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なぜ?おかしな位置に一時停止線がある理由。

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たまにですが、一時停止の停止線がやたら手前にあり、「そこで停止しても交差道路の状況はわからん」というところがありますよね。

※左側道路の停止線のような。

 

なぜこうなるのでしょうか?

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なぜ?停止線がやたら手前になる理由

ぶっちゃけた話、そうなる原因は一つではないので一概には言えないのですが、例えばこんな感じ。

 

①横断歩道の関係から、停止線を横断歩道より手前にする必要がある。

②疑似横断歩道の都合上(横断歩道はないが、歩道と歩道をつなぐ部分に歩行者の横断が見込まれる)

③右左折車両にそれなりのサイズの車両が予定されている

 

④駐停車禁止エリアの境界線代わり

 

⑤交通規制課の勘違い

 

いろいろ理由がありますが、ちょっと前に「もうちょい交差道路に近いところに一時停止線を設置した方がいいんじゃね?」と警察に言ったところ、そもそも勘違いしているケースがあることに気がつきまして。

 

なので「交通規制課の勘違い」をメインに書きます。

一時停止線の位置

まず、一時停止規制は43条。

(指定場所における一時停止)
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

で。
43条が現行規定になったのは昭和46年道路交通法改正。
それ以前の43条はちょっと違います。

(指定場所における一時停止)
第四十三条 交差点に入ろうとする車両等は、公安委員会が道路又は交通の状況により特に必要があると認めて指定した場所においては、一時停止しなければならない。ただし、当該交差点において交通整理が行 なわれているときは、この限りでない。

「交差点に入ろうとする車両等は」と規定していたわけですが、この条文からすると一時停止位置は当然「交差点手前」になる。

 

そして交差点の定義はこれなのです。

なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。

最高裁判所第三小法廷  昭和43年12月24日

本件の事実関係は、右認定のとおりである。そして右のように車道と車道が交わる十字路において、四つ角の宅地または歩道の角を切り取つて歩道または車道としたことにより車道の幅員を拡大してある場合には、その拡大してある車道部分は道路交通法にいわゆる交差点に包含され、したがつて本件においては、右の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)(ト)(チ)(イ)各点を順次直線で結んだ線内の車道部分全部が、双方の車道の交わる部分であつて、右の交差点にあたる、と解すべきである。故に右の(イ)点は、交差点の側端にあたる。被告人は、交差点の側端から5メートル以内の場所に自動車を駐車したことが明かである。

名古屋高裁 昭和37年11月26日

交差点には隅切りを含む奴ですね。

 

で。
冒頭の画像のものを見ると、停止線がある位置は隅切りの限界、交差点の境界なんですね。
交差点の境界に停止線を設置している。

ところで。
昭和46年に43条が改正されてますが、なぜ改正したのか?

(指定場所における一時停止)
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

このように改正した理由は、交差点内に停止線を設置可能にするため(「道路交通法の一部を改正する法律」警察庁交通企画課、月刊交通1971年8月)。

 

停止線の位置が手前過ぎなんじゃないかと警察と話をした際に、「停止線は交差点の外(境界)にしか描けない」と言われたので、調べて警察と再度話をして誤解を解きました。
交通規制課でも勘違いしていることはあります。

 

ただし、旧法でいわれたいわゆる「観念上の横断歩道」(歩道と歩道をつなぐ部分)の関係から「歩行者の横断がそれなりに予定されている」として停止線を手前にするケースもあると思われるので

実際には個別に判断するしかありません。

大要素と小要素

こういう判例もありますが、名古屋高裁金沢支部 昭和37年2月8日判決。

道路交道法第43条の指定場所における一時停止をなすべき地点について検討してみると、同法条の立法趣旨が同法第1条に規定する道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る目的にでたものであることは言を俟たないところであり、とくに、同法第43条は交差点に入ろうとする車両等に対し公安委員会が指定した場所において一時停止をなすべき義務を定めたものであるから、車両等の一時停止は交差点の手前、少なくともその直前においてなすべきものと解するのが前記立法趣旨にてらし相当であり、さればこそ、一時停止の規制標識についても道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年12月17日総理府、建設省令第3号)第2条の別表第一により「車両及び路面電車を一時停止させる交差点の手前の左側の路端」にその前方から見やすいように設置すべき旨(道路交通法第9条第2項同法施行令第7条第2項参照)を義務づけているのである。もつとも、かように解すると、前記道路標識の設置場所が当該交差点並びに附近の地形的状況により必ずしも左右の見通し等により他の交通の安全を確認しうる地点と合致しない場合の生ずることは容易に考えられるところであり、通常の場合には交差点の直前であつて左右の見通しが可能な地点で一時停止すべきものと解して何ら差支ないけれども、交差点に幾分進入しなければ左右の見通しができない地形の場合には、道路標識が交差点の手前にあつても、なお見通しの可能な地点で一時停止をなすべきかは議論の余地はあろうが、本条による指定が単なる危険防止の措置にとどまらず、幹線道路に対する優先通行権の保護の確保という意味をも有することを考え併せると、通常の場合と同様、交差点の直前において一時停止すべきものと解するのが相当である。以上要するに、道路交通法第43条の指定場所における一時停止は当該交差点の直前においてなすべきものと解するのが相当であり、原判示の如く本件交差点内に一旦進入したのち、同所において一時停止して安全を確認したとしても、そのために交差点の直前において尽すべかりし一時停止の義務を免れることはできない筋合である

 

名古屋高裁金沢支部 昭和37年2月8日

改正前旧法での判断。
結局、いろいろ疑義があったから昭和46年改正で交差点内に停止線を設置可能にしたわけですが、なぜか警察は「交差点内に停止線は違法」と勘違いしているケースもあるということです。

 

警察も残念ながら全てを把握してないし、法律解釈を間違っているケースもあるので、気になった停止線については要望を出すことが大事。

 

そもそも勘違いしているケースもあるので。

 

ところで、海外だと一時停止規制ではなく「譲れ規制」にしていることもよく見かけますが、警察庁のちょっと古い資料には「譲れ」については一定の交通量以上になると遵守率が大幅に下がりリスクが増大したという海外のデータを元に否定的に見ている様子。
どうしても「我先に」の原理が働きやすいことが原因なのかもしれません。

 


コメント

  1. . より:

    前にヤフーニュースで停止線で止まると車が見えないから止まらないとかコメントにいいねがかなり付いてた記憶が…
    いや歩行者や自転車の想定は?ってなりましたね

    後は普段通る道で停止線が手前な止まれありますが止まってる車見たことがない

    皆事故とか警察怖くないんですかね?
    丁寧に停まっても信号1本も変わらないだろうに

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      基本的には歩行者の通行部分を考慮してそれより手前に停止線を設定していると思うのですが、いくらなんでも手前過ぎじゃない?と疑問に思うところもあります。

      • . より:

        京都のファミリーマート 嵯峨野宮ノ元町店付近のT字路とかまさにそれで仮想上の横断歩道の2-3mぐらい手前に停止線がありますね

        多分歩道の手前にした場合は東から来る車が右折の際に最短で曲がると事故が起こりかねないって理由だと思いますが…

        通る際は一応止まりますし何となく意図も読めるんだけど何だろう…この何…?って気持ちが出てしまうT字路

        • roadbikenavi roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          これは確かに手前過ぎです笑。
          隅切りを考えたらもう少し交差道路側にしてもいい気がしますが、少し前進したところで停止率は悪いんだと思います。

          観念上の横断歩道部分を考慮して、さらに右左折車両の状況を考慮して決めているのだと思いますが、ちょっと変です笑

          • ゆき より:

            東から右折よりも、西から左折のトラックや消防自動車が住宅街にスムーズに入れるようにするためにじゃないかな。
            つまり、
            >③右左折車両にそれなりのサイズの車両が予定されている
            のパターン。

            その交差点より北が、JR西の山陰本線&嵯峨野線と京福電気鉄道嵐山本線に挟まれた陸の孤島状態になってます。
            道や踏切やトンネルや橋の都合上、配達トラックとか消防車とかが南から入れる経路がファミマの交差点しかなさそう。
            北からも入れるけど、ミスるとトンネル高が2.4m制限なのでヤマトのクイックデリバリーとか通れないですね。

          • roadbikenavi roadbikenavi より:

            コメントありがとうございます。

            個人的には、車両ではなく歩行者のことを考えたのではないかと思ってまして、歩行者が歩道から右折的に入った場合に子供の小走りなども考えるとタイムラグが欲しいのかなと。

            もうちょっと検討してみます。
            ご意見ありがとうございます。

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