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自転車横断帯が失敗した理由。

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ちょっと前に自転車横断帯がどうのこうのという話題がありましたが、なかなか勘違いしている人が多いことにビックリします。

 

✕「道路交通法改正で自転車横断帯は滅亡した」

 

○「自転車横断帯は一部を除き、危険性があるとして撤去が進められた」

 

ところで、自転車横断帯はなぜ失敗したのでしょうか?

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自転車横断帯が作られた理由

まずは自転車横断帯が作られた理由から。
自転車横断帯が登場したのは昭和53年ですが、昭和45年に自転車の歩道通行が解禁されたことに伴い、歩道⇒横断歩道に進行する自転車が増えた。

 

その結果、横断歩道上で歩行者と自転車が交錯して危険だということが一番の理由です。

第91回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 昭和55年4月1日

○説明員(斉藤隆君)

交差点における自転車利用者の保護と歩行者の保護を目的といたしまして、横断歩道における自転車と歩行者の競合を避けるために新たに自転車横断帯を設けたということでございます。

自転車が横断歩道を使って横断することは禁止されていませんが、ルール上は歩行者の横断を妨げるおそれがあるときには降りて押して歩くことになっていた(25条の2第1項)。
しかし現実には歩行者妨害は起きているし、歩行者が横断歩道で優先保護される(38条1項)と同じような、「自転車用の横断路」の必要性が高まったことから、昭和53年に自転車横断帯を新設。

 

しかし自転車は原則車道政策を進めるにあたり、車道通行自転車が「左折風プレイ」を強いられることになり、

危険だとして「原則撤去」になっています。

自転車横断帯の撤去

 

自転車は、車道又は歩道のいずれを通行していても、自転車横断帯がある場所を横断しようとするときは、その自転車横断帯によって道路を横断しなければならず、場合によっては自転車に不自然かつ不合理で、危険な横断を強いることとなり得る。このため、自転車道や普通自転車の歩道通行部分の指定があり、歩道部分に連続した自転車通行空間が整備されている区間のほか、自転車が通行できない構造の横断歩道橋等の付近で自転車の交通量が多い交差点等において、自転車が安全かつ円滑に自転車横断帯を進行することが想定される場合を除き、原則として自転車横断帯を撤去すること。また、自転車横断帯の撤去に当たっては、歩行者用灯器に設置されている「歩行者・自転車専用」の補助板の撤去についても、併せて検討すること。

https://www.npa.go.jp/laws/notification/kyokucyou1.pdf

自転車横断帯を新設した理由は二点。

①横断歩道で歩行者との交錯を防ぐ
②車道を通行する車両に対する優先権の確保

なお、自転車横断帯の通行義務については、直接的な罰則はなく、警察官から通行するよう指示されても従わない場合のみ罰則(63条の8)。

自転車横断帯が失敗した理由

車道を通行する自転車にしてみれば、交差点を直進するにあたり「左折風プレイ」を強いられることになり、しかも車道から視認できない位置に自転車横断帯があり、自転車横断帯を使う自転車なんてまずいない。

 

そうなると、自転車横断帯が存在することの利益は、歩道通行自転車もしくは自転車道を通行する自転車に限られていたと考えられます。

 

自転車横断帯を新設した理由に「①横断歩道で歩行者との交錯を防ぐ」がありますが、そもそもですよ。

管理人
管理人
歩道上で歩行者と自転車が完全分離されてないのに、なんで横断歩道・自転車横断帯については歩行者と自転車が秩序よく分離することが期待できるの?

現実的には、自転車横断帯を通行する歩行者や、横断歩道を通行する自転車がたくさんいるわけ。
歩道上で両者がぐちゃぐちゃに通行している中、横断歩道と自転車横断帯を分けたところで両者が秩序よく分離して横断することは期待できるわけがない。
歩道ではぐちゃぐちゃに動いている両者が、横断部分については秩序よく動き始めると期待してしまうのか不思議。
しかも自転車同士が対面通行可能な幅すら確保されてない自転車横断帯ですよ。

自転車が歩道を通行する際は「歩道の中央から車道寄り」ですが、あくまでも歩道なので歩行者には関係ない。

最初から「横断歩道と自転車横断帯を分けて歩行者と自転車の交錯を防ぐ」なんて全く期待できなかったわけ。

 

なお古い研究になりますが、自転車横断帯を通行する自転車は「交差点の外側に向けて」弧を描くように進行すると出ています。
これについてはまた別の機会に。

 

そして自転車横断帯を設けたことによる「優先権」についても、横断歩道を通行する自転車は歩行者に近い保護性を認めている以上(安全運転義務)、さほど大きな意味もない。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

自転車が車道も歩道も通行できるのに、交差点の通行位置は同じにするという時点でそもそも破綻していたわけで、現行制度、現行構造下では自転車横断帯はほとんど無意味としか言えません。

 

逆にいえば、自転車の通行エリアがみんな同じで(自転車道など)、しかも歩行者と通行エリアが分離されていたなら自転車横断帯の存在意義があるわけです。
しかし、最近新設される「自転車道」については、

交差点の直前で自転車道を打ちきり、歩道に接続する方式が横行。
このようにするには意味があるので仕方ない面もありますが、

 

なぜこの自転車道は、ポールと縁石で封鎖されているのか?
こちらの件。 自転車道の入口がポールと縁石で封鎖されています。 「これじゃ歩道からしか自転車道に入れないじゃん!おかしいだろ」と思うでしょう。 一応、理由があってこの形です。 自転車道が「変」な理由 まず、自転車道がない状態で考えてみます。...

 

自転車道が歩道に接続することにより、信号待ちで歩行者と自転車が入り乱れることになるため、結局は横断歩道と自転車横断帯を分けたところでぐちゃぐちゃになるというオチにしかなりません。

 

結局、自転車横断帯がやりたかったことは「相応の道路構造」がある前提でしか効果を発揮しないので、現状では無意味に近いでしょう。
そしてそれをしないまま自転車横断帯を作ったところで、ぐちゃぐちゃになることは予想できたような。

63条の7

63条の6を残して63条の7を削除すれば、車道を通行する自転車が自転車横断帯を通行する義務がなくなるみたいな意見も時々見かけますが、

(自転車の横断の方法)
第六十三条の六 自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。
(交差点における自転車の通行方法)
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。

それをすると、自転車道と自転車道を結ぶ自転車横断帯の解釈上、ムリがあるかと。
自転車道は「車道」なので、交差点を形成しますから。

 

交差点進入禁止(63条の7第2項)にしても、ほとんど見ないレア標示ですし、車道を通行する自転車に自転車横断帯を使わせたいなら交差点進入禁止と併用する前提なんじゃないかと思いますが、ちぐはぐな運用をするから余計混乱を招いた気がしてます。

 

どちらにせよ、信号待ちで歩行者と自転車が入り乱れる構造になっている以上、横断歩道と自転車横断帯を分けたところで歩行者と自転車の交錯は起きる。
自転車が歩道も車道も通行できるのに、交差点だけは両者が合流するという頭が悪い仕組みになっているところに問題があるわけですが、自転車横断帯を作る以前の問題なのではないでしょうか。

 

横断部分だけを歩行者エリア(横断歩道)と自転車エリア(自転車横断帯)に分けたところで、それ以前の歩道上で両者が分離されてないのだからそもそもムリがあるわけで、期待できないモノを作ってみたけど、やはり横断部分でもぐちゃぐちゃになったよね、というだけの話。

 

なので自転車横断帯が機能するには、それ以外のところを整えないとあまり意味がないでしょう。
ついでに、自転車横断帯についての判例について、いろいろコメントを頂くので見解を書いておきます。

 

自転車横断帯は、交差点の外にあるときは通行しなくてもよい??
結構前に読者様から指摘いただいていた件があります。 上記リンクにあるようにそういった横断帯は交差点ではないとする意見もあるようですが、管理人様的にはどう解釈しているのでしょうか? 正直上記リンクも無条件で信用はできない気がしてますが、法解釈...

 

Jablawの判例

Jablaw(公益社団法人自転車道路交通法研究会)という団体が以前、このようなことを書いてましたが、

交差点の外側にある自転車横断帯の設置位置は、法(道路交通法第63条の7第1項)でいうところの「付近」に当たらないため、通行義務がない。[S55東京高裁]

 

https://law.jablaw.org/rw_cross1

これ、存在しないエア判例の疑いが極めて濃厚です。
有料の判例検索で探してもそれらしきものはヒットしないばかりか、警察も把握していない。
この団体に判決年月日等を聞いても回答拒否されましたし、しまいにはサイトごと消して滅亡。

 

なんでこの団体がわざわざエア判例と思わざるを得ない判例を創作するのかわかりませんが、自転車道路交通法研究会 常務理事という方はうちの画像を余裕でパクるし、

どうなっているのですかね?
全く意味がわからない団体としか言えない。

 

この団体が挙げた判例については、他にも調べた方が普通にいて、いろんな方から疑問の声すら頂いてますが、

 

自転車横断帯は、交差点の外にあるときは通行しなくてもよい??
結構前に読者様から指摘いただいていた件があります。 上記リンクにあるようにそういった横断帯は交差点ではないとする意見もあるようですが、管理人様的にはどう解釈しているのでしょうか? 正直上記リンクも無条件で信用はできない気がしてますが、法解釈...

 

エア判例疑惑に、画像を余裕でパクる。
全く理解に苦しむ。

 

ところで。

こんな位置に自転車横断帯があったところで、車道を通行する自転車からすれば視認不可能。
視認不可能な道路標識等には効力がないので、わざわざ「左折風プレイ」なんてしなくてよい。

 

現場の警察官も、「まっすぐ進んでいいよ」と真顔でいうのが現実。

 

それよりもエア判例創作疑惑と、画像をパクることについて説明して頂きたいモノですが、何がどうなっているのやら。

 

そもそも、判決年月日を書いてないのに「判例がある」という人を信用しちゃダメなのよ。
第三者が検証できないじゃんね。

 

自転車横断帯が活かすには、自転車横断帯を活かせる構造がないと無意味なのよ。


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