PVアクセスランキング にほんブログ村

反射材ガー!

まあまあどうでもよい話をしようと思う。

反射材ガー!

例えばこういう報道。

男性は夜光反射材を身に着けていなかった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ed67ceff14e6a905e64a6c2f540a5807c9966f

これは横断歩道ではないところを横断し、事故に遭った報道です。
反射材ガー!という報道内容により、歩行者が悪いみたいな印象付けはやめろ!みたいな話っぽい。

こんなん、どうせ警察発表のプレスリリースをそのまま書いてるだけなんだし、単なる「事実」に噛みつく神経は理解に苦しむ。
感情を交えることなく、事実を伝えるのが報道だからなぁ。
感情が含まれると偏向報道になりかねないし。

道路交通法上、夜間歩く歩行者に対して、反射材を装備する義務は課していない。
道路交通法に規定がないことを押し付けるな!みたいな人って多いのかな。

道路交通法上、横断歩道ではないところでも、横断禁止ではないなら横断することは可能です。
道路交通法上、歩行者に課した義務規定はこのあたりか。

(横断の方法)
第十二条 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない
2 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。
(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。

横断歩道ではないところを横断する歩行者に対しては、車両の運転者は安全運転義務違反が課されている。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

歩行者が横断開始するのは、上規定に抵触しない限り道路交通法では禁止はされていない。
ちなみに、「横断歩道以外でも横断歩行者が優先」だと勘違いしている人もいますが、交差点とその直近以外では横断歩行者を優先する法律上の根拠はありません。

強いていうなら、車両運転者に予見義務や回避義務に違反する過失があり、その結果横断歩行者と衝突事故を起こすことは違法になる可能性があります。
(過失運転致死傷罪や安全運転義務違反など)

横断歩行者を優先させる法的な根拠はないけど、法律が要求する範囲内においては保護されるし、事故の起これば運転者が刑罰の対象になりうるという感じなのが正解。

ただまあ、なんで警察が「反射材ガー!」と言うのかは一応理由があって、判例とか見ている人なら理解できるだろうけど、判例とか見てない人にはわからないのかも。

例えば、横断歩道ではないところを横断開始した歩行者がいて、車が止まりきれずに衝突した場合には、運転者には自動車運転死傷処罰法の「過失運転致死傷罪」の容疑がかかる。
過失運転致死傷罪の判例を見ればわかるけど、だいたい争点になるのはこのあたり。

1、歩行者の存在に気がつくことが可能か?

要は横断開始「しそうな」歩行者の存在に気がつくことが可能かどうか。

2、横断開始した歩行者を、視認可能なのは何メートル手前か?

夜間に200m先まで見渡せる人はいないし、横断開始した歩行者を実際に視認可能になるのは何メートル手前からかを確定させる。

3、視認可能距離と、運転者の「停止距離」の比較。

例えば、横断開始した歩行者を50m手前から視認可能だったと認定されたとしますよね。
車の走行速度から、急ブレーキを踏んで確実に止まれたのに止まらなかった場合には、回避義務違反で過失運転致死傷罪が有罪になる。
視認可能距離と停止距離を比較して、誰がどうやっても防げない事故と判断されたら、無罪になる。

結局のところ、歩行者が反射材を身につけているかどうかで視認可能距離が変わり、有罪無罪の判断にまで影響する。
判例を見ていると、歩行者の着衣についても言及されているのはそういうこと。

例えばこの判例。

横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 と...

横断歩道ではないところを横断し事故に遭ったケースですが、刑事としては「過失運転傷害罪」の容疑は不起訴。
民事では、過失割合は歩行者:車=100:0。

車には一切の過失が無いと判示されています。
あらゆるケースについて検討されて、車には一切の過失がないことを立証したため、自賠法も民法も車には一切の過失無しにしてます。

こちらの判例は、赤信号無視して横断した自転車と衝突した事故。

ちょっと前に取り上げた判例なんですが。 この事故、そこそこ有名な事故だったんですね。 知りませんでした。 ...

過失運転致死に問われ無罪になっていますが、赤信号無視だろうと車両の運転者には保護義務があります。
しかし無限に保護義務を求めているわけがなくて、回避不可能なことまでは法律が要求しているわけではない。

法律は車のドライバーに対して、回避不可能な無理なことを強いるわけではないし、民事では歩行者にも注意義務や回避義務を課している。
見えないものまで守れというわけじゃないんだよな。
もちろん、制限速度オーバーとか、見通しが悪い道路とか、幹線道路か否かなども関係してくる。
といっても、上の新潟地裁長岡支部の判例は、時速60~70キロで車が走行していたとされているし、徳島地裁の判例は、時速72キロと認定されているけど。
徳島地裁の判例については、検察がお粗末な主張をしていてビックリする。

道路交通法にはわざわざ書いてないけど、注意義務は誰にでも存在するわけだし、仮に歩行者が反射材を身につけていたならば、視認可能距離が増える=有罪になる確率も上がるし、民事の過失割合にも影響する。
まあ、単純に事故を防ぎやすくするというほうが正解か。
道路交通法は原則として刑罰規定なので、反射材を身につけていないことを以て刑罰を課すことはないにしろ、民法上の注意義務は普通にありますから。

横断歩行者事故については、約6割に歩行者側の違反があるとされてます。
歩行者だから道路交通法を守らなくていいなんてバカな話はないし、本来であれば「法律を守れ」と強く言うべきこと。
まあ、警察も歩行者側に「道路交通法を守った横断方法」はしばしばアナウンスしているけど、守らないならせめて反射材など被視認性を高めてくれや!という話なんでしょうね。

「法律を守れ」といくら言っても守らない人は守らないし。

過失運転致死傷罪の起訴率ってあんまり高くなくて、不起訴率が約88%。
判例見ていても、過失運転致死傷罪の立証ってなかなか大変だよなと思うけど、徳島地裁の判例については正直なところ起訴すべきではないと思う。

上の判例なんて、法律上は車のドライバーに一切の過失がないことになるし、全面的に歩行者が悪いことになる。
これも法律ですからねぇ。

仮にこれが二輪車で、回避行動の結果転倒したりすれば、それこそ歩行者が過失致死傷罪に問われかねない。
こういう様々な要素が道路では関係し、道路交通法が全てではないのは「明らか」。
そりゃ警察も「反射材ガー!」とアナウンスするわな。
法律判断のために、視認可能距離が検討され、反射材の有無で視認可能距離が変わる。
法律上、無制限に歩行者が保護されるわけではない。
容易に視認可能な歩行者なら保護義務の範囲が拡大するとも言えるし、容易に視認不可能な歩行者なら、ドライバーに課される保護義務の範囲も小さくなるとも言える。

上の判例なんて、自賠法も民法も車は無過失です。
そうなると、既に支払い済みの保険金すら返金しなければならなくなる。
言い方は悪いけど、歩行者が自らの一方的過失により大怪我してドライバーに迷惑をかけたことになってしまう。
何せ、ドライバーに過失はゼロですから。

道路交通法では歩行者に対して、ながらスマホで歩くことを禁じていない。
しかしながらスマホで違う歩行者に衝突して怪我させたら、過失傷害罪に問われかねない。
道路交通法が全てだと思っている人は、残念ながら無能だと思う。

「正論ガー!」とか言う人もいるけどさ、それは道路交通法の一部にだけ着目したら正論に見えるだろうけど、全体像を見れてないのだろうか?
横断歩道事故についても、道路交通法「だけ」に着目したら、車が無減速で突っ込んでこようと、横断開始しても道路交通法上では問題はない。
道路交通法上では、無減速の38条違反をしたドライバーが悪いのは誰の目にも明らか。
けど事故になることが容易に予見出来る状況で、事故覚悟で突っ込んだ結果については、民事責任は歩行者も問われる。

横断歩道事故で歩行者に過失をつけた判例なんて、普通にあるけど、法律上は歩行者が「必ず無過失」になるわけじゃないんだよな。
誇張して、「例外なく一方的にドライバーが悪い」とか言っちゃう人とかいるけど、例外が普通にあることも勉強しないのか?

脊髄反射性

報道は単に事実を羅列しているに過ぎないもの。
以前何かで見て「ドン引き」したのですが、時速20キロで走行していても、歩行者の飛び出しに対して3mもあれば止まれるみたいに語っている人がいました。

断言しますが、人類には不可能です。
陸上競技でいうところのフライング(人間の反射速度を越えている)状態以外では不可能。

自転車の制動距離と判例というのは、正直見たことがありません。 なかなか一般化しづらい要素でもあるし、そこまで真剣な検討がされているとも思え...

できるわけがないことを、できると思い込んでいる人のほうがよほど危なくて、自らの限界すら理解していないようなら道路上に出ないで欲しいレベル。
自らの限界を知り、その限界に合わせた運転をするのが人間の注意義務。

この概念ってロードバイクでも同じで、自分が制御可能な範囲で乗り、制御不可能な速度にはしないという考え方は本当に大切。
大学生の事故については、制御不可能な速度になってしまった、制御するスキルが不足していたのかなと思うのでお気の毒ですが、あれはどうしていたら防げた事故なのか、考えさせられた事例。

昨年ですが、東京都立大学の自転車部の新歓イベントで、新入生がお亡くなりになるという悲しい事故があったのをご存じでしょうか? ...

横断歩行者と事故が起きたときに、一方的に歩行者が悪いと決めつけてしまうような思考であれば、ある意味ラクなのかもしれないけど、法律は人に不可能を強いるわけではない。
なぜ警察がアナウンスするのか、その法律的な根拠を検討すればわかりそうなものだけど。
横断歩行者事故の6割に、歩行者側の違反があるという現実とか見れてないのかな?

なお冒頭の報道では「警察は乗用車の男性の前方不注意が事故の原因と見て調べている」とあるように、ドライバーの責任を追及しています。
単なる事実の報道に対して脊髄反射を起こす人の心理はわからないけど、本来、報道だけみても本当に悪かったのが誰なのかなんて分かりゃしないんですよね。
単なる事実の羅列ですから。
信号無視みたいな明らかなケースとか、ひき逃げみたいに逃走したことが明らかな事案じゃないと、本当に悪かったのが誰なのかなんて分かりゃしない。




スポンサーリンク
判例集

〇道路交通法38条の解釈(対歩行者)

 

前回、横断歩道を横断する自転車についての判例をまとめましたが、歩行者についてもまとめておきます。

道路交通法38条…

 

〇道路交通法38条の解釈(対自転車)

この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。
いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。

横断歩道と自転車の関…

 

〇自転車を追い越す時の側方間隔の判例

先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。
これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はあ…