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路線バスを自転車が追い越そうとして接触した判例。

ロードバイクに乗っていて注意しなければならないのが路線バスの存在。
バス停で停車していた路線バスを自転車が追い越そうとしたときに、路線バスが動きはじめて接触したという判例があります。

路線バスとロードバイクの接触事故

判例は東京地裁 平成23年12月5日。
二車線の一方通行道路です。
詳細な図がないため、判決文の文字からイラストにしたため、細部に誤りがある可能性があるのでご了承ください。

左の側道からB車が第2車線に合流しようとしていたが、渋滞気味のため左後部が第1車線にはみ出すように停止していた。
バスが発進とほほ同時にウインカーを出し(時間1:15)、ロードバイクは時速20キロで、バスの発進直後にバスの右側面の最後部を通過(1:16~17)。
ロードバイクはバスの発進に気がついて右寄りに進路変更したもののそれほど減速せずにバスよりも速い速度で進行。
1:22(バス発進から7秒後)にバス右側面前側と接触。
ロードバイクはB車の存在に気づいておらず、B車にも接触したという事故です。

距離関係がちょっと微妙ですが、バスが発進してから接触事故が起こるまでの距離は約18.9mバスが進行しています。
第1車線の幅が3.5m、停留所が左に2.5m飛び出ているような道路です。

この事件ですが、ロードバイクが原告、バス会社が被告。
バス会社はロードバイクの一方的な過失により車体が損傷したとのことから反訴しています。

さて過失割合ですが、自転車:バス=70:30となってます。

被告には、被告バスを本件バス停から発進させ第1車線に進路変更するに当たり、右後方の安全確認を行い進行すべき注意義務があったのに、これを怠り右後方の安全確認を十分せずに被告バスに追い付いた原告自転車を見落としたまま進行した過失があり、その結果、原告自転車に被告バスを接触させるなどしたことが認められる。

(中略)

原告は、被告バスを追い越すに当たり、前車である被告バスの速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行すべき注意義務があったのに、これを怠り、被告バスが右に進路変更しており、被告バスの前方にも、B車が後部左角を第1車線にはみ出して停止していたのに、被告バスの追越しをした過失により、原告自転車を被告バスに接触させ、その直後にB車にも接触させたものと認められる(被告らは、原告が追越しをした場所は交差点の手前の側端から30m以内の部分であることから、追越禁止である旨主張するが、本件道路は優先道路であるから、追越しは禁止されていない)。

(中略)

原告と被告の過失割合について検討すると、道路交通法31条の2の趣旨を考慮しても、進路変更するに当たり、原告自転車が間近に迫っていたのに、右後方の安全確認を十分しないで原告自転車を見落とした被告の過失は大きいというべきである。

しかしながら、原告が追い越そうとした被告バスは車幅が2.4m近くもあり、右に進路変更していた上、第1車線の幅員も3.5mと広いものではなく、第2車線も渋滞していた。しかも、原告自転車が追越しのために走行していた進路の前方にはB車が停止していたのであるから、被告バスの追越しは非常に危険なものであったことが認められる。また、被告バスの発進から原告自転車と被告バスの接触までに7秒が、原告が被告バスの発車を認識してから5秒が経過しており、原告自転車の速度が時速約20キロであり、被告バスはそれ以上に低速であったことからすると、原告がブレーキを掛けるなどして本件事故を回避することは容易であったというべきである。にもかかわらず、原告は、漠然と追越しを行っている。
以上によれば、本件事故の主たる原因は原告の過失にあるというべきであり、原因と被告の過失割合は、本件事故が自転車対四輪車の事故であることを考慮しても、原告70%、被告30%と認めるのが相当である。

東京地裁 平成23年12月5日

一般的にはこういう事故はバスの過失が大きくなりますが、自転車が事故回避義務を怠ったことを問題にしている判例です。

事故回避義務

何度も書いていることですが、民事の過失割合は道路交通法違反のみを争っているわけではなくて、予見可能性と回避義務違反について争っている。

具体的状況までは不明なので、バスが発進と同時にウインカーを出した件も、即座に進路変更したのか、法律通り3秒はバス停留所に沿ってまっすぐ進行したのかはわかりません。
停留所の幅とバスの車幅からすると、停留所に停車していたときはバスが第1車線に少しはみ出た状況だったのかとは推測されます。
追い越しの定義はこうなります。

二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

道路交通法上、「他の車両に追い付いた場合」というのは、先行車が停止中の状況は除外して走行中に限定されます。
なのでより厳密にいえば、ロードバイクが取った行動は道路交通法上の追い越しではなく側方通過に過ぎないとも言えそうですが、先行車が路線バスであることを考えればいつかは発進することは容易に予見出来るので、追い越しなのか側方通過なのかを争ってもあまり意味がないのかもしれません。

バスが右後方をしっかり確認せずに発進して第1車線に進路変更したプレイについては、正直なところロードバイク乗りとしては本気で勘弁して欲しいところ。
バス運転者は接触するまでロードバイクの存在に気がついていなかったようです。

けど判決で問題にされたのは、ロードバイクが前方で第1車線にはみ出したまま停止していたB車の存在に気がついていなかったことと、ブレーキを掛ければ事故を回避できたところ。
道路交通法の義務でいうならバスに非があることは認めつつも、事故回避義務違反を重視した判例と言えるかと。

バスとかタクシーではよくあることですが、停止していたからロードバイクで追い抜いて前に出ようとしたら、同時にバスやタクシーも発進して謎の並走状態になること。
あれ、マジでやめて欲しいのですが、今回のように進路変更する際は3秒前にウインカーを出すルール(施行令21条)。
この判例では進路変更3秒前にウインカーを出したのかは不明ですが(かなり怪しい)、ここを守るだけでも後続ロードバイクの対応は変わるんですね。
きっちりウインカーを出したなら、後続ロードバイクは急ブレーキしなければならない場合以外では先行バスの進路変更を妨害してはいけない義務がある。

(乗合自動車の発進の保護)
第三十一条の二 停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない

みんな道路交通法を守っていれば何も起きずにハッピーのままなんですが。。。

3秒前ルールって大切。
けど追い越し時には後続車の注意義務も大きい。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じてできる限り安全な速度と方法で進行しなければならない

車が道路交通法違反をしたことはマジ勘弁として、後続自転車にも事故回避義務があり、むしろ事故回避義務を大きく見ている判例です。

以前、逆走自転車と衝突したにも関わらず、順走側が過失100%になった判例も紹介しましたが、

ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなので...

この判例、なぜか逆走を過失だと主張していない点を除外しても、事故回避義務を果たした逆走自転車と、事故回避義務を果たさなかった順走自転車で大きく差をつけている。

なおバス会社はバスの修理費用を求めて反訴しているため、原告の取り分は過失割合をみてもあまりありません。




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