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「自転車を押して歩く人」が自転車と衝突した場合の過失割合。

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自転車を降りて押して歩く人は歩行者(道路交通法2条3項2号)ですが、自転車を押して歩く人の注意義務という点で、ちょっと珍しい判決があります。

 

自転車を押して歩く人の自転車と、自転車に乗った人の自転車が衝突した事故です。

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自転車を押して歩く人

判例は福岡高裁宮崎支部 令和2年6月3日判決です。
まずは事故概要。

・原告はマンションの出入口から自転車を押して歩いて歩道に進出。
・歩道を右側から進行してきた被告自転車の後輪スタンド部分と、原告自転車の前輪が衝突
・原告は衝突のはずみで転倒。

歩道上での歩行者 対 自転車の衝突事故になります。

 

まず、道路交通法の義務を確認します。
歩道を通行する自転車は、歩道中央から車道寄りを徐行しなければならず、かつ、歩行者の通行を妨げることになるときには一時停止義務があります(63条の4第2項)。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。

※一部簡略化。

 

さて、みんな大好き過失割合。
一審は以下の過失割合を認定し、控訴審も一審判決を支持し控訴棄却。

原告(押して歩く歩行者) 被告(自転車)
30 70

さて、押して歩く歩行者に30%の過失をつけた理由はなんでしょうか。

まず、押して歩いている以上は道路交通法上での区分は歩行者です。
それは当たり前。

 

ただし、押して歩く場合でも路外から歩道に進出する以上、歩道の見通し確認よりも自転車が先行して歩道に進出することになるわけで、歩道の様子を確認してから自転車を進出させる注意義務があったと認定。
それをすれば容易に事故の回避が可能だったとして30%のまあまあ重い過失を認定しています。

もちろん、歩道通行自転車は「歩道中央から車道寄り」を徐行する義務があり、しかも歩行者の通行を妨げることになるときには一時停止義務があるわけで、70%の過失。

 

事実上の歩行者に30%をつけたという点ではまあまあ珍しい判決です。

 

民事の過失割合は

過失とは道路交通法の義務違反のみならず「不注意」を含むわけで、予見可能性と回避可能性があれば過失になるわけですが、押して歩いている者の注意義務について言及した判例はちょっと珍しい気がします。

 

まあ、被告自転車が「歩道の反・車道寄り(路外寄り)」を通行していたことが一番の原因でしょうけど。


コメント

  1. upmoon より:

    この理屈だと乳母車も過失取られる可能性ありますね

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自分の「前輪」と歩道通行自転車の「後輪スタンド」が接触した事例なので、わずかな注意で事故を回避可能だったという判断です。
      自転車だからとか、乳母車だからとかは関係ないと思います。

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