遊歩道・サイクリングロードでの、急な歩行者の方向変更での事故(未遂)と過失割合。

読者様からの情報です。

フェイスブックのある自転車コミュニティに、遊歩道?、サイクリングロード?での事故未遂の動画が上がっているそうで、これについてどう思うか?という話がありました。
特定個人を非難したいわけではないので、その動画については記しません(というよりも、削除されているっぽい)。

その上で、やっぱ遊歩道やサイクリングロードを勘違いしている人って多いんだなと思いまして。

事故未遂の状況

浦安市の日の出三番瀬沿いの緑道というところをロードバイクが走行中に、前にいたランナー(同一進行方向)が、急にロードバイク側に進路を変更したため、衝突しそうになったが回避した。

投稿者は、もし接触事故を起こしていたら、映像がないと過失割合が高いと思う、として自衛策としてドラレコが重要だと言うことを投稿。

イメージ図はこちら。

こんな感じのようです。
ここは海岸沿いで、車が通行できないようになっているようです。
なお、自転車と歩行者の区分は、段差などではなく、舗装の色の違いです。

これについて、自転車が悪いのは間違いないんですが、ついているコメントを見ると、ほとんどが

いろんな人
いろんな人
そこは歩道だから0:100

もし衝突すると過失割合がどうなるか?については、ちょっと疑問があります。

ここは【歩道】なのか?

事故関係を取り扱う法律は、道路交通法です。
この道路が道交法で何に該当するか次第で、実は過失割合が変わります。

ここが道交法上の【歩道】であれば、歩行者が進路を変えていようと、万が一衝突した場合の過失割合は、

歩行者 : 自転車 = 0:100

このように問答無用で全面的に自転車が悪いことになります。
これは道路交通法63条の4で、自転車が歩道を走るときには徐行と一時停止することなどが規定されているからです。
簡単に言えば、歩行者がどんな動きをしようと、絶対に事故らないように走れよ!と決まっているわけです。

で、この道路が歩道になるのかと言うと、たぶんここは道交法上では歩道ではありません。
恐らく、道交法上では【道路】になると思います。

(定義)
第二条
一 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

二 歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。

三 車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

歩道の定義は、道路の中で縁石や柵で仕切られた部分を指すのですが、一般的には車道に付属している歩道のみを指します。
そのため、この場所が実質的な遊歩道みたいになっていても、道路交通法では歩道ではなく【道路】扱いだろうと思われます。
(見たところ、車道があるわけではない)

ここが結構ややこしくて、
・一般用語としての歩道
・道路交通法での歩道
・道路構造令での歩道

全部微妙に違います。
道路交通法での道路の定義は【一般交通の用に供するその他の場所】を含みます。
なので例えば私道でも、普通に不特定多数が通行している実績があれば、道交法では道路になります。
より具体的に言うと、

・荒川下流域のような、河川緊急道路(国土交通省の管理)
・ショッピングセンターなどの駐車場(私有地)
・公園内の遊歩道(自治体などが管理)
・県道などに指定されているサイクリングロード(実質的に歩行者と自転車の専用道路)
・昭和記念公園などのサイクリングコース

これらは道交法では全部【道路】になります。
いろいろ調べても、この事故未遂があった場所が、遊歩道かサイクリングロードに近いようなイメージなのかなと思うのですが、恐らくは道路交通法上では【道路】であって、【歩道】ではなさそうです。

この道路が道路法(道路交通法ではない)48条の13~16に定める、【自転車歩行者専用道路】に指定されているかもしれないのですが、調べても分かりませんでした。
指定されているなら、道交法では道路になります。
自転車歩行者専用道路では、このような標識があります。

さらに似たような用語で、【自転車歩行者道】というものもあり、こちらは道路構造令に定められてます。

法令道交法での扱い具体例
自転車歩行者専用道路道路法48条の13~16道路サイクリングロードなど
自転車歩行者道道路構造令2条の3歩道車道に併設された歩道
自転車道道路交通法2条の3の3自転車道(車道)車道の中で自転車用に区切られた空間

・自転車歩行者専用道路 ⇒ 自転車と歩行者の交通のために設けられる独立した道路

・自転車歩行者道 ⇒ 【専ら自転車及び歩行者の通行の用に供するために、縁石線又は柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう】⇒道路の中で歩行者と自転車のために区分されたとなるので、一般的には車道に併設されている

恐らく、自転車歩行者専用道として指定されているか(⇒道交法では道路)、何も指定されていないか(⇒道交法では道路)だと思うので、道交法での扱いは道路でいいのかと。(歩道ではない)

ちなみに、道路交通法での【自転車道】は

自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

このようになってます。
これがどういうのを表すかと言うと、サイクリングロードではなくて、このように

車道の一部として作られているのが自転車道です。
いわゆるサイクリングロードは、道路交通法では自転車道ではなく【道路】になります。
さらにいうと、こういうのもありますが、

これは自転車通行帯で、これはまた別に道路交通法で定められていて、いわば自転車専用の車線です。

このように、自転車関係って、実はややこしい。

一応、道路扱いのケースと歩道扱いのケースに分けて考えます。

【道路】扱いの場合

道路交通法上の道路だとした場合、基本的には車両側が歩行者の安全確保を行う義務があります。
ただし、急に進路を変えている点は歩行者側の過失になるので、恐らくは10:90か20:80くらいがスタートです。

そのほか、修正要素があるとしたら、
・自転車の猛スピード
・歩行者付近で徐行しなかった
・自転車が音楽を聞いていた

こういう要素は全部マイナスに働きます。
というのも、日本の道路って、基本的に想定している自転車ってママチャリなんですよね。
そのため、例えばロードバイクで時速35キロくらいでも、一般的に想定している自転車から比べるとかなり速いわけで、そういうのもマイナスに働くことがあるようです。

こちらの記事でも書いてますが、

逆走自転車と衝突事故を起こした場合、過失割合は0:100にはなりません。

逆走自転車と衝突した場合、実は逆走自転車が悪いとはなりません。
過失割合としては、幹線道路以外では50:50からスタートします。

衝突を回避できないほどスピードが出ていたとして過失割合に影響することもあるので、実はロードバイクって分が悪いです。
なので実質的なところで、この状況でもし衝突した場合、

10:90か20:80あたりだろうと思われます。
ちなみに舗装の色区分は、法的に何かを示すわけではなくて単なる目安なので、恐らく関係ありません。

10:90、20:80ということは、ほとんどがロードバイクが悪いということです。

【歩道】扱いの場合

この道路が道交法で歩道だとされるなら、もし前のランナーが進路を変えたことで事故が起きても、過失割合は0:100でロードバイクが全面的に悪いことになります。

歩道で自転車と歩行者の事故が起こった場合、原則としてはどんな状況でも、0:100になるそうです。

根拠はこちら。

道路交通法
(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四

2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

歩道中央から車道寄りの部分を徐行して、歩行者の通行を妨げるときは一時停止する義務があるので、衝突ないし接触した時点で一時停止違反です。

たぶん道路扱いかと

このフェイスブックにあったケースは、道交法では【道路】だと思われます。
そのため、もし接触や衝突事故になっていた場合、ロードバイクが0:100にはならない案件だろうと思います。

ただ、本質的にはそこが問題ではなくて、こういう場所だったり、サイクリングロードなりを走るときの鉄則。

歩行者が最優先で、歩行者の安全を守るために行動する

歩行者とかランナーとかは、動きが本気で読めない
(特にお年寄りと子供)

ランナーとか、普通に急に反転する人とかいますし、歩行者とか、きれいな花を見つけていきなり駆け寄るとか、ホントそんなのは日常茶飯事です。
それを知っていれば、ランナーが見えた時点でもっと徐行しているとか、徐行して後ろから声を掛けるとか、出来ることはいくらでもあります。

特に注意すべき点は、ランナーが不自然な位置にいること。
歩行者エリアと自転車エリアの真ん中付近にいる時点で、【嫌な予感】を感じたほうがいいですね。

事故ったときの過失割合も大切ですが、事故らないように運転するのが最大の鉄則。
最近はドラレコを装備しているロードバイクも増えているようですが、ドラレコは確かに事故にあったり、事故を起こしたときの有力な証拠になります。
しかし、本来は事故を起こさないためにどうするかが大切なので、個人的な感想としては、この動画を見たときに

管理人
管理人
うわ、このロードバイクの走り方はないわ。

こう思ったのが本音です。

このサイトではサイクリングロードに行かなくなることが、【脱初心者の第一歩】とか書いてます。
サイクリングロードで本気でマナー良く走ると、減速の応酬でまともにロードバイクらしくなんて走れません。
でも初心者さんの一部には、車も来なくて全力で走れる場所と勘違いする人もいる。

確かに車は入ってこれない場所なんですが、歩行者からすると、そのロードバイクが車と同じような恐怖を与える存在なんですよね。
歩いているときに、1m横を時速35キロくらいで自転車が通過すると、マジでビックリします。
一度、歩行者の気持ちを体験してみるというのも、実はいいんですよね。
どこかのサイクリングロードを、10キロくらい歩いてみる。
これが歩行者の気持ちが分かる第一歩かもしれません。