こちらの関係して。
羽田空港近くの環八の「歩道の中」にある自転車道ですが、
実際のところ「通行義務」があるの?と質問を頂いたので管轄署に聞いてみました。
羽田空港近くの環八の自転車道と通行義務
ざっくり言いますとこんな感じです。
・歩道の中にある部分は「車道」と解釈するしかない。
・車道を通行すると通行区分違反になるので、注意指導することがある。
まあ、得意のアレですね。
「歩道を切り取って車道にしてはいけないなんて法律はないのだから、歩道の中にあるけど車道だ!」というお決まりパターン。
ところで、ついでなので特定小型原付について聞いてみました。
バス停部分で自転車道が途切れてますが、イチイチモード変更することが期待できないような…
注意指導になると思う。
まあ、警察が道路を整備するわけではなく道路管理者の責任ですが、「なるほど」と思う理由も聞きましたがあえて伏せます。
そりゃ支離滅裂な状態になるわな。
当該自転車道を評価すると
いわゆる「歩道の中に作った自転車道」になりますが、ここを通行する自転車ってそもそも歩道を通行していた自転車だと言えます。
そうすると、自転車道の誕生により「歩道通行時の徐行義務」が解除されたと言えますが、そもそも歩道を法に則り徐行している自転車自体がほぼいないので、自転車道ができたことによるメリットとは言い難い。
歩道通行時に法に則り徐行すると、目安は6~8キロです。
元々歩道を通行していた自転車にとっては、車道を通行するクルマの脅威も関係ない。
歩道上は車道と構造分離されていたのだから。
なので車道の脅威も関係ない。
そうすると、歩道上で歩行者と自転車が分離されたという点のみがメリットと言えますが、そもそもこれだけ広い歩道上で歩行者と自転車の交錯リスクってどれだけあったのやら。
また、自転車道を作ったにもかかわらず歩道を通行する自転車がいるわけで、
必ずしも活かしきれてない。
次に、車道を通行する自転車について検討します。
自転車道の標識に気がついて自転車道に入る自転車がいれば、その人たちにとっては車道から隔離された点においてはメリットなのかもしれませんが、気がついて自転車道に入る自転車がどれだけいるのか…については疑問。
柵による分離があるので、気がつくのが遅れたら自転車道に入ることはできません。
そして自転車道の存在に気がつかずに車道を通行した自転車からすると、事故に遭った場合には「通行区分違反」としてそこそこ過失になる可能性が高いので、デメリットしかありません。
自転車通行禁止の道路に進入し、後方から追突された事故について、自転車に40%の過失をつけた判例があります。
そもそも、環八のような幹線道路の車道を通行する自転車なんて主にはスポーツサイクリストと思われ、ママチャリが車道を通行していた…ともあまり想定できない。
そう考えていくと、歩道上に自転車道を設置したことのメリットってあんまりないのよね。
歩道通行していた自転車は元々とほぼ変わらない状態。
車道を通行していた自転車が影響を受ける程度の話にしかならないけど、自転車道の存在に気がつかないまま通行区分違反を犯せばデメリットしかない。
わざわざ歩道上を分離して自転車道を作ったことによるメリットは少ない上、車道を通行する自転車には「気がつかないことによる通行区分違反」を誘発しかねないのでなんでこんなもんを作るのか理解に苦しみますが、通行義務があるのならば車道から進入しやすい構造にすべきだし、誰に利益があるのやら。
作るならちゃんと作る、ちゃんと作れないなら計画を見直すなどして欲しいのですが、一度出来たモノが再考されるとしたら「事故多発」などがない限りはムリでしょう。
ちゃんと検証してるのかね?
こういう自転車道を見たときに、何を目的にして、何を改善したかったのか全く思想が見えませんが、行政の「何か作った感」しか感じ取れない。
けど、一貫性がない構造を乱立する理由は一応あるわけで、行政側がそれぞれバラバラに考えるからこうなる。
ここについても発展させて使いやすくなる可能性は今のところありませんが、結局のところ通行義務があると解釈せざるを得ないという話です。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント