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「自転車ノーヘル」は事故にあった際に、損害賠償に影響するか?

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自転車ヘルメットの努力義務化についていろんな噂が流れてますが、個人的に「?」と思う内容。

いろんな人
いろんな人
努力義務化に伴い、交通事故に遭ったときに相手方保険会社から「あんたがヘルメット被っていたら損害は小さかったのだから、○✕までしか払わない」みたいな主張をされるだろう。
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そもそもですが

「あんたがヘルメット被っていたら損害は小さかったのだから、○✕までしか払わない」みたいな主張って、道路交通法での努力義務化や条例での努力義務化以前からあったのですよ。

 

判例でみても、例えば自転車同士の事故ですが東京地裁 平成20年6月5日判決の中で、加害者側から「ノーヘルは過失」だと主張がなされています。

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

当時は条例も含め、努力義務すら規定されていません。

 

努力義務化以前からこのような主張はあったわけですし、たぶん、今までも相手方保険会社からそのような示談交渉を受けた人なんていると思いますけど。
それを受け入れずに交渉したり、訴訟に持ち込むのは自由。

 

ちなみに、今までも児童や幼児については道路交通法上で努力義務が規定されてましたが、調べた範囲では裁判所が過失として認めた判例は見つかりません。
一例です。

児童・幼児の保護責任者に対し、なお、道路交通法63条の11(本件事故当時は平成25年法律43号による改正前の同法63条の10)は、努力義務として、当該児童・幼児のヘルメットの着用を定めているにすぎないし、本件事故当時、児童・幼児の自転車乗車時のヘルメット着用が一般化していたとも認められないから、ヘルメットを着用していなかったことを不利に斟酌すべき過失と評価するのは相当でない

 

神戸地裁 平成31年3月27日

 

自転車ヘルメットの「努力義務化」は、事故時の過失割合に影響するか?判例から検討。
自転車ヘルメットの「努力義務化」によって、事故に遭った際にノーヘルが過失になる可能性があるという報道がいくつか出ています。 実際のところ既にいくつかの自治体では「ヘルメットの努力義務」が定められていますが、判例から検討してみます。 ノーヘル...

 

保険会社がなんやかんや言ってくるのは今までも、これからも変わらないと思います。
それを突っぱねるのも自由です。
なので個人的には「何を今さら」感しかないのですけどね。

 

そもそも民法709条の「過失」って、違反とイコールではなく、「予見可能な結果を回避しなかったこと」。
以前から「ノーヘル過失」の主張はあったわけで、今さら感があります。
保険会社がグダグダ言ってくるのも「昔から」。
それを笑顔で罵倒するのが私です。

「動いていたから」理論

保険会社がよく使う「動いていたから過失がある」理論にしても、動いていても無過失は普通にあります。

 

判例をいくらか挙げます。

 

※必ず無過失になるわけではない。

新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日

<事故態様>
・夜間、片側二車線(高速入口含めると三車線)を横断した歩行者と、クルマの衝突事故
・クルマは10キロ程度の速度超過
・被害者は中央分離帯を越えて横断
歩行者 クルマ
100 0

原告には、夜間、幅員約30m(片側約13.8m)の国道を左右の安全確認不十分のまま横断したことについて過失が認められ、また、証拠によれば、被告車両に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことも認められるから、被告は、自賠法3条ただし書の適用により、同条本文の損害賠償責任を免れる。
そして、以上の検討結果によれば、被告に民法709条所定の過失が認められないことが明らかであり、同条による損害賠償責任も負わない。

 

新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日

※無過失になったのはやや特殊な事情があり、中央分離帯上の被害者を視認できないとの判断。

名古屋高裁 平成22年3月31日

<事故態様>
クルマ同士の事故で、優先道路対非優先道路。
非優先道路側 優先道路側
100 0

控訴人車は、優先道路を進行していたのであるから、本件交差点を進行するに当たり徐行義務(道路交通法36条3項,42条)は課されておらず、問題となるのは前方注視義務(同法36条4項)違反である。前方注視義務は、「当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等・・・に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」というものである。したがって、控訴人は、本件交差点を通過するに当たり、優先道路を進行中であることを前提としてよい。すなわち、交通整理の行われていない交差点(本件交差点もこれに当たる。)において、交差道路が優先道路であるときは、当該交差道路を通行する車両の進行妨害をしてはならないのであるから(同法36条2項)、控訴人は、被控訴人車が控訴人車の進行妨害をする方法で本件交差点に進入してこないことを前提として進行してよく、前方注視義務違反の有無もこのことを前提として判断するのが相当である。そうすると、優先道路を進行している控訴人は、急制動の措置を講ずることなく停止できる場所において、非優先道路から交差点に進入している車両を発見した等の特段の事情のない限り、非優先道路を進行している車両が一時停止をせずに優先道路と交差する交差点に進入してくることを予測して前方注視をし、交差点を進行すべき義務はないというべきである。本件においては、前示の事故態様に照らし、上記特段の事情は認められない。

 

名古屋高裁 平成22年3月31日

 

秋田地裁大曲支部 昭和51年5月18日

<事故態様>
一時不停止(赤点滅)自転車とクルマ(黄色点滅)の衝突事故
一時不停止自転車 クルマ
100 0

右の事実によると、被害者は本件交差点に自転車を運転し進入するに際し、対面する信号機が赤色燈火の点滅を示していたのであるから、停止位置において一時停止し、安全を確認して進行すべき注意義務があるのに、これを怠つた過失により本件事故を惹起したものというべきであるが、被告は、自己の対面する信号機は黄色燈火の点滅を示していたのであるから、他の交通に注意して進行すればよく、具体的に進路上に危険発生を予見した場合以外は徐行義務は無く、交差する道路から進入して来る車両がありとするも、停止位置で一時停止して進入してくるものと信頼して運転すればよいのであるから、被告には本件事故発生につき過失はないというべきである。

 

そうだとすると、本件事故は専ら被害者の過失行為に基き発生したものであるところ、被告本人尋問の結果によると、本件加害車両には構造上の欠陥および機能上の障害の存在しない事実は明らかであるから、その余の事実につき判断するまでもなく、被告に不法行為の責はなく、被告会社は自賠法3条但書により免責され、被告両名には本件事故による損害賠償責任は存在しない。

 

秋田地裁大曲支部 昭和51年5月18日

静岡地裁 昭和52年7月20日

<事故態様>
非優先道路側の原付と、優先道路の貨物車が衝突。
原付 貨物車
100 0

(一)  被告車の運転者である亡Bは、優先道路である県道を進行していたのであるから、交通整理の行われていない本件交差点の右側の見とおしが悪くとも、道路交通法第42条による徐行義務を負わない(最判昭和45年1月27日民集24巻1号56頁)ものと解すべく、しかも本件交差点の交通量が閑散であつた(前掲二第1号証の1によりこれを認める)ことを考慮すれば、同人が時速約36キロメートルで本件交差点に進入しようとしたことは、そのこと自体同人に過失があつたとすることはできない。

 

又、同人が原告車を発見したときの双方の位置及び交差点右側の見とおし状況を合せ考えると、同人は、原告車を発見しうる最初の時点においてこれを発見したものと認められるので、前方不注視の過失もなく、衝突を回避すべく急制動をかけた措置も適切と認められ、結局、同人には本件事故の発生につき過失がなかつたものとするのが相当である。

 

(二)  一方、原告車の運転者である亡Aは、交差点の手前に一時停止の標識が設けられていたのであるから、交差点直前の一時停止線において停止すべき義務(道路交通法第43条)があり、又交差道路が優先道路であるから、被告車の進行を妨げてはならない義務(道路交通法第36条第2項)があるにもかかわらず、そのいずれの義務も尽さず、本件交差点に進入した過失があり、本件事故はもつぱら同女の右過失によつて惹起されたものということができる。

 

4  なお、被告車に構造上の欠陥または機能の障害がなかつたとの抗弁事実は、原告らにおいて明らかに争わないところであるから、これを自白したものとみなす。

 

静岡地裁 昭和52年7月20日

動いていても

このような判例自体はいくつもありますが、具体的状況により変化するので、似たような事例に見えても全然違う過失割合になりますが、ガッツリ動いていても無過失はあるので、「動いていたから」は理由にはなりません。

 

そのうち、「原子レベルでは振動していただろ!」とか「細胞は動いていただろ!」みたいなアホ主張する人が出てくるのかは知りませんが、「動いていたから過失」は理由としては何ら説得力がない。
結局、クルマやオートバイは「無過失の立証」をしないと過失責任を負うシステムですし(自賠法3条但し書き)、無過失の立証がなければ過失になる。

 

「動いていたから過失」というのは保険会社がよく使う「決めセリフ」みたいなモノなので、過失がないことが明らかなら「具体的にどこが過失で、予見可能だったか、回避可能だったか教えて?あなたならどうやって回避すんの?」といえばいい。

 

「原子レベルでは振動していただろ!」みたいなのは全く無意味な主張な上、ヤベー奴扱いされるからやめましょう笑。
「ノーヘル過失」にしても、以前からそのような主張はありました。
受け入れずに交渉するのは自由。


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