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ロードバイクの事故、レース中でも損害賠償は可能?

ロードレース中に事故が起きた場合、当たり前ですが道路交通法は適用されません。
車間距離不保持ガー!とか左追い越しガー!などと主張しても相手にされません。

ロードレースでの事故ではありませんが、デュアスロンのレース中の事故について不法行為責任を認めた判例があります。

レース中の事故

判例は横浜地裁 平成10年6月22日。
デュアスロンではドラフティング禁止、追い越し時は右側から、追い越し時は「右側から抜きます」などと声を描けてから追い越しするルールがあるようです。
この事故は右カーブにて先行車がイン側を通ると考え左側から追い越ししようとしたところ、先行車は左端を走行したため右からの追い越しに変えようとしたところ、先行自転車の左後部と後続自転車の前方が接触した事故です。

この事故は道路交通法()の適用はありませんので、競技ルールに反したプレイをした結果として怪我をさせたことが、民法709条の不法行為となるのかが争点です。

先行バイクが原告。
後続バイクが被告ですが、デュアスロンのルールが存在することと事故が発生した事実は認めていますが、不法行為責任の存在は否認。

まずは事故の態様の認定から。

二  本件事故の発生等について

1  争いのない事実に(略)によれば、以下の事実が認められる。

(一)  原告と被告は、バイク2周目の走行中に、原告は時速約60キロメートルで、被告はそれを上廻る速度でコース左側を走行して本件カーブに差し掛かったが、被告は、原告の約6m後方を走行し、原告を左側から追い越そうと考えたが、原告の左側には追い越すことができるほどのコースの空きがなかったために、右側から追い越そうと考え、後方の状況を確認して前を向くと、被告車に約2mの距離に近接していたために右から追い越すための動作に入る間もなく、原告の自転車後部左側に自車全部を衝突させてしまい、被告はその場に転倒した。原告は、衝突されたことで自転車操縦の自由を失い、本件カーブ出口付近まで進行した後転倒した。

3(一)  ところで、被告は自車の速度は約60キロメートルであると供述するが、被告は、原告が本件カーブを最短距離で進行することを想定した上で、その左側から(本件カーブの外側部分を走行して)追い越そうと考えたというのであるから(このような走行を前提にするとカーブの出口付近でコースが重なることも考えられる。)、その速度は原告の後方についた時点で原告の速度時速約60キロメートルを相当程度上廻っていたものと推定するのが相当である。

(中略)

(二)  なお、被告の供述等には、原告を追い越そうとした際には、原告に「右行きます。」との声を掛けたとの部分が存するが、被告の供述等によれば、左側から追い越そうとしたができないので、右側から追い越そうと考え、後方の状況を確認して前方を向いたときには既に原告車と2m程度に接近しており、間もなく接触してしまったというのであるから、右側から追い越すための声を原告に掛ける状況にあったものとは考え難いこと及び原告の供述等に照らして直ちに採用しがたい。

時速60キロで突っ込まれるのはかなり危険としか言いようがないですが。。。

三  被告の過失について

1  本件競技会におけるルールとしては、走行及び追い越しの方法については、原則的にバイクは左側を走行し、追い越しをする場合は右側から行い、追い越しをする場合には「右追い越します」というように、必ず声を掛けると定められているところ、甲第1号証によれば、本件競技には、中学生から65歳以上の者も参加資格を有し、原告の供述によれば、それらの参加者は、男女、年齢や技術の差などによる区別はなく、全員が一緒に競技するものであることが認められる。このような本件競技の競技方法及びバイクでは時速60キロメートルあるいはそれ以上の高速で競技することからすると、他の競技者と接触し、場合によっては重大な結果を生じかねない、追従、追い越しなど他の競技者と接近して走行する場合には、後方を走行する競技者は、前方を走行する競技者の動向を注視し、かつ、右のルールを遵守するなど適切な措置を講じて衝突を未然に防止すべき注意義務が存するというべきである。このように解することは、バイク走行及び追い越しに関する右のルールには、「危険走行とみなされた場合、失格となることがあります。」と付記され、安全走行が重視されていることからも相当というべきである。

2 これを本件についてみるに、先に判示したとおり、被告は、原告の速度を相当程度上廻る速度で走行し、原告を左側から追い越そうとその約6m後方にまで接近したが、それができないため、右側から追い越しをするために、後方の安全を確認した後、前方に視線を戻したときには既に約2mまで接近し、間もなく原告に衝突をしているのである。この事実に照らすとき、被告は、左側からの追い越しをするべく原告の後方で追従を始め、遅くとも約6mに接近した時点において原告車と被告車の速度の違いを的確に把握し、かつ、原告車の動向を注視して、追突を避けるための速度調節ないし進路の変更をする等の措置を講ずべき注意義務があったというべきである。そして被告にはこれを怠り、前記認定のとおり何らの措置を講ずることなく進行した過失があると認めるのが相当である。

なお、被告の供述等には、原告に約2mまで接近したときに原告がブレーキをかけたことが衝突の原因であるとする部分が存するが、原告がブレーキをかけたことを的確に裏付けるに足りる証拠はなく、右供述等は直ちに採用し難い上、仮に原告が被告の主張するとおりブレーキをかけたとしても、本件カーブの状況下においてそのような操縦を非難することはできず、むしろ、そのような速度の変化に対応できない状況に立ち至らせた被告の操縦方法が相当性を欠いていたというべきである。

3  ところで、被告は、本件事故は、被告が左側からの追い越しを断念して、右側からの追い越しをしようと、後方の安全を確認した後に追い越しを開始しようとした矢先に発生したものであり、そこでの被告の行為は、本件競技のルールに著しく反するものではなく、かつ、通常予測され許容される動作に起因するものであるから、スポーツ競技の参加者の推定的承諾により違法性は阻却されると主張する。

しかしながら、先に判示したとおり、本件競技は、性別、年齢、技術の程度による区別なく同時に競技するもので、かつ、高速のバイク走行の競技を行うことによる危険性を有するものであり、ルール上も危険走行は失格となることがあるとされていることからすると、本件競技のバイク競技においてはその走行中の安全を図ることが重視されているものと解するのが相当である。そして、前示の被告の走行の態様は、スポーツにおいて通常予測された許容される動作に当たるものとは解されず、かつ、前示の被告の過失の程度は、必ずしも軽微なルール違反ということはできないから、その主張は採用できない。

横浜地裁 平成10年6月22日

競技としてのルールについて、「高速のバイク走行の競技を行うことによる危険性を有するものであり、ルール上も危険走行は失格となることがあるとされていることからすると、本件競技のバイク競技においてはその走行中の安全を図ることが重視されているものと解するのが相当」としています。
その上で「被告の走行の態様は、スポーツにおいて通常予測された許容される動作に当たるものとは解されず、かつ、前示の被告の過失の程度は、必ずしも軽微なルール違反ということはできない」として被告の主張を却下。

原告の請求を認めていますが、バイク自体については「フレームは2年程度使っていた」ことから約26.5万の再取得費用を請求した原告に対し、10万しか認めませんでした。

いわゆる減価償却になりますが、事故被害者はこの点については不利ですね。

ロードバイクの場合、中古市場が確立されて相場があるとも言えないので、このあたりは泣くしかありません。

ロードバイクに乗っていて事故に遭い自転車が損傷した時に、相手方保険屋は、「減価償却」を持ち出して損害額を決めようとします。 こ...

ルール違反の程度問題

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「被告の走行の態様は、スポーツにおいて通常予測された許容される動作に当たるものとは解されず、かつ、前示の被告の過失の程度は、必ずしも軽微なルール違反ということはできない」ですので、ルール違反の程度問題になります。

①スポーツにおいて通常予測された許容される動作に当たるかどうか?
②軽微な違反なのか?

ロードレースでも斜行だとかいろいろトラブル話は聞きますが、明文化されたルールと明文化されていない暗黙の了解によっても話は変わるかと。

けどレース以外の公道でも、追い越しをする後車に大きな注意義務があるわけで、このあたりはきちんと事実関係を主張すれば認めてもらえる可能性はありそうです。
当たり前ですが、前方注視義務と事故回避義務については、きちんと裁判所が認めています。

なお、レースではない公道を使ったサイクルイベントの場合には道路交通法の適用があります。
並走したりトラブル話は聞きますが、最近だと並走&片手でスマホを操作して走行中に記念撮影するバカもいるみたい。

クローズドではない公道でやりたい放題のロード乗りを見ると、なるべく近づかないように気をつけてます。
撮影に夢中で周りを見えてないアホもいますが、豆腐の角に頭をぶつけてしねばいいのにと願ってます。





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