが車両であることの意味をもう一度再確認したほうがいいと思い書いてます。

 

極論すれば、例えばブルべ。
道交法66条の過労運転だと言われてしまえば、そうとも捉えることができます。
警察の方も言ってましたが、過労運転の立証はかなり難しいらしく、実務上では事故が起きたときに、走行記録から運転時間と休憩時間を見て判断することになると言ってましたが、どこからが過労なのか?という線引きは非常に難しい。

 

で、一般的なブルべ参加者だって、体調が悪ければDNSもしくはDNFという形で走ることを断念するでしょう。
自分を守っているとも言えますし、何かトラブルが起こった時の自転車業界全体への影響もあるでしょうし。
非サイクリストからみれば、100キロ走ることだってとんでもないことをしていると誤認されうる世界ですが、誰かがおかしな行動を取れば、それこそ世論としてブルべは危険だ!という風潮が出来てしまう恐れもある。
その結果、規制されていく懸念まである。

 

※私個人がブルべ否定派ではありませんので、誤解しないよう。

 

そういうことまで背負っているわけで、そうなるのもロードバイクが車両だから、道交法で一定の制限を受ける乗り物だからなんだと思います。
野球でも、硬式ボールが頭に当たれば死ぬことはありますが、だからといって禁止すべきという世論にはならない。
自転車の場合、おかしなロード乗りが事故を起こせば、世間的な風当たりは強くなる。
それは道路という公共物で乗る乗り物だから、いつ誰が被害に遭うかもわからないものだから、世間は叩こうとするわけなんだと思うんです。

 

おかしなロードバイクの例。

これらは信号無視などの事例ですが、最後のなんて、スポーツ性>法律、になってますよね。
練習のためならルールは無視。
こういう人が、車運転するときも同じように信号無視しているとは思えないのですが、ロードバイクだから信号無視する理由は、やっぱ車両感が欠落しているからなのかなと思うんです。
どうせバレてもお咎めなしと思っているのかもしれませんが。

 

責任という言葉の重み、理解しないといけませんね。

 

 




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