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ハイビームorロービームのアホ理論。

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道路交通法52条によると、夜間等はライトをつけ、対向車とすれ違うときや他の車両の直後を通行するときなどにはロービームにするように書いてあります。

 

ちょっとこれについて。

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極端な論

とにかくハイビームにすべき、みたいなアホ理論がありますが、判例からみていきます。

判例 内容
東京高裁S42.4.3 自動車の運転者は、前照灯の照射範囲を考え、適宜減速して進行すべき注意義務がある。
東京高裁S51.7.16 自車の前照灯を下向きにして進行する場合、前方30mを超える距離にある障害物を確認できないことを前提として、自車の速度を調節すべき注意義務を負っていたものと解するのが相当である。(中略)スチールラジアルタイヤを装着すれば、運転者が危険を感じてから停止するまで約29mを要するのであるから、運転者が前方注視を厳にし、障害物を約30m前方に発見して直ちに制動の措置を講ずれば、その直前において停止し、これとの衝突を回避することが不可能であるとはいえない。しかしながら、運転者は絶えず前方注視義務を十分に果すことが理想であっても、長い運転時間中に一瞬前方注視を怠ることもありえないとは言えず、あるいは前方注視義務を十分に果していても急制動の措置を講ずることに一瞬の遅れを生ずることもないわけではなく、さらに運転者がその注意義務を果そうとしても外部的事情により義務の履行が困難となることがありうることを考えると、運転者としては、車両の性能と義務の履行につき限界すれすれの条件を設定して行動すべきではなく、若干の余裕を見て不測の事態にも対処できるような状況の下で運転をすべき業務上の注意義務があるといわなければならない
東京高裁S42.12.26 対向車の前照灯にげん惑されて見通しが困難に陥ったときは、停車または徐行の義務がある。
東京高裁S55.8.6 被害車両と離合しようとするに際し、原判示のとおりの注意義務を怠り、同車と前方約108mに対向接近するに至るまで前照灯を下向きにせず、道路中央線寄りを指定制限速度毎時50キロを上廻る高速で進行した点で、被告人に本件事故発生の過失責任がある
名古屋高裁S34.4.6 暗い道路上を自転車を運転してきた者が、急に前方からくる自動車の明るい前照灯の光にさらされると、これに眩(げん)惑されて、自己の運転操作を誤り、ふらふらと自動車の進路上に進出するようなことは往々にしてありがちなものであるから、自動車の運転者としては、このような場合に備え、たとえ、相手方が道路交通規則に違反して、道路右側を通行していたとしても、まず自己の運転する自動車の前照灯を適宜減光するとともに、たえず相手方の行動を注視し、もし相手方において適当な機会に左側通行に転移せず、依然として規則違反の右側通行を続けるような場合には、当時附近の国道上には、前認定のごとく被害者の自転車以外に他に進行するものはなかつたのであるから、臨機の措置として、自己の進路を道路の中央ないし右側に転じ、できるだけ相手の自転車との間隔をとつて進行すべき
大阪地裁H7.2.13(差戻しによる三度目の一審) 自動車運転者としては、衝突等を回避するため、前照灯下向きの照射距離の範囲内でも停止できるように適宜減速するか、前照灯を上向きにして視認可能な範囲を広く採って、自車及び対向自転車の制動距離等の外で対向自転車を発見できるようにするか、いずれかの措置をとるべきであった
札幌高裁H20.7.24 A車はこれに加えて前照灯をすれ違い用の状態で進行しているのであり,時速80キロメートルの停止距離が約57メートル(空走時間1秒の場合)であること、すれ違い用前照灯の照射範囲が約40メートルであることなどを考慮すると,これは進路前方に障害物が現れた場合に衝突を避けられない危険が相当に大きい運転態様である

少なくとも制限速度である時速60キロメートル以下に速度を落とすか,前照灯を走行用に切り替えるか,その両方を行うかによって,進路前方の安全を確認するべきである

いろんな判例から見えてくる当たり前のまとめ。

・ロービーム時には照射範囲で停止できる速度で通行する義務がある。
・対向車をハイビームで幻惑させると違反。
・幻惑「させられた」ときには徐行又は停止する義務がある。

要は52条1項と2項、70条を組み合わせて通行しろというだけの話になる。

 

なお、大阪地裁判決は「自動車運転者としては、衝突等を回避するため、前照灯下向きの照射距離の範囲内でも停止できるように適宜減速するか、前照灯を上向きにして視認可能な範囲を広く採って、自車及び対向自転車の制動距離等の外で対向自転車を発見できるようにするか、いずれかの措置をとるべきであった」としていますが、一方通行道路、対向自転車は飲酒無灯火。
以下のようにも判示しています(訴因変更を巡り三度目の差戻し一審)。

道路交通法52条2項、道路交通法施行令20条によれば、他の車両と行き違う場合等において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるとき、前照灯の照射方向を下向きとすべき旨が規定されているのであって、道路交通法上はむしろ前照灯を上向きにするのが原則である。日常自動車は市街化地域を走行し、市街化地域では対面交通路が多く、対向車両が多いため、実際上は前照灯を下向きにして走行すべき場合が多いが、それを本件のような一方通行路にまで及ぼす議論は不当であり、本件現場のような道路状況では、原則に戻り、前照灯を上向きにして走行すべきといわなければならない。弁護人は、市街化地域においては、前照灯を上向きにすると眩惑現象が起きるので危険であると主張するけれども、本件道路は一方通行道路であり、対向自動車について眩惑現象を考える必要がなく、自転車や歩行者については、それらの者に眩惑現象を生じたとしても、それによる危険性は本件のような衝突事故の危険性と比較して格段に小さいものであると考えられる。したがって、弁護人の右主張は相当でなく、本件現場のような道路状況下では、前照灯を上向きにして走行すべきといわざるをえない。

 

大阪地裁 平成7年2月13日

一方通行が「自転車を除く」なのかはよくわかりませんが、チャリなら眩惑現象を生じさせても大した問題じゃないみたいな部分はちょっと違うような気もしますが。
「衝突のリスクと比べて」とはいえ。

当たり前の話

近年「原則ハイビーム説」がやたら出てくる気がしますが、本来は状況に応じてこまめに切り替えて通行するもの。
身体壊している関係でバスに毎日乗りますが、バスの運転手の中でも1人だけやたらハイビームとロービームを切り替えて運行する人がいまして。

 

片側一車線道路だと、事実上ロービームしか使えないことになりますが(対向車が頻繁に来るので)、道路自体の照射とロービームで視認して停止できる速度で走れというだけなんでしょうね。

 

自転車の場合はハイビーム、ロービームの切り替えはありませんが、見える範囲で停止できる速度で通行する義務については変わりません。


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