時々、怪しげな話が舞い込んできては完全無視するありふれた日常。
「弊社のホイールはUCIの認証を受けてます」
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ホイールとUCIの認証
そもそも、UCIのホイール認証とはなんぞや?という話。
UCIとはUnion Cycliste Internationaleの略。
国際自転車競技連合ですね。
この団体がホイールの認証を行うのですが、いわゆる「走行性能」についてのお墨付きを与えるわけではなく、物理的な衝撃テストにパスしたかどうかだけの話です。
まず、Traditional wheelsと呼ばれるアルミリム(リムハイト25mm以下)、スチールスポーク20本以上、全て市販品で組み立てられたホイールは認証の必要がありません。
いわゆる手組ホイールっすね。
カーボンホイールの場合、こんな衝撃テストをします。
https://www.uci.org/docs/default-source/equipment/approval-protocol-for-wheels.pdf
タイヤを外した状態で、20㎜のシリコンゴムに覆われた鉄をガッチャンコと落として、40ジュールの力を加える。
その結果以下の状態なら合格。
・目に見える亀裂や層間剥離が見られない
・横方向の1.0㎜以上の振れが生じない
・縦方向の1.0㎜を超える振れが生じない
なんでこんなテストをするかと言えば、レース中にホイールがバラバラになり空中分解したら危険だからでしょう。
最低限の衝撃負荷テストに合格すると、「UCI認証ホイール」と公言することができます。
例↓
いわゆる中華カーボンホイールでも試験にパスすりゃUCI承認ホイールだと言えますし、最低限の衝撃テストに合格した証です。
もちろんメジャーなホイールブランドはUCIのテストうんぬんよりも、自社で耐久性や走行性能のテストを繰り返すわけで、むしろ大切なのは自社テストのほうじゃないかと思いますが。
テストライダーが何万キロと走り込んで耐久性や走行性能をチェックするわけだし。
とりあえず言えるのは、UCIの認証とは「最低限の衝撃負荷テストに合格した証」でしかないので、それ以上に価値があるものではありません。
権威とは言い難い
UCIの認証を得たということについて、特別な権威や価値を感じるならちょっとお門違いな気がします。
最低ラインをパスしただけの話です。
メジャーブランドがイチイチ「UCIの認証を得ました」と宣伝しないのは、それは最低ラインのどうでもいい基準に過ぎず、本当に大切な耐久性や走行性能試験は自社内でやっているからでしょう。
あたかも「特別な価値があるもの」みたいに考えるなら違うと思う。
似て非なる例としては、グッドデザイン賞も似たようなもの。
グッドデザイン賞受賞とか宣伝されると特別な価値があるもののように感じてしまいますが、グッドデザイン賞は100%自薦で、自ら審査料を支払うもの。
自ら審査を申し込んでいない製品については、そもそも審査の対象にすらならないわけで、グッドデザイン賞を受賞していない製品だと価値が下がるわけではない。
「特許出願済み」などの表現も、出願するなら誰でも可能。
変な話さ、誰でも要件満たせば東京大学だろうとハーバード大学だろうと「受験」は可能じゃん。
受験したことに価値を感じるなら、ちょっと違うよね笑。
受験自体は誰でも可能。
足切り喰らっても、出願した事実には変わりない。
「弊社のホイールはUCIの認証を受けてます」と言われても、私の感想は以上です。
どうせなら、「100人乗っても大丈夫!」みたいな分かりやすい強度で示してくれたほうが、私も反応しやすいです。
おっと、それはホイールじゃないな。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
自転車YouTuberの方が、カンパニョーロの最上級ホイールが突然割れたと言う動画を出してましたね…交換してもらえた様ですが…
UCI認証が最低限のテストであり、それより遙かに厳しいテストや検査を有名メーカーが行っているならば、超一流メーカーのホイールが突然割れるなんて事は無いのでは無いでしょうか?
超一流メーカーの製品であっても、極限まで軽量化すればそういうことは起きると言うことでしょうね…
中華カーボンと言っても色々有るでしょうけど、リムが突然割れたと言う話はそうそう聞きませんね…
リムの割れは命に関わるので、中華メーカーもかなり余裕を持った強度にしてるんじゃないでしょうか?
私も中華メーカーのカーボンホイールを複数使ってみましたが、品質は非常に良かったですね…
デザインの美しさや所有欲を満たすには一流メーカーが良いとは思いますが、コストが何倍にもなるのでヨーロッパや米国の高級品にはなかなか手が出ませんね…
中華メーカーにフレームやリムを発注して、ヨーロッパや米国のメーカーは塗装や組み立てをして打っているところが多いと言う話もありますね…
ま、トレックやジャイアントみたいな巨大メッセージは自社で金型や巨大なカーボン焼結炉を持っているでしょうけどね…
コメントありがとうございます。
>UCI認証が最低限のテストであり、それより遙かに厳しいテストや検査を有名メーカーが行っているならば、超一流メーカーのホイールが突然割れるなんて事は無いのでは無いでしょうか?
使用環境や使い方次第では割れますし、何らかの理由による初期不良はどこのブランドだろうとあり得ますから、「無い」と断言することはできませんよ。
そこそこ有名な自転車YouTuberの方なので、調べれば動画はカンタンに見つかるので是非ご覧になってくださいませ。
確か、落車やぶつけたりもしていなかったと思います。割と買ってから間もない時期に部屋で突然割れたとか?そんな内容だったと思います。
結論から言うならば、超一流メーカーの最高峰の製品であっても、そんな程度の信頼性だと言うことでしょうね…先ほども書きましたが、極限まで軽量化すれば脆くなってしまうので、中華カーボンだから危険、一流メーカーだから安心とは言い切れませんね…
まあ、シマノなんかは極端な軽量化はしませんが、安全マージンをかなり取っているからでしょうね…
コメントありがとうございます。
自転車系YouTuberには興味がないのでどなたの事例なのかは知りませんが、お話を見る限り問題を整理出来ていないように感じました。