今回は、前編の続きです。

BB下がりの記事に関してコメントがあります。私はロード初めてから何台か乗り換えましたが一貫してアルゴン18を乗り続けてます。(ツールに出てて他人と被らなそうだったので笑。現在はナイトロジェンディスク)
記事のリスト上でサイズが大きくなればBB下がりは小さくなる傾向を示しておりますが、アルゴン18は真逆でサイズが大きくなると同時にBB下がりが大きくなっております。(ナイトロジェンは同一ですが…)
参照:http://argon18.jpn.org/archives/products/gallium-pro-disc
記事上の各社とは結果が異なるので設計思想の違いと言われればそれまでですが、私も理系の端くれとして違う理由が知りたいです。(アルゴン18のHDSの影響で剛性と快適性を両立させるために擬似的にシートチューブの長さを確保する為にBB下がりを大きくしている等)。これは各社と違う事を批判するつもりはなく、確たる理由があってやっていると判明すれば良い意味での差別化になると思うためです。
大手販売店や雑誌のレビューでは低重心だとは書いてますが、それは結果だけであってそこに至った理由や採用するメリットをメーカーやブランドに近い場所から書いて欲しいと常々思うのですが中々そういった記事に出会えなくて残念です。
追伸
アンカーも数値の増加傾向は小さいとはいえアルゴン18と傾向は同じでした。
https://www.bscycle.co.jp/anchor/bikes/rs9s/
このようなお話です。
Contents
フレームサイズとBB下がり
一般的には、フレームサイズが大きくなるにつれて、BB下がりは小さくなります。
こちらがBB下がり。
BB下がりが大きくなるというのは、こういう状態に比べて、
青のラインの方向に下がるわけです。
で、前にもまとめたように、一般的傾向としては、フレームサイズが大きくなる=BB下がりが小さくなる、こういう形がほとんどです。
つまりBB位置が上がるのですが、恐らくこの理由はシンプルで、
フレームサイズが大きい⇒身長が高い人が乗る⇒クランク長が長くなる⇒ペダルが地面に擦りやすくなる
なのでフレームサイズが大きくなるに従って、BB位置を上げる(BB下がりが小さくなる)ということだろうと思います。
前回もまとめで出した主要なところのまとめです。
メーカー | 車種名 | タイプ | タイヤサイズ | BB下がり | ||
小さめサイズ | 真ん中サイズ | 大きめサイズ | ||||
スペシャライズド | S-WORKS TARMAC SL6 DISC | レーシング | 26c | 74mm | 72~74mm | 72mm |
S-WORKS VENGE DISC | エアロ | 26c | 74mm | 72mm | 72mm | |
S-WORKS ROUBAIX | エンデュランス | 28c | 77.5mm | 76mm | 74.5mm | |
S-WORKS DIVERGE | グラベル | 38c | 85mm | |||
LOOK | 795 BLADE RS | エアロ | – | 65mm | ||
785 Huez RS | レーシング | – | 65mm | |||
765 OPTIMUM | エンデュランス | 25c | 68mm | |||
トレック | MADONE SLR9 DISC | エアロ | 25c | 72mm | 70mm | 68mm |
EMONDA SL | レーシング | 25c | 72mm | 70~72mm | 68mm | |
DOMANE SL | エンデュランス | 32c | 80mm | 80mm | 75mm | |
CHECKPOINT SL | グラベル | 40c | 78mm | 76mm | 74mm | |
ピナレロ | DOGMA F12 | レーシング | 28C? | 67mm | 72mm | 67mm |
DOGMA FS | エンデュランス | – | 72mm | |||
GREVIL+ | グラベル | – | 67mm | |||
コルナゴ | C64 | レーシング | 28cまで | 65mm | 70mm | 70mm |
CONCEPT | エアロ | 28cまで | 65~69mm | 70mm | 70mm | |
G3-X | グラベル | 40c | 70mm | |||
キャノンデール | システムシックス | エアロ | 23c | 74~79mm | 72mm | 69mm |
スーパーシックスEVO | レーシング | 25c | 74mm | 72mm | 68mm | |
シナプスカーボン | エンデュランス | 28c | 75mm | 73mm | 70mm | |
トップストーンカーボン | グラベル | 37c | 69mm | 61~64mm | 59mm | |
ラピエール | XELIUS SL | レーシング | 25c | 67mm | ||
AIRCODE SL | エアロ | 25c | 67mm | |||
PULSIUM | エンデュランス | 25c | 72mm | 69~72mm | 69mm | |
メリダ | Scultura Limited | レーシング | 25c | 66mm | ||
REACTO DISC | エアロ | 25c | 70mm | 66~70mm | 66mm | |
RIDE | エンデュランス | 25c | 65mm | |||
SILEX | グラベル | 38c | 75mm | |||
YONEX | AEROFLIGHT | エアロ | – | 68mm | ||
CARBONEX HR | レーシング | – | 68mm | |||
ビアンキ | スペシャリッシマ | レーシング | 25c | 58mm | 68mm | 68mm |
オルトレXR4 | レーシング | 25c | 58mm | 68mm | 68mm | |
インフィニート CV DISC | エンデュランス | 28c | 68mm | |||
IMPULSO ALLROAD | グラベル | 35c | 68mm | |||
スコット | FOIL | エアロ | 28c | 66mm | ||
ADDICT RC | レーシング | 28c | 70mm | |||
ADDICT | エンデュランス | 32c | 67mm | |||
SPEEDSTER GRAVEL | グラベル | 35c | 67mm | |||
サーベロ | S5 DISC | エアロ | 25c | 72.5mm | 70~72.5mm | 70mm |
R5 DISC | レーシング | 25c | 74.5mm | 72~74.5mm | 72mm | |
ASPERO DISC | グラベル | 40c | 78.5mm | 76~78.5mm | 76mm | |
BMC | TIMEMACHINE ROAD | エアロ | 25c | 70mm | ||
ROADMACHINE | レーシング | 28c | 71mm | |||
ROADMACHINE X | グラベル | 34c | 71mm | |||
TEAMMACHINE SLR | レーシング | 25c | 69mm | |||
ほとんどの車種は、フレームサイズが大きくなるにつれて、BB下がりは小さくなっていきます。
中には、フレームサイズ関係なくBB下がりが一定という車種もありますが。
で、今回頂いた話ですと、アルゴン18のガリウムプロは、フレームサイズが大きくなるにつれて、BB下がりも大きくなる(どんどん下がっていく)そうです。
フレームサイズ | XXS | XS | S | m |
BB下がり | 65mm | 70mm | 75mm | 75mm |
コルナゴのC64とコンセプトについても、同じような傾向が出ています。
C64 | コンセプト | |
420s | 65mm | 65mm |
450s | 68mm | 68mm |
480s | 69mm | 69mm |
500s | 70mm | 70mm |
520s | ||
540s | ||
560s | ||
580s | ||
600s | ー |
コルナゴについては、C-RSでも同様の傾向になってます。
コルナゴのジオメトリは、車種によってはBB下がりが記載されてないので全てに共通する傾向というわけでもなさそうですし。
ちなみに質問にあったアルゴン18の【HDS】というのは、HORIZONTAL DUAK ZONEの略だそうです。
斜めに線を引いて、上がコンフォートゾーン、下がパワーゾーンという設計。
これがどれだけ関係しているのかはちょっとわかりません。
一つ、ガリウムプロについて気が付いたことがあるのですが、どのサイズでもチェーンステイ長は同じ415mmで、フレームサイズごとのホイールベースはこんな感じ。
XXS | XS | S | M | |
BB下がり | 65mm | 70mm | 75mm | 75mm |
チェーンステイ長 | 415mm | |||
ホイールベース | 970mm | 973mm | 981mm | 997mm |
ホイールベースは、前後の車輪間の距離。
チェーンステイ長が同じのまま、BB下がりが大きくなると、イメージとしてはこうなっていきます。
ちょっとだけリア三角が小さくなる方向かと。
それでもホイールベースは普通に長くなっていっているので、単にこのガリウムプロの狙いとして、リア三角の駆動剛性は下げたくないから、フレームサイズが大きくなるにつれてフロント側を伸ばして行こうとしただけなのかも?
チェーンステイ長415mmだとレーシングモデルとしてはやや長めくらい。
ちなみに先ほどあげた、コルナゴのC64とコンセプトについても、ガリウムプロと同様にフレームサイズが大きくなるとBB下がりも大きくなってますが、コルナゴはフレームサイズが大きくなるにつれて、チェーンステイ長も伸びてます。
C64 | コンセプト | |||
BB下がり | チェーンステイ長 | BB下がり | チェーンステイ長 | |
420s | 65mm | 405mm | 65mm | 399mm |
450s | 68mm | 68mm | 401mm | |
480s | 69mm | 408mm | 69mm | 404mm |
500s | 70mm | 410mm | 70mm | 406mm |
520s | 407mm | |||
540s | 412mm | 409mm | ||
560s | 414mm | 412mm | ||
580s | 413mm | |||
600s | ー | ー |
アルゴン18のHPに、このような記載があります。
5.チェーンステイ/リアトライアングル
理想的なチェーンステイの長さは求められるハンドリング特性により変わります。後三角のチェーンステイが短いほどハンドリングはクイックになり、早く走るためには逆に長さが必要です。ARGON 18のバイクは高い速度で走っても安定且つハンドリングも極めて良好です。
6.ホイールベース
フロントセンター長は、バイクのハンドリングやステアリングの特性を大きく左右します。不釣り合いに短いフレームは、過敏で予期せぬ挙動を起こし、意図したラインから外れがちになります。反対に長すぎる前三角はハンドリング性能を落とすことになります。ARGON 18のバイクは完璧にバランスの取れたホイールベースの設計がなされています。
TECHNOLOGY
ガリウムプロが、フレームサイズが大きくなるにつれてBB下がりが大きくなる理由ですが、正直わかりませんw
可能性としては、ガリウムプロはレーシングモデルとして、とにかくコンパクトなリア三角とフロント側のバランスを追求した結果そうなったのかなと思うのですが、あまり説得力がある説明でもありませんw
単に重心を下げたいだけ?
フレームサイズが大きくなれば、乗る人も身長が高くなり重心が上がっていくので、少しでも重心を下げたいという意図から、BB下がりをどんどん大きく取っているのかもしれません。
フレームメーカーは、そもそも、どのクランク長をベースにフレーム設計するのか?という疑問があります。
クランク長無視ではフレーム設計はできないでしょうけど(ペダルが地面に擦るから)、どのフレームサイズでもクランク長170mmで最適化されるように設計しているのか、小さめのフレームは165mmクランク前提で設計などしているのか?という疑問もありますね。
最低限、ペダルが地面に擦らないような最低地上高は当然考えているでしょうけど、どうなんでしょうね?
最適クランク長をベースにしてフレーム設計するのか、とりあえず地面に擦らなきゃいいやだけではないでしょうし。
一般的思考だと、クランク長が長くなるだろうと予想される大きいフレームサイズは、逸れに合わせてBBを高くしたほうが合理的なんじゃないかと思ったりもするのですが、細かく考察していくと結局のところ正確な理由はよくわかりませんw
なんとなく、こういうアプローチしたいのかな?という憶測は出来そうですが、それが乗り味と一致しているかもわからない。
ジオメトリは奥が深いということはわかったのですが、すみません、今回はちょっと降参気味です。
というよりも、このあたりは開発者に聞かないとわからなそうですね。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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