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茨城ダッシュと小回り右折と、自転車の二段階右折の話。

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茨城ダッシュとか伊予の早曲がりとか、ご当地ルールによる違法右折が問題になりますが、クルマが右折する際には「交差点の中心の直近の内側」を徐行することになります。

(左折又は右折)
第三十四条
2 自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

ということは、「交差点の中心」を確定させないと何が正解で何が間違いなのかはわかりません。
ところで、

この交差点の「中心」ってどこになりますか?

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交差点の中心

判決文自体が見当たらないので、要旨だけで。
まず、交差点の範囲としてここだとしたようです。

この判断には若干疑問がありますが、とりあえず先に進めます。
「交差点の中心」を考える上で、3つの考え方が示されている。

さて、どれが正解でしょうか?

 

神戸地裁 昭和38年1月22日判決は、交差点の中心として基本は③だとしています。
ただしこれで終わりではない。

赤レンジャーが右折する上では③かなあと思うけど、黄レンジャーや青レンジャーからすると、ここだとなんか変。

 

そこで裁判所が下した判断はこれ。

読者様
読者様
「交差点の中心」は、通行する方向によって違ってもいいじゃないか!?
なぜ交差点の中心を一つに限定してしまうのだオマエラは?

 

確かに赤レンジャーと黄レンジャー、青レンジャーそれぞれ右折する際の「交差点の中心」が違うほうが合理的。
交差点の中心とは、通行する方向により複数ある場合もあるのだと判断していますが、変形交差点では確かにありうる。
なお、このような判例もあります。

交差点の中心については、関係法令を精査してもこれを明らかにした明文の規定を発見することはできないが、社会通念に照らし、具体的に交差点の地形に応じて、道路における危険性、交通の安全迅速ということを考慮に入れて、合目的的に定めなければならない

 

大阪高裁 昭和36年12月25日

進行する方向によって「交差点の中心」は違ってもいいじゃないか!としていますが、画一的に交差点の範囲を決めて物理的な中心を定めたところで、その「中心」が合理的かは別問題。
進行する方向次第で違うだろ!としている点はある意味では本質を突いているのかもしれません。

 

あっ、当たり前の話として茨城ダッシュを正当化するために「オレにとってはここが中心だ!」みたいなのはやめましょう。
早い漢は嫌われますよ。
すぐにイッちゃうのは、右折は特に厳禁です。
きちんと直進車や左折車を先にイカせてから、右折する。
漢なら当然の話でしょう。

 

先にイッてしまう漢は、優先者妨害です。

自転車の二段階右折

さて、自転車の二段階右折と変形T字路の話。
こちらの判例を元にすれば、

本件においては、駅前通の車道と乙通の車道とが丁字形をなして交わる部分すなわち別紙図面AFBCDEA各点を順次直線で連結した範囲内の車道部分が交差点である。その部分の全部が交差点であることは、疑がない。

名古屋高裁 昭和38年12月23日

①が間違いとは言えないと書きましたが、

逆方向を考えると不合理になる。

これをどう考えるかというと、上の神戸地裁 昭和38年1月22日判決が参考になるわけです。

管理人
管理人
進行する方向次第で、交差点の側端が違ってもいいじゃないか!
(左折又は右折)
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。

結局のところ、クルマが「交差点の中心の直近の内側」、自転車が「交差点の側端」を通行する意味を考えると、最も安全で合理的な右折ラインは進行する方向次第で違う可能性もあります。

 

なので、自転車の二段階右折ラインも交差点の形状と交通量などから合理的に判断するしかない。

 

けど、昭和30年代って「交差点の中心」を争っているわけで、右折方法違反の取締りも厳格にしていたのですかね。
世界の中心がどこなのかを争うとろくなことにならないけど、世界の中心も一つじゃないのでしょうね。

 

福島県のローカルルールを争っていたり、自転車の無灯火が故意なのか過失なのかを争っていたり、

 

「ぼく、知らなかったもん!」は通用するのか?
先日のこちら。 路側帯を通行する自転車も一時停止義務がありますが、そもそも。 路側帯には停止線もないし、一般人の感覚だと歩道と路側帯の違いがわかってないなんてザラ。 43条は停止線自体は必須要件ではありませんが、一般人の感覚だと路側帯通行自...

 

自転車の無灯火は犯罪なのか高裁まで争う。
ちょっと前に自転車の2人乗りで有罪にした判例を紹介しましたが、 同様の判例は名古屋高裁金沢支部 昭和34年10月20日判決にもあります。 (罪となるべき事実) 被告人は昭和34年4月10日午後2時20分頃敦賀市松島百三十字松原地先道路におい...

 

昭和30年代は興味深い判例がある一方、交差点の中心がどこなのか高裁まで争われたら裁判所は崩壊するよね笑。
令和になってからも信号無視について最高裁まで争った事例がありますが…

 

交通取締が変わったかもしれない判例。
判例を調べている段階でちょっと面白いのを見つけました。 車の交通違反は、原則として切符を切り反則金を支払えば刑事訴追されないシステム。 赤信号無視で違反切符を切ろうとしたけど、本人は黄色で通過したと思っているので拒否し、パトカーの車載カメラ...

 

自転車の二段階右折ラインについて争った判例はさすがに見たこともないし、たぶんライン違いで検挙した事例もないと思う。
小回り右折じゃなければ多少間違っていても問題ない気がします。

 

クルマって昭和40年代頭に反則金制度を導入した関係から、道路交通法違反の判例はかなり少ないわけですが、誰かが争うことで法律解釈が明確になる面もある。
交差点の中心がどこなのか?なんて争いは最近全く聞きませんが、そもそも取締りしてないですしね。

 


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